静岡大学 新技術説明会
日時:2019年11月07日(木) 13:30~15:25
会場:JST東京本部別館1Fホール(東京・市ケ谷)
参加費:無料
主催:科学技術振興機構、静岡大学
後援:特許庁、関東経済産業局
発表内容一覧
発表内容詳細
- 材料
1)低コストで効果的なセルロース系繊維の疎水化処理法
発表資料静岡大学 農学部 ふじのくにCNF寄附講座 特任教授 青木 憲治
新技術の概要
バイオエコノミーの観点から、今後、セルロース/樹脂複合材料の利用が加速すると考えられる。しかし、セルロース系材料は親水性であり、これをポリプロピレン等に均一分散させることは困難である。本技術は、低コストなセルロースの化学修飾手法であり、この処理によりセルロースを樹脂中に均一に分散させることが可能となる。
従来技術・競合技術との比較
セルロース系材料をポリプロピレン等の樹脂に複合化するためには、セルロースの疎水化が必要であり、脂肪酸、無水酢酸等が検討されている。しかし、中和等の精製処理が必要であり、また、樹脂への分散性は不十分である。本技術は、セルロースに有機性の長鎖分岐を導入するものであり、樹脂への相溶性、分散性が向上する。
新技術の特徴
・低コストなセルロース系繊維の疎水化処理法
・セルロース系材料をポリプロピレン等の無極性樹脂に分散させるための化学修飾技術
・セルロース系材料とポリオレフィン系樹脂およびエラストマーとの複合化技術
想定される用途
・家電、建材等の部品
関連情報
・サンプルあり
- 分析
2)過塩素酸イオンの簡便な呈色剤
発表資料静岡大学 グリーン科学技術研究所 グリーンケミストリー研究部門 教授 近藤 満
新技術の概要
過塩素酸イオンは子供の成長を阻害する有害性をもちながら、飲用水や果物から検出され、米国を中心に社会問題となった陰イオンである。100ppbレベルの感度で、水溶液中の過塩素酸イオンに応答して、色素を放出して着色する、過塩素酸イオンの検出剤について紹介する。
従来技術・競合技術との比較
既存の技術として、過塩素酸イオンを捕捉してカプセル分子を形成することにより、過塩素酸イオンを呈色する方法が本発明者により報告されているが、感度が低く(1000ppb)、また、呈色剤の合成が難しい。本発明は、機器分析を用いることなく、混ぜるだけで、高い感度で過塩素酸イオンを検出できる新しい技術である。
新技術の特徴
・過塩素酸イオンを簡便・高感度に検出
・材料の合成が安価で容易
・米国で広いニーズが見込まれる
想定される用途
・環境水の過塩素酸イオンの検出
・排水中の過塩素酸イオンの検出
・排水中のテトラフルオロホウ酸イオン(フッ化ホウ素酸イオン)の検出
関連情報
・サンプルあり
・展示品あり
- 情報
3)遠くでも目と目が合う遠隔対話、覗き込める遠隔観察システム
発表資料静岡大学 大学院総合科学技術研究科 工学専攻 機械工学コース 教授 海老澤 嘉伸
新技術の概要
遠隔の人と目を合わせて会話可能なスマートフォンにも応用できるコンパクトシステム。画面上で頭部が大きく動いても、相手の顔や物体の映像を、観た位置から歪の無いリアルな映像を実時間で観察可能な技術。頭部や目の3次元位置に合わせ遠隔カメラを動かす遠隔観察システム。顔画像から口領域を正確に抽出する技術等を提案。
従来技術・競合技術との比較
PCディスプレイ、タブレットやスマーフォン等で、遠隔の人と意思や情感などを正確に伝えるには、互いに目と目を合わせることは重要であろう。しかし、コンパクトな目と目が合うハードウェアは存在しない。目の部分の画像を変形させて、目と目が合っているように見せかける技術が既にあるが、本当の目が見たいのではないか。
新技術の特徴
・遠隔の人との目と目を合わした会話(複数人 対 複数人を含む)を実現するシステム。
・目(瞳孔)の3次元位置を利用して、観察者の頭部が動いても、観察者から見て歪が無くサイズを調整した顔映像や物体映像を生成し、画面に表示する。
・頭部や目の位置に合わせて遠隔にあるカメラを動かし、居ながらにして遠隔の物体のリアルな映像をリアルタイムで観察できる。
・顔の口領域画像を実時間で正確に指定できる。
想定される用途
・スマートフォンやパソコンでの遠隔の人どうしの心の通じ合う会話システム
・意思の疎通が図りやすい遠隔テレビ会議システム
・遠方にある美術品等の遠隔鑑賞や原発等の危険地域、宇宙等の人の行けない領域での観察システム
・音声入力がしにくい環境(騒音のある電車内、静かな会議室内等)での口パクによる文字入力(読唇文字入力)
- 医療・福祉
4)哺乳類個体におけるin vivoイメージングが可能な近赤外蛍光プローブの開発
発表資料静岡大学 理学部 生物科学科 特任助教 伏見 圭司
新技術の概要
シアノバクテリアが有する光受容体・シアノバクテリオクロムの中で例外的に哺乳類内在色素・ビリベルジンを結合する分子を以前に同定している。本技術では、この分子の配列を基に、ビリベルジン結合に重要な4つのアミノ酸残基を導入することで、ビリベルジン結合型分子の合理的設計に成功した。
従来技術・競合技術との比較
これまでに、バクテリオフィトクロムと呼ばれる分子を基にしたビリベルジン結合分子の開発が精力的に行われてきたが、本技術では、シアノバクテリオクロムという光受容体に着目している。シアノバクテリオクロムはバクテリオフィトクロムよりも分子サイズが大幅に小さいことが大きな利点となる。
新技術の特徴
・ビリベルジンの結合に重要な4つのアミノ酸残基を同定した
・これらをビリベルジン非結合分子に導入することで、ビリベルジン結合能を付与することに成功した
・そのうちの一つは、マウス肝臓において、遠赤色光を吸収し、近赤外蛍光を発するプローブとして機能した
想定される用途
・哺乳類個体におけるin vivo蛍光イメージング
・哺乳類個体におけるin vivoオプトジェネティクス
関連情報
・サンプルあり
お問い合わせ
連携・ライセンスについて
静岡大学 イノベーション社会連携推進機構
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