慶應義塾大学 新技術説明会【オンライン開催】
日時:2021年12月16日(木) 13:00~15:55
会場:オンライン開催
参加費:無料
主催:科学技術振興機構、慶應義塾大学
発表内容一覧
発表内容詳細
- 13:00~13:25
- 計測
慶應義塾大学 理工学部 機械工学科 専任講師 高橋 英俊
新技術の概要
MEMS(Micro Electro Mechanical Systems)技術によって製作した小型で高感度な差圧センサ素子を利用することで、体内の内圧、風速・風向などの流体力、人には聞こえない低周波数での空気の微小な振動、気圧変化による高度変化などを計測する技術である。
従来技術・競合技術との比較
センサ素子として、ピエゾ抵抗型のカンチレバー構造を用いているため、従来のメンブレン型のセンサ素子と比較して、圧力に対して感度が高いという特徴を持つ。また大きな力をかけてもカンチレバー周りから空気が逃げるため、壊れにくいという特徴を有する。
新技術の特徴
・センサ素子が単純であるため、小型・高感度・低消費電力であり、さらに小さく非常に薄いため、加速度に反応しない
・圧力、音波、風速、振動、回転など力に対する応答を高感度に計測できる
・空気の振動として人には聞こえない1Hz以下から、超音波領域である20kHz以上を同時に計測できる
想定される用途
・注射器型の内圧センサ
・小型・高感度な流体力センサ
・超低周波数領域に特化した空振センサ
- 13:30~13:55
- 機械
慶應義塾大学 理工学部 システムデザイン工学科 教授 桂 誠一郎
新技術の概要
本技術はモータの固定子と回転子をそれぞれリンクに埋め込むことで、従来のリンクと比較してリンク構造の低慣性化の実現を可能にするものである。さらに、低慣性化のみならず、リンクを駆動する部品点数を削減することもでき、剛性低下に関する問題も解決できる。
従来技術・競合技術との比較
従来技術ではモータ、リンク、リンクの軸、カップリング等を必要としていたが、本技術はリンクとアクチュエータが一体化されているため、カップリング等接続部品が不要になるばかりでなく、回転軸の共有化など、部品点数の削減ももたらす。
新技術の特徴
・モータ駆動のための固定子と回転子を関節に埋め込んだ新たなアクチュエータとして利用可能
・リンクの一方を固定子とし、もう一方を回転子とすることで、リンクとアクチュエータを一体化可能
・リンクとアクチュエータを一体化した機構により、多自由度マニピュレータの低慣性化を実現
想定される用途
・マニピュレータ・ロボット全般
関連情報
・サンプルあり
- 14:00~14:25
- 材料
3)小規模データのマテリアルズインフォマティクス
発表資料慶應義塾大学 理工学部 応用化学科 准教授 緒明 佑哉
新技術の概要
化学・材料分野において、小規模な実験データや文献データに適用可能なマテリアルズインフォマティクスの方法論を紹介する。本手法では、スパースモデリングと化学的知見を組み合わせることで、ラボレベルの小規模な実験データからであっても、プロセス最適化、性能向上、物質探索を簡易な予測モデルを構築できる。
従来技術・競合技術との比較
一般的なマテリアルズインフォマティクスでは、大規模データや複雑なアルゴリズムの機械学習が用いられる場合が多く、小規模なデータへの適用は容易ではなかった。また、研究者の知見や考察との融合が容易ではないことや、結果の解釈性の低さが問題となることがあった。本手法は、これらの問題点を克服している。
新技術の特徴
・小規模データ(実験、文献データ)へのマテリアルズインフォマティクスの適用
・機械学習と研究者の考察の融合による解釈性の高い予測モデルの構築
・プロセス最適化、性能向上、物質探索への適用
想定される用途
・材料物性の目標値達成へ向けた最適条件探索
・支配因子が解明できていない現象の解明とその制御
・研究者の熟練の経験と勘も活用した新材料開発
関連情報
・サンプルあり
- 14:30~14:55
- 医療・福祉
慶應義塾大学 大学院 政策・メディア研究科 特任教授 杉本 昌弘
新技術の概要
高侵襲外科手術に起こりやすい「せん妄」は、実臨床で困る術後症状であり、患者指針のQoLの低下につながる。本技術は血中のバイオマーカーを用いて「せん妄」の高精度な予測を可能とする。
従来技術・競合技術との比較
従来は血中サイトカインをマーカーとする事例があったが、手術による炎症の影響も関係するために予測精度が低かった。本技術では数個の代謝物の定量値を用いる点が異なり、同一検体にて本手法の精度の優位性を確認している。
新技術の特徴
・臨床的に予測のニーズが高い症状を事前に予測することができる
・同様の開発アプローチで他の代謝関連・精神疾患関連のマーカーも開発が可能だと推測される
・早期介入、医療安全の確保、看護師の安全確保、適切な人材配置などを可能とする
想定される用途
・最大でバイオマーカー対象件数(国内):2427万件/年の利用が見込める
ハイリスク集団の65歳以上の入院高齢者=93万人/日×半数が週に1度検査を受けたと仮定
・過活動型せん妄と低活動型せん妄の予測を行い、適切な介入を行う。
- 15:00~15:25
- 材料
慶應義塾大学 理工学部 応用化学科 専任講師 蛭田 勇樹
新技術の概要
卵殻は家庭・産業廃棄物として年間30万トンも廃棄されているが、その化学的性質に注目すると多孔性構造を持ちアルカリ耐性が高い。本研究では卵殻の特性を活用した高アルカリ耐性カラム充填剤を開発した。
従来技術・競合技術との比較
現在汎用されているシリカ充填剤では使えないアルカリ性移動相での安定な分取が可能である。また、産廃費を払って処理されている卵殻を付加価値製品として再利用できる。
新技術の特徴
・卵殻という生物由来で大量に安価に入手可能な産業廃棄物を利用
・汎用されているシリカゲルでは使えない強アルカリ性移動相での分離が可能
想定される用途
・高速液体クロマトグラフィー用カラム充填剤
・中圧分取液体クロマトグラフィー用カラム充填剤
関連情報
・サンプルあり
- 15:30~15:55
- デバイス・装置
慶應義塾大学 理工学部 機械工学科 教授 尾上 弘晃
新技術の概要
経口摂取可能なデバイスは、消化器官の病理の診断および治療を低負担で行うことができる機器として注目されている。これは非常に簡便で生体内の様々な情報を取得することが可能である。
従来技術・競合技術との比較
従来研究では不消化性の材料でできておりバッテリーなどに有毒性物質が含まれているなど安全なものとは言えなかった。そのためクローン病や腸閉塞といった持病がある人は生体内滞留のリスクを伴う。そこで、消化可能な材料のみを用いて作製することで、これらの問題点を解決することができる。
新技術の特徴
・メタマテリアル構造による検知原理
・経口摂取可能な完全自然分解センサ
・電磁波とデバイスの分解による新しい検知方法
想定される用途
・消化器官の病理診断
・メタマテリアルをセンサプローブとして利用した土壌のpH検出
・食品の鮮度の検出
お問い合わせ
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