福井大学 新技術説明会
日時:2018年09月04日(火) 10:25~14:55
会場:JST東京本部別館1Fホール(東京・市ケ谷)
参加費:無料
主催:科学技術振興機構、福井大学
後援:特許庁、関東経済産業局
発表内容一覧
発表内容詳細
- 建築・土木
1)現場で使用できるあと施工アンカーのコンパクトなせん断試験装置の開発
福井大学 学術研究院工学系部門 特命教授 小林 克巳
新技術の概要
施工現場で簡便に使用でき、境界条件を実際とできるだけ一致させ、コンクリート表面に不陸がある場合にも対応できるコンパクトなあと施工アンカーのせん断試験機を開発した。付属物として、試験精度と作業性の向上のために、穿孔冶具および試験用変形測定冶具を開発した。
従来技術・競合技術との比較
せん断力伝達を目的としているにも拘わらず、施工現場で簡便に使用できる試験機がないことから、あと施工アンカーの設計、品質管理、施工管理のためのせん断試験は行われていないが、これが可能となる架構内せん断力作用線方向と同一方向加力が可能でコンパクトなせん断試験機となっている。
新技術の特徴
・試験アンカー筋を一定間隔で2本施工するだけで、他の準備作業を必要とせず、試験を実施できる。
・一面せん断試験を模擬して、簡便にせん断力・水平変位関係を求めることができる。
・可搬型であり、実験室でも施工現場でも簡便に試験を実施できる。
想定される用途
・施工現場で、施工管理のための試験の実施に使用する。
・設計のためのデータを対象建物で取得し、設計の合理化に寄与する。
・アンカー材料の品質管理試験の実施に使用する。
関連情報
・サンプルあり
- 建築・土木
2)回転式打撃法を用いたコンクリート構造物の打音検査
福井大学 学術研究院工学系部門 機械工学講座 教授 鞍谷 文保
新技術の概要
打音検査の効率化を図るために連続打撃が可能な回転式打撃法を採用し、打撃部の押付力を調整することで、打撃を安定化し、欠陥部の打撃音を顕在化させる工夫を行った。健全部と欠陥部の判別において、打撃音の音圧の大きさと減衰特性が同時に評価可能なオーバーオール値を指標とすることで欠陥判別を容易で確実にした。
従来技術・競合技術との比較
従来の点検ハンマーを用いた打音検査では、点検者が打撃するために打撃力にばらつきが生じる。従来の回転式打音点検器を用いた検査では、押付力は考慮されていない。従来の欠陥判別指標では、打撃音の大きさ、減衰特性あるいは周波数スペクトルが単独で評価されたり、複雑なデータ処理を必要とする場合が多い。
新技術の特徴
・打音検査の打撃の安定化と打撃音の顕在化
・欠陥判別を容易かつ確実に行える打撃音の評価指標
想定される用途
・構造物の欠陥検知ロボット
・製品検査の自動化
・振動実験装置
関連情報
・サンプルあり
- 創薬
3)急性腎障害の発症予防を目指した新規治療戦略
福井大学 学術研究院医学系部門 腎臓病態内科学分野 教授 岩野 正之
新技術の概要
カルシウム結合蛋白の一つであるS100A4は線維芽細胞に強く発現することから、Fibroblast specific protein 1 (FSP1)とも呼称されている。今回新たに、FSP1に尿細管上皮細胞に対する保護作用があること、FSP1が急性腎障害モデルにおける腎障害を軽減することを発見した。
従来技術・競合技術との比較
急性腎障害の予防薬および治療薬として、N-acetylcysteine、hANP、アスコルビン酸などが検討されているが、有効性が証明されていない。生理食塩水以外に臨床現場で使用されている薬剤は皆無である。
新技術の特徴
・抗酸化能を有する。
・抗アポトーシス効果を有する。
・急性腎障害を軽減する。
想定される用途
・抗がん剤による腎障害を抑制する。
・造影剤腎症の発症を予防する。
・患者の生命予後を改善する。
- 医療・福祉
4)平面発光光ファイバー織物および点滅制御システム
福井大学 学術研究院医学系部門 脳脊髄神経外科学分野 准教授 北井 隆平
新技術の概要
樹脂製光ファイバーを縦糸として織込んだ織物において、発光させたい部分についてファイバーを折り曲げることで、光を外部へ漏洩させることを可能とした。その光を点滅させる機能を持った制御部との構成で、脳波を用いて視神経活動を測定できる装置である。
従来技術・競合技術との比較
従来の視神経活動測定装置は、LED内臓のゴーグルを使用していた。X線透視やMRIでは画像に影が映りこみ読影の妨げとなることと、高価なため滅菌の上、患者に使いまわしをしており感染症の観点から問題がある。本方式では患者装着部分には金属類を一切使用していない点、皮膚障害や各種医療器具との干渉がない。価格も安価でディスポーザブルが可能である。
新技術の特徴
・柔軟構造で患者への装着が容易である。
・ディスポーザーブルであり感染症を予防できる。
・平面での局所的発光が可能
想定される用途
・視神経活動測定
・平面発光案内表示
・壁面照明
関連情報
・サンプルあり
- 医療・福祉
5)電子カルテ結合型の医師・医学生育成システム
福井大学 学術研究院医学系部門 医学部附属教育支援センター 准教授 坂井 豊彦
新技術の概要
CESS(Clinical Education Supporting System)は、現場医師の負担を増加させず、医学生の臨床教育を充実させるICTシステムである。臨床教育は様々な困難を抱えている。CESSは、教員・医学生コミュニケーション機能、学生顔写真付きデータ表示、評価累積機能などを搭載し、諸問題を解決する。
従来技術・競合技術との比較
電子カルテと結合し、臨床教育に特化したICTシステムは従来存在しない。本システムは、教員・医学生コミュニケーション機能、学生顔写真付きデータ表示、評価累積機能などを搭載し、臨床教育を十分に支援しうる。
新技術の特徴
・電子カルテと結合、学生用電子カルテを搭載
・指導医と学生間でのオンラインコミュニケーションが可能
・顔写真付きデータ表示、累積評価透見機能などユーザーインターフェースに配慮
想定される用途
・医学部附属病院での医学生臨床実習
・全国の病院での若手医師(前期研修医・専門医取得前の医師)教育
・看護師、介護士育成への現場での活用
- 製造技術
6)超臨界流体染色の実用化とポリプロピレン用染料の開発
福井大学 産学官連携本部 客員教授 堀 照夫
新技術の概要
夢の繊維として約60年前に登場したポリプロピレンはこれまで染色ができなかった。超臨界二酸化炭素を用いることでこれを堅ろう度よく染色できる染料を開発した。
従来技術・競合技術との比較
ポリプロピレンを水系染色するための染料開発例はあるが、いづれも高濃度に染まらない、洗濯・耐候堅ろう度が低いなどで実用化できていなかった。新技術では3原色を揃え、望みの色に調色できる。
新技術の特徴
・水を使うことなく、また廃液を出さない染色技術とこの実用化を可能とした。
・従来染色不可能と言われてきたポリプロピレンを超臨界二酸化炭素中で染色できる染料を開発した。
・開発した染料3原色を用いることで望みの色が調色でき、高い堅ろう性が確保できる。
想定される用途
・染色したポリプロピレンは軽くて水を吸わないため新しい衣料用用途に展開できる。
・ポリプロピレンは最もリサイクルが容易な繊維と言われ、カーシート・車内装材として大いに期待される。
・水を全く使用せず、廃液も出さない環境低負荷型の染色方法として従来の水系染色に取って代わると期待できる。
関連情報
・サンプルあり
- 材料
7)ラジカル重合によるポリビニルエーテルとそのコアーシェル微粒子・分散液製造方法
福井大学 学術研究院工学系部門 生物応用化学講座 准教授 杉原 伸治
新技術の概要
界面活性剤や高分子アゾ開始剤を使用しない方法で、水性媒体への分散性が良好な、シェル部とコア部とからなるコア-シェル型高分子微粒子を製造する方法を開発した。特に、ポリビニルエーテルをシェルに利用し、コア―シェルの両方における一連の合成反応が、工業的生産に優位なラジカル重合法だけで合成できることを特徴とする。
従来技術・競合技術との比較
親水性ポリビニルアルコールを、シェル分散剤として作用させ、酢酸ビニルやメタクリル酸メチルを乳化重合する手法でコア-シェル型微粒子がよく合成されるが、分散安定性が悪く、シェルの選択性がなく機能発現も難しい。一方、温度応答性や生体適合性を示すビニルエーテルのラジカル重合法が見出され、高安定性の機能性コアーシェル微粒子が製造可能になった。
新技術の特徴
・界面活性剤や高分子アゾ開始剤を使用しないコア―シェル型微粒子製造方法
・水性媒体への分散性が良好な平均粒子径が100~2000nmコア―シェル型微粒子が製造可能
・ラジカル重合で機能性ビニルエーテル(シェル)から微粒子まで製造可能
想定される用途
・塗料や接着剤
・化粧品等の分散剤、金属の保護安定剤
・樹脂改質剤
関連情報
・外国出願特許あり
お問い合わせ
連携・ライセンスについて
国立大学法人福井大学 産学官連携本部
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