JST計測技術 新技術説明会
日時:2020年02月13日(木) 13:30~15:55
会場:JST東京本部別館1Fホール(東京・市ケ谷)
参加費:無料
主催:科学技術振興機構
後援:特許庁、関東経済産業局
発表内容一覧
発表内容詳細
- 計測
1)瞬き同期度に基づく関心率推定と適切な情報提示
発表資料大阪大学 大学院生命機能研究科 脳神経工学講座 准教授 中野 珠実
新技術の概要
人々の瞬きの発生同期度を評価することで、映像に対する視聴者の関心度を客観的に推定するシステムの発明である。関心の高い映像シーンの同定や、映像への関心度の高い集団の特性評価に活用できる。さらに、瞬きに基づき話題への関心度や話者への親和性を推定することで、最適な情報を提供することができる。
従来技術・競合技術との比較
映像に対する人々の関心度の評価は、機械式視聴率調査や視聴回数、視線行動で評価されてきたが、視聴していたかどうかを調べるだけで、視聴者が映像にどれだけ関心を持っているかまではわからなかった。また、瞬きの回数は様々な要因によって変化するので信頼性が低いのに対し、同期度は安定して関心度の指標となる。
新技術の特徴
・どの集団が、映像や話題にどの程度の関心を持っているかを客観的な数値で評価可能
・特別な装置は不要。一般的なカメラ撮影で、遠隔から瞬き同期度を推定可能
・瞬きを導入することでヒューマノイドやアバターに対する親和性の評価や向上が可能
想定される用途
・CMや映画など様々な動画に対する顧客の関心度の推定
・教師やアナウンサー、営業マンのスピーチ力の評定
・対面セールス時の顧客の購買意欲の評価ならびに向上
関連情報
・外国出願特許あり
- 計測
2)3Dオーディオ制作のためのプラットフォームの構築
発表資料東京電機大学 システムデザイン工学部 デザイン工学科 教授 伊勢 史郎
新技術の概要
バーチャルリアリティにおいて物理世界を数値的に計算する技術が不可欠となる。本技術は音響に関する物理学的な方程式を用いて、3次元波面を生成するシステムを構築するための基礎技術である。具体的には移動する音源が生成する3次元波面を計算し、ある空間領域内に音場を生成するシステムを実現することが可能となる。
従来技術・競合技術との比較
3次元波面を生成する方式は古くから研究されており、欧米では波面合成法(WFS)やアンビソニクスシステムがすでに商用化されている。しかし、これらの方法は3次元波面を正確に生成することができないため、VR技術としては不十分である。本技術はそれらとは原理的に異なる境界音場制御の原理に基づくことにより、高い精度での音場再現を実現可能である。
新技術の特徴
・音源が生成する3次元波面を頭部周囲に再生可能
・音源が上下左右に移動しながら音波を発するような音場も再生可能
・音源が近づいたり、遠ざかったりするような音場も再生可能
想定される用途
・音の臨場感を重視するVRゲーム
・3D音楽アート
・癒しの空間生成
関連情報
・外国出願特許あり
- 計測
3)電力自立ヘルスケアIoTに向けた発電モニタ一体型集積システム
発表資料名古屋大学 大学院工学研究科 電子工学専攻 准教授 新津 葵一
新技術の概要
IoT技術において最も重要な課題の一つは、電源確保である。本技術においては、発電対象とセンシング対象が一緒であり、電源確保とセンシングを一体にして実現可能な発電センシング一体型集積センサ技術において、電源量をモニタリングする技術を提供する。
従来技術・競合技術との比較
従来技術においては、電源をモニタリングするために電源管理回路ならびにアナログ・デジタル変換回路を用いていたために回路が大規模になり、高コストならびに高消費電力という課題があった。本技術においては電源電圧を非常にシンプルな原理でデジタル化することを可能にする。
新技術の特徴
・小型な実装面積で電源のモニタリングが可能
・低コストでの電源のモニタリングが可能
・低電圧・低出力な電源のモニタリングが可能
想定される用途
・バイオ燃料電池を用いた電力自立バイオモニタ
・振動発電素子を用いた電力自立振動モニタ
・温度差発電素子を用いた電力自立温度モニタ
関連情報
・外国出願特許あり
- 計測
4)流れの「かたち」を言葉に~流線トポロジー解析の応用
発表資料京都大学 大学院理学研究科 数学・数理解析専攻 教授 坂上 貴之
新技術の概要
本発明技術は、数値的な流体現象のシミュレーションや流体の計測の結果得られる複雑な流れの特徴的なパターン(位相構造)に対して、固有の文字列および木(グラフ)表現を割り当てるものである。大量の流れデータにこの手法を用いることにより、複雑な流れの情報を簡単な文字列として曖昧さなく表示することが可能になり、これまでに気がつかなかった流れパターンに関する潜在的な有効情報を余すところなく抽出・識別できるだけでなく、この情報を機械学習の識別子として用いることで、精度の高いパターン認識を可能にする。
従来技術・競合技術との比較
流体の流れパターンから、曖昧さのない文字列やグラフ表現を与えるという技術は、我々が世界で初めて提案する技術である。
新技術の特徴
・専門的な数学知識を前提とせず、流れの画像から自動的な文字列とグラフ表現の抽出が可能
・これまでに各分野の専門家が気がつかなかった新しい情報の抽出が可能
・三次元の複雑な流れに対しても二次元断層画像にしたうえで適用可能
想定される用途
・流体中を移動する物体(航空機、自動車、列車)あるいは流れの中に置かれた物体(橋梁、構造物)などの形状の最適化
・流体を使って物質を分離、成形等を行う分野に用いられる産業機械の開発の形状最適化
・材料など複雑な流れを含むデータへの適用による新しい流れに関する状態識別
関連情報
・デモあり
・外国出願特許あり
- 計測
5)球状ヘテロエピタキシャルナノギャップ電極を用いた単分子トランジスタ
発表資料東京工業大学 科学技術創成研究院 フロンティア材料研究所 教授 真島 豊
新技術の概要
無電解金めっきにより白金基板上に金をヘテロエピタキシャル成長させる技術、半径5nm、ギャップ長0.7nmの球状ヘテロエピタキシャルAu/Ptナノギャップ電極の作製技術、ナノギャップ電極を用いた単分子トランジスタについて発表する。
従来技術・競合技術との比較
極めて細い10nm以下の電極線幅、6nm以下のギャップ長を有する白金電極対を形成する電子線リソグラフィ技術、金めっき液に浸漬させるだけで、白金基板表面上に金をヘテロエピタキシャル成長させる新しい技術、半径5nmで対向する二つの球状ヘテロエピタキシャルAu/Ptナノギャップ電極、極めて安定に動作する単分子トランジスタ。
新技術の特徴
・白金上無電解金めっき
・ナノギャップ電極作製技術
・3nmスケール単電子トランジスタ
想定される用途
・白金上金構造の低接触抵抗化
・ナノスケールトランジスタのプラットフォーム
・次世代高速トランジスタ
関連情報
・外国出願特許あり
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