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福岡大学 新技術説明会

日時:2019年05月21日(火) 09:55~15:25

会場:JST東京本部別館1Fホール(東京・市ケ谷)

参加費:無料

主催:科学技術振興機構、福岡大学

後援:特許庁、関東経済産業局

発表内容詳細

  • 環境

1)漢方薬残渣の添加でアルコール発酵を促進させる

発表資料 プレゼン動画

福岡大学 工学部 化学システム工学科 教授 重松 幹二

https://www.cis.fukuoka-u.ac.jp/~shigem/

新技術の概要

ある種の漢方薬エキスや廃棄される抽出残渣を添加することにより、酵母によるアルコール発酵を促進できる。この効果により、至適温度や至適pHからずれていたり、ある程度の発酵阻害物質を含んでいても、発酵を継続させることが可能となる。

従来技術・競合技術との比較

やむを得ず適切でない条件で発酵を行う場面では、遺伝子操作等による酵母の改変が広く検討されている。しかし、本方法によれば従来の酵母のままでも、発酵促進剤を加えるという極めて単純な方法で解決できる。しかも、その促進剤は廃棄物を利用しているため安価である。

新技術の特徴

・バイオエネルギー
・廃棄物利用
・醸造の効率化

想定される用途

・バイオエタノール燃料
・酒造工業

関連情報

・サンプルあり

  • 材料

2)実用性の高い高濃度リポソームの製造方法

発表資料 プレゼン動画

福岡大学 工学部 化学システム工学科 教授 三島 健司

https://www.cis.fukuoka-u.ac.jp/~mishima/index.htm

新技術の概要

二分子膜からなる閉鎖小胞構造を有するリポソームは、ナノ生体デバイスとして期待されている。従来、リポソームは、生体に有害な有機溶剤を用いて製造されていた。有機溶剤を用いずに、実用性の高い高濃度のリポソーム溶液を超臨界二酸化炭素と内部超音波照射により可能とした。

従来技術・競合技術との比較

従来、リポソームは、生体に有害な有機溶剤を用いて製造されていた。それを改善すべく、超臨界二酸化炭素と水のみで、有機溶剤を用いずに製造する方法も提案された。また、外部超音波照射や流体循環でリポソームの高濃度化方法も提案されたが、高濃度生産は困難であった。本技術では、実用性の高い高濃度化を実現した。

新技術の特徴

・実用性の高い高濃度リポソームの製造方法
・有機溶剤を用いないリポソームの製造方法
・高圧容器内で内部超音波照射を用いるリポソームの製造方法

想定される用途

・医療・医薬品開発支援ツール
・化粧品
・機能性食品

関連情報

・サンプルあり

  • 創薬

3)Sodium 4-phenylbutyrateは糖化抑制作用を持つ

発表資料

福岡大学 薬学部 薬学専攻 助教 小野 和彦

http://www.pha.fukuoka-u.ac.jp/s_shien.htm

新技術の概要

自然発症2型糖尿病モデルマウスに対しphenylbutyrate (PBA) を経口投与したところ、?@体重増加の緩徐化、?A血中HbA1c値の上昇の抑制、?B尿糖陽性化の遅延が認められた。さらに試験管内実験にて、アルブミンおよびコラーゲンの糖化抑制作用を確認した。以上より、PBAの抗糖化作用を明らかにした。

従来技術・競合技術との比較

PBAそのものが糖化抑制作用を有すること。老化現象や生活習慣病の誘因とされる糖化産物の体内産生・蓄積を抑制、遷延化することが期待できること。また、PBAは医療用医薬品として投与方法や副作用も明らかであり、臨床応用が早期に実現できる可能性が高いこと。

新技術の特徴

・PBAそのものがアルブミンの糖化抑制作用をもつ
・PBAそのものがコラーゲンの糖化抑制作用をもつ
・PBAによりHbA1c値が低下する

想定される用途

・糖化抑制による老化防止作用
・糖化抑制薬としての臨床応用
・サプリメントや化粧品などへの応用

  • 製造技術

4)新構造の樹脂溜り部を持つ新型ペレタイザーによるプラスチックの高度リサイクル・高性能化

発表資料 プレゼン動画

福岡大学 工学部 化学システム工学科 ポスト・ドクター パントン パチヤ

https://www.cis.fukuoka-u.ac.jp/~shyao/index.html

新技術の概要

既存のペレタイザーの吐出口前に、溶融樹脂を一時滞留させる樹脂溜り部でテーパー形状を有する新型のペレタイザーを考案した。このペレタイザーを用いることでマテリアルリサイクルされたプラスチックの特性が向上した。更に無機フィラーの入ったコンパウンド品の物性も向上することが分かった。

従来技術・競合技術との比較

従来のペレタイザーでは、吐出口近くまでスクリューがあったため、そのせん断力の影響がペレットに残り、そのため物性が低下していることが分かった。本技術の新型のペレタイザーはその欠点をなくしたもので、リサイクルプラスチックの特性のみならず、コンパウンド品の物性も向上した。

新技術の特徴

・攪拌などで乱れた流れを、スムーズにすることが可能
・流体に圧を掛けることにより、相溶性を増すことが可能
・生産性を落とさずに上記の特性を出すことが可能

想定される用途

・廃棄プラスチックのアップグレードリサイクル
・コンパウンド品のアップグレード
・安定した押出成形品の生産

関連情報

・サンプルあり

  • 機械

5)協調ロボットの安全対策のための近接覚センサ

発表資料

福岡大学 工学部 電気工学科 助教 辻 聡史

http://te.tec.fukuoka-u.ac.jp/kohama/tsuji.html

新技術の概要

ToF(Time-of-Flight)センサと静電容量センサを組み合わせたToF・静電容量複合センサを提案した。ToFセンサによりZ軸に広く対象までの距離を検出し、静電容量センサにより近距離の対象の検出と接触を検出する。それにより広範囲に高感度で近接測定と接触測定を行う。

従来技術・競合技術との比較

接触検出機能を有するロボットがあるが、接触するまで対象を検出することが難しい。非接触検出機能を有するロボットがあるが、対象までの距離を検出するものは少なく、多くは接触検出機能を有していない。提案センサは、広範囲に高感度で近接測定と接触測定を行うものである。

新技術の特徴

・対象までの距離検出可能
・近距離において高感度に対象を検出可能
・接触検出が可能

想定される用途

・協調ロボット
・ヒューマノイドロボット
・無人搬送機

関連情報

・サンプルあり
・デモあり
・展示品あり

  • 製造技術

6)CNF(セルロースナノファイバー)の新規改質法によるCNF高分散樹脂複合体の製造技術

発表資料 プレゼン動画

福岡大学 工学部 化学システム工学科 教授 八尾 滋

https://www.cis.fukuoka-u.ac.jp/~shyao/index.html

新技術の概要

本技術では、①疎水性を付与する長鎖アルカン鎖のあるブロックと②CNFのOH基とエステル結合可能なアクリル酸のあるブロックを有する側鎖結晶性ブロック共重合体により、CNF表面に長鎖アルカン鎖を持つように改質した。その結果、CNFが疎水化され、疎水ポリマー中に高分散され、樹脂特性の大幅な向上が可能となった。

従来技術・競合技術との比較

本技術によるCNF表面の疎水化による母材樹脂との相溶性の改善は、簡便かつ効率的であり、従来の技術に比較してCNFの凝集を起こすことなく、CNFの母材樹脂への高分散化が可能となり、樹脂特性の大幅な向上が期待される点が特徴となる。

新技術の特徴

・CNFの疎水化、ポリマーへの高分散化が可能
・CNFが凝集せずに分散化するために、少量での高性能化が可能
・CNF自体の構造体の疎水化が可能

想定される用途

・CNFが微分散したプラスチックコンパウンド
・上記コンパウンド品を用いたプラスチック構造体

関連情報

・サンプルあり

  • 医療・福祉

7)絨毛膜羊膜炎関連微生物の同定ならびに検出方法の開発

発表資料 プレゼン動画

福岡大学 医学部 医学科・産科婦人科学 教授 宮本 新吾

http://www.med.fukuoka-u.ac.jp/obst_gyn/

新技術の概要

感染した羊水から抽出したDNAの16SリボソームRNA遺伝子を次世代シークエンスで解析し、起炎菌9菌種を特定した。これにより、妊娠中に発生する絨毛膜羊膜炎とその起炎菌を診断し有効な抗菌薬を選択することで予後を改善できる。

従来技術・競合技術との比較

絨毛膜羊膜炎は早産を引き起こす感染症であり、妊娠中に診断することは不可能で治療の遅れにより児に重篤な障害を起こすことが問題視されている。これまでの絨毛膜羊膜炎を診断する方法では、感度が低く早期発見が困難な例が存在し、起炎菌が同定できずに的確な治療法が選択できなかった。

新技術の特徴

・腟細菌叢・便細菌叢の解析から子宮内感染を予測する

想定される用途

・妊娠中の子宮内感染の診断と治療
・妊娠中の胎児・娩出後の新生児感染の診断と治療
・産褥感染の治療

関連情報

サンプルあり

  • 材料

8)従来に無い高濃度マイクロ・ナノバブルの製造とその応用

発表資料 プレゼン動画

福岡大学 工学部 化学システム工学科 助教 シャーミン タンジナ

https://www.cis.fukuoka-u.ac.jp/~mishima/index.htm

新技術の概要

マイクロ・ナノバブル水は、低コストで製造でき、水の性質を大きく変える技術として、工業、医療、農業などの分野で応用が期待されている。従来、バブル発生用フィルターなどを用いて低濃度のものが製造されていた。本技術では、従来に無い高濃度のマイクロ・ナノバブル水製造を高圧ガスと内部超音波照射により可能とした。

従来技術・競合技術との比較

従来、マイクロ・ナノバブル水は、バブル発生用ナノサイズ多孔フィルターなどにガス・水を通過・混合させることで、低濃度のものが製造されていた。高濃度マイクロ・ナノバブル水の生成のため、高速撹拌法、加圧法による製造方法等も提案されてきたが実現困難であった。本技術によりバブルの高濃度化が可能となった。

新技術の特徴

・従来に無い高濃度マイクロ・ナノバブル水の製造方法
・種々のガスが利用できる汎用性の高いマイクロ・ナノバブル水の製造方法
・高圧容器内で内部超音波照射を用いるマイクロ・ナノバブル水の製造方法

想定される用途

・医療・医薬品開発支援ツール
・化粧品
・機能性食品

関連情報

・サンプルあり

  • 環境

9)リサイクルプラスチックへの機能性付与による高付加価値化検討

発表資料 プレゼン動画

福岡大学 工学部 化学システム工学科 助教 中野 涼子

https://www.cis.fukuoka-u.ac.jp/~shyao/

新技術の概要

リサイクルプラスチックは、機械的強度や色合い等の物性の問題から利用用途が限定されている。本技術では、主としてPEやPPの表面物性を側鎖結晶性ブロック共重合体(SCCBC)を用いて改質することにより、無電解めっき処理等の機能性付与が可能である。また、従来問題のあった前処理(エッチング)の代替技術になりうる。

従来技術・競合技術との比較

PEやPP等の汎用プラスチックは、排出量の約7割を占めるため、特に再利用が望まれるが、機械的強度の低さや色素等の混在のため、擬木や車止め等の用途に限定されていた。本技術では、従来困難であったPEやPPの表面をSCCBCで簡便に改質ができ、機能性・意匠性の賦与で、リサイクル品の用途拡大が期待できる。

新技術の特徴

・プラスチックリサイクル品の簡易手法による用途拡大
・母材品質に影響を与えるエッチング等の無電解めっき前処理の代替技術
・改質法がディップコーティング法であるため、既存生産ラインに適用が可能

想定される用途

・リサイクルプラスチックの自動車用意匠部品への適用
・リサイクルプラスチック製品の意匠商品への用途拡大

  • 製造技術

10)化学的処理による高機能ポリプロピレン樹脂成形体の製造技術

発表資料 プレゼン動画

福岡大学 機能・構造マテリアル研究所 ポスト・ドクター 平井 翔

https://www.cis.fukuoka-u.ac.jp/~shohirai/index.html

新技術の概要

本技術では、ポリプロピレン(PP)への吸着と機能発現を併せ持つブロック共重合体を使用することにより、PP表面を簡便かつ均質に改質することが可能となった。また、ブロック共重合体の組成を変更することにより、PP表面に親水性や接着性など任意の機能を付与した高機能PP樹脂成形体が作製できた。

従来技術・競合技術との比較

従来の技術ではプラズマ発生装置などの特殊な機械を必要とするだけではなく、不織布の内部や大型品の改質は困難だった。本技術ではブロック共重合体の希薄溶液に浸漬させるだけで、PP表面及び不織布内部についても長期間安定な改質ができることから、省エネルギーかつ環境負荷の低い改質手法である。

新技術の特徴

・PP表面に親水性や接着性などの機能を任意に付与することが可能
・不織布や多孔膜の内部及び薄膜にも適用可能
・簡便かつ均質に改質でき、改質効果も長期間保持することが可能

想定される用途

・接着性や親水性を有するPP樹脂成形体
・メッキや染色が施されたPP樹脂成形体
・PP樹脂製品への耐久性の高い印刷物

関連情報

・サンプルあり
・外国出願特許あり

  • 創薬

11)難治性腫瘍に対する低毒性抗腫瘍化合物

発表資料

福岡大学 医学部 医学科・細胞生物学 准教授 角田 俊之

http://www.med.fukuoka-u.ac.jp/cellbio/top.html

新技術の概要

癌の鍵分子である変異KRASを有する3次元癌モデルと野生型のKRASを有する正常モデルにおいて、癌モデルにおいてのみ効果を示す化合物を天然物由来化合物ライブラリーからスクリーニングすることで、より生体内で毒性のない低分子化合物を取得できた。

従来技術・競合技術との比較

従来の殺細胞性の古典的抗癌剤と異なり、癌に共通する経路のみを標的とすることで、変異KRASシグナルが活性化した癌や、薬剤抵抗性癌などの難治性癌も含めて抗腫瘍効果を示す低分子化合物である。実際、これらの現象を説明しうる、細胞代謝のハブ分子をプルダウン/MS解析により標的分子として同定することができた。

新技術の特徴

・腫瘍選択性が高い
・異常な細胞代謝を改善するので、神経変性疾患や糖尿病の患者にも使用できる可能性がある
・安価である

想定される用途

・既存の分子標的薬が効かない癌患者への投与
・薬剤抵抗性を示した患者
・癌切除後やPSA監視中の初期前立腺癌患者などへの投与

関連情報

サンプルあり

お問い合わせ

連携・ライセンスについて

福岡大学 産学官連携センター
TEL:092-871-6631 FAX:092-866-2308
Mail:sanchiアットマークadm.fukuoka-u.ac.jp
URL:http://www.sanchi.fukuoka-u.ac.jp/sangakukan/

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〒102-0076 東京都千代田区五番町7 K’s五番町

TEL:03-5214-7519

Mail:scettアットマークjst.go.jp

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