JST戦略的創造研究推進事業 新技術説明会 ~情報処理~
日時:2019年09月20日(金) 09:55~11:55
会場:JST東京本部別館1Fホール(東京・市ケ谷)
参加費:無料
主催:科学技術振興機構
後援:特許庁、関東経済産業局
発表内容一覧
発表内容詳細
- 情報
慶應義塾大学 理工学部 情報工学科 准教授 松谷 宏紀
新技術の概要
実世界の異常検知においては、教師データを現場で集めてラベル付けする作業がもっとも大変である。本研究では、教師データを必要としない環境適応型の異常検知技術を提案する。事前の準備無しで、オンデバイス学習器を環境に設置し、その場で正常パターンを覚えさせるだけで環境に特化した異常検知ができる。
従来技術・競合技術との比較
多層ニューラルネットワークを使っているが、チップ化を前提に計算コストを大幅に削減しているため、計算資源の限られた末端のデバイス内で学習が完結する。置かれた環境で正常を学習するので「置くだけ異常検知」が実現できる。教師データは必要なく、クラウドにデータをアップロードすることもない。
新技術の特徴
・教師データを必要とせず、現場に置くだけで異常検知ができる点
・データをクラウドにアップロードすることなく、末端のデバイス内で学習処理が完結する点
・センサチップに組み込むことを前提に計算資源の限られた計算機上で動作する点
想定される用途
・モータやファンなどの回転機械の教師無し異常検知(冷却装置、製造ライン、ロボット、ドローン)
・画像やサーモグラフィによる教師無し異常検知(設備や装置の熱監視)
・監視カメラによる教師無し異常行動検出(通常とは異なる人の動きを検出)
関連情報
・サンプルあり
・デモあり
・展示品あり
- 情報
早稲田大学 グリーン・コンピューティング・システム研究機構 鷲崎研究室 研究院客員准教授 坂本 一憲
新技術の概要
新技術は心理アンケートなどの情報から学習者の個性を判断し、AI技術で個性と過去の事例を分析して、各学習者に最適な方法で意欲を引き出す。英単語学習やIT技術の国家試験対策向けの学習アプリに同技術を導入したところ、アプリを使わずに学習した場合と比べて、1ヶ月間の学習量を2倍以上に増やすことに成功した。
従来技術・競合技術との比較
意欲を引き出すことを目的とした様々な従来技術があるが、個性に応じてアプローチを変える技術は存在しない。しかし、心理学研究では、個性によって最適なアプローチが変わることが分かっており、従来技術では全ユーザに取って有効なアプローチを提供できなかった。
新技術の特徴
・教育機関や民間企業の研修などで使用するe-learningソフトウェアに導入して、学習者の自発的な学習量を増やす
・ヘルスケアなどにおいて利用者の行動変容が求められる場面で活用して、ヘルスケアサービスの効果を高める
・金銭インセンティブを使いにくい場面(モラルの改善・整理整頓など)で活用して、人々の行動変容を促す
想定される用途
・解いた問題数など、意欲の高さを数値として記録できる領域に適している
・ユーザー毎にソフトウェア等が提示する画面を変えられる領域に適している
・学習・トレーニング・健康増進など、本人に行動する意志があり、継続が重要な領域に適している
関連情報
・サンプルあり
・デモあり
- 電子
自然科学研究機構 分子科学研究所 光分子科学研究領域 研究主幹・教授 大森 賢治
新技術の概要
ほぼ絶対零度に冷却した極低温原子集団にアト秒精度(アト=10のマイナス18乗)の超高速光制御技術を適用することによって、1万個以上の粒子の量子多体問題を近似無しにシミュレートできる「超高速量子シミュレータ」を開発することに成功した。
従来技術・競合技術との比較
それぞれ異なる研究分野で発展してきた「超高速化学」と「極低温物理」の手法を融合させた世界初の試みであり、これまでの量子シミュレータに比べ桁違いの強相関状態を作り出し、その時間発展をアト秒レベルの世界最高精度でシミュレートすることが可能になった。
新技術の特徴
・これまでの量子シミュレータに比べ桁違いに多数の粒子が相互作用する強相関状態を作り出すことができる
・強相関状態の時間発展をアト秒レベルの世界最高精度でシミュレートすることができる
・これまでの量子シミュレータでは固体中の電子を模倣するために原子を用いてきたが、本技術では電子を使って電子をシミュレートすることができる
想定される用途
・固体中の電子の量子シミュレーション
・固体中の電子が関与する新現象や新機能の予言
・コヒーレント量子アニーリング(最適化問題)
関連情報
・デモあり
・外国出願特許あり
- 材料
京都大学 高等研究院 物質-細胞統合システム拠点 講師 パックウッド・ダニエル
新技術の概要
ナノテクノロジーでは、分子集合化で形成される表面材料の最適化が大きいハードルである。本技術では、表面材料の最適化を巡る試行錯誤を減らし、金属表面に吸着した分子がどのようにナノ分子集合するか、集合体をどうやってコントロールするかコンピューターで明らかにする手法である。
従来技術・競合技術との比較
従来の計算化学の手法では膨大な計算時間を要するので、表面材料のナノ構造設計・構造制御に適用できない。本技術では機械学習やモンテカルロサーチという最先端の数理手法を取り入れ、計算時間を大幅に短縮しながら精度の高い予測が可能である。
新技術の特徴
・実験なしでナノ構造が設計できる
・金属表面上におけるナノ集合体の作成条件を予測できる
・微小な電気配線などとして利用できるナノ材料の形成方法をコンピューターで明らかにできる
想定される用途
・ナノテクノロジー
・有機薄膜デバイスの開発
・触媒開発
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URL:http://www.jst.go.jp/kisoken/crest/
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