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電気通信大学 新技術説明会

日時:2018年05月10日(木) 12:00~16:00

会場:JST東京本部別館1Fホール(東京・市ケ谷)

参加費:無料

主催:科学技術振興機構、電気通信大学

後援:特許庁、関東経済産業局、一般社団法人目黒会(電気通信大学同窓会)、株式会社キャンパスクリエイト(電気通信大学TLO)

発表内容詳細

  • 情報

1)進化に基づく人工知能による多目的最適化

電気通信大学 大学院情報理工学研究科 情報学専攻 准教授 佐藤 寛之

新技術の概要

実世界の最適化問題の多くは、品質は最大化しつつコストは最小化したいといった多目的最適化問題になる。本技術は、品質とコストといった複数の目的の間に存在する最適なトレードオフを、人工知能技術のうち、汎用最適化法である進化計算によって導出することで、最適な多目的意思決定の円滑化を実現できる。

従来技術・競合技術との比較

従来は、複数の目的の要素を単一目的化して最適化することが多い。この場合、ひとつの解しか求まらないため、目的間の最適なトレードオフ関係は不明で、得られた解を利用する人の納得感が得られにくい。本技術は、目的間の最適なトレードオフを表す複数の解集合を獲得し、人が意思決定できるため、利用者の納得感が格段に高まる。

新技術の特徴

・対立する複数の目的間の最適なトレードオフをなす解集合を一括獲得できる
・適用可能範囲が広い進化計算に基づく最適化技術である
・最適な多目的意思決定が円滑化される

想定される用途

・設計におけるパラメータや組み合わせを多目的に最適化したい
・設計におけるパラメータや組み合わせを合理的かつ円滑に意思決定したい
・特徴が不明な最適化問題に対する最適化法として

  • 通信

2)超高速かつ省電力動作を実現する全光アナログ・デジタル変換

電気通信大学 大学院情報理工学研究科 情報・ネットワーク工学専攻 准教授 松浦 基晴

新技術の概要

電子回路によるアナログ・デジタル(A/D)変換の高速動作限界を打破する手段として、全光A/D変換の研究開発が盛んに進められている。提案技術では、単一半導体素子内で発生する物理現象を強度-周波数変換に応用するという、世界で初めて実証に成功した新しい原理に基づいた全光A/D変換を構成している。

従来技術・競合技術との比較

既存の全光A/D変換では光ファイバ中の非線形効果を応用しているため、回路の小型化や低消費電力化が困難であった。これに対し、新技術は集積化も見込める半導体素子での微弱な光入力信号の強度変化を原理としているため、高速動作を維持しつつ、従来技術に比べて、1/1000程度の光エネルギーでの動作が可能である。

新技術の特徴

・半導体内での光信号の周波数シフトという、世界初の動作原理を採用
・従来技術と比較して、大幅な小型化および省電力化の実現が可能な構成
・光領域での信号処理によって、電子回路によるA/D変換の動作速度を超える超高速動作が見込める

想定される用途

・将来の超高速光ファイバ通信技術
・光アナログ伝送と光デジタル伝送の信号インターフェース
・電子回路による超高速A/D変換への代替技術

  • 情報

3)ロボットハンドによる柔軟物の操作技術

電気通信大学 大学院情報理工学研究科 情報学専攻 准教授 工藤 俊亮

新技術の概要

本技術は、ひも・布・紙といった、動きが予測しにくい柔軟物を取り扱うロボット技術である。ロボットの動作を人間が作りこむのではなく、ロボットが作業の内容を理解し、適切な動作を自動的に生成する点を特徴とする。人間がロボットの前で手本を見せるだけで作業を教示できる「見まね学習」の実現を目指す。

従来技術・競合技術との比較

従来のロボットは、形の決まった固形物しか扱わず、動作もつかんで移動の繰り返しがほとんどであった。一方、本技術は柔軟物を扱う技術であり、ひもを結ぶ・紙を折る・食材を適切な力加減で切るというように、より複雑な「モノの操り」を実現している。

新技術の特徴

・ひも、布、紙など、いろいろな柔軟物を多指ハンドで操作
・汎用性のある動作生成
・人の動作の見まねによる作業の教示(見まね学習)が可能

想定される用途

・産業用ロボットして、生産ラインでの柔軟物の操作(ケーブル、布、食品など)
・家庭用ロボットとして、日常的な物体操作(ひも結び、紙を折る、料理するなど)

  • 機械

4)狭所を進み、1mの段差や階段も登れるヘビ型ロボット

電気通信大学 大学院情報理工学研究科 機械知能システム学専攻 准教授 田中 基康

新技術の概要

細長いヘビ型ロボット。細さを活かして狭所進入が可能であるほか、長さを活かして最大で高さ1mの段差を登れるなど障害物乗越え性能も高い。センサ情報を利用した半自律階段昇降も可能である。無線遠隔型であり、操縦は搭載されたカメラ情報を見ながら汎用ゲームパッドで行う。新技術はこれらを実現する制御部分である。

従来技術・競合技術との比較

①高い障害物乗越え性能:最大1mの段差登り、階段昇降 ②狭所進入可能:幅250mmのL字狭路通過、高さ120mmの狭所通過 ③操縦の簡便さ:操縦者は先頭動作のみを指示し、ロボットは制御アルゴリズムに従い半自律的動作

新技術の特徴

・簡単な操作: 操縦者は先頭動作のみを指示すると、ロボットは全身の動作を半自律的に生成
・センサ情報を用いて階段を半自律的に昇降可能
・ロボット先端の軌道制御や、関節可動限界到達で動作不能となった状態からの復帰動作が可能

想定される用途

・家屋内の狭所点検(天井裏,床下)
・プラント巡回点検、インフラ点検と整備(バルブ開閉など)
・災害対応

  • 計測

5)歩行者が存在する環境下に高付加価値をもたらす技術~低コスト&高機能な歩行者認識の実現~

電気通信大学 大学院情報理工学研究科 機械知能システム学専攻 先端ロボティクスプログラム 准教授 金森 哉吏

新技術の概要

この技術は、入力装置として低コストな2-D Llidar(走査型距離センサ、一般に測域センサと呼ばれるもの)を使用し、測距データの時系列情報を用いることで、特徴量の空間を拡張し、高い精度で歩行者認識を行うことができる。

従来技術・競合技術との比較

従来技術(二次元の走査型距離センサを用いた)では、 歩行者形状に類似する物体が周囲環境に存在する場合や 一人の人間の2本の脚が重なる場合には、歩行者を精度よく捕捉することが困難であった。本技術では、時系列のセンサ情報を考慮することで、精度良く歩行者を捕捉することが可能である。

新技術の特徴

・一方の脚が他方の脚の背後に隠れるような状況でも歩行者を的確に補足することができる
・測距センサの周囲の歩行者の歩行軌跡を的確に取得できる
・複数の歩行者が存在する環境であっても、各歩行者の歩行軌跡を的確に取得してトラッキングすることができる

想定される用途

・ロボット周囲の歩行者の移動状態を正しく認識し、歩行者の移動経路を考慮したロボットの移動経路を生成する
・通路等に装置を設置し、歩行者の行動パターン予測や混雑度評価、雑踏規制判定を行う
・通路等に装置を設置し、歩行者の状態および移動軌跡を把握し、異常事態の検出・発報を行う

関連情報

・サンプルあり

  • 情報

6)データが拓く新しい制御と予測―高機能化とハイコストパフォーマンスに向けた新技術

電気通信大学 大学院情報理工学研究科 機械知能システム学専攻 教授 金子 修

新技術の概要

装置やシステムの動作をハイコストパフォーマンスかつ高機能で制御できる新方式(FRIT)を紹介する。数理モデル化の時間やコストの削減に加えて、装置やシステムの最適制御や消費電力の削減、さらに実際に稼働しているシステムの特性の推定や異常診断や応答予測などをモデルを用いずともできる。

従来技術・競合技術との比較

従来方式では、制御対象の特性を数理モデル化することが不可欠であったが、本方式では数理モデル化は不要で、動作中のデータを利用して装置やシステムを直接制御する。また、同時にシステムの状態や応答の予測も可能である。とくにモデルを用いない応答の予測はどこをみても見当たらない全く新しい独自技術である。

新技術の特徴

・数理モデル化をせずに、データから直接リアルタイム制御ができ、故障につよいシステムを作ることができる
・一組のデータのみという簡便な材料で高機能な制御性能の実現や精密な応答予測ができる。
・制御に加えて、応答の予測やシステムの異常検出や状態推定も同時にできる。

想定される用途

・工場の生産設備やプラントなどの社会インフラの制御
・自動車や家電など複雑な特性を有する機器の制御
・運用中のデータを利用した迅速な保守更新

関連情報

・デモあり

  • 情報

7)人間の認知メカニズムを利用した作業効率向上手法の研究

電気通信大学 大学院情報理工学研究科 情報学専攻 客員研究員 櫻井 翔

新技術の概要

本研究では、人間の認知メカニズムの理解・活用に基づく工学的作業支援手法として、(1)時計の運針速度を制御することで作業の質的量的効率向上する手法、(2)遠隔通信時の相手の身体的情報を変えて見せることで創造性やソーシャルタッチの効果を引き出す手法を構築した。

従来技術・競合技術との比較

従来の作業支援は、訓練や生活改善を図るタスクマネジメントの他、行動履歴に基づくToDo管理や作業状況予測等、個人の作業状況
を可視化する手法が主であり、作業中にパフォーマンスを向上する工学的手法はほとんど提案されていない。これに対し、本研究は、
人間の行動に影響を与える情報提示により、作業やコミュニケーションを阻害することなく作業の効率を向上する手法を提案する。

新技術の特徴

・行動ペースに影響する時計の運針速度を制御することで、作業中に無意識的に作業の効率やパフォーマンスを向上
・通信相手の表情や性別的印象を変えて見せることで、集団全体の創造性向上およびモチベーションに基づく行動誘発を実現
・情報にフィルタを掛けられることを利点と考え、現実より豊かなコミュニケーションを実現する「超現実テレプレゼンス」

想定される用途

・学習意欲の向上:教育やスポーツ等の学習における効率向上、モチベーションおよび耐久力の維持等
・肉体的・精神的健康被害対策:肥満や認知症に繋がる早食いの防止、対人恐怖症等の治療支援等
・エンタテインメント:デジタルゲームや映画等におけるリアリティ向上、ゲームの難易度設計の新たな軸

関連情報

・サンプルあり

  • デバイス・装置

8)形状記憶合金と各種センサを組み合わせたアクチュエータ

電気通信大学 大学院情報理工学研究科 情報学専攻 准教授 野嶋 琢也

新技術の概要

本技術は、形状記憶合金とセンサ・駆動回路を一体化し人工物で毛をモチーフにした柔らかい毛状インターフェースであることを特徴とする細線状柔軟アクチュエータ技術である。人工物でありながら生き物を連想させる独特の屈曲動作が可能である。

従来技術・競合技術との比較

従来、形状記憶合金は単なる動力源の一つとみなされ、ロボット等への組み込みが主たる利用法であった。本研究は、形状記憶合金の生き物を連想させる特有の動き方の活用に注力し、人を癒したり楽しませたり魅了するインターフェースへの利用を目指している点で大きく異なる。

新技術の特徴

・人を魅了する動作が可能であること
・バリエーション開発が容易であること
・スケーラブルであること

想定される用途

・VRにおける触覚提示
・教育玩具(STEM)
・ファッション素材

関連情報

・サンプルあり

お問い合わせ

連携・ライセンスについて

電気通信大学 産学官連携センター

TEL:042-443-5871 FAX:042-443-5726
Mail:onestopアットマークsangaku.uec.ac.jp
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