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東京農工大学 新技術説明会

日時:2018年06月28日(木) 10:25~15:55

会場:JST東京本部別館1Fホール(東京・市ケ谷)

参加費:無料

主催:科学技術振興機構、東京農工大学

後援:特許庁、関東経済産業局

発表内容詳細

  • 医療・福祉

1)循環器系医療機器を指向したシルクフィブロイン基盤材料の開発

東京農工大学 大学院工学研究院 生命機能科学部門 准教授 中澤 靖元

新技術の概要

シルクフィブロインは、生体適合性や穏やかな吸収性を有するため、組織工学材料をはじめとした医療機器への応用が期待されている。本技術では、シルクフィブロインの分子修飾技術および成形加工技術により、心血管系に適用可能な医療機器および組織工学材料への応用を図る。

従来技術・競合技術との比較

現在、吸収性素材による軟組織デバイスの実用化はまだ行われていない。素材としては、延伸ポリテトラフルオロエチレン(ePTFE)が市場を席巻している。本技術では、生体高分子であるシルクフィブロインを用いることで、力学的強度、生体適合性、吸収性を適切に制御した心血管系デバイスを提案する。

新技術の特徴

・動脈の修復を目的としたシート状デバイス
・血管内腔側から段階的に分解・吸収が進行する吸収層を有する傾斜材料
・血管外腔側からの細胞浸潤を妨げない耐圧性シース層

想定される用途

・動脈・静脈等の吸収性人工血管
・心臓周囲の大血管再構築・修復に用いる吸収性パッチ
・ステントグラフト外布、腹膜、脳硬膜等の各種シートデバイス

  • 情報

2)大規模オンライン議論における円滑な合意形成を目的とした自動評価技術とその可視化

東京農工大学 大学院工学研究院 先端情報科学部門 准教授 藤田 桂英

新技術の概要

本技術では、自然言語の対話文から各投稿文が属する論点を判定し、ユーザにとっての論点の重要度と極性(ポジティブ、ネガティブ)に基づいて、投稿文への好みの度合いを推定することができる。本技術を応用として、議論状況の可視化や投稿された意見に対するユーザからの自動評価が可能となる。

従来技術・競合技術との比較

従来技術では、論点を自動抽出する際に、同じ話題を指す単語でも異なる論点に分類されてしまうが、本技術はその問題点を解決している。さらに、ユーザの好みの度合い(効用値)を投稿意見から推定する際に、ユーザの感情を考慮しておらず、ユーザにとって否定的である内容を持つ意見が高い好みとなってしまうが、本技術は解決している。

新技術の特徴

・自然言語の対話文から自動的に投稿文への各ユーザの好み度合いを推定できる
・好みの度合いを推定する際に、論点に対するとユーザの感情を考慮して決定している
・自然言語の対話文から好みの度合いを推定できるため、可視化や予測など応用可能性が広い技術である

想定される用途

・議論状況から合意案候補を可視化
・各ユーザから推定した好みの度合いを統合させることによる投稿意見の自動評価
・議論の途中経過からシミュレーションにより議論の推移を予測

  • 環境

3)1000年以上もの生存を保障する3次元構造体 ~常識を覆す「白い木材」~

東京農工大学 大学院グローバルイノベーション研究院 テニュアトラック推進機構 特任准教授 堀川 祥生

新技術の概要

処理条件の詳細な検討により、樹木が長い年月を経て獲得してきた階層構造を維持しながらリグニンを選択的に除去した「白い木材」の創出に成功した。本技術は環境調和型3次元構造体としての材料・医療・食品分野等への応用が期待できる。

従来技術・競合技術との比較

木材等のリグノセルロース材料からリグニンを除去する方法は数多く提案されている。しかしながら、従来の方法はリグニンをセルロース及びヘミセルロースから分離するための手法であるため木材の組織や細胞を破壊することとなり、処理前の形状を維持することはできなかった。

新技術の特徴

・調製方法が簡便である。
・どんな木材にも適用可能である。
・人工的に合成ならびにデザインできない3次元構造体である。

想定される用途

・多孔性材料
・断熱材
・ダイエット食品

関連情報

・サンプルあり

  • アグリ・バイオ

4)高い発芽率で種子を長持ちさせる技術

東京農工大学 大学院農学研究院 生物生産科学部門 教授 金勝 一樹

新技術の概要

水稲の種子は、発芽能を維持しやすい作物であるが、プライミングした場合には寿命が短くなることが問題となる。そこで『プライミング』の条件を詳細に検討したところ、吸水時間を通常よりも短くした場合に、『プライミング』しなかった種子よりも飛躍的に種子寿命を改善できることを見出した。

従来技術・競合技術との比較

種子産業では発芽能を長く維持することが極めて重要であるが、「低温・乾燥で保存する」こと以外に有効な方法は知られていなかった。このような状況で本技術は、簡単な処理で種子寿命を飛躍的に改善できる画期的な方法となり得る。

新技術の特徴

・プライミングの本来の目的である「発芽の促進効果」を維持しつつ寿命の改善を図れる。
・多様な水稲品種に適応できる。
・特別な装置や技術を必要としない。

想定される用途

・直播栽培用のプライミング種子の寿命の改善。
・寿命の短い水稲品種の種子の保存。
・他の作物への応用。

  • 医療・福祉

5)5000万人の患者を救うために――動画像からてんかん発作を検出するシステム

東京農工大学 大学院工学研究院 先端情報科学部門 准教授 田中 雄一

新技術の概要

てんかん患者の発作を検出する動画像解析アルゴリズムを開発した。患者の強直間代発作(いわゆる全身けいれん)に対し、動画像から発作時に見られる特有の周波数を検知することで高精度な発作検出を行う。本技術は非接触・非侵襲で発作検出が行えることが大きな特徴であり、計算量も非常に小さい。

従来技術・競合技術との比較

脳波からてんかん発作を検出するアルゴリズムは脳波取得のための設備が必要であり、基本的に専門機関でしか利用できない。競合技術である動画像からのてんかん発作検出アルゴリズムは、1) 精度が低い、2) 計算量が大きい、という大きな問題があった。本技術は医師の感覚をアルゴリズムへ導入し、上記2点の問題を克服した。

新技術の特徴

・非接触・非侵襲で発作を検出
・医師の感覚をアルゴリズムに導入することで高精度な発作検出
・低演算量:リアルタイムで発作検出可能

想定される用途

・スマートフォンやwebカメラによる発作検出・記録・アラートシステム
・病院での発作検知アラートシステム
・てんかんの診断補助システム

関連情報

・デモあり

  • 創薬

6)タンパク質・ペプチドの溶解性を制御して免疫応答を増強させる新技術

東京農工大学 大学院工学研究院 生命機能科学部門 教授 黒田 裕

新技術の概要

タンパク質などの組換えポリペプチドの末端に、特定のアミノ酸からなる3-12残基のペプチドタグを結合することで、当該タンパク質に対する抗体の生産を向上する技術である。本技術は、ワクチンの免疫増強法への応用が期待される。

従来技術・競合技術との比較

タグ付加によって免疫原性(力価)は、8.8倍も向上した。タグ付加による免疫原性の増強は、従来の増強剤(アドジュバント)の1.3倍以上であった。タグを付加したタンパク質の免疫原性のみを向上させるため、アドジュバントより副作用が少ないと期待される。タグ付加はタンパク質の機能を変えずに免疫原性のみを向上させると期待される。

新技術の特徴

・原理的には全てのポリペプチドへ応用可能
・従来技術(アドジュバント)と同時利用可能
・免疫増強の特異性:該当ポリペプチドのみに対する免疫が増強される(安全性向上への期待)

想定される用途

・ワクチンに於ける免疫原性増強法
・生化学試薬抗体の製造
・産業タンパク質の可溶化

関連情報

・外国出願特許あり

  • アグリ・バイオ

7)タンパク質リフォールディング促進剤

東京農工大学 大学院グローバルイノベーション研究院 テニュアトラック推進機構 准教授 村岡 貴博

新技術の概要

高い効率を与えるタンパク質リフォールディング剤の開発について。

従来技術・競合技術との比較

一般的に用いられるリフォールディング促進剤と比較し、高効率、高速でタンパンク質のリフォールディングを進める。

新技術の特徴

・高効率、高速でタンパク質のリフォールディングを促進
・水溶性、無色、無臭

想定される用途

・封入体からのタンパク質再生
・変性タンパク質からの活性回復

  • 医療・福祉

8)超音波による極細カテーテルの血管内自動誘導システム

東京農工大学 大学院工学研究院 先端電気電子部門 教授 桝田 晃司

新技術の概要

本発明は、直径200ミクロン程度の極細カテーテルの先端から噴出された微小気泡の飛散状況を画像解析し、微小気泡の空間分布の時間解析からその位置を検出する。これにより、複雑な血管網の内部に挿入された極細カテーテルの経路を自動的に誘導することのできるシステムを提案する。

従来技術・競合技術との比較

本発明は、通常のカテーテル治療において必要となるガイドワイヤが不要であり、位置検出および誘導制御に超音波を用いるため、被爆の恐れのあるX線を使用しない。3次元空間を捉えた超音波画像の時間変化のデータを入力するだけで、自動的に目的の先端座標を計測することが出来る。

新技術の特徴

・超音波画像による非侵襲性
・汎用の微小気泡による安全性
・リアルタイムモニタリング

想定される用途

・ガン等の患部への局所的薬剤投入
・ガン等の患部の微小組織採取

  • 創薬

9)元素を変えて活路を拓く―天然物の元素置換による創薬リード迅速合成

東京農工大学 大学院工学研究院 応用化学部門 教授 大栗 博毅

新技術の概要

抗マラリア/制ガン活性を示す漢方薬アルテミシニンの骨格を改変したアナログ群を迅速合成する分子技術。アルテミシニン母骨格の不斉炭素を窒素に置換する分子設計により、触媒的不斉合成を実現し、従来にない創薬リード群を柔軟に迅速合成できる。マラリア治療の第一選択薬に匹敵する効果を発現するリード化合物の合成に成功。

従来技術・競合技術との比較

アルテミシニン類は副作用が少なく、マラリア治療の切り札となっている。最近ではガン幹細胞に選択的な生存阻害活性や他の感染症に対する治療効果から更に注目されている。従来の半合成によるアルテミシニンの誘導化はラクトンの変換に限定されていた。今回開発した合成法により、アルテミシニンの構造を柔軟に多様化できるようになった。

新技術の特徴

・低原子価金属種(Fe2+等)に感応して、ラジカル種を発生
・ミトコンドリアの酸化ストレスを亢進して細胞死を誘導
・ヘモグロビン/ヘム高発現組織に対して選択的な細胞機制御(副作用の少ない漢方薬)

想定される用途

・抗感染症治療薬(マラリア、アフリカ睡眠病)
・制ガン剤(ガン幹細胞増殖抑制、血管新生阻害)
・金属に感応してラジカル種を発生するセンサーとしての応用

関連情報

・サンプルあり

お問い合わせ

連携・ライセンスについて

東京農工大学 先端産学連携研究推進センター

TEL:042-388-7550 FAX:042-388-7553
Mail:suishinアットマークml.tuat.ac.jp
URL:http://www.rd.tuat.ac.jp/urac/index.html
新技術説明会について

〒102-0076 東京都千代田区五番町7 K’s五番町

TEL:03-5214-7519

Mail:scettアットマークjst.go.jp

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