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大阪大学 新技術説明会【オンライン開催】

日時:2022年02月03日(木) 10:00~15:55

会場:オンライン開催

参加費:無料

主催:科学技術振興機構、大阪大学

発表内容詳細

  • 10:00~10:25
  • 環境

1)バイオガスを液体燃料へ 〜カーボンニュートラル循環型酪農〜

発表資料

大阪大学 高等共創研究院  教授 大久保 敬

http://www.irdd.osaka-u.ac.jp/ohkubo/

新技術の概要

家畜ふん尿の嫌気性発酵から得られるバイオガスに含まれているメタンガスを二酸化塩素による常温・常圧光反応でメタノールとギ酸に変換。10L反応容器によるバルク合成も可能であることを確認済み。ギ酸は飼料添加剤として使用できることからカーボンニュートラル循環型酪農に繋がる。

従来技術・競合技術との比較

酪農・畜産で得られるバイオガスはガス発電機で電気に変え売電による収益で運営されていた。しかし再生可能エネルギーの固定価格買取(FIT)制度が利用しにくくなっていることが問題になっている。一方、メタンの空気酸化法は本技術以外に有用なものは報告されていない。

新技術の特徴

・バイオガス中のメタンガスをメタノールやギ酸など液体燃料に変換
・高価な触媒や酸化剤は不要
・ギ酸はサイレージ製造の添加剤として利用可能

想定される用途

・酪農
・畜産
・バイオマス処理

関連情報

・サンプルあり

  • 10:30~10:55
  • アグリ・バイオ

2)蛋白質の細胞内直接立体構造解析のためのナノダイヤモンド分極剤

発表資料 プレゼン動画

大阪大学 蛋白質研究所 准教授 松木 陽

http://www.protein.osaka-u.ac.jp/biophys/bussei.html

新技術の概要

核磁気共鳴(NMR法)による蛋白質の立体構造解析を細胞内で直接行うには感度不足の問題があった。動的核偏極(DNP)法は固体NMR法の感度を数桁向上でき有望だが、従来のラジカル分極剤は細胞内のような強い還元環境で失活する問題があって使えなかった。本発明のナノダイヤモンド分極剤は強い還元環境でも変わらずDNPによるNMR高感度化を可能にする。

従来技術・競合技術との比較

DNPによる固体NMR高感度化はこれまで液体窒素を冷媒とする100K付近の実験にほぼ限られることから分極剤候補が限られ、細胞内で失活しない分極剤の開発は遅れていた。発明者はヘリウムを冷媒とする極低温DNP装置(2019年特許取得;日本・米国)に基づいて、従来は利用が難しかった短寿命不対電子に基づく分極剤、ナノダイヤモンド分極剤の発明に至った。

新技術の特徴

・ナノダイヤモンドに固有の不対電子を使い、固体NMRスペクトルの感度を向上できる
・強い還元環境でも失活しないので、例えば膜蛋白質の構造解析を直接細胞内で高感度に行えるようになる
・ナノダイヤモンド表面は自由度高く化学修飾でき、様々な応用を立案できる

想定される用途

・ナノダイヤモンド表面にシグナルペプチドを修飾して細胞内の目的の部位に届け、選択的NMR観測
・ナノダイヤモンド表面に抗体や薬剤分子を修飾し、細胞内のレセプタ蛋白質に特異的に届け、選択的NMR観測・構造解析
・細胞内環境を模倣した強い還元環境の試験管内における、蛋白質や有機分子のNMR構造解析

関連情報

・サンプルあり

  • 11:00~11:25
  • デバイス・装置

3)高感度近赤外検出可能な印刷プロセス厚膜有機光センサ

発表資料 プレゼン動画

大阪大学 大学院工学研究科 電気電子情報通信工学 准教授 梶井 博武

http://www.e3.eei.eng.osaka-u.ac.jp/

新技術の概要

印刷プロセス可能な有機半導体に基づく光電変換素子は、大面積センサやフレキシブル基板上への作製が期待されている。既知の有機太陽電池用に開発された有機半導体材料を用いて、デバイス構造の設計とバイアス電圧印加の工夫により材料固有の吸収端以上の光波長領域を利用した高感度の近赤外の厚膜光電変換素子を実現した。

従来技術・競合技術との比較

 有機光電変換素子を用いた近赤外検出には、通常、材料固有の吸収を利用するので、低バンドギャップの材料を開発して実現する。本研究では、既知の材料によるドナー・アクセプタ分子間の電荷移動による弱い吸収を利用して、従来より数十倍以上の活性層膜厚の厚い素子設計により近赤外感度の増強を達成した。

新技術の特徴

・順バイアス時に外部量子効率が100%を超える近赤外領域での高い検出感度を実現
・逆バイアス時に通常のフォトダイオードとして機能
・超厚膜素子ではカラーフィルタなしで狭帯域化を実現

想定される用途

・大面積赤外検出センサ
・光学式タッチパネル
・マシーンビジョン

  • 11:30~11:55
  • 製造技術

4)二酸化塩素と可視光による安全な系中ホスゲン生成法

発表資料 プレゼン動画

大阪大学 大学院薬学研究科 医療薬学専攻 准教授 淺原 時泰

https://yakubun.jp/

新技術の概要

医農薬品や樹脂材料の原料として広く用いられるホスゲンを可視光照射下、常温・常圧の温和なプロセスでクロロホルムから系中発生させる新技術。クロロホルムを溶媒およびホスゲン原料として用い、カルバモイルクロリドやウレア、カーボネートなどの有用化成品を安全かつ高効率に得ることができる。

従来技術・競合技術との比較

可視光で二酸化塩素を活性化することで、クロロホルムの高効率酸化を可能にしている。安全性に優れた安価な材料を使用するとともに、温和な条件であるため基質汎用性に優れており、特に医薬品の原材料となりうるカルバモイルクロリドの合成など従来法では困難であった基質にも適用可能である。

新技術の特徴

・反応系中でのホスゲン発生法
・可視光によるクロロホルムの酸化
・高反応性の化合物を安全に取り扱い可能

想定される用途

・医薬品中間体の合成
・農薬品の合成
・樹脂原材料の合成

  • 13:30~13:55
  • デバイス・装置

5)100万個以上の細胞をマイクロメートルの空間分解能とサブ秒の時間分解能で同時観察可能な細胞観察装置

発表資料 プレゼン動画

大阪大学 産業科学研究所 生体分子機能科学研究分野 教授 永井 健治

https://www.sanken.osaka-u.ac.jp/labs/bse/

新技術の概要

発明者は、マシンビジョン用テレセントリックマクロレンズと小画素サイズのCMOSを組み合わせることで広視野・高解像度の顕微鏡を構築した。また、この顕微鏡システムで蛍光を用いて細胞観察できるよう、外部から励起光を入射する仕組みを採用した。

従来技術・競合技術との比較

広視野かつ高解像度な観察像を得るための顕微鏡システムの研究例が報告されているが、設備の大きさや経済性の観点で難がある。試作機では、14.6 x 10.1mm、解像度2.25μmを実現できており、一般的な光学顕微鏡に比べ広視野かつ高解像度な観察像が得られている。

新技術の特徴

・1cm2を超える超広視野を細胞レベルの空間分解能を維持したままワンショットで撮像できる
・高速に(最大9fps)動画撮影できる
・シンプルな光学系で比較的安価(~1,000万円)に製作できる

想定される用途

・デジタル病理診断のための病理標本撮像装置としての応用
・細胞シート(角膜シート、心筋シート)など再生医療製品の品質管理やスクリーニングシステムへの応用
・脳切片に代表されるような、臓器の切片を使用した基礎研究

関連情報

・デモあり
・展示品あり

  • 14:00~14:25
  • 製造技術

6)マルチプロパティデザインに基づく金属材料のオンデマンド創製

発表資料 プレゼン動画

大阪大学 大学院工学研究科 マテリアル生産科学専攻 教授 宇都宮 裕

http://www.mat.eng.osaka-u.ac.jp/mse5/MSE5-HomeJ.htm

新技術の概要

工業製品の性能最大化のために、複数の材料特性が任意に指定された部材をオンデマンドで創成する方法を開発した。その方法は、多芯線の冷間押出しによる複合材料の製造を応用したものである。

従来技術・競合技術との比較

異種材料を適材適所に配置するマルチマテリアルデザインが注目されている。その材料選択は、特性データベースを参照することで行われるものの、最適化法は必ずしも確立されていない。材料の接着・接合方法にも問題があるため、単なる材料置換にとどまっており、完全な最適化が行われていない。

新技術の特徴

・複数の材料特性が指定された複合材料をオンデマンドで製造可能である
・指定する特性の組み合わせ、制御可能な特性の範囲が広い
・工業製品の設計自由度を高め、製品の性能向上に有効な手法である

想定される用途

・製品応用に最適な新規材料の多品種少量かつ短納期での生産
・自働車や航空機などの輸送機器用部材のワンオフ試作や,プロトタイプの製造
・省資源・省エネルギー・SDGsに合致する製品設計の実現

  • 14:30~14:55
  • 製造技術

7)フッ素樹脂と異種材料をエコフレンドリーに強力接着する技術

発表資料 プレゼン動画

大阪大学 大学院工学研究科 附属精密工学研究センター 助教 大久保 雄司

http://www.upst.eng.osaka-u.ac.jp/endo_lab/index.html

新技術の概要

プラズマ処理と同時に加熱する(熱アシストプラズマ処理する)ことで、フッ素樹脂の接着性を大幅に向上できます。接着剤無しでフッ素樹脂と異種材料(金属・金属酸化物・ゴム・ゲル等)と強力接着できます。表面改質時に廃液が発生せず、接着時にVOC排出量を大幅に低減するエコフレンドリーな技術です。

従来技術・競合技術との比較

従来のプラズマ処理は、様々な樹脂の濡れ性や接着性を改善できますが、フッ素樹脂に対してはほとんど効果がありません。また、危険なNa薬剤を使用した従来技術がありますが、変色・悪臭・廃液が大きな問題になっています。本技術は、フッ素樹脂であっても接着剤を使用せずに接着性を劇的に向上できるエコフレンドリーな技術です。

新技術の特徴

・この世で最も接着が困難なポリテトラフルオロエチレン(PTFE;テフロン®)の劇的な接着性向上が可能
・PTFEと様々な異種材料(金属、金属酸化物、ゴム、ゲル、インク、めっき)との強力接着が可能
・アンカー効果が発現しない超平滑な被着体(Cu箔など)とも強力接着が可能

想定される用途

・自動車の衝突防止用ミリ波レーダー等の高周波用プリント配線板作製(PTFEとCu箔の接着剤レス接着)
・粘着性の高い食品(餅類等)を輸送するベルトコンベアへ非粘着性付与(ゴムとPTFEの接着剤レス強力接着)
・着脱可能な薬液飛散防止用の耐薬品性シート(マット)および着脱可能な高滑り性シート(マット)の作製(シリコーンゲルとPTFEの接着剤レス接着)

関連情報

・サンプルあり
・展示品あり

  • 15:00~15:25
  • 製造技術

8)ねじり振動付加による低延性金属の塑性変形能の向上手法

発表資料

大阪大学 大学院工学研究科 マテリアル生産科学専攻 准教授 松本 良

https://researchmap.jp/ryo-matsumoto

新技術の概要

マグネシウム合金に代表されるすべり系の少ない低延性金属に対する塑性加工において、圧縮あるいは引張りながら、圧縮・引張軸まわりに一定の振幅で両振りねじりを繰り返し付加することにより、成形限界を向上(割れ発生を抑制)させる技術である。

従来技術・競合技術との比較

低延性金属の塑性変形能の向上には、高温下あるいは高圧力下での塑性変形、合金成分や金属組織の調整が従来技術である。本発表技術では、市販金属に対するねじり振動付加により、例えば、市販マグネシウム合金では室温の塑性変形能が公称圧縮ひずみで約0.23(ねじり振動付加なしでは約0.12)に向上する。

新技術の特徴

・マグネシウム合金の室温塑性加工プロセス
・すべり系の少ない低延性金属に対する塑性加工プロセスによる成形限界の向上(割れ発生の抑制)

想定される用途

・マグネシウム合金や低延性金属の塑性加工部材
・金属の成形性評価試験

  • 15:30~15:55
  • 医療・福祉

9)人工知能を用いた生検組織画像診断システム

発表資料

大阪大学 大学院医学系研究科 腎臓内科学  助教 松井 功

https://www.med.osaka-u.ac.jp/pub/kid/kid/index.html

新技術の概要

数十億ピクセルに及ぶ巨大画像データから細胞・組織内器官や病変部位などの特徴量を通常のPC上で解析し可視化できるAIアルゴリズムです。観察画像内にある対象の部分構造や特徴を漏らさず精細に解析しコンターマップで示すことができます。腎臓の生検組織画像解析では糸球体などの内部組織や炎症部位などをF1 score 0.97の高精度で描出しました。

従来技術・競合技術との比較

畳み込みニューラルネットワーク(CNN)に代表される画像識別AIはヒトに代わる識別能力を身に着けつつあるが、CNNが扱うのはせいぜい数万ピクセルの画像であり、生検組織病理画像のような数十億ピクセルからなる画像を扱うには従来法のみでは十分ではない。本技術は巨大データ画像に含まれる細部構造や特徴を迅速に解析可能とします。

新技術の特徴

・独自のアルゴリズムを用いて数十億ピクセルからなる生検組織画像全体の複雑な構造を可視化できます
・数十億ピクセルからなる画像に含まれる未知の特徴量の探索・可視化に応用可能です
・研究室などにある通常のPCで解析が可能です

想定される用途

・腎生検を含めた生検組織画像等の診断
・巨大画像ファイルからの新たな特徴量の探索・抽出

関連情報

・サンプルあり

お問い合わせ

連携・ライセンスについて

大阪大学 共創機構 イノベーション戦略部門 知的財産室
TEL:06-6879-4861
Mail:tenjikai アットマークuic.osaka-u.ac.jp
URL:https://www.uic.osaka-u.ac.jp/

新技術説明会について

〒102-0076 東京都千代田区五番町7 K’s五番町

TEL:03-5214-7519

Mail:scettアットマークjst.go.jp

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