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理化学研究所 新技術説明会

日時:2019年05月28日(火) 10:00~14:55

会場:JST東京本部別館1Fホール(東京・市ケ谷)

参加費:無料

主催:科学技術振興機構、理化学研究所

後援:特許庁、関東経済産業局

発表内容詳細

  • 情報

1)自然動画の動きを検出する画像特徴量を抽出する方法

発表資料

理化学研究所 革新知能統合研究センター 身体知伝達技術チーム  客員研究員 鈴木 航

新技術の概要

自然動画から心理学・神経科学的に自然な動きを抽出し、それをオプティカルフローとして再構成するアルゴリズムを開発した。本アルゴリズムはヒトが認識する動きを自然動画から再現できることから、ヒトが行うことのできる動画処理を機械で可能にする技術に応用できるものと期待される。

従来技術・競合技術との比較

他の動き検出アルゴリズムに比較して、前提とする制約条件が少なく、さらに動きの抽出に対する制約を空間的に限定できることから、コンピュータビジョンのオプティカルフローアルゴリズムとしての正確性が増すと考えられる。

新技術の特徴

・霊長類の視覚系との整合性
・静止画にはない動き情報を特徴量と定義
・原理的な計算量の軽減

想定される用途

・医療機器・ヘルスケア(障害の診断および進行・回復の評価)
・監視システム(動き情報の特徴に基づく対象やイベントの検出)
・画像システム(機械学習の前処理)

関連情報

・サンプルあり

  • デバイス・装置

2)非被爆血管内治療シミュレータ

発表資料

理化学研究所 光量子工学研究センター 画像情報処理研究チーム チームリーダー 横田 秀夫

新技術の概要

血管内治療は低侵襲かつ生体深部の治療ができるなど重要な治療法である。この治療法では、ガイドワイヤーの位置をX線透視で確認しながら患部に到達することから術者の技量に左右される手法である。そのため、血管内治療のための操作をトレーニングすることが重要である。本技術は非被爆にてX線下血管内治療を模擬できるシミュレーション手法である。

従来技術・競合技術との比較

カテーテルシミュレーションでは、血管のモデルに対してカテーテルの動きを血管内治療で用いるX線投影装置下でトレーニングすることが行われている。この方法では、術者の被爆やトレーニングのための施設が限られる。一方、透明な血管モデルを用いて外部から白色光で観察する方法も簡便な物として行われているが、実際のX線透視の状況と異なることから非被爆かつ簡便なトレーニング法の開発が望まれている。本法は、蛍光色素と蛍光観察装置からなるシステムにて非被爆かつ安価に実際の状況を反映したトレーニングを実現する。

新技術の特徴

・X線透視下模擬トレーニング
・非被爆
・安価

想定される用途

・医師のカテーテル手術トレーニング
・新術式開発
・血管内治療装置開発

関連情報

・サンプルあり

  • デバイス・装置

3)トポロジカル絶縁体デバイス: 新しいエレクトロニクスの指導原理

発表資料

理化学研究所 創発物性科学研究センター 強相関量子伝導研究チーム 特別研究員 吉見 龍太郎

新技術の概要

磁場の印加なしに発現する量子異常ホール効果を用いることで、非散逸一次元伝導状態を実現する。
特に磁気力顕微鏡による強磁性ドメイン制御や、アルゴンイオンビームの照射による保磁力変調を行うことで、非散逸伝導の空間制御を可能にする。

従来技術・競合技術との比較

電子が散乱しない非散逸伝導を生じる現象としてこれまで量子ホール効果が知られてきたが、その実現には数テスラから10テスラ程度の強磁場が必要であった。
今回の技術では磁化を用いることで無磁場における非散逸伝導の実現を可能にする。

新技術の特徴

・無磁場において発現する量子異常ホール効果を用いること。
・強磁性の磁区制御により非散逸一次元伝導の制御が可能であること。
・アルゴンイオンビームの照射によって強磁性の保磁力を変調可能であること。

想定される用途

・論理回路
・磁気センサー
・メモリ装置

関連情報

・外国出願特許あり

  • 材料

4)生体親和性リン脂質ナノシートの作成とその高い皮下浸透性

発表資料

理化学研究所 創発物性科学研究センター 創発生体関連ソフトマター研究チーム 特別研究員 内田 紀之

新技術の概要

皮膚組織へと効果的に浸透する新規リン脂質ナノシート(バイセル)を開発した。このバイセルは市販のリン脂質を水に分散させるだけで作成することができ、スキンケア材料や薬剤送達システムとして利用できることに加え、ある濃度において構造色を呈するフォトニック結晶を形成する。

従来技術・競合技術との比較

従来バイセルはリン脂質と界面活性剤を混合することで作成されており、この界面活性剤が生体毒性やバイセルの不安定性を招き、実用的な応用はされてこなかった。本技術おける界面活性剤を使用しないバイセルは既存の課題を解決することに加え、簡便な分子封入、微粒子化など魅力的な機能を有した新規薬剤送達システムを提供する。

新技術の特徴

・高い皮下浸透性を示すリン脂質ナノシート
・市販のリン脂質を水に分散させるだけで作成可能
・構造色を生じるフォトニック結晶の形成

想定される用途

・化粧品などのスキンケア材料
・薬剤送達システム
・構造色を利用したフォトニック材料

関連情報

・サンプルあり

  • デバイス・装置

5)非破壊で生体・複合材内深部を観察できる光音響顕微鏡

発表資料

理化学研究所 光量子工学研究センター 光量子制御技術開発チーム 研究員 丸山 真幸

新技術の概要

光音響イメージングは非破壊・非侵襲で複合材や生体内部の観察ができる新しい観察技術である。光と超音波を併用することで、光学顕微鏡より深い領域を、超音波エコーより高分解能で得ることができる。本技術では素材を見分ける機能を付与する波長可変光源と組み合わせて、位置ずれなく深部3次元像を得ることができる。

従来技術・競合技術との比較

従来の光音響顕微鏡は素材を見分ける機能イメージングを行うと、光学系の波長分散により、得られる像の位置にずれが発生してしまう。そこで反射光学系や対称光学系を用いることで波長依存性を無くし、ずれ発生を抑制した。また、集光効率を高め、表層観察における高分解能と、深部観察における高深達性を両立させた。

新技術の特徴

・深部観察が可能である
・複数物質分布計測でも像ズレがない
・表層観察では高分解能が得られる

想定される用途

・非侵襲医療診断
・非破壊内部検査
・バイオマーカーイメージング

  • 材料

6)希土類触媒による新しい自己修復ポリマーの開発

発表資料

理化学研究所 環境資源科学研究センター 先進機能触媒研究グループ 専任研究員  西浦 正芳

新技術の概要

希土類金属触媒を用いることにより、極性オレフィンとエチレンとの精密共重合を達成し、乾燥空気中のみならず、水や酸、アルカリ性水溶液中でも自己修復性能や形状記憶性能を示す新しい機能性ポリマーの創製に成功した。

従来技術・競合技術との比較

水素結合やイオン結合などを活用する従来の自己修復性材料は、水中ではそれらの相互作用が弱められるため、うまく機能しないことがある。新ポリマーにおけるアニシルプロピレンとエチレンからなるネットワーク構造は、水の影響を受けないため、水、酸やアルカリ性水溶液中でも自己修復性を発現できる点に大きな特徴がある。

新技術の特徴

・大気中だけではなく、水、酸やアルカリ性水溶液中でも自己修復可能
・形状記憶材料として機能
・置換基の適切な選択によって熱物性および機械物性を制御可能

想定される用途

・塗料やコーティング剤としての利用
・人工臓器やインプラントなどの医療分野での利用
・構造物におけるシーリング材としての利用

関連情報

・サンプルあり
・デモあり
・外国出願特許あり

  • デバイス・装置

7)ナノスケールらせん磁性体を用いたインダクター

発表資料

理化学研究所 創発物性科学研究センター 強相関理論研究グループ 副センター長 永長 直人

新技術の概要

らせん構造を持つ磁性体に交流電流を流すと、磁気構造が変調され、それが伝導電子と結合することで電流の時間微分に比例した交流電圧降下を引き起こす。この過程はインダクタンスそのものであり、物質そのものがインダクターとなるだけでなく微細化が可能である。

従来技術・競合技術との比較

通常のコイル構造のインダクターはそのインダクタンスが巻き数と断面積に比例することから体積に比例することから微細化が困難であった。今回のインダクターは、断面積に逆比例するため微細化によりインダクタンスが増大するという特徴を持つ。

新技術の特徴

・コイル構造のインダクターをナノスケールのらせん磁気構造で置き換えることで鉄心などが不要となる。
・インダクタンスが断面積に逆比例するために微細化が可能

想定される用途

・携帯電話等のIT機器の中の電圧変換
・その他高密度回路におけるインダクター

  • 材料

8)バイオディーゼル燃料合成からエステル化まで

発表資料

理化学研究所 環境資源科学研究センター グリーンナノ触媒研究チーム チームリーダー 山田 陽一

新技術の概要

脂肪酸から第2世代型バイオディーゼル燃料合成へ変換する効率的な触媒を開発しました。この時の共生成物は石油合成原料の一酸化炭素のみで二酸化炭素は生成しません。この触媒は再利用可能です。さらに第1世代型バイオディーゼル燃料合成(エステル化)に有効な触媒も開発しましたので併せて説明いたします。

従来技術・競合技術との比較

既存の触媒は高圧、高温度を要し、また触媒の再利用に問題がありました。しかしこの触媒は触媒量の低減、再利用性の向上が見られました。また多数のシリコン繊維間の隙間を活用したフロー型エステル合成システムで収率が向上しました。

新技術の特徴

・高活性・高再利用性触媒の開発
・第1世代、第2世代のバイオディーゼル燃料合成が容易

想定される用途

・バイオディーゼル燃料合成
・エステル合成
・アクリル酸エステル類縁体合成

関連情報

・サンプルあり

お問い合わせ

連携・ライセンスについて

理化学研究所 産業連携部 産業連携推進課
TEL:048-462-5475 FAX: 048-462-4718
Mail:cs-officeアットマークriken.jp
URL:http://www.riken.jp/

新技術説明会について

〒102-0076 東京都千代田区五番町7 K’s五番町

TEL:03-5214-7519

Mail:scettアットマークjst.go.jp

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