京都工芸繊維大学 新技術説明会
日時:2019年08月08日(木) 12:55~15:55
会場:JST東京本部別館1Fホール(東京・市ケ谷)
参加費:無料
主催:科学技術振興機構、京都工芸繊維大学
後援:特許庁、関東経済産業局
発表内容一覧
発表内容詳細
- アグリ・バイオ
京都工芸繊維大学 応用生物学系 助教 長岡 純治
新技術の概要
蚕(カイコ)の高い絹タンパク質合成能力に注目し、絹合成器官から調製した翻訳因子を基本に構成した無細胞(試験管)タンパク質合成系です。また、近年、タンパク質をコードするDNAが容易に提供されることを踏まえ、DNAからタンパク質合成までをワン・チューブで行えるようにした反応キットを開発・提供いたします。
従来技術・競合技術との比較
昆虫(動物)細胞由来の転写・翻訳共役型無細胞系タンパク質合成系において合成タンパク質量を飛躍的に向上させる新規配列を見出しました。同時に、カイコは年中、安価に、安定的に、多量に供給できますので、従来系に比べて、安価にその大きさを容易に変えられます。
新技術の特徴
・小規模なタンパク質機能解析から、放射線標識アミノ酸を使った構造解析まで広い研究ニーズに対応が可能
・高分子タンパク質合成、バキュロウイルスー昆虫細胞系と同様な合成タンパク質の「質」(ホールディング・翻訳後修飾)保証が期待できる
・精製後の合成タンパク質中には、ヒトの害になるものが含まれている可能性が低いものと考えられる
想定される用途
・多新規タンパク質医薬品等の候補スクリーニング法開発
・新規タンパク質医薬品等の候補スクリーニング法開発
・緊急時等、タンパク質医薬品供給法の提供
- 材料
京都工芸繊維大学 分子化学系 助教 本柳 仁
新技術の概要
“化学構造”を認識する材料は数多く開発され、センシング材料として利用されています。しかし、“分子の大きさ”によって構造を変化する認識材料はこれまでに報告例がなく、“分子の大きさ”を認識する新しいセンサー材料となります。さらに、従来の“化学構造”を認識することが可能となると複雑な化学物質の認識に利用可能となります。
従来技術・競合技術との比較
これまで特定の“化学構造”を認識するケミカルプローブが数多く開発されてきたが、単純な“化学構造”だけを認識するアプローチでは、類似の“化学構造”を持つ化合物を選択的に認識することが非常に困難となっている。そこで、“分子の大きさ”も同時に認識すれば、新規なケミカルプローブの開発につながると期待している。
新技術の特徴
・分子サイズに応じた色調の変化
・重合を利用した柔軟な分子デザイン
想定される用途
・ケミカルプローブ
・センシング材料
・カラム担体
- 材料
3)室温で液体のように溶ける金属
発表資料京都工芸繊維大学 材料化学系 准教授 中西 英行
新技術の概要
金属は、熱や電気を通すだけでなく、触媒作用も示し、極めて重要な材料である。しかし、金属は固体である。そのため、加工性に問題がある。本技術は、簡単な操作で、液体のように流動させることのできる金属材料と、それを用いて高分子や繊維などの有機物に金属を組み込む方法を提案するものである。
従来技術・競合技術との比較
・高温・高真空や大型の装置群を必要としない。温和な環境で加工できるので、高分子や繊維などの材料に方法を幅広く適用できる。
・簡単な操作で、溶媒を介して、幅広い高分子/繊維材料に金属を組み込むことができる。
・物体の内部や表面の微細な凹凸に金属が析出する。そのため、繰り返し延伸したり、屈曲させたりしても、剥離による劣化がない(耐久性に優れる)。
新技術の特徴
・操作が簡単
・幅広い高分子や繊維材料に適用可能
・あらゆる材料が電気伝導体に変わる
想定される用途
・ソフトエレクトロニクス(導電性ゴム/フィルム/繊維)
・センサ
・熱輸送、触媒
- 機械
京都工芸繊維大学 機械工学系 准教授 山川 勝史
新技術の概要
時空間4次元ベースの解法に計算領域そのものを移動させる概念を融合させた計算手法を使用することで、ヘリコプターの離着陸やチルトローター機の飛行モード変更など複雑な動きを高精度に再現できるシミュレーション技術である。
従来技術・競合技術との比較
一般的に移動体周りの流れ場は一様流中に固定された物体流れとして計算される。よって等速直線運動のみの評価となる。これに対し本技術は、加減速上昇下降旋回等物体の全ての動きを再現可能であると共に、領域そのものを移動させることで計算の制限を解除できる。例えば成田空港からJFK空港までの連続計算も可能である。
新技術の特徴
・移動体の加減速、回転、上昇等あらゆる動きを再現できるシミュレーション技術である。
・計算領域の制限が無いため、超ロングレンジでの計算が可能である。
・4次元の時空間を同時に解くため、計算精度が著しく高い。
想定される用途
・航空機の針路予測を飛行中に行うことで(未来予測)、乱気流回避など安全装置として利用できる。
・飛行機の墜落予測など、実験が不可能なケースにおける高精度解析が可能。
・人体周り等への適用も可能なので、世界記録を狙える泳法・走法などの開発にも応用可能。
- 情報
京都工芸繊維大学 情報工学・人間科学系 教授 寶珍 輝尚
新技術の概要
等速で直進運動をしている運転者や移動者の視線の座標から、時間―座標平面での回帰直線を求め、その直線の傾きならびにその直線と中心線との切片を使用し、直線の適応的な同一性判定により、運転者や移動者が同一物を注視していることを、高精度、低コストで検出する。
従来技術・競合技術との比較
移動していない場合の注視点はフィルタリングやクラスタリング等の技術を用いて検出できるが、移動している場合は注視点の座標が異なるため、これらの技術では同一物を注視しているかの判定は不可能である。また、画像処理により同一物を注視しているかを検出する方法もあるが、画像処理には高いコストが必要である。
新技術の特徴
・移動時の同一注視物を検出可能
・画像処理を必要とせず低コストで実施可能
・リアルタイム検出へも適用可能
想定される用途
・自動車、自転車や飛行機等の運転時や歩行時の視線解析
・運転シミュレータにおける視線解析
・動きを伴うゲームにおける視線解析
- 機械
京都工芸繊維大学 機械工学系 助教 東 善之
新技術の概要
本技術は永久磁石とコイルを組み合せた永電磁石を用いた吸着装置を対象として、より高い吸着力生み出すよう磁化タイミングを制御する技術と、対象に吸着した際の吸着力を推定し、十分な吸着力を発揮しているか否かを、作業者が吸着装置や吸着対象に触れることなく判定するための技術である。
従来技術・競合技術との比較
永電式磁石では、磁化時に対象物との間に隙間があると吸着力が低減する点と吸着後の吸着力が不明である点が問題であった。本技術では永電式磁石のコイル端での電圧を監視することで対象物への接近を検出し、最大吸着力での確実な吸着を実現するとともに、磁束密度に基づき十分な吸着力を発揮しているか判定可能になった。
新技術の特徴
・対象物への接近を誘導起電力により検出
・最大吸着力での確実な吸着
・対象物への吸着状態を非接触で判定可能
想定される用途
・ハンドの先端など移動を伴う物体の吸着
・遠隔地での吸着
・閉鎖された環境内での吸着
関連情報
展示品あり
お問い合わせ
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