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早稲田大学 新技術説明会

日時:2018年06月21日(木) 13:25~15:55

会場:JST東京本部別館1Fホール(東京・市ケ谷)

参加費:無料

主催:科学技術振興機構、早稲田大学

後援:特許庁、関東経済産業局

発表内容詳細

  • デバイス・装置

1)断線を自己修復する金属配線およびこれを用いた電子デバイス

早稲田大学 理工学術院 基幹理工学部 機械科学・ 航空学科 准教授 岩瀬 英治

新技術の概要

金属配線の周りに金属ナノ粒子が分散した液体またはゲルが配置された構造となっている。金属配線が伸縮・屈曲変形などにより、断線が生じた場合、断線部には配線に印加されていた電圧により電界が生じる。その電界により断線の周りにある金属ナノ粒子が集まる電界トラップ現象を用いることで断線を修復することができる。

従来技術・競合技術との比較

従来、伸縮耐性を有する配線として、導電性材料をゴムやゲルに混ぜた導電性エラストマー、形状を工夫した波形状金属配線等があるが、導電性エラストマーは導電率が金属に劣り、波形状金属配線は過度な伸縮変形や繰り返し変形によって断線するという問題があった。本技術では高伸縮耐性と高導電率を兼ね備えた配線が実現可能である。

新技術の特徴

・電気配線が断線した場合に、断線部の大きさや場所を知らずとも断線部のみが選択的に修復され、過度な修復もされない。
・電子デバイスの駆動電圧と、修復に必要な印加電圧を同一にすることが可能であるため、正常時には電子デバイスに電力が、断線時には配線修復に電力が消費される。(切り替えが不要)
・故障の場所やタイミングの診断が不要となるため、交換や診断のコストを減らすことができる。

想定される用途

・ヒトの身体など伸縮する部分に貼り付けるセンサシート
・球体の表面など伸縮性がないと貼り付けが困難な曲面に貼り付けて用いる電子デバイス
・床下やコンクリート構造体の中など、交換が困難または高コストな場所に配置する電子デバイス

関連情報

・展示品あり
・外国出願特許あり

  • デバイス・装置

2)カーボンナノチューブフォレストを用いた立体型櫛型電極

早稲田大学 高等研究所 講師 杉目 恒志

新技術の概要

金属電極上に高密度CNTフォレストを有し、分析物を電気化学的に高感度で検出可能な櫛型電極。(500℃以下の)化学気相(CVD)法により金属電極上にCNTを直接成長させる製造方法。CNTフォレストにより高電極表面積を、CNTと金属の直結により低電気抵抗を実現し、高感度を実現することを特長とする。

従来技術・競合技術との比較

櫛型電極の金属を代替する材料として熱分解カーボンがあるが、プロセス温度が約1000℃と高温であり抵抗が高いため検出感度が低いという問題がある。本技術では500℃以下の低温にて金属上へCNTを直接成長させており、CNT-下地間の良好な電気的な接合を利用しており、高感度かつ高耐久性を実現している。

新技術の特徴

・カーボン表面積を利用した高感度・高耐久性
・500℃以下のプロセスによるガラス基板などへの適用可能性
・新規触媒により低い接触抵抗(CNT-電極間)の実現

想定される用途

・電気化学バイオセンサ
・新規電極材料
・各種センサ

関連情報

・サンプルあり

  • アグリ・バイオ

3)スマートエレクトロニクスシートを利用した生体組織内の生体情報計測

早稲田大学 理工学術院 創造理工学部 総合機械工学科 准教授 梅津 信二郎

新技術の概要

人工細胞組織内の生体情報を低侵襲にモニタリングすることが可能なデバイスを開発した。細胞組織に与える影響を少ない低侵襲なので、今まで測定できなかった、組織内部における生体情報をモニタリングできるようになった。

従来技術・競合技術との比較

新薬の開発や細胞組織の機能メカニズムを把握するために、生体情報をモニタリングするデバイスとして、フレキシブルエレクトロニクスを人工細胞組織表面に貼り付けるものが提案されているが、組織内をモニタリングするものではなかった。

新技術の特徴

・人工細胞組織内の生体情報を計測可能
・低侵襲なスマートエレクトロニクスシート
・任意箇所の多点計測が可能

想定される用途

・細胞組織の詳細の生化学特性の把握
・新薬開発
・バイオエレクトロニクス

関連情報

・サンプルあり

  • アグリ・バイオ

4)革新的植物バイオマス増産技術(原形質流動の人工的高速化)

早稲田大学 教育・総合科学学術院 理学科・生物学専修 准教授 富永 基樹

新技術の概要

あらゆる植物の細胞内では、原形質流動と呼ばれる細胞内輸送がみられる。シロイヌナズナ(双子葉モデル植物)やブラキポディウム(単子葉モデル植物)で原形質流動を発生しているミオシンを人工的に高速化したところ、植物体の大型化や種子の増産が明らかとなった。現在は、資源植物など様々な植物バイオマスの増産を目指している。

従来技術・競合技術との比較

生物界最速のシャジクモミオシンXIを利用した本システムは、これまでの植物成長促進方法と全く異なった発想と原理からのアプローチである。将来的には、植物の物質生産力強化において高い“汎用性”と“拡張性”を持ち、樹木や藻類といったあらゆるバイオマス資源植物の増産に不可欠な革新的基盤技術としての発展が大いに期待できる。

新技術の特徴

・輸送に着目した成長促進システムは今までにない。アイディアとして思いついても、植物ミオシンに関して分子~固体レベルまでを操る知識・技術を持つ研究グループは無く、世界的にも他の追随を許さない。
・原形質流動は植物普遍的現象であることから、あらゆる植物に適用可能。他の成長促進システムと併用することによって、効果の飛躍的増強が期待できる。
・低速型を組み合わせることで、部位特異的な成長抑制も可能。栽培環境に適した植物の人工的なデザインが可能。(他の増強技術には無い特性)

想定される用途

・これまでの成長強化品種との併用による、さらなる生産性増強
・世界的な資源植物(イネ、コムギ、トウモロコシ)の増産による生産力強化と二酸化炭素削減効果
・藻類や樹木の増強による、次世代バイオマスエネルギーの供給強化

関連情報

・外国出願特許あり

  • デバイス・装置

5)集積回路設計データ中のハードウェアトロイ検知技術

早稲田大学 理工学術院 基幹理工学部 情報通信学科 教授 戸川 望

新技術の概要

集積回路やFPGAの設計は外部委託が多くなされ、悪意のある第三者が、設計データ中にハードウェアトロイと呼ばれる悪意のある回路を挿入する危険性が指摘されている。本技術は、ハードウェアトロイの特徴量に基づく、設計データ中の信号線の点数化により、設計データ中のハードウェアトロイの有無を検知するものである。

従来技術・競合技術との比較

従来技術は、主にハードウェアトロイなしの回路(ゴールデン回路)を前提に、その特徴量と被検査対象回路の特徴量を比較することで、ハードウェアトロイの有無を検知していた。本技術は、こうした「ゴールデン回路」を前提とせず、しかもベンチマーク回路レベルでは、検知に誤りなくハードウェアトロイを検知するものである。

新技術の特徴

・ハードウェアトロイなしの正解回路を必要としない。
・被検査対象の回路だけを用いて、簡単な手続きでハードウェアトロイの有無の検知が可能。
・検査時間は、最大でも数時間程度。

想定される用途

・集積回路ならびにFPGA回路の設計データの検査。
・特に重要インフラ等、セキュリティ強化必要な分野の回路設計検査。

お問い合わせ

連携・ライセンスについて

早稲田大学 産学官研究推進センター(承認TLO)

TEL:03-5286-9867 FAX:03-5286-8374
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