静岡大学 新技術説明会
日時:2018年12月13日(木) 13:30~15:55
会場:JST東京本部別館1Fホール(東京・市ケ谷)
参加費:無料
主催:科学技術振興機構、静岡大学
後援:特許庁、関東経済産業局
発表内容一覧
発表内容詳細
- エネルギー
1)優れた可逆性を有するマグネシウム二次電池用負極系の開発
静岡大学 学術院工学領域 電子物質科学系列 講師 嵯峨根 史洋
新技術の概要
マグネシウム二次電池はリチウムイオン二次電池に代わる革新型蓄電デバイスとして期待が高いが、実現にはMg金属電極の反応性の改善が必須である。本発明では無機材料の添加によってMg析出溶解反応を飛躍的に促進することに成功した。
従来技術・競合技術との比較
従来の添加剤は耐酸化性および腐食性のために正極への悪影響があった。
これに対し本発明は不溶性であるため正極へ何ら悪影響を及ぼすことがない。また安価な無機材料であるため、従来の添加物よりも著しい低コスト化が期待できる。
新技術の特徴
・無機材料の添加によってMg金属の反応性を向上できる
・正極反応への影響がない
・有機系添加剤と比べ取り扱いが容易
想定される用途
・Mg二次電池
関連情報
・外国出願特許あり
- 情報
2)導入障壁の低いセンチメートル精度衛星測位インフラの構築
静岡大学 学術院情報学領域 情報科学系列 准教授 木谷 友哉
新技術の概要
衛星測位システムを用いた測位演算を、測位信号受信端末上ではなくネットワーク上のサーバで行う。近隣の固定基準局からの補正情報を用いることで測位誤差を小さくすることができるが、それらの処理は全てネットワーク上のサーバで行うことで端末側に負荷を掛けず、柔軟に測位精度の向上が実現できる。
従来技術・競合技術との比較
固定基準局を用いる従来の相対測位は、補正情報をネットワークなどを通じて受信して移動端末側で測位演算を行う。本技術ではサーバ側で測位演算を行うため、測位演算アルゴリズムや固定基準局網のアップデートが柔軟に行え、安定して高い精度の位置情報を提供することが可能となる。
新技術の特徴
・端末側で複雑な測位演算をしないため、端末の構成をシンプルにできる
・サーバ側で測位演算するため、測位演算アルゴリズムの更新などのアップデートが容易、その際の端末の更新が不要
想定される用途
・屋外で使う機材の管理
・物流
・測量
- 医療・福祉
3)乳がんの新しい検出法
静岡大学 学術院工学領域 電気電子工学系列 教授 桑原 義彦
新技術の概要
乳がん手術から取り出した組織の複素誘電率を測定し、デバイパラメータを求めたところ、乳がんとそのほかの組織では導電率の分布に明確な違いが認められた。逆散乱問題を解くトモグラフィによって導電率分布を再構成すれば、非侵襲の乳がん診断が可能になる。
従来技術・競合技術との比較
がんの有無・形状・位置を明示するPETとMRIの機能を併せ持つ診断装置を実現する技術である。これらの装置に比較すると、非侵襲で放射線被曝が無く、撮像時間も2、3分程度と短い、さらに装置コストはMRIに比較すると1/10以下である。
新技術の特徴
・がんの有無・位置・形状を明示
・非侵襲で放射線被曝が無い
・装置コスト・診断コストが低い
想定される用途
・乳がん検診
・乳がん診断
・手術ナビゲーション
- 創薬
4)CCL25による未熟児および老齢者の免疫機能促進剤の開発
静岡大学 学術院農学領域 応用生命科学系列 准教授 茶山 和敏
新技術の概要
母乳中CCL25の生理学的役割について検討した結果、母乳中CCL25が新生児の免疫器官およびその機能の発達促進作用を有することを見出した。一方、老齢者の腸管免疫機能低下の原因として、小腸内CCL25産生の著しい低下と、それに伴うIgA産生細胞数およびIgAの腸管内での減少を明らかにした。
従来技術・競合技術との比較
母乳中CCL25の未熟児への免疫機能発達促進剤としての技術はこれまでまったく開発されていない。 また、老齢者の腸管免疫促進剤としてのCCL25の利用についてもこれまでまったく例がないことから、いずれの技術開発及び商品開発もまったく競合するものがない。
新技術の特徴
・未熟児の免疫機能促進剤としての医薬品の開発
・CCL25の産生が低下している老齢者へのCCL25の補完技術および補完剤(サプリメント等)の開発
想定される用途
・老齢者の腸管免疫機能促進剤(サプリメントを含む)
・低体重児(未熟児)の免疫器官および免疫機能発達促進剤
関連情報
・外国出願特許あり
- デバイス・装置
5)らせん状ファイバ回折格子の開発とその応用
静岡大学 学術院工学領域 機械工学系列 教授 李 洪譜
新技術の概要
らせん状ファイバ回折格子(HLPG)はファイバの軸に沿って周期的なスクリュータイプ(らせん型)の屈折率変調を持つデバイスであり、偏光器、ねじりセンサー、マイクロマニピュレータ、OAMモード変換器など様々な応用を期待できる。本技術は、多チャンネルファイバ回折格子の製造装置及び製造方法に関するものである。
従来技術・競合技術との比較
本技術では、CO2レーザーの照射による、通常用いられる絞りレンズの代わりに特別に設計したサファイアチューブを利用し、新しいHLPGの作製法を提案した。従来の作製法と比べて、得られたHLPGは多チャンネル化が可能であり、ロバスト(表面欠陥が存在せず)、無偏光依存性、低損失、耐高温等利点があり、歩留まり率もほぼ100%である。
新技術の特徴
・必要な装置が極めて簡単、しかも高効率 (歩留まり率ほぼ100%)。
・通常の石英ファイバでも、作製が可能である。
・作製した回折格子は、多チャンネル、無表面欠陥、無偏光依存性、低損失、耐高温性等の利点がある。
想定される用途
・通信分野における軌道角運動量(OAM)モード多重デバイス
・広帯域光フィルター、全ファイバ系偏光器、円偏光変換器
・ねじれセンサー、温度センサー、化学・バイオセンサー
関連情報
・サンプルあり
お問い合わせ
連携・ライセンスについて
静岡大学 イノベーション社会連携推進機構
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