【一部オンライン開催】神戸大学 新技術説明会
日時:2020年10月15日(木) 11:00~15:25
会場:Zoomビデオウェビナーによるオンライン開催および本Webサイトでの技術の紹介
参加費:無料
主催:科学技術振興機構、神戸大学
発表内容一覧
- 【オンライン開催】iPS細胞を用いた男性更年期障害(LOH症候群)の新規治療剤の開発 発表資料 プレゼン動画
- 【オンライン開催】デザインペプチドによる脂肪分解 発表資料 プレゼン動画
- 【オンライン開催】セルロースなど難溶解性バイオマスからメタンガスを効率よく回収できる発酵技術 発表資料 プレゼン動画
- 【オンライン開催】グルコースをシローイノシトールへ変換する枯草菌細胞工場 発表資料 プレゼン動画
- 【オンライン開催】アンチエイジングに向けた新規の栄養介入・運動処方の開発 発表資料 プレゼン動画
- 【オンライン開催】Mie共鳴により発色するナノ粒子カラーインクの開発 発表資料 プレゼン動画
- 【オンライン開催】近赤外分光法による環境・作物汚染の非破壊適時診断法 発表資料 プレゼン動画
- 【Webサイトでの技術紹介】酵母での鉄代謝機構改変による医薬・化成品原料等のバイオ生産 発表資料
発表内容詳細
- 医療・福祉
神戸大学 大学院科学技術イノベーション研究科 教授 青井 貴之
新技術の概要
加齢に伴う男性ホルモンの低下に起因し、様々な症状を認める加齢性男性性腺機能低下症候群(LOH症候群)、いわゆる男性更年期障害が問題となっている。
本研究では、ヒト多能性幹細胞に特定の遺伝子を導入して過剰発現させることで、ライディッヒ様細胞を作製する方法およびLOH症候群の治療剤、改善剤を提供する。
従来技術・競合技術との比較
LOH症候群の治療としては、テストステロン( testosterone) のホルモン補充療法が行われているが、生理的な分泌パターンと異なったホルモン値を呈し、作用時間も短いため、反復投与が必要であり、患者の負担が大きい。また、ヒト多能性幹細胞からテストステロン産生能を有するライディッヒ様細胞を作製したとの報告はまだない。
新技術の特徴
・ヒト多能性幹細胞からテストステロン産生能を有するライディッヒ様細胞を作製
・本技術より得られた細胞は、ライディッヒ細胞の指標となるマーカーを発現する
・免疫隔離処理した細胞を移植することで、細胞移植に伴う拒絶反応や細胞の拡散・浸潤を防ぐことが可能
想定される用途
・LOH症候群の治療剤、改善剤
・ライディッヒ様細胞を用いた評価系の構築
・発生学研究
- アグリ・バイオ
神戸大学 大学院理学研究科 化学専攻 研究員 飯田 禎弘
新技術の概要
天然に存在する加水分解酵素の機能部位を取り入れた、比較的小さなペプチドを設計、合成した。このペプチドは一分子で、脂肪細胞の中の脂肪滴に含まれるトリグリセリドを脂肪酸とグリセロールに分解する。加水分解能を有する。
従来技術・競合技術との比較
天然の脂質分解酵素は3つあるエステル結合の中で1つしか切れないが、このペプチドは3つとも切ることができ、コストパフォーマンスが良い。また、従来ある抗肥満薬との大きな違いは、脂肪細胞に直接働きかけ、脂質を分解することで脂肪を減らすことである。
新技術の特徴
・ペプチドによるエステル結合の分解
・基質特異性を持たない分解反応
想定される用途
・抗肥満薬
・水溶媒中でのエステル化合物の分解
・エステル化合物からアルコール化合物の生成
- アグリ・バイオ
神戸大学 大学院科学技術イノベーション研究科 客員准教授 佐々木 建吾
新技術の概要
セルロースを炭素源とした培地を基質として使用した。前段の処理であるバイオ電気化学システムとして2.7µA/cm2の微弱な電流を流し、後段として微生物付着担体を充填した。2段発酵により、電気化学システムを持たない、ないしは微生物付着担体を持たない2段発酵と比べてセルロースからのメタン回収を増加させる事が可能であった。
従来技術・競合技術との比較
・電気化学システムとして、安価な炭素電極を用いている。また、電極表面に微弱な電流を流す制御方式を取っているため、エネルギー消費量を低く抑えている。(従来技術は高価な電極を使用して、また制御方式が異なる)
・本方式により、セルロースからのメタン生成の促進が後段の固定膜発酵で発揮されている。
新技術の特徴
・前段で微弱な電流を流す
・後段で導電性付着担体を充填する
・セルロース系基質からのメタン回収率を増加させる
想定される用途
・難分解性物質の処理
・廃水/廃棄物の嫌気処理
・バイオガス(メタン・水素)回収/利用
- アグリ・バイオ
神戸大学 大学院科学技術イノベーション研究科 教授 吉田 健一
新技術の概要
アルツハイマー病の予防・治療への適応が検討されている希少イノシトールであるシローイノシトールをグルコースを原料として生産する枯草菌を育種した。20 g/Lのグルコースから2~3 g/L相当のシローイノシトールが単回培養で得られる。
従来技術・競合技術との比較
従来技術は米ぬか等の植物資源より分離したミオーイノシトールをシローイノシトールに変換するものであり、一層安価なグルコースを原料とすることで生産コストは現状で見積もって少なくとも1/3以下となり、さらなる技術向上も見込まれている。
新技術の特徴
・アルツハイマー病への適応あるシローイノシトールを安価なグルコースから生産する。
・枯草菌を単に培養するだけで上記生産が可能である。
・20 g/Lのグルコースから2~3 g/L相当のシローイノシトールが単回培養で得られる。
想定される用途
・アルツハイマー病の予防・治療に役立つ化合物の製造法
・シローイノシトールを分子シャペロンとして用いる新規用途(タンパク質の重合阻害剤など)
- 医療・福祉
神戸大学 大学院人間発達環境学研究科 人間発達専攻 准教授 佐藤 幸治
新技術の概要
性ホルモンは加齢とともに低下するが、肥満や糖尿病の発症にも関与している可能性がある。これまでの研究で、習慣的な運動や性ホルモンの産生を促進する栄養成分の摂取により血中の性ホルモン濃度が増加することを明らかにしている。さらに、性ホルモンは免疫力、認知機能、筋量の増大、骨密度の増大、皮膚再生にも関与していることから、アンチエイジングにも貢献できる。
従来技術・競合技術との比較
性ホルモンの産生を促進する栄養成分であるジオスゲニンは、山芋や自然薯に多く含まれているが1日に10kg以上の摂取が必要となる。これまでの研究で、多くのジオスゲニンを含んだトゲドコロ芋を用いて性ホルモンが増大する効果が認められ、適切な摂取量についても知見を得ており、サプリメントや食品に含有した製品開発も可能である。
新技術の特徴
・女性における月経痛や月経前症候群を緩和、高齢女性における骨密度の増加、お肌への効果
・運動時間を減らしたり軽い運動で減量(トゲドコロ芋摂取と併用)
・トゲドコロ芋の栽培の活性化(現在、沖縄、石垣島のみで栽培)
想定される用途
・超高齢化社会における健康寿命の延伸
・メタボリックシンドローム等の医療費削減
・効率的な減量
- 材料
神戸大学 大学院工学研究科 電気電子工学専攻 助教 杉本 泰
新技術の概要
半永久的に変色・退色しないフルカラーインク開発に向けて、我々は粒径100 nm程度の半導体(シリコン)ナノ粒子(粒径100 nm程度)の分散溶液を提案します。従来とは異なる発色原理により単一の粒子が非常に彩度の高い発色を示し、ナノ粒子インクとして広範な基材に鮮やか且つ退色しない染色が可能になります。
従来技術・競合技術との比較
顔料や染料は有機色素が可視光の特定の波長を吸収する性質を利用して発色するため、いずれ分解されて退色してしまいます。無機材料による構造色技術が注目されていますが、複雑な構造もしくは高価な貴金属のみで発色が実現されてきました。本研究では資源豊富なシリコンで安定且つ高彩度なインクを開発します。
新技術の特徴
・低環境負荷且つ退色しない無機ナノ粒子インク
・単一ナノ粒子による回折限界以下サイズでの発色
・粒子サイズによる広範な発色波長制御性
想定される用途
・高精細な発色が可能なインクジェット印刷用インク
・大面積に染色可能な水性塗料
・波長選択性を有する光拡散・散乱材料
関連情報
サンプルあり
- 計測
神戸大学 バイオシグナル総合研究センター 准教授 乾 秀之
新技術の概要
環境残留性の高い農薬などによる環境汚染は、食物連鎖によって人に毒性を示す。土壌・水等の栽培環境を反映する作物汚染は、食品の安全性保証の原点となる。従来の汚染検出技術では、煩雑な作業によるコスト増加が懸念される。そこで、非破壊適時分析が可能な近赤外分光法を用いて、環境・作物における新規な汚染検出技術を開発した。
従来技術・競合技術との比較
従来の土壌・水、収穫物中の農薬や汚染物質の分析では、抽出・精製・濃縮等の前処理作業後、機器分析に供する。これは破壊検査であり、煩雑な分析前処理や高額な機器が必要なため、適時分析には適さない。本技術は機器分析に先立って、その実施要否をスクリーニングするために短時間、低コスト、非破壊的に分析する方法である。
新技術の特徴
・非破壊的に検査(簡便な分析、抽出・精製・濃縮作業不要)
・大量の検体を適時に分析可能
・安全な操作、短時間、低コスト(試薬不要、安価な機器)
想定される用途
・作物を汚染する農薬、汚染物質等の分析
・作物の栽培環境(土壌・水)を汚染する物質の分析
- アグリ・バイオ
8)【Webサイトでの技術紹介】酵母での鉄代謝機構改変による医薬・化成品原料等のバイオ生産
発表資料神戸大学 先端バイオ工学研究センター センター長・教授 蓮沼 誠久
新技術の概要
酵母におけるブタントリオール生産のボトルネックが鉄硫黄タンパク質による酵素反応であることを見出し、鉄代謝機構を改変することで当該酵素の活性を6倍向上させることができた。この手法を用いることで世界最高濃度でのブタントリオール生産に成功し、さらに廃棄物系バイオマス(稲わら)からの生産も実現した。
従来技術・競合技術との比較
本研究のブレイクスルーは、従来困難であった鉄硫黄タンパク質の機能発現(活性を持った状態で発現させること)である。これにより、先行研究よりも高濃度の高付加価値物質生産につながった。加えて、バイオマスを原料にした発酵生産を実現した点も特筆に値する。
新技術の特徴
・鉄の代謝機構を改変する技術を開発したこと
・医薬品・化成品原料として有用なブタントリオールの高生産技術を開発したこと
・持続可能な資源であるバイオマスからの物質生産プロセスを開発したこと
想定される用途
・バイオプロセスによる有用物質生産
・バイオマスからのサステイナブルな物質生産
・鉄代謝改変を必要とする様々な有用物質生産プロセスへの展開
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