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山形大学 新技術説明会

日時:2018年11月20日(火) 10:00~11:55

会場:JST東京本部別館1Fホール(東京・市ケ谷)

参加費:無料

主催:科学技術振興機構、山形大学

後援:特許庁、関東経済産業局

発表内容詳細

  • 材料

1)可逆開閉可能な数ナノサイズの孔を有するシリンダー膜

山形大学 学術研究院 理学部 理学科 教授 松井 淳

新技術の概要

接着剤成分であるアルキルアクリルアミドとポリエチレングリコール(PEG)からなるブロックコポリマーを水存在下で加温するだけで、PEGが垂直に配列した直径~8nmのナノシリンダー膜を作製できる。このシリンダー形成は水の有無により可逆的に形成させることができる。

従来技術・競合技術との比較

従来技術でナノシリンダー膜を形成させるためには、高価な液晶分子や特殊な処理が必要。新技術は接着剤の成分であるアルキルアクリルアミドを基盤とするため、安価、合成容易であり水という身近な刺激でnmのシリンダー膜を形成可能。

新技術の特徴

・汎用の高分子で簡便に合成可能なナノシリンダー膜
・水の中で熱するという単純な手法で開孔(ナノシリンダーを形成)/乾燥により閉孔する可逆システム
・ナノシリンダーを通し分子の移動が可能な膜

想定される用途

・誰でも再生できる水浄化膜
・ナノドットパターン用レジスト
・ドラッグデリバリーシステム

  • 材料

2)バンドギャップ制御されたグラファイト状窒化炭素の製造法

山形大学 学術研究院 理学部 理学科 助教 石﨑 学

新技術の概要

グラファイト状窒化炭素(g-C3N4)原料と安価なドーパントの割合変え、混合・焼成するだけで、バンドギャップ(BG)をほぼ0~2.7eVの範囲で自在に制御可能な、炭素ドープg-C3N4の合成法を見出した。n型半導体であるg-C3N4の狭BG化とともに、伝導帯が低エネルギー位置を系統的に制御した半導体材料が得られる。

従来技術・競合技術との比較

従来の炭素ドープg-C3N4合成法では、BGを1eV程度までしか下げられなかった。その場合でも、高価な試薬を大量にドーパントとして使用するため、安価なg-C3N4の特徴を生かすことができていない。本手法では安価な試薬をドーパントに用い、前駆体試薬と混合焼成する簡便な手法で、高効率な炭素ドープ法を見出した。

新技術の特徴

・バンドギャップをほぼ0~2.7eVの範囲で自在に制御
・安価なドーパントによるバンドギャップ制御
・伝導帯準位制御によるn型半導体膜(電子輸送層)への展開

想定される用途

・電気/光による水の酸化触媒
・ぺロブスカイト太陽電池の電子輸送層
・イオン二次電池負極材

  • 製造技術

3)レーザー集積固化現象を用いたセラミックスのマイクロ造形プロセス

山形大学 学術研究院 大学院理工学研究科 機械システム工学専攻 准教授 西山 宏昭

新技術の概要

酸化チタンやアパタイト、ITOなどのセラミックスの微粒子からレーザーを用いてマイクロ配線を描画できる。溶液中で実施するため粉体材料の飛散がなく、熱処理やエッチング工程が不要であり、光プロセスでありながら原材料に感光性が必要なく、限定されない。粒子は結晶性を維持するため、本来の機能を期待できる。

従来技術・競合技術との比較

セラミックスなどの無機微粒子をレーザー集光点に緻密に集積固化する新現象に基づいた技術であり、(1)従来インクジェット印刷では困難なセラミックスを描画可能、(2)従来レーザー加工では必須の被加工材料の感光性が不要、(3)レーザー除去加工ではなく、付加/造形加工、(4)真空成膜やエッチング工程が不要

新技術の特徴

・導電性、絶縁性、半導体性、生体親和性、抗菌性などの機能性微粒子を集積固化しマイクロ配線化可能
・描画線幅は条件により数μmまで細く制御可能で、曲面上や透明配管の内壁への配線形成も可能
・照射部で微粒子は極めて緻密に集積固化し、粒子の結晶構造を維持しているため高い機能性期待

想定される用途

・曲面体へのガラス被覆AgやITO導電配線のレーザー描画
・固体酸化物燃料電池の電解質膜形成
・抗菌性TiO2や生体親和性アパタイトコーティング

  • 機械

4)粉粒体や微粒子をまとめて吸着・脱離するハンドリング装置

山形大学 学術研究院 大学院理工学研究科 電気電子工学専攻 准教授 杉本 俊之

新技術の概要

粉粒体や微粒子(数μm~数mm)を誘導帯電によって吸着電極に吸着させ、所定の場所に移動させたのち除電操作によって脱離する、新しいハンドリングシステム。吸着量が電極面積で決まるため、「粒」の単位でハンドリングする装置や、超微量の定量供給を行う装置、塵や埃を吸着させるクリーニングシステム等に広く応用できる。

従来技術・競合技術との比較

一つの粒子をハンドリングするピンセットのような装置は現存するが、電極形状に応じて必要な量をまとめて吸着・脱着できる方法はなかった。粒子が導電性を持つことが必要条件であるが、ガラスやシリカなどの表面に親水基を持つものや、帯電防止コーティングされているものなど、わずかに導電性があれば十分である。

新技術の特徴

・吸着電極には粉粒体が重ならずに1層分だけ吸着されるので、吸着面積で吸着量が制御できる。
・絶縁体の粉粒体でも、帯電防止等の簡単な導電性処理でハンドリングできるようになる。
・装置が簡単で、電極形状を変更するだけで、さまざまな用途の粉粒体ハンドリングに応用できる。

想定される用途

・精密計量充填装置、オーダーメイド薬カプセル充填
・超微量供給フィーダ
・塵や埃を吸着するクリーニングシステム

お問い合わせ

連携・ライセンスについて

山形大学国際事業化研究センター知的財産部門

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