ライフサイエンス 新技術説明会(2)
日時:2018年11月08日(木) 13:30~15:25
会場:JST東京本部別館1Fホール(東京・市ケ谷)
参加費:無料
主催:科学技術振興機構、中国地域産学官連携コンソーシアム(さんさんコンソ)、 一般社団法人中国経済連合会
後援:特許庁、関東経済産業局、鳥取大学、岡山大学、山口大学、川崎医科大学
発表内容一覧
発表内容詳細
- 医療・福祉
1)インフルエンザウイルスの未来流行株予測システムの開発
川崎医科大学 医学部 微生物学 助教 内藤 忠相
新技術の概要
インフルエンザウイルスがもつRNAポリメラーゼの低忠実化改変に成功し、すべてのウイルスタンパク質に多種多様な変異が導入された「変異ウイルスライブラリー」の作出が可能になった。このライブラリーを利用することで、実際の流行に先立ってインフルエンザ未来流行株(抗原変異株)を簡易的かつ迅速に単離できる実験系を確立できる。
従来技術・競合技術との比較
従来技術による変異導入および変異ウイルスライブラリーの作出には、DNAポリメラーゼを用いた試験管内ランダムPCR法が用いられてきた。本技術では、インフルエンザウイルス由来の低忠実性RNAポリメラーゼによって、感染サイクル中におけるRNAゲノム複製過程で変異が導入されるので、より自然に近い条件で、かつ高頻度で変異ウイルスを作り出すことができる。
新技術の特徴
・アミノ酸変異部位の網羅的同定に基づくウイルス進化予測が可能
・エピスタシス効果による新型ウイルスの出現予測が可能
想定される用途
・未来流行株を検出するインフルエンザ診断キットの開発
・薬剤耐性株が出現しない抗インフルエンザ薬の開発
- 医療・福祉
2)神経性食欲不振症発症リスク評価のための自己身体イメージ測定ソフトウエア【思春期やせ症の早期発見ツール】
鳥取大学 医学部 保健学科 看護学専攻 教授 花木 啓一
新技術の概要
健康な痩せと重症化する神経性食欲不振症を区別するための、身体イメージの自己認識の差を利用したソフトウエア。水平方向に伸縮した対象者の立位像を自己身体イメージと比較させる。神経性食欲不振症では理想と現実の身体イメージの乖離が大きく、その差が12ポイント以上では、感度70%、特異度91.4%で、健康な痩せから識別可能。
従来技術・競合技術との比較
重症の痩せ症:神経性食欲不振症は若年女性に好発し、自己の身体イメージ認知障害のために減食を続けてしまう。従来、身体模式図や拡幅・狭小化した対象者の写真を用いて、対象者の身体イメージを評価してきたが、これらの方法では、模式図と実像の差が大きいこと、写真の調整に専用機器が必要なことから一般化していなかった。
新技術の特徴
・健康な痩せと重症化する神経性食欲不振症を区別するための、身体イメージ評価ソフトウエア
・身近に普及しているタブレットPC上で稼働し、対象者自身の簡単な操作により身体イメージを評価できる
・対象者自身による操作を可能にしたことで、自己認識の忠実な評価が可能であり、自発的な測定を促せる
想定される用途
・学校や企業の保健室に設置して、神経性食欲不振症のスクリーニングを行う
・学校や企業に設置して、若年女性の過度なダイエットに潜む危険性や神経性食欲不振症について啓発する
・医療機関や研究機関に設置して、神経性食欲不振症の診断や治療効果判定に用いる
関連情報
・デモあり
- アグリ・バイオ
3)人工核酸結合タンパク質のデザインとその応用
岡山大学 大学院ヘルスシステム統合科学研究科 バイオ・創薬部門 教授 世良 貴史
新技術の概要
天然の核酸結合タンパク質に見られる認識のパターンおよび塩基-アミノ酸間の可能な相互作用に基づき、標的の塩基配列に高い親和性で特異的に結合できる人工核酸結合タンパク質を容易にデザインする手法を開発した。
従来技術・競合技術との比較
望む標的の核酸配列を高い親和性で識別できる高性能の人工核酸結合タンパク質を短時間に創出することが可能。この人工核酸結合タンパク質に、各種機能ドメインを融合させることにより、細胞内で核酸情報を切断・加工したり、遺伝情報の発現量を人為的に調節するような、多種多様な人工生体機能分子を創出することが可能。
新技術の特徴
・標的の核酸配列に結合するタンパク質のデザインが容易
・特異性が高い人工核酸結合タンパク質を短時間に創出
・タンパク質および核酸として細胞や個体への導入が可能
想定される用途
・耐病性など新機能の農作物への導入
・抗ガン剤・抗ウイルス剤を始めとする、タンパク質医薬(ヒト・家畜・家禽)
・核酸情報の加工・編集
関連情報
・外国出願特許あり
- アグリ・バイオ
4)DNAの大容量生産
山口大学 大学院創成科学研究科 化学・ライフサイエンス系専攻 教授 赤田 倫治
新技術の概要
DNAワクチンなど、不純物を含まないDNAが望まれている。きれいなDNAの生産のためには酵素反応でDNAを合成すればよいが、大容量反応ができなかった。本技術は1回で数mLから数百mLのDNA生産を可能とする。
従来技術・競合技術との比較
従来、DNA合成を行うPCR反応は、精密な温度制御が必要なため、数µLから最大50µL程度で行われていた。それ以上のミリリッタースケールでのPCR反応はできなかった。
新技術の特徴
・DNAの大量合成ができる
・新しいシステム(特許出願済)は精密な温度制御ができる
・プラスチックチューブ不要
想定される用途
・DNAワクチン
・工業用DNA生産
・食品添加物、化粧品、環境検査
関連情報
・サンプルあり
お問い合わせ
連携・ライセンスについて
中国地域産学官連携コンソーシアム(さんさんコンソ)事務局
TEL:086-251-7151 FAX:086-251-8442Mail:infosangaku-cons.net
URL:http://sangaku-cons.net/
鳥取大学 研究推進機構
TEL:0857-31-5703 FAX:0857-31-5571Mail:sangakucdml.cjrd.tottori-u.ac.jp
URL:http://www2.cjrd.tottori-u.ac.jp/
岡山大学 研究推進産学官連携機構 知的財産本部
TEL:086-251-8476 FAX:086-251-8961Mail:chizaiokayama-u.ac.jp
URL:http://www.orpc.okayama-u.ac.jp/kikou/chizai_01.html
山口大学 学術研究部産学連携課産学連携係
TEL:0836-85-9961 FAX:0836-85-9962Mail:yuicyamaguchi-u.ac.jp
URL:http://kenkyu.yamaguchi-u.ac.jp/
川崎医科大学 産学連携知的財産管理室
TEL:086-462-1111 FAX:086-464-1073Mail:s-renkeimed.kawasaki-m.ac.jp
URL:http://www.kawasaki-m.ac.jp/med/sanchi/
新技術説明会について
〒102-0076 東京都千代田区五番町7 K’s五番町
TEL:03-5214-7519
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