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歯科領域 新技術説明会

日時:2018年07月03日(火) 13:00~15:55

会場:JST東京本部別館1Fホール(東京・市ケ谷)

参加費:無料

主催:科学技術振興機構、大阪大学、東京医科歯科大学、東北大学、新潟大学、日本大学、北海道大学

後援:特許庁、関東経済産業局

発表内容詳細

  • 医療・福祉

1)唾液メタボロミクスによる歯周組織と全身の健康測定法の開発

大阪大学 大学院歯学研究科 口腔分子免疫制御学講座 予防歯科学分野 准教授 久保庭 雅恵

新技術の概要

ガスクロマトグラフィー質量分析計を用いた唾液メタボローム解析により、歯周組織検査を実施することなく歯周病の重症度を検知するバイオマーカー候補物質を複数同定した。また、歯周病原性の高い口腔細菌叢で活性化している代謝経路を明らかにした。現在、糖尿病とその合併症を検知する唾液バイオマーカーを探索中。

従来技術・競合技術との比較

非侵襲的に、安価に、迅速に、特別の技術なくサンプリングすることが可能な安静時吐出唾液を試料として用い、高精度スクリーニングを実施することで、従来の歯周病スクリーニング法(CPI)で問題となっていた経費、マンパワー、侵襲性、精度の問題が解決する。これにより、一般健康診断への歯周病検査導入の道が開ける。

新技術の特徴

・非侵襲的採取が可能な唾液を試料として使用
・複数の唾液代謝物質のプロファイリングで疾患の重症度を高精度予測
・将来的には、唾液検査により歯科定期検診時の全身疾患スクリーニングを可能に

想定される用途

・一般健康診断への歯周病スクリーニング検査導入(検査受託体制が課題)
・歯科診療室での歯周病モニタリング(キット化が課題)
・歯科定期健診受診者の全身疾患スクリーニング検査(将来目標)

  • 医療・福祉

2)人工知能で唾液から口臭の有無を予測する

日本大学 歯学部 歯学科 教授 中野 善夫

新技術の概要

機械学習や深層学習に基づく人工知能が広く使われるようになってきている。その手法を用いて、唾液中の細菌叢から口臭の有無を予測する方法を開発した。現在のところ、95%以上の精度で口臭を予測できるようになっている。

従来技術・競合技術との比較

口臭測定器のないところで採取したサンプルを使って個人の口臭の有無を予測する方法がなかった。唾液を出して濾紙に染み込ませるという誰でもできる方法で試料を採取し分析できるようになった。

新技術の特徴

・医師、歯科医師でなくても採取できる分析試料を使う。
・菌の遺伝子解析を使うことで個人の遺伝情報の取得を回避できる。
・細菌の遺伝子群の情報から個人の健康状態等を予測できる。

想定される用途

・口腔、皮膚、糞便等のサンプルから健康状態を予測する大規模スクリーニング。
・医療機関、分析機関に行く余裕がない、あるいは行きたくない人のための健康状態予測。

  • 医療・福祉

3)iPS細胞を利用した骨誘導性骨補填材の作製技術

東北大学 大学院歯学研究科 分子・再生歯科補綴学分野 教授 江草 宏

新技術の概要

iPS細胞に特定の培養条件を与えることで人工骨を作り出し、これを凍結乾燥することで骨補填材を得る技術を開発した。本製品は、従来の骨補填材と比較して高い骨誘導能を示すだけでなく、iPS細胞を人工骨の産生ツールとして用いた後に死滅化するため、安全性および価格の観点から臨床応用が現実的である。

従来技術・競合技術との比較

従来の骨補填材の多くはリン酸カルシウムを成分とした骨伝導性材料であり、骨誘導能はもたない。一方、本発明の骨補填材は、細胞自身が作り出す人工骨を凍結乾燥したもので、骨再生を促す成分が豊富に含まれているため、優れた骨誘導能を示す。

新技術の特徴

・細胞を利用した新たなコンセプトの骨補填材
・iPS細胞を用いたバイオエンジニアリング技術
・優れた骨再生を可能とする凍結乾燥骨

想定される用途

・口腔インプラント治療の垂直的骨増生術
・歯周病に伴う歯槽骨吸収に対する歯周組織再生療法
・骨腫瘍摘出や関節リウマチの関節固定術に伴う骨欠損および粉砕骨折による骨癒合不全

関連情報

外国出願特許あり

  • 医療・福祉

4)誤嚥防止ロール状ガーゼ“ひも君”の開発

北海道大学 北海道大学病院 歯科診療センター 保存修復 助教 渡邉 千春

新技術の概要

歯科で使用されているロール綿は防湿、圧排など、さまざまな目的で使用されているが、誤嚥による事故が度々報告されている。そこで、ロール綿をより安全に使用するため、糸付きにすることを考えた。ロール状にしたガーゼに、糸を縫い付ける事によって、糸を取れにくくし、取り出し易くした。

従来技術・競合技術との比較

従来のロール綿と比較したところ、直径が同程度のものでは吸水性、吸水速度とも同等であった。また、実際に使用した後のアンケート結果では、従来のロール綿が使用できなかったところに使用することが可能な他、取り出し易く、使用感も良好であった。

新技術の特徴

・ガーゼに糸を縫い付けてあるため容易には糸が抜けにくい
・糸がついているため使用できなかった場所にも使用可能である(舌側)
・口腔外に糸をだしておくため、手術時には取り忘れ防止になる

想定される用途

・合着時に舌側からの防湿
・全身麻酔等の意識の無い状態での使用
・小児や在宅医療などの高齢者の診療

関連情報

サンプルあり

  • 医療・福祉

5)歯科矯正治療期間を短縮させる薬剤の探索

新潟大学 大学院医歯学総合研究科 歯科薬理学 助教 柿原 嘉人

新技術の概要

矯正歯科治療は、歯に機械的及び物理的な力を付与して、歯並び及びかみ合わせを改善する。若年者に比べて、成人患者では、歯周組織の改造が遅延することで歯の移動が遅くなり、治療が長期化する傾向にある。本発明は、低侵襲、かつ治療期間の短縮化を可能とする歯牙移動促進剤を提供する。

従来技術・競合技術との比較

歯の移動を促進するための従来技術として、歯槽骨に外科的手術を加えるコルチコトミー(歯槽骨皮質骨切除術)があるが、患者の肉体的及び心理的負担が大きい。それに対し、本発明は、低侵襲性であるため患者への負担を大幅に軽減できる。

新技術の特徴

・破骨細胞と骨芽細胞の活性を制御する化合物のスクリーニング
・歯槽骨のリモデリングを促進する化合物のスクリーニング
・Rhoキナーゼ阻害薬の矯正歯科治療への応用

想定される用途

・歯周病治療への応用
・歯内療法への応用
・インプラント治療への応用

関連情報

サンプルあり

  • 医療・福祉

6)チェアサイド3D プリンタを用いた水溶性模型製作による被覆冠の1回歯科治療

東京医科歯科大学 大学院医歯学総合研究科 う蝕制御学分野 講師 二階堂 徹

新技術の概要

本発明の特徴は、口腔内スキャナで取り込んだ支台歯のデータから熱溶解積層(FDM)方式3D プリンタを用いてチェアサイドで作業模型を製作し、1回で被覆冠を製作することにある。造形に使用する素材PVA(ポリビニルアルコール)樹脂は水溶性で、作業模型は水溶性のためクラウンの取り出しが容易である。

従来技術・競合技術との比較

従来の被覆冠の製作には印象採得、模型の製作と技工操作があるため、患者は2 回の通院が必要である。最近の口腔内スキャナの普及によって切削加工機を用いたブロックから被覆冠の削り出しが実現しているが、未だチェアサイドでの3D プリンタを用いた被覆冠の作製実現していない。

新技術の特徴

・FDM方式3Dプリンタ
・PVA樹脂
・チェアサイド

想定される用途

・チェアサイドでの暫間被覆冠(仮のかぶせ物)の作製
・チェアサイドでのコンポジットレジンによる被覆冠(白いかぶせ物)の作製
・チェアサイドでのレジンコア(歯の土台)の作製

関連情報

サンプルあり

お問い合わせ

連携・ライセンスについて

大阪大学共創機構 産学共創本部 テクノロジー・トランスファー部門

TEL:06-6879-4207 FAX:06-6879-4208
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URL:http://www.ircp.niigata-u.ac.jp/

東京医科歯科大学 産学連携研究センター

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