芝浦工業大学 新技術説明会
日時:2018年07月05日(木) 13:20~15:55
会場:JST東京本部別館1Fホール(東京・市ケ谷)
参加費:無料
主催:科学技術振興機構、芝浦工業大学
後援:特許庁、関東経済産業局
発表内容一覧
発表内容詳細
- 材料
1)水蒸気を利用したアルミニウム合金の高強度・高耐食化技術
芝浦工業大学 工学部 材料工学科 教授 石﨑 貴裕
新技術の概要
アルミニウム合金は構造材料として多用されるため、更なる高強度化と高耐食化が要求される。本技術は、組織制御したアルミニウム合金を高圧・中低温の水蒸気下にさらすだけで材料の強度と耐食性を同時に向上させるプロセスである。複雑形状部材や大型部材にも適用できるため、自動車材料や熱交換器への適用が期待できる。
従来技術・競合技術との比較
アルミニウム合金の強度と耐食性はトレードオフの関係があり両立が困難であるため、強度と耐食性を同時に向上させる技術はほぼ存在しない。特に、高耐食化のための表面処理技術では、多段階プロセスと化学薬品の使用が課題であるが、本技術では1プロセスかつ水蒸気のみ使用するため廃液処理が不要という利点がある。
新技術の特徴
・低環境負荷型のプロセス
・軽金属材料の強度と耐食性の同時向上
・複雑形状、大型部材にも適用可能
想定される用途
・自動車部材
・押出材
・熱交換器
関連情報
・サンプルあり
- 環境
2)ジョイント‐リンカー型高分子多孔質材料の分子&空間デザインへの挑戦
芝浦工業大学 工学部 応用化学科 教授 永 直文
新技術の概要
架橋点となる多官能性ジョイント分子と、この架橋点間を繋ぐリンカー分子との相分離を伴う付加反応により、相分離剤や特殊な化合物を用いることなく、種々の分子構造、立体構造を有する(ジョイント-リンカー型)高分子多孔質材料を合成する方法を提供する。
従来技術・競合技術との比較
一般的な高分子多孔質材料の製造では、網目構造が形成される過程で、相分離構を誘発する、界面活性剤、相分離剤等の添加剤が用いられるが、最終的にはこれらを除去する必要がある。また、添加剤を用いない製造も検討されているが、特殊な構造のモノマーの使用や、極低温などの限定された条件下で反応を行う必要がある。
新技術の特徴
・汎用試薬,簡便な方法で合成が可能
・相分離剤の添加が不要
・分子構造、立体構造の設計により広範囲な特性、物性の制御が可能
想定される用途
・分離用カラム(特に大きいサイズのバイオマテリアル用)
・触媒用担体(金属触媒だけでなく、ペプチド,酵素の担体として)
・細胞培養用足場材料
関連情報
・サンプルあり
- 計測
3)メカニカルな可動部をもたない複数個所同時注目可能な広角中心窩センサ
芝浦工業大学 デザイン工学部 デザイン工学科 教授 清水 創太
新技術の概要
本発明では、液晶レンズが外部からの電圧印可により屈折率分布を変えることが出来る性質を利用し、
100度を超える広視野でありながら、注目したい箇所の光学倍率だけをメカニカルな機構なしに拡大し詳細な観察を可能とする特殊光学系である。また、複数個所を同時に注目し高倍率で観測することも可能である。
従来技術・競合技術との比較
従来の広角中心窩レンズで視野中の注目したい場所を高倍率で観測するためには、カメラそのものをメカニカルに
回転させる必要があるため小型化・省エネルギー化できず、また複数個所の同時注目は不可能であった。本発明は、これらの問題を一度に解決する小型グリーンデバイスとして大きな期待が寄せられている。
新技術の特徴
・ノンメカニカル
・小型・省エネルギー
・複数個所同時注目可能
想定される用途
・監視カメラ
・ロボット及び探査機用視覚センサ
・人工眼
関連情報
・外国出願特許あり
- 情報
4)脳波や心拍で参加する仮想ライブ体験システム
芝浦工業大学 工学部 情報通信工学科 准教授 堀江 亮太
新技術の概要
没入型ヘッドマウントディスプレイで仮想ライブを視聴しているユーザから、脳波や心拍などの生体信号を測定して興奮状態などの精神的盛り上がりを検出し、生体信号に連動して仮想ライブ映像に視覚的エフェクトを出現させる仮想ライブ体験システム。
従来技術・競合技術との比較
没入型ヘッドマウントディスプレイを用いた仮想ライブ体験システムが開発されているが、ユーザーが能動的にライブに参加をする体験は得られにくいと考えられる。これに対して本技術では、ユーザーは生体信号を介して精神的盛り上がりに連動した視覚効果を出すことができ、仮想ライブに参加をする体験が得られる。
新技術の特徴
・生体信号に連動して仮想ライブ映像に視覚的エフェクトが出現する。
・簡易なデバイスで測定した脳波や心拍などの生体信号から精神的盛り上がりを検出する。
・生体信号計測と仮想現実技術をインテグレーションしたシステム。
想定される用途
・新しいエンターテイメントシステム。
・ハンズフリーで能動的にライブに参加できるバリアフリーなライブ体験システム。
・バイオフィードバックにより精神的盛り上がりを意識できるシステム。
- 情報
5)確率共鳴を用いたレーザレーダ(ライダー)による物体認識
芝浦工業大学 システム理工学部 機械制御システム学科 教授 伊東 敏夫
新技術の概要
レーザレーダ(ライダー)による運転支援システムや自動運転を狙った自動車用の非接触物体(歩行者、二輪車、四輪車等)認識技術で、確率共鳴によるノイズの印加により遠距離での認識精度を向上させた。
従来技術・競合技術との比較
レーザレーダで得られる点群データは遠距離では密度が低いため物体認識性能が低かった。これを確率共鳴によるノイズ印加によって大幅に向上させ、遠距離でも点群データを歩行者、二輪、四輪に分類できるようにした。
新技術の特徴
・処理アルゴリズムの変更だけでハードウエアの変更不要
・ハードウエアに限定されない
・自動車だけでなく広く自動運転システムに応用可能
想定される用途
・運転支援システム用物体認識センサ
・自動運転用物体認識センサ
・各種ロボット用視覚センサ
お問い合わせ
連携・ライセンスについて
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