広島大学 新技術説明会
日時:2019年09月19日(木) 13:25~15:55
会場:JST東京本部別館1Fホール(東京・市ケ谷)
参加費:無料
主催:科学技術振興機構、広島大学
後援:特許庁、関東経済産業局
発表内容一覧
発表内容詳細
- 製造技術
広島大学 大学院先端物質科学研究科 半導体集積科学専攻 助教 花房 宏明
新技術の概要
大気圧下で超高温熱流を生成する大気圧熱プラズマジェットにおいて、長さ300mmを超えるビーム状ジェットの生成と磁場印加機構による疑似線状プラズマの生成を組み合わせることで大面積表面処理を可能とする技術を開発した。また、磁場制御によりプラズマジェットを選択的に照射することも可能である。
従来技術・競合技術との比較
従来の大気圧熱プラズマジェットは直径2mm長さ5mm程度のバーナーのような熱源であり、4インチウエハを処理するためには数十回の走査が必要であった。本手法により1回の走査で処理される範囲が大幅に拡大し、処理時間を短縮することができる。また、ビーム状ジェットの磁場制御により噴出方向を自在に制御可能である。
新技術の特徴
・大気圧下で幅広い温度や処理時間の条件で熱処理および反応処理が可能
・大面積処理によりプロセスの低コスト化が可能
・磁場制御によりプラズマジェットが照射される位置を局所的に制御することが可能
想定される用途
・アニール装置
・急速熱処理装置
・表面処理装置(熱・反応・改質・成膜・エッチング)
関連情報
展示品あり
- 医療・福祉
広島大学 大学院医系科学研究科 先端歯科補綴学研究室 助教 土井 一矢
新技術の概要
任意の形態のスポンジ状チタンを製作することで、骨伝導に優れる骨再建材を開発した。またマイクロメッシュ機構持つチタン薄膜は、細胞選択透過作用を持ち、再生療法に用いる保護シートとして活用できる。さらにチタン表面の生体活性処理により、組織再生を促進する。これらの技術は医療分野のみならず、水耕栽培培地やろ過処理膜など他分野への活用も期待できる。
従来技術・競合技術との比較
気孔径のことなるスポンジ状チタンを製作することが可能である。また20 µm以下のマイクロメッシュ機構をチタン薄膜体に付与することができる。さらにアルカリ処理により、スポンジ状や薄膜などの構造体に、機械的強度を減少させることなく生体活性処理を行える。
新技術の特徴
・網目状構造による組織形成促進および植物水耕培地
・マイクロメッシュ機構による細胞選択透過シートおよびろ過処理膜
・チタンへの超親水性および生体活性作用の付与
想定される用途
・骨再建材料
・再生医療促進シート,ろ過処理膜
・水耕栽培培地
関連情報
サンプルあり
- 環境
広島大学 大学院工学研究科 社会基盤環境工学専攻 教授 大橋 晶良
新技術の概要
マンガン酸化細菌により生成されるバイオMn酸化物は金属・レアメタルの吸着性に優れており、バイオMn酸化物を生成することができれば,排水等から金属・レアメタルを除去・回収することが可能となる。本技術は早期にマンガン酸化細菌を培養し,高速に処理することができる方法を開発した。
従来技術・競合技術との比較
自然開放型のリアクターにおいてもマンガン酸化細菌を培養することは可能であるが,マンガン酸化細菌の集積培養には1年という長期の期間を要していた。本技術はMn酸化物の阻害性に着目し,マンガン酸化細菌の集積を数週間で達成できる方法を開発し,早期に高速処理できる特長を有している。
新技術の特徴
・マンガン酸化細菌の早期培養
・Mn酸化物の高速生成バイオリアクター
・排水等からの金属の高速除去
想定される用途
・排水からのレアメタル回収・金属除去
・鉱山廃水からの重金属除去
・海水からのレアメタル回収
- 創薬
4)エナメル質再生法の開発とアメロゲニンペプチド創薬の探索
発表資料広島大学病院 口腔健康発育歯科歯科矯正学 講師 國松 亮
新技術の概要
初期むし歯は、エナメル質表層のミネラル成分の喪失に伴う粗造化を特徴とする病態であるが、現在これを確実に元の状態に修復する有効な治療法はない。本技術は、歯の形成期に特異的に産生する蛋白アメロゲニンを用いて、エナメル質上に生体にきわめて近い状態のハイドロキシアパタイト結晶生成環境を構築する技術である。また、アメロゲニンペプチドの技術開発により低コスト化を実現する。
従来技術・競合技術との比較
従来法では、初期カリエスに対するフッ素塗布により再石灰化を期待する治療が一般的であるが、確実な方法ではない。本法は、エナメル質形成に重要な役割を果たすアメロゲニンを用いることにより、積極的に歯の修復を誘導する効果を有するところに優位性がある。また、アメロゲニンペプチドは安全性が高く、大量生産が可能である。
新技術の特徴
・生体において歯の形成期に行われている過程を模倣することによりエナメル質の修復を行うことを特徴とする。
・従来は、唾液の性状により左右されやすかったが、専用トレーを用いる方法を採用することより解決した。
・エナメル蛋白アメロゲニンやペプチドは工業的に大量生産できるため低コストである。
想定される用途
・歯科医療および歯科材料分野への応用が想定される。
・エナメル蛋白質アメロゲニンの生理活性作用を有することが明らかになっており、創薬分野への応用も期待できる。
・アメロゲニンペプチドは硬組織の石灰化が期待されるため、医療分野への可能性も考えられる。
- アグリ・バイオ
広島大学 大学院統合生命科学研究科 生命環境科学プログラム 特任教授 佐久川 弘
新技術の概要
うどん粉病などの病原菌による病害防除には化学農薬が使用されるが、環境残留性や農薬耐性などが懸念されている。そこで、光フェントン反応(過酸化水素、鉄)やローズベンガルやカテキンの光増感反応により、OHラジカル、一重項酸素、スーパーオキシドなどの活性酸素を発生させ、高い酸化力を利用し、病害治療や防除に役立てる。
従来技術・競合技術との比較
光フェントン反応で用いる過酸化水素は環境中で速やかに分解し、鉄も環境中に広く存在する物質なので、悪影響を与える恐れがない。発生するOHラジカルは極めて反応性が高いので薬剤耐性が起こりにくい。ローズベンガルやカテキンの光増感反応で発生する一重項酸素やスーパーオキシドも反応性が高く、薬剤耐性が起こりにくい。
新技術の特徴
・光フェントン試薬、ローズベンガル試薬、カテキン試薬は安価、安全であり、分解処理が容易である
・光フェントン試薬などへの光照射により発生する活性酸素を用い、空気中の悪臭物質の分解処理が可能である
・光フェントン試薬などへの光照射により発生する活性酸素を用い、空気中のウイルスなどの滅菌、減菌が可能である
想定される用途
・イチゴやキュウリうどん粉病などの植物病害防除
・無臭化や滅菌などの空気清浄化技術への応用
・スーパーオキシドを含む酸素吸入装置の開発などの医療技術への応用
関連情報
サンプルあり
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