バイオ 新技術説明会(2)
日時:2018年10月30日(火) 13:00~14:55
会場:JST東京本部別館1Fホール(東京・市ケ谷)
参加費:無料
主催:科学技術振興機構、四国産学官連携イノベーション共同推進機構(徳島大学、香川大学、愛媛大学)、高知工科大学、株式会社テクノネットワーク四国
後援:特許庁、関東経済産業局
発表内容一覧
発表内容詳細
- アグリ・バイオ
1)ロコモとメタボを同時に予防する食品成分フラボノイド
愛媛大学 プロテオサイエンスセンター 病態生理解析部門 教授 今井 祐記
新技術の概要
超高齢社会では健康長寿社会の実現、中でも運動器疾患(ロコモティブ症候群=ロコモ)の予防が急務である。本技術の特徴は、食品成分であるフラボノイドの一つが、破骨細胞形成の抑制により骨吸収を低減することで骨量を増加させると同時に、脂肪の増量による肥満(メタボ)を予防することである。
従来技術・競合技術との比較
βクリプトキサンチンなどの骨量維持作用を示す栄養素と同様の効果を示す新たな栄養素であり、これまで当該フラボノイドが骨量増強を示すことは報告されていない。また骨量増加および肥満予防の両方に資する栄養素は少なく、従来と比較して特徴的な点である。
新技術の特徴
・当該フラボノイドは、食品に含まれており食経験がある
・破骨細胞形成を抑制し骨量を増強する
・脂肪増量による肥満を予防する
想定される用途
・サプリメント
・機能性食品
- アグリ・バイオ
2)治療用細胞の外来遺伝子を正確に制御するための人工転写因子
香川大学 医学部 神経機能形態学 講師 鈴木 辰吾
新技術の概要
細胞を遺伝的に改変して治療に用いる場合に、特定の外来遺伝子を正確に制御するための技術。ヒトのゲノムにはない特異的な配列に結合して、その下流の遺伝子の発現を正確に制御できることから、キメラ抗原受容体発現T細胞等を作成する方法などにおいて、目的とする遺伝子を制御するために使用できる。
従来技術・競合技術との比較
人工転写因子として、Tetリプレッサードメインが頻用されているが、化合物によりDNAへの結合が阻害され、また結合特性も本技術より特異性が劣ると考えられる。また、dCAS9やTALは遺伝子が大きく、前者は別途RNAが必要であり、後者は繰り返し配列を多く含み扱いにくい。一方、本技術は扱いがたやすくこれらの欠点を克服している。
新技術の特徴
・ヒトゲノムにはないDNA配列へ特異的に結合できる人工転写因子
・ヒトゲノムにはないDNA配列へ非常に強く結合できる人工転写因子
・遺伝子が大きくなく、繰り返し配列もないため作成が容易であり、バリデーションが容易。
想定される用途
・治療用細胞における外来遺伝子の正確な発現制御
・発生工学における遺伝子改変
・実験用試薬
- アグリ・バイオ
3)骨再生誘導作用を併せ持つ新規抗腫瘍薬の創出
徳島大学 大学院医歯薬学研究部 歯学域 組織再生制御学 講師 寺町 順平
新技術の概要
多発性骨髄腫は、骨破壊性病変を形成しつつ腫瘍増殖をもたらす腫瘍であり、現有の治療では依然治癒が困難である。骨病変も形成する特徴から、腫瘍と骨病変の進展を防止し、骨喪失部に骨再生をもたらすことのできる治療法の開発が課題であるが、本研究グループでは、抗腫瘍活性のみならず、骨病変形成抑制効果を有する薬剤の創出に成功した。
従来技術・競合技術との比較
骨形成誘導薬として臨床応用されたPTH製剤は骨肉腫を惹起させる危険があり、また抗DKK-1抗体や抗sclerostin抗体はWnt/β-catinine経路を促進させるため腫瘍増殖させる危険がある。このような骨形成誘導薬とは対照的に、新規化合物Compound#13は抗腫瘍作用を有する上に骨形成誘導作用を併せ持つという優位性がある。
新技術の特徴
・抗腫瘍効果
・骨吸収抑制効果
・骨形成促進効果
想定される用途
・多発性骨髄腫治療薬
・関節リウマチ治療薬
・骨粗鬆症治療薬
- アグリ・バイオ
4)変異型高病原性インフルエンザウイルス(H5N1)感染を抑制する阻害ペプチドの開発と低分子創薬
徳島大学 大学院医歯薬学研究部 生体栄養学分野 特任助教 真板 綾子
新技術の概要
世界に先駆けて、高病原性インフルエンザウィルス(H5N1)の感染に関与する宿主酵素MSPLと既存のfurin inhibitorとの複合体結晶構造を明らかにし、その構造を基にして、MSPLの酵素活性を特異的に阻害するペプチド性阻害剤を開発した。さらに、開発した阻害剤が、変異型の高病原性インフルエンザウィルス(H5N1)に対して、有意な阻害効果を示すことを明らかにした。
従来技術・競合技術との比較
現行の治療薬では、変異型の高病原性鳥インフルエンザに対応できないが、本開発阻害ペプチドはこれらのウィルスに対してウィルス感染を阻害し、増殖を抑制することができる。さらに、現行の治療薬では神経系への副作用があるが、本開発ペプチドでは、神経系の副作用がおこる可能性は極めて低い。本開発阻害ペプチドは変異型高病原性鳥インフルエンザだけでなく、コロナウィルス、豚流行性下痢ウィルス、HIVウィルス、エボラウィルスに対してもウィルス感染を阻害し、増殖を抑制できる。
新技術の特徴
・現在、治療薬がない変異型高病原性鳥インフルエンザの感染に関わる宿主酵素MSPLに対する特異的な阻害剤を開発したこと。
・現行の治療薬にみられる神経系の副作用はない。
・対象疾患が変異型高病原性鳥インフルエンザだけでなく、コロナウィルスや豚流行性下痢ウィルス等も含まれること。
想定される用途
・変異型高病原性鳥インフルエンザウイルス感染を予防または処置する。
・コロナウィルス、豚流行性下痢ウィルス、HIVウィルス、エボラウィルス感染を予防または処置する。
関連情報
・サンプルあり
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