電気通信大学 新技術説明会【オンライン開催】
日時:2021年05月13日(木) 09:55~13:55
会場:オンライン開催
参加費:無料
主催:科学技術振興機構、電気通信大学
後援:一般社団法人目黒会(電気通信大学同窓会)、株式会社キャンパスクリエイト(電気通信大学TLO)
発表内容一覧
発表内容詳細
- 通信
1)多数同時接続と超低遅延を実現する新たな通信技術 WHISTLE
発表資料電気通信大学 先端ワイヤレス・コミュニケーション研究センター 教授 石橋 功至
新技術の概要
時間・周波数空間を活用した非直交拡散と、圧縮センシングに基づいた効率的な復調により、無線資源の効率的な活用を実現し、第5世代移動通信システム(5G)の規格上で、最大3万台の端末を1ミリ秒以下の遅延で同時接続を可能にした新技術です。
従来技術・競合技術との比較
従来の技術では、端末3万台を接続する場合、遅延時間は1ミリ秒以上になり、多数の自動車やバイクなどの自動運転、ロボットの遠隔操作、さらに配送ドローンの制御等 瞬時の反応を必要とするシステムを実現することが出来ませんでした。
新技術の特徴
・超低遅延
・多数同時接続
・少容量データ伝送
想定される用途
・リアルタイムヘルスケア
・自動運転
・スマートファクトリー
- デバイス・装置
電気通信大学 大学院 情報理工学研究科 情報・ネットワーク工学専攻 教授 石川 亮
新技術の概要
同一周波数多重通信の実現に向けて、複数の円形ループアンテナ(異なる直径で同心配置)が各々生成するOAM(軌道角運動量)波間のモード直交性を利用した、ループアンテナアレイモジュールを紹介します。また、同時に非接触給電を実現する機能を組み込んだアンテナモジュールも紹介します。
従来技術・競合技術との比較
OAM波を発生させる方法として、複数のアンテナを円状に配置して位相制御する方法などが提案されていますが、今回提案するループアンテナの方法は、従来の方法に比べて、円形ループアンテナの径を決めて普通に励振するだけでOAM波が生成されるため、簡便にシステムを構成することが出来ます。
新技術の特徴
・同一周波数多重通信
・近距離通信+非接触給電同時動作
想定される用途
・モバイル端末などへの大容量情報転送
- 通信
電気通信大学 先端ワイヤレス・コミュニケーション研究センター 准教授 安達 宏一
新技術の概要
省電力広域無線ネットワーク(LPWAN)において、既存の規格に変更を加えることなく、1つのデータパケットで伝送できる情報ビット数を増大させるためのパケット型インデックス変調の提案です。本提案は、周期的に観測データを生成・送信するようなセンサネットワークに有用な技術です。
従来技術・競合技術との比較
多くの既存技術では、無線資源割当などによりパケット配信率(PDR)を増大させることで、実質的な情報ビット伝送量を向上させています。一方、本技術では、周期的に生成されたデータを送信する時間や周波数を選択することで、例えば、拡散率10とした場合に1つのパケットで送信できる情報ビット数を30%以上増加させることができます。
新技術の特徴
・既存通信規格への変更不要
・安価な端末にも実装可能
・ネットワークパラメータに適応する柔軟性
想定される用途
・周期的データを送信するセンサネットワーク
・大規模センサネットワーク
- デバイス・装置
4)初めてのダメージフリーオプティックス:オゾンを利用した高性能ガス光学素子
発表資料電気通信大学 レーザー新世代研究センター 特任助教 道根 百合奈
新技術の概要
これまで夢であった、高出力レーザーでも”壊れない”ダメージフリーな素子をオゾンと紫外レーザーの組み合わせで実現しました。これにより、レーザー応用機器の高寿命化、メンテナンスフリー化が可能になります。
従来技術・競合技術との比較
この素子は、従来の固体光学素子のダメージ閾値と比較して100倍もの高耐力を持ち、ガス中に繰り返し生成される過渡的光学素子のため損傷フリーが実現しました。これまでは不可能と思われた安定した高い回折効率(≧96%)、高品質波面(λ/10)も持ち、従来の光学素子からの置き換えが可能になります。
新技術の特徴
・目に見えない自由空間中に意図した時刻に光学素子を出現させることができます
・近紫外~可視~赤外光までの幅広い波長のレーザーに使用可能です
・高速スキャン、可変焦点レンズとして機能させることができます
想定される用途
・レーザー加工システムでのデブリフリー集光レンズでの使用
・超レイリー長集光光線の発生(非線形光学測定での長尺化)
・高強度レーザーの高速ビームスキャン
関連情報
・デモあり
- 材料
電気通信大学 大学院 情報理工学研究科 基盤理工学専攻 教授 沈 青
新技術の概要
本技術では、空気中で安定なペロブスカイトA(Cs、MA、FA)SnxPb1-xX(Cl、Br、I)3量子ドットを簡単に合成することができます。また、量子ドットの光吸収波長領域を可視光領域から近赤外線領域まで制御できます。これらの量子ドットは太陽電池、LED、センサーなどへの応用が期待されます。
従来技術・競合技術との比較
これまで用いられてきたペロブスカイト量子ドットの作製技術と比較して、結晶性に優れたペロブスカイトA(Cs、MA、FA)SnxPb1-xX(Cl、Br、I)3量子ドットの作製が可能で、且つ、量子ドットの光吸収波長領域を赤外線領域から紫外線領域まで広げることができます。
新技術の特徴
・安定なペロブスカイト量子ドットの作製が可能です。
・ペロブスカイト量子ドットの光吸収領域を可視光領域から近赤外線領域まで制御できます。
・鉛の使用量の低減が可能です。
想定される用途
・太陽電池
・LED
・センサー
- 機械
電気通信大学 大学院 情報理工学研究科 機械知能システム学専攻 准教授 菅 哲朗
新技術の概要
従来、赤外線の検出には、化合物半導体が用いられてきましたが、材料が高価で、量産化に適したCMOSプロセスなどとの整合性も課題でした。本講演では、安価なシリコンを材料として、半導体プロセスで作成することができるMEMS赤外線受光器について紹介します。
従来技術・競合技術との比較
化合物半導体と比較すると、シリコンは単位面積当たり10倍以上安価であり、安価な赤外線受光器を構成できます。また、シリコンは加工性に優れるので、MEMS技術と融合すれば赤外受光機能を多様なセンサへと展開できます。価格と機能の拡張性において、優位性がある技術です。
新技術の特徴
・波長2µmまでの赤外線であればこの方法で検出することが可能です。
・近赤外光を幅広い波長でブロードに検出することができます。
・受光器表面の構成を変更すれば、フィルタ不要で、狭い波長帯に絞って検出することもできます。
想定される用途
・分光センサ
・赤外線センサ
・ケミカルセンサ
お問い合わせ
連携・ライセンスについて
電気通信大学 産学官連携センター 産学連携ワンストップサービス
TEL:042-443-5871 FAX:042-443-5726
Mail:onestopsangaku.uec.ac.jp
新技術説明会について
〒102-0076 東京都千代田区五番町7 K’s五番町
TEL:03-5214-7519
Mail:scettjst.go.jp