大阪公立大学 新技術説明会【オンライン開催】
日時:2022年11月01日(火) 09:55~14:55
会場:オンライン開催
参加費:無料
主催:科学技術振興機構、 大阪公立大学
発表内容一覧
発表内容詳細
- 09:55~10:00
開会挨拶
大阪公立大学 学長 辰巳砂 昌弘
- 10:00~10:25
- 材料
大阪公立大学 大学院工学研究科 応用化学分野 助教 北山 雄己哉
http://www2.chem.osakafu-u.ac.jp/ohka/ohka9/members/sub1.html
新技術の概要
私たちは、特定の陽イオンが存在する場合にのみ水中で温度応答性を発現する新しい温度応答性高分子を開発した。応答温度は、高分子側鎖構造を変更することにより制御できるだけでなく、水中のイオン種やイオンの混合比を変更することで制御できることも明らかにした。
従来技術・競合技術との比較
PNIPAmなど様々な水溶性高分子が温度応答性高分子として知られ、従来異種モノマーとの共重合や分子構造変更により応答温度を制御してきた。本技術では、特定のイオン種の存在下でのみ温度応答性を発現する水溶性高分子を開発した初めての例であり、同一ポリマーであってもイオン種やイオンの混合比で応答温度制御が可能である。
新技術の特徴
・特定の陽イオンが溶解した水中でのみ温度応答性を発現する。
・陽イオンの種類や混合比により応答温度を制御可能である。
・高分子構造を制御することにより応答温度を制御可能である。
想定される用途
・細胞シート
・クロマトグラフィ用担体
・イオン検出試薬
関連情報
・デモあり
- 10:30~10:55
- 機械
大阪公立大学 大学院工学研究科 機械系専攻 教授 加藤 健司
新技術の概要
誘電膜を施した基板電極に電圧を付加すると、エレクトロウェッティング効果により基板上のぬれ性が向上し、その方向に液滴を移動させることができる。重力を駆動力とし、エレクトロウェッティングを制御力とすることで、単純な基板装置により自由度の高い液滴の移動制御を可能とした。
従来技術・競合技術との比較
エレクトロウェッティング効果のみで液滴を駆動させる場合、電極形状や電極の切り替えなど複雑な装置構造が必要となる。重力で転落する液滴に対し、エレクトロウェッティング効果を制御力に用いることで、正負電極境界に沿って液滴を移動させることができる。任意形状の電極境界を作成することで、自由度の高い液滴の移動制御が可能となる。
新技術の特徴
・液滴を体積ごとに異なる経路で移動させることができ、体積分離や液滴搬送に利用できる。
・複雑な曲線経路に沿って液滴を移動制御できる。
・単純な正負電極の切り替えにより、異なる経路に液滴を移動させることができる。
想定される用途
・マイクロリアクター
・分注装置(ディスペンサー)
・セルソーター
関連情報
・サンプルあり
・デモあり
- 11:00~11:25
- 情報
大阪公立大学 大学院情報学研究科 基幹情報学専攻 講師 トラン ティ ホン
新技術の概要
本研究は、分散型、不変性、透明性の特徴を持っているブロックチェーン技術を利用して、商品の追跡・管理システムを開発する。商品は、付属の QR コードによって管理および追跡される。しかし、正規品のQRコードを不正にコピーして偽造品に貼り付けるケースがある。本研究はそのようなの違法コピーを見分ける方法を提案する。
従来技術・競合技術との比較
ブロックチェーン技術を使用した商品の管理・追跡システムは中国、韓国など多くの国で適用されている。商品は付属の QR コードによって追跡および管理される。従来システムでは、正規品のQRコードが不正コピーされるケースを減らすために、高コストでセキュリティの高いQRコードを生成する方法を導入している。一方、本研究は、セキュリティの高いQRコードを使用しなくてもQRコードの不正コピーを安価に検出・防止することができる。
新技術の特徴
・監視部のネットワーク: 偽の製造業者が製品をシステムに記録するのを防ぐため
・Massive Illegal Copied Avoidance (MICA): 正規品のQRコードの不正コピーを防ぐため
・Single Illegal Copied Avoidance (SICA): 正規品のQRコードの不正コピーを更に防ぐため
想定される用途
・薬やCovid-19ワクチンなどの追跡・管理システム
・ブランド品などの高価値商品の追跡・管理システム
関連情報
・デモあり
- 11:30~11:55
- 材料
大阪公立大学 大学院工学研究科 物質化学生命系専攻 助教 深津 亜里紗
新技術の概要
DNAは天然資源が豊富であり、高い環境・生体親和性、強靭性、伸縮性等を示すことから高分子材料として有用である。本技術は、DNAと各種金属イオンとの特異的な結合性を利用した、強靭でしなやかな環境適応型ハイドロゲルの作製手法である。
従来技術・競合技術との比較
従来、ソフトマテリアルのほとんどが石油由来の高分子を利用するものであり、資源の枯渇が懸念されているとともに環境中や生体中での難分解性が課題となっている。一方、本技術で用いているDNAは海洋生物の残渣などから大量に得ることが可能であり、脱石油資源であるとともに生分解性を有する次世代材料として利用価値が高い。
新技術の特徴
・DNAの二重らせん構造を維持したまま三次元的なネットワーク構造を形成
・高い弾性、伸縮性を有し、特に周辺環境に応じた高い伸縮性や生分解性を示す
・簡便な合成プロセスで汎用性、成形性に優れる
想定される用途
・衝撃吸収剤
・ソフトアクチュエータ
・医療用材料
関連情報
・サンプルあり
・デモあり
・展示品あり
- 13:00~13:25
- 医療・福祉
大阪公立大学 大学院工学研究科 物質化学生命系専攻 准教授 遠藤 達郎
新技術の概要
本技術は、ナノメートルの構造が周期的に配列した光学素子「フォトニック結晶」を用いたセンサシステムを提案するものである。加えて、フォトニック結晶より観察される光学特性を簡易・安価なスマートフォンを用いて測定し、種々の疾病マーカー分子を高感度かつ簡便に検出・定量可能なセンサシステムを開発した。
従来技術・競合技術との比較
・簡易・安価な装置で疾病マーカー分子の検出・定量が可能である。
・樹脂上にフォトニック結晶を安価に量産可能であり、特殊な光源・検出器は不要である。
・抗原抗体反応・DNAハイブリダイゼーション等種々の生化学反応を非染色で検出・定量可能である。
新技術の特徴
・可視領域の光を回折・反射させるフォトニック結晶を作製し、周辺屈折率変化を検出可能なセンサへ応用した。
・スマートフォンを用いた簡易センサシステムを開発した。
・疾病マーカー分子を非染色で検出・定量可能なセンサを開発した。
想定される用途
・疾病診断・創薬
・食品衛生・環境計測
・生体計測
- 13:30~13:55
- 医療・福祉
大阪公立大学 大学院工学研究科 機械系専攻 助教 高井 飛鳥
新技術の概要
起立支援装置の座部が、腰掛けている使用者の股関節中心がS字カーブ軌道を描くように持ち上がることで、起立時の余分な下肢関節負荷を軽減できる。この軌道は、椅子から自然に立ち上がる際の下肢の移動軌跡を再現している。
従来技術・競合技術との比較
従来の起立支援装置は、座部が直線軌道に沿って真上や斜め前方向に持ち上がったり、円軌道に沿って持ち上がるため、使用者は自然でない立ち上がり動作をすることになる。このような動作は身体に余分な負荷がかかるおそれがある。また、使用者自身の動作と合わないため、装置による補助に全面的に頼ってしまうおそれがある。
新技術の特徴
・椅子から自然に立ち上がる際の下肢の移動軌跡を再現しているため、余分な負荷が少ない
・軌道に沿って座部が動くため、自力では起立困難な使用者でも自然な立ち上がり動作を体験できる
・座部を移動させる機構の寸法を変えることで、使用者に合わせた軌道に変えることができる
想定される用途
・高齢者などの起立の補助やリハビリテーション
関連情報
・展示品あり
- 14:00~14:25
- 創薬
7)新規ERストレス誘導剤の開発と骨損失性腫瘍治療への応用
発表資料大阪公立大学 大学院理学研究科 化学専攻 講師 中山 淳
新技術の概要
小胞体(ER)ストレスは、癌をはじめとして様々な病態に関与する生体反応である。発表者らは、分子内にイノン構造を有する化合物群が顕著なERストレス誘導剤となることを見出した。がん細胞に対してイノン化合物は細胞、動物モデルにおいても顕著な細胞傷害活性を示したことから抗腫瘍剤としての開発が期待できる。
従来技術・競合技術との比較
ERストレス誘導剤として開発されたイノン化合物群は骨損失性腫瘍の多発性骨髄腫に特徴的病態である骨破壊性病変の形成を抑制する効果を示す。さらに、通常の治療薬では骨髄造血細胞に対しても細胞傷害活性を示すが、開発した化合物には正常造血細胞には治療濃度域で細胞傷害活性を示さない。
新技術の特徴
・強力に小胞体ストレスを惹起する。
・骨髄腫細胞に対しては細胞傷害活性を示すが、正常造血細胞には低毒性である。
・骨損失を加速させる破骨細胞への分化を抑制する。
想定される用途
・小胞体ストレス研究用試薬
・骨損失性腫瘍治療薬
・炎症性骨疾患:慢性関節リウマチ
関連情報
・サンプルあり
- 14:30~14:55
- 環境
8)プラズマ複合プロセスを用いた排ガス処理技術
発表資料大阪公立大学 大学院工学研究科 機械系専攻 准教授 黒木 智之
新技術の概要
燃焼機器の排ガスに含まれる窒素酸化物(NOx)に対して、無触媒でかつ従来の硫黄酸化物(SOx)処理装置に取り付けることが可能な大気圧低温プラズマと化学薬剤を併用した大気圧非熱プラズマ複合プロセスによる排ガス処理技術を開発した。
従来技術・競合技術との比較
従来のNOx処理技術として選択触媒還元法が実用化されているが、アンモニア等の有毒ガスが必要であるとともに触媒活性化のため排ガス温度に制約があり、また運用コスト面での課題もある。本技術は触媒を必要とせず、化学薬剤との併用によりNOxとSOxの同時処理が可能であり、従来技術と比較して運転コストが1/4となる。
新技術の特徴
・NOxとSOxの同時処理が可能
・既設の脱硫設備に取付可能
・触媒が不要
想定される用途
・溶融炉、ごみ焼却施設、火力発電所等の排ガス処理設備
・ボイラ、ディーゼル発電機の排ガス処理
お問い合わせ
連携・ライセンスについて
大阪公立大学 URAセンター
TEL:06-6605-3550
Mail:gr-knky-uracenter omu.ac.jp
URL:https://www.omu.ac.jp/research/ura/
新技術説明会について
〒102-0076 東京都千代田区五番町7 K’s五番町
TEL:03-5214-7519
Mail:scettjst.go.jp