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東北大学 新技術説明会【オンライン開催】

日時:2021年07月27日(火) 09:55~15:55

会場:オンライン開催

参加費:無料

主催:科学技術振興機構、東北大学

発表内容詳細

  • 計測

1)実地診療医・検診医用の大動脈瘤早期診断装置

発表資料

東北大学 大学院医学系研究科 医科学専攻 教授 齋木 佳克

http://www.cts.med.tohoku.ac.jp/

新技術の概要

体表から頸動脈に超音波診断装置を十数秒間適用することで、体幹部に生じている無症候性の大動脈瘤を早期に診断できる医療機器である。超音波ドップラー効果を血管壁の加速度センサとして血管壁ひずみ速度を計測する。反射波成分を粘弾性理論とカオス理論を活用して解析し、周期性の乱れから動脈硬化の進行をとらえ、拍動による血管振動波形の乱れから胸部および腹部にある動脈瘤の発現を捉える。

従来技術・競合技術との比較

既存の大動脈瘤診断は、CTが主たる診断法であるが、放射線被爆の問題からスクリーニング診断には用いられない。脈波伝播速度計測では、動脈硬化の進行度を評価することはできるが、動脈瘤の診断は行えない。心臓超音波検査では、骨格と肺の影響のため、大動脈基部等の大動脈の一部しか描出し得ない。

新技術の特徴

・血管壁の不安定挙動をカオス理論を用いて解析する
・反射エコーの波形に基づいて求めたノルム分布グラフを用いて動脈瘤を判定する

想定される用途

・開業医を含む実地診療医による短時間での不顕性大動脈瘤の存在診断
・検診における不顕性大動脈瘤のスクリーニング

  • デバイス・装置

2)波長選択メタマテリアルの応用デバイス(分光・遮熱)

発表資料

東北大学 大学院工学研究科 ロボティクス専攻 教授 金森 義明

https://web.tohoku.ac.jp/kanamori/index.html

新技術の概要

波長選択メタマテリアルは、周期や構造幅などを制御することによって反射率や透過率特性を変化させることができ、高度な光学設計を可能にします。本発明によって、波長選択メタマテリアル一体型分光デバイス及びその製造方法を提供することが可能になりました。また、赤外線を反射し可視光を通過させる遮熱窓の応用を可能としました。

従来技術・競合技術との比較

これまでの分光器より桁違いに小さな分光器ヘッド(指先に乗るほどの大きさ)が実現可能です。従来のカラーフィルタよりも1/10ほど薄型で、多色を実現でき、より高密度にフィルタを配置できます。従来のプラズモニック構造より設計自由度が高く最適化が容易です。

新技術の特徴

・可視光・近赤外光用波長選択フィルタをオーダーメイド、異なる特性の波長選択フィルタを同一基板上に一括製作可能
・回折格子に替わる超小型分光デバイス
・従来のプラズモニック構造と比べて高効率

想定される用途

・ロボット・ウェアラブルデバイス(スマホなど)内蔵超小型分光センサ、のぞき見防止フィルタ
・食品の鮮度・おいしさ管理、製品の色や品質管理、印刷物やインク・塗料の管理、美容アドバイス、エンターテイメントなど
・自動車・建材用遮熱窓

  • 医療・福祉

3)ゲームを通じて高齢期の聴力を改善させるトレーニングシステム

発表資料

東北大学 加齢医学研究所 脳科学研究部門 准教授 野内 類

https://nouchi-lab.com/

新技術の概要

加齢による聴力の低下は、高齢者の会話などの日常的なコミュニケーションを困難にしていきます。我々の開発した新技術では、聴覚刺激の音量を利用者のトレーニングゲームの成績に合わせて、徐々に小さくしていくことで、加齢によって低下する聴力を向上させることができます。また、ゲームを用いたトレーニングのため、高齢者が楽しく、意欲的に聴覚トレーニングを継続することができます。

従来技術・競合技術との比較

聴力が低下している高齢者に対しては、補聴器を利用するなどの補助装置を使用するサポートが主流でした。この方法では、補聴器を装着する手間や補聴器が使用できない場面(入浴)があるなど制約がありました。一方で、本技術を使用することで、トレーニング後の高齢者は、聴力自体が改善し、装置・環境に関係なく快適に生活できるようになります。

新技術の特徴

・高齢者の聴力を改善させることができる
・聴覚刺激・音量の操作ができれば、実施媒体は問わない
・ゲーム形式で楽しく聴覚トレーニングを継続できる

想定される用途

・高齢者の聴力低下の予防・改善ゲーム(脳トレ)の開発
・スマホなどを使ったヘルスケアサービスの一部として実施
・テレビなどの家電に組み込むことで、いつでも聴力トレーニングができる

  • 分析

4)世界初のLAL試薬を使用しないエンドトキシン検出装置

発表資料 プレゼン動画

東北大学 大学院環境科学研究科 先端環境創成学専攻 学術研究員 伊藤 隆広

http://www.che.tohoku.ac.jp/~bioinfo/index.html

新技術の概要

医療機器、薬剤の製造において、検査を必須とするエンドトキシンをLAL試薬など、他の試薬を全く用いず、コールターカウンタを用いて測定することに成功した。前処理を必要とせず、非常に高速で、その場検出できるもので、今後エンドトキシンの測定を革新できる可能性を有している。

従来技術・競合技術との比較

現在は、エンドトキシンの検出は、カブトガニから抽出したLAL試薬を用いるものが一般的な手法であるが、フロー測定できず、また、測定時間も非常に長い問題があった。本発明は、LAL試薬を用いず、それらすべての課題をも解決したものである。

新技術の特徴

・LAL試薬を用いない新規なエンドトキシン測定手法
・前処理不要、試薬等用いず、フロー測定可能で、その場検出可能
・高速分析可能

想定される用途

・透析液のフロー分析
・薬剤の試験
・医療機器の検査

  • エネルギー

5)高性能マグネシウム蓄電池に道を拓くスピネル型正極の設計技術

発表資料

東北大学 学際科学フロンティア研究所 新領域創成研究部 助教 下川 航平

http://ilab.imr.tohoku.ac.jp/~ilab/index.html/

新技術の概要

高エネルギー密度と高サイクル特性を兼ね備えたマグネシウム蓄電池の正極特性を実現するスピネル型酸化物の材料設計技術。八面体サイトに欠陥(空孔)を含むスピネル型酸化物を利用することにより、高価数の遷移金属の利用(高電位化)と不可逆な構造相転移の抑制(サイクル特性向上)に成功した。

従来技術・競合技術との比較

マグネシウム蓄電池用としてこれまで検討されてきたスピネル型正極材料では、特に充放電に伴う顕著な容量低下が実用化に向けた問題点であった。本技術では、新たに欠陥を利用した材料設計を行うことで、高電位化を図ると共に、従来技術では達成し得なかった高サイクル特性を実現できる点が革新的である。

新技術の特徴

・昇温下で充放電可能な高い構造安定性
・安全・安価・豊富な元素を使用
・比較的簡便な手法で合成可能

想定される用途

・中温作動の定置用蓄電池
・電気自動車・ハイブリット自動車
・大型蓄電システム

  • 創薬

6)シヌクレイノパチーを予防可能な新規中分子治療薬の開発

発表資料 プレゼン動画

東北大学 大学院薬学研究科 先進脳創薬講座 特任准教授 川畑 伊知郎

http://www.pharm.tohoku.ac.jp/~brain/index-en.html

新技術の概要

パーキンソン病、レビー小体型認知症、多系統萎縮症に代表されるシヌクレイノパチーの原因タンパク質αシヌクレインは、神経細胞間を伝播し、神経細胞内で凝集・蓄積するすることで、運動機能障害や認知機能障害を起こす。私達はαシヌクレインの細胞間取り込みを抑制し、細胞間伝播を予防可能なペプチド開発に成功し、レビー小体病の疾患修飾薬として期待される。

従来技術・競合技術との比較

これまでにシヌクレイノパチーの治療薬開発が進んでいるが、原因そのものを予防する疾患治療薬は存在しなかった。私達は、シヌクレイノパチーの原因タンパク質αシヌクレインが細胞内で凝集・蓄積するのを抑制するだけでなく、αシヌクレインが伝播し細胞内に取り込まれるプロセスそのものを抑制することに成功した。このことから、シヌクレイノパチーを根本的に予防できることが可能となった。

新技術の特徴

・運動機能障害や認知機能障害を起こす原因タンパク質の感染そのものを予防できる
・製造するのが簡単である
・大量生産するのが簡単である

想定される用途

・パーキンソン病、レビー小体型認知症、多系統萎縮症の新規治療薬として医薬品として使用
・食品等に混ぜ込み、機能性食品として使用
・点鼻薬に混ぜ込み、簡単に使える予防薬として使用

  • 材料

7)SDGsに対応する新概念の低コスト・高スループットナノ材料合成プロセッシング

発表資料 プレゼン動画

東北大学 大学院工学研究科 応用化学専攻 准教授 林 大和

http://www.che.tohoku.ac.jp/~aim/hayashi/index.html

新技術の概要

ナノ材料を高濃度・高収率の高スループットで低温合成するプロセスの概念を構築し実現した。

従来技術・競合技術との比較

従来のナノ材料合成技術は、高コスト・高環境負荷である場合が多く、高性能でも実用化に大きな壁がある。この新しいナノ材料合成技術は、低コストかつ高環境性のプロセスであるだけでなく、誰にでも簡便に合成することが可能な汎用性のあるプロセスである。

新技術の特徴

・企業のSDGs理念に貢献する総論的サステナブルナノ材料合成技術
・低コストで高性能なナノ材料を実現
・誰にでも合成可能な簡単で安全で安価なナノ材料合成技術

想定される用途

・電子実装分野(配線・透明電極電極)
・環境触媒(半導体ナノ粒子・金属ナノ粒子担持)
・電極用触媒(ナノコンポジット・金属ナノ粒子担持)

関連情報

・サンプルあり
・デモあり
・展示品あり

  • デバイス・装置

8)2次元空間で個々人が会話して出会いを楽しめる、バーチャルポスターセッションシステム

発表資料

東北大学 材料科学高等研究所(AIMR) 助教 甲斐 洋行

https://hirokai.github.io/about/index.ja.html

新技術の概要

このプロセスは廃棄物の発生しないプロセスでもあるため、洗浄や廃棄物の処理も不要であり、ナノ材料の低コスト化に貢献する。金属やセラミックスのナノ材料(粒子・ワイヤー・担持)に広範な応用が可能な技術である。

従来技術・競合技術との比較

3次元のバーチャル空間を動き回ってポスター閲覧やビデオ・音声チャットが可能なシステムが利用されているが、特殊な機器が必要であったり、コンピュータへの負荷が大きかったりする。操作も複雑で、初心者には扱うのが難しい。また、自分の会話内容がどの程度まで聞こえているのか不明で、秘匿性に問題があり、雑音も多い。本発明はそれらを解決しており、優位性を有している。

新技術の特徴

・2次元画面でアバターを操作し会話するので、動作が重くならず、大人数の参加が可能である
・文字チャットを利用した交流により、非同期コミュニケーションと同期コミュニケーションが両立できる
・ビデオや音声を使わないため、周囲の環境を気にせず参加できる

想定される用途

・ウェブ上でのポスターセッション、交流会
・ウェブ上での学会、発表会
・ウェブ上での展示会、オープンキャンパス等の大規模イベント

関連情報

・サンプルあり

  • エネルギー

9)高融点ホウ化物の特性を下げることなく低温焼結を可能にする新開発助剤

発表資料

東北大学 金属材料研究所 原子力材料工学研究部門 教授 笠田 竜太

http://web.tohoku.ac.jp/imr-numat/

新技術の概要

高融点ホウ化物であるTiB2は焼結に高温および高圧を必要とする難焼結性材料であり、利用範囲が限定されている。本技術は、低温焼結を可能にする助剤を添加しながらも、本来の物性に近い効果を発揮しており、遷移金属二ホウ化物を構造部材として利用する可能性を拡大させるものである。

従来技術・競合技術との比較

従来の高融点ホウ化物の焼結技術は、低融点の焼結助剤を添加することによって焼結密度を増加させていたが、高融点ホウ化物本来の優れた物性を低下させることに繋がっていた。本技術では、添加した低融点焼結助剤が拡散・反応によって高融点化するため、物性低下が抑えられることが特徴である。

新技術の特徴

・高強度かつ高密度を有する高融点ホウ化物焼結体
・遷移金属二ホウ化物主成分以外を含まない焼結助剤

想定される用途

・切削工具
・航空機部品
・中性子遮蔽材

  • 創薬

10)走査マイクロミラーの破壊を防止し長寿命化する技術

発表資料

東北大学 未来科学技術共同研究センター 教授 羽根 一博

新技術の概要

アルミナ原子層堆積膜をシリコンの走査マイクロミラーのねじればねにコーティングすることで、実用応力領域において、破壊を防止し、ミラーの繰り返し走査寿命を大きく延長できる技術で、ディスプレイ用走査ミラー、自動運転ライダー用走査ミラー等への応用が可能です。

従来技術・競合技術との比較

破壊の起点となる表面亀裂を低減できるシリコン表面水素アニール技術および表面酸化膜を形成させないエピシール真空封止技術などに比較して、方法が簡単で、実用化が容易である。シリコンの深堀加工表面そのままに原子層レベルのアルミナをコーティングするだけの簡単な処理で、大幅な寿命延長が実現できる。

新技術の特徴

・簡単なコーティング処理のみ
・原子レベルで均一な超薄膜堆積
・MEMS製造に一工程追加するだけで、量産できる

想定される用途

・レーザディスプレイ用走査ミラー
・自動運転用ライダー用走査ミラー
・OCT用走査ミラー

関連情報

・サンプルあり

  • エネルギー

11)熱輻射の波動性に基づく新規熱マネジメントおよび熱利用技術

発表資料

東北大学 大学院工学研究科 機械機能創成専攻 准教授 清水 信

http://www.energy.mech.tohoku.ac.jp/

新技術の概要

熱輻射は一般に非コヒーレント光の伝搬として熱輸送特性等が考えられてきたが、近年、コヒーレンス性の制御による従来にない高効率熱輸送やエネルギー変換技術実現が期待されている。本発表では高分子膜を用いた新たな熱輻射スペクトル・放射角度特性制御技術および熱輻射の波動性に基づく新規光電変換技術を紹介する。

従来技術・競合技術との比較

熱輻射は一般に広波長帯域且つ等方的放射特性を有すると考えられるが、本技術では狭帯域且つ角度選択的熱放射が高分子薄膜の形成のみで実現可能である。また熱輻射の波動性に基づく新規光電変換技術は従来の光起電力発電で電力変換困難であった中・遠赤外光の電力変換を可能とする。

新技術の特徴

・赤外域において狭帯域熱放射が可能
・限定された放射立体角における熱放射が可能
・中・遠赤外熱輻射光の電力変換可能

想定される用途

・電子機器のヒートスポット抑制
・輻射熱輸送による窓ガラス等の高効率放熱
・環境熱輻射の電力変換によるセンサ用自立型電源

関連情報

・サンプルあり

  • 創薬

12)吸入可能な抗炎症剤を用いたCOVID19重症化予防・治療と応用

発表資料 プレゼン動画

東北大学 大学院医学系研究科 医科学専攻 講師 大河内 眞也

http://www.doh.med.tohoku.ac.jp/

新技術の概要

COVID19におけるJAK/STAT・TGFβ/SMAD活性化は、サイトカインストーム、ACE2・TMPRSS2誘導による易感染性、酸化ストレス、肺線維化、呼吸不全の原因となる。タンパクAはSOCS1・SMAD7・UCP2誘導により複合的にこれらを抑制する。Aは全身・経気道投与が可能であり、COVID19重症化予防・治療、その他炎症関連疾患の吸入を含む新規治療法の確立に寄与し得る。

従来技術・競合技術との比較

コルチコステロイド、抗IL6製剤、ニンテダニブ、Nアセチルシステイン等が従来治療薬だが効果は限定的で副作用も多い。Aは中心代謝経路調整を介した翻訳後修飾への影響(アセチル化・脱メチル化)により、ヒストン・SOCS1・SMAD7・UCP2の機能を調整する。これらは新規作用機序であり、経気道投与が可能であることも有利な点である。

新技術の特徴

・細胞代謝と翻訳後修飾の相互関連に着目した新規作用機序
・生体物質であること、経気道投与可能であることにより得られる高い安全性
・HEK293細胞を利用したリコンビナントタンパクとして、安価、簡便に得ることが可能

想定される用途

・新型コロナウイルス感染症の感染予防薬・重症化予防及び治療薬
・JAK/STATが関連する関節リウマチ等の自己免疫疾患に対する治療薬
・TGFβ/SMADが関連する特発性肺線維症等の線維性疾患に対する治療薬

お問い合わせ

連携・ライセンスについて

東北大学 産学連携機構 総合連携推進部
TEL:022-795-5274 FAX:022-795-5286
Mail:sourenアットマークgrp.tohoku.ac.jp
URL:https://www.rpip.tohoku.ac.jp/jp/

新技術説明会について

〒102-0076 東京都千代田区五番町7 K’s五番町

TEL:03-5214-7519

Mail:scettアットマークjst.go.jp

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