金沢大学 新技術説明会
日時:2019年08月22日(木) 12:55~15:55
会場:JST東京本部別館1Fホール(東京・市ケ谷)
参加費:無料
主催:科学技術振興機構、金沢大学、金沢大学ティ・エル・オー
後援:特許庁、関東経済産業局、北陸銀行、日本政策金融公庫
発表内容一覧
発表内容詳細
- アグリ・バイオ
1)カテキンを用いたトラフグの安全安心な陸上養殖
金沢大学 理工研究域 生命理工学系 教授 松原 創
新技術の概要
和食の代表格として知られるトラフグをモデルとして、肥満予防・抗酸化作用効果で機能性食品に用いられるポリフェノールの一種であるカテキンを用いて、寄生虫感染に極めて強い抑制効果を示す陸上養殖システムを開発した。この陸上養殖システムを用いて高価値の雄トラフグを育成することが可能となった。
従来技術・競合技術との比較
寄生虫駆除に対しては、有効な化学物質が合成されているが、食用魚に利用することは安全安心の観点から疑問符が残る。本技術ではヒト食用として利用されてきた植物抽出物を魚類養殖に転用するもので、従来技術・競合技術はない。
新技術の特徴
・カテキンを用いた寄生虫感染防御
・薬を使用しない魚類の麻酔
・遺伝子組換・ゲノム編集などを使用しない白子(精巣)保有魚作成
想定される用途
・国内初のオーガニック養殖の普及
・国内初の安心・安全なオーガニック養殖魚の流通
- アグリ・バイオ
2)魚類の生体防御機構を利用した魚病感染制御
発表資料金沢大学 環日本海域環境研究センター 臨海実験施設 助教 木谷 洋一郎
新技術の概要
魚も病気にかからないための仕組みを持つ。その一つである抗菌酵素「L-アミノ酸オキシダーゼ(LAO)」は過酸化水素を産生し抗菌作用を示すが、通常LAOは不活化している。この発明はLAOの活性制御機構を効率的に行う方法であり、これにより任意のタイミングで魚病を防ぐことが可能となる。
従来技術・競合技術との比較
魚類養殖における魚病の制御はワクチン接種・医薬品投与などが著効する一方でこれらは使用に技術を要し、また高額である。本発明は既知の界面活性剤を魚類生体防御機構の活性化に使用するものであり、安価かつ簡便な使用法により、養殖場等における効果的な魚病防除に資することができる。
新技術の特徴
・一般的な界面活性剤が使用可能
・ワクチン接種・医薬品投与を減らすことが可能
・過酸化水素を任意のタイミングで産生することが可能
想定される用途
・魚病の感染制御
・養殖場等における防疫
- 材料
3)近赤外光を活用できる有機ルテニウム錯体の合成技術
発表資料金沢大学 理工研究域 物質化学系 准教授 古山 渓行
新技術の概要
700~1000 nm程度の近赤外光を強く吸収しながら、電気特性などを制御できるテーラーメード性を持つ有機ルテニウム錯体は現状ほとんど例がない。本技術は、入手容易な原料を用いて、それらを混合・加熱するのみの簡便な手法により、近赤外光を強く吸収する新規ルテニウム錯体群を提供するものである。
従来技術・競合技術との比較
従来のルテニウム錯体は700 nmを超える近赤外光を吸収できないか、できても非常に弱いことが知られている。一方本技術で得られるルテニウム錯体は従来錯体の約10倍の光吸収効率を有し、かつ簡便な合成法により特定の波長帯を選択的に吸収する錯体を合成することが可能である。
新技術の特徴
・700~1000 nm程度の近赤外光を強く吸収する
・原料を混合加熱するのみで多彩な誘導体を調達可能
・特定の光学波長および電気的特性を持つ誘導体を狙って設計可能
想定される用途
・近赤外光を利用可能な太陽電池
・近赤外光を利用可能な光触媒
・ヒトの目に不可視であることを活かしたセキュリティ材料
- アグリ・バイオ
金沢大学 医薬保健研究域 医学系 准教授 奥田 洋明
新技術の概要
現在、およそ5人に1人が腰痛や関節痛など慢性的な痛みに悩んでいるといわれている。マウスを用いた慢性痛のモデルにおいて、着色料としても用いられる食用ビート成分ベタニンの投与により痛覚過敏の改善が認められた。ベタニンは慢性痛に対するサプリメントおよび治療薬の開発に応用できる可能性があると考える。
従来技術・競合技術との比較
ベタニンによる疼痛緩和作用の検証は新規であり、今まで報告されていない。また、ベタニンの利点として安全性がある程度確立していること、経口からの摂取が可能であること、天然物由来であることがあげられる。
新技術の特徴
・慢性痛モデルに対する痛みの緩和
・食品添加物(色素)として使用されており、摂取しても安全性がある
・経口からの摂取が可能
想定される用途
・慢性的な痛みに悩む方に対するサプリメントの開発
・構造類似体を用いた医薬品の開発
- 医療・福祉
金沢大学 理工研究域 フロンティア工学系 教授 田中 志信
新技術の概要
多関節で任意の関節の屈曲方向を自由に選べ、さらに各関節の硬さ(剛性)を任意に設定可能な小型マニピュレータを具現化するための要素技術として、印加する磁界強度により剛性が変化する「磁気粘弾性コンパウンド」を内蔵した関節を開発した。
従来技術・競合技術との比較
従来のリンク式マニピュレータは1関節の自由度が「1」しかない。一方、ワイヤ式で1関節の自由度を「2」にするにはワイヤー4本と牽引用モータ4個が必要で、関節数が増えればそれらの数は単純増加する。しかし本技術では1関節の自由度が「2」であり、かつ関節数が増えてもワイヤーとモータの数は「4」のままで駆動可能である。
新技術の特徴
・関節の剛性の磁界強度による制御
・関節の数が増えてもワイヤーと駆動モーターの数は増えない
・複雑なリンク機構などが不要
想定される用途
・体腔鏡下手術支援・脳外科手術支援等
・顕微鏡下マニピュレーション等
・狭小空間におけるマニピュレーション等
- 製造技術
金沢大学 設計製造技術研究所 教授 米山 猛
新技術の概要
予め熱可塑性樹脂を一方向炭素繊維に含浸させたテープ(以下CFRTPテープ)を用いて、雄型(マンドレル)上に組紐技術により、パイプ状の中空素材をつくり、プレス成形して自動車フレームとして応用可能な中空フレームを作成する。
従来技術・競合技術との比較
CFRTPテープで組紐成形し、プレス成形で加熱・圧着するため、安定した品質が得られる。従来の炭素繊維のみで組紐成形中に樹脂を含浸させる方法や、炭素繊維束と合成繊維束を一体とした糸(コミングル糸)で組紐成形した後に加熱溶融させる方法よりも均一な製品が得られる。
新技術の特徴
・熱可塑性CFRPテープの活用
・組紐技術とプレス技術の2段階成形
・組紐技術とプレス技術による複雑断面の成形
想定される用途
・自動車フレーム
・ロボットフレーム
・ウェアラブル機器
関連情報
サンプルあり
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