生体のセンシングと制御~首都圏北部4大学連合~ 新技術説明会【オンライン開催】
日時:2022年09月15日(木) 10:30~14:25
会場:オンライン開催
参加費:無料
主催:科学技術振興機構、茨城大学、群馬大学、埼玉大学
発表内容一覧
発表内容詳細
- 10:30~10:55
- 医療・福祉
茨城大学 大学院理工学研究科(工学野) 物質科学工学領域 講師 山内 紀子
新技術の概要
ウイルスやタンパク質と特異的相互作用する糖鎖を、強固かつ密な状態でポリマー粒子表面に固定化する技術である。本技術によって、ウイルスやタンパク質の特異吸着性の大幅な向上を図ることができ、新規ウイルス検出キットなどへの応用が期待できる。
従来技術・競合技術との比較
糖鎖および疎水基を数千個ずつ側鎖にもつポリペプチドを、水溶媒中でのポリマー粒子合成中に添加することで、疎水基が粒子中にアンカーとして埋め込まれ、糖鎖が粒子表面に存在するような構造を形成する。本技術は、これまでにない糖鎖固定化技術であり、糖鎖を強固かつ密な状態でポリマー粒子表面に固定化できる。
新技術の特徴
・ウイルスと特異吸着する糖鎖を、ポリマー粒子表面に固定化するための新技術
・粒子表面に糖鎖を密に集積させることで、ウイルス認識能を飛躍的に高めることができる
・高精度なウイルス検出剤の開発につながる技術
想定される用途
・ウイルス検出キットのマーカー粒子としての利用
・PCR検査前どのウイルス濃縮剤としての利用
・環境中のウイルス濃度の測定
- 11:00~11:25
- アグリ・バイオ
埼玉大学 大学院理工学研究科 物質科学部門 准教授 幡野 健
新技術の概要
本技術は、凝集誘発発光(AIE)する蛍光物質を樹脂ビーズ内に包含させることで、従来使われてきた蛍光物質では成しえなかった高輝度な蛍光ビーズの製造およびそれを用いたイムノクロマトキット開発に関するものである。イムノクロマトキット開発に伴い、新たに紫外線照射によるバックグランド発光しないバックグランド発光低減シートを新たに開発した。これらを組み合わせることにより、金コロイドを標識物質に用いたインフルエンザ用キットに比べ、開発品は1000倍もの高感度化を達成した。
従来技術・競合技術との比較
新型コロナウイルス感染症のパンデミックを受け、この開発してきたキットを新型コロナウイルス検出用キットへと展開した。市場調査を行い、クリニックなどでよく利用されている新型コロナウイルス抗原検査キットと抗原の検出感度の比較を行った。結果、本開発品は、現在市場で利用されているキットよりも20~40倍程高感度検出できることが分かった。また、紫外線照射のためのハンディ型照射器も本開発品に合わせて、開発した。
新技術の特徴
・AIE化合物を蛍光物質に利用することで、濃度消光せずに高輝度な蛍光ビーズを開発
・蛍光イムノクロマト用バックグランド低減シートの開発
・高輝度蛍光ビーズとバックグランド低減シート組み合わせにより、従来品より高感度なイムノクロマトキットの達成
想定される用途
・超高感度イムノクロマトキットとして、高感度POCTへの応用
・がんなどの病巣の可視化剤としての活用
・新型コロナウイルス抗原検査キットとしての活用
関連情報
・サンプルあり
- 11:30~11:55
- 医療・福祉
3)ラジカル物質TEMPOの揮発使用により脳組織を保護する
発表資料群馬大学 食健康科学教育研究センター 教授 鳥居 征司
新技術の概要
低分子化合物のTEMPOが常温で揮発し、遠隔地の生細胞に作用して酸化ストレス性細胞死を阻害することを初めて示した。またマウスを用いた脳梗塞モデル実験で、気化したTEMPOを自然吸入したことで脳組織の保護が可能となることを示した。
従来技術・競合技術との比較
従来、細胞死を抑制し虚血による脳障害から保護する薬剤は日本で開発されたエダラボンのみで、臨床において世界的に浸透されないという課題があった。一方、TEMPOの水溶性誘導体が開発されているが、静脈投与から生じる課題がある。揮発したTEMPOは生体に速やかに作用し、虚血障害から脳細胞を保護することができる。
新技術の特徴
・低分子化合物が常温で揮発したのち、離れた場所にある組織・細胞に作用する
・自然揮発したTEMPOの環境下にあるマウスは、虚血による急性期の神経細胞死が抑制される
・TEMPOのみが効率よく揮発し、他の類似誘導体にその特性はみられない
想定される用途
・虚血性疾患、とくに脳梗塞における超急性期の治療
・種々の脳変性疾患の予防と治療
・老化、とくに認知症の予防
- 13:00~13:25
- 創薬
4)肥満、脂肪肝、糖尿病の新規診断マーカーおよび新規治療薬
発表資料群馬大学 生体調節研究所 代謝シグナル解析分野 教授 北村 忠弘
新技術の概要
αMG(Methyl α-D-Glucoside)を用いた新たな診断法および治療法に関するものであり、以下の2項目から構成される。
1. αMGによるグルカゴン分泌促進作用を利用した、新たな糖尿病診断法。
2. αMGによるグルカゴン分泌促進作用を利用した、肥満・脂肪肝・糖尿病に対する新たな治療薬。
従来技術・競合技術との比較
現在、糖尿病の病態診断には血糖指標とインスリン指標が用いられているが、個々の糖尿病患者の病態把握には不十分である。αMGによるグルカゴン指標を加えることで、詳細な病態把握が可能になる。また、αMGで認められるような体重減少、脂肪肝改善、血糖改善を併せ持つ薬剤は現時点では存在しない。
新技術の特徴
・糖尿病の新たな病態診断法としてのαMG投与
・肥満、脂肪肝、糖尿病に対する新たな治療法としてのαMG投与
想定される用途
・糖尿病に対する新規診断法、診断キット
・肥満、脂肪肝、糖尿病改善作用を併せ持つ新規薬剤
- 13:30~13:55
- アグリ・バイオ
5)麹菌による園芸作物の健康機能性成分の増強
発表資料茨城大学 農学部 地域総合農学科 教授 井上 栄一
新技術の概要
醤油や味噌など伝統的な発酵食品に用いられる麹菌(Aspergillus spp.)によってミカンやレンコンなどの園芸作物を資化することで、ポリメトキシフラボノイドやアポルフィンアルカロイドなどの高い健康機能性をもつファイトケミカルの含有量を有意に増加させる技術である。
従来技術・競合技術との比較
従来、農産物の健康機能性の増強には、特別な種類や品種の利用や栽培時のストレス処理などによって特定の高機能性成分の比率を向上させる方法が利用されてきた。本手法を用いれば、麹菌の内生酵素によって資化の過程でメトキシ基をもつ有用な高機能性成分を増強できる。本菌は食用菌であるため直ちに食品にも利用可能である。
新技術の特徴
・健康機能性
・ファイトケミカル
・発酵食品
想定される用途
・高い健康機能性を有するファイトケミカルを主成分とするサプリメントの開発
・高い健康機能性を有するファイトケミカルが含まれる食品の開発
・高い健康機能性を有するファイトケミカルの生合成
- 14:00~14:25
- アグリ・バイオ
埼玉大学 大学院理工学研究科 人間支援・生産科学部門 教授 蔭山 健介
新技術の概要
AEセンサを培養液中や培地表面または内部に設置することで、微生物が発する発泡AEを検出する。培養液や培地と直接接触することで高周波成分を含む微弱な発泡AEの検出が可能となる。これにより藻類の光合成、酵母の発酵の状態をリアルタイムで計測して制御に利用できる。
従来技術・競合技術との比較
藻類の光合成の状態は、溶存酸素センサでも測定可能であるが、高コストであり、溶存酸素が飽和状態となると酸素の放出は測定できない。酵母の発酵状態は温度やアルコール濃度で測定されているが、温度は応答性が低く、アルコール濃度は自動化すると高コストになる。
新技術の特徴
・簡便で応答性が高く微生物の活動状態をモニタリングできる。
・液体,ゲル,固体など多様な状態の対象物の微生物の活動モニタリングに適用可能。
・IoTと親和性が高く,低コストで多数の地点での計測とデータベース構築が可能
想定される用途
・バイオ燃料を含むバイオマス製造関連での藻類の培養状態の計測
・醸造酒など発酵食品の発酵状態の計測
・椎茸など菌類の生育状態の計測
関連情報
・サンプルあり
・展示品あり
お問い合わせ
連携・ライセンスについて
首都圏北部4大学連合(茨城大学、群馬大学、宇都宮大学、埼玉大学)
URL:https://www.ccr.gunma-u.ac.jp/4u/index.html
茨城大学 研究・産学官連携機構(日立オフィス)
TEL:0294-38-5005
Mail:iric ml.ibaraki.ac.jp
URL:http://www.iric.ibaraki.ac.jp/
群馬大学 産学連携・知的財産活用センター
TEL:0277-30-1173、1175
Mail:tlo ml.gunma-u.ac.jp
URL:https://www.ccr.gunma-u.ac.jp/
埼玉大学 オープンイノベーションセンター
TEL:048-858-3849
Mail:coic-sangakuml.saitama-u.ac.jp
URL:http://www.saitama-u.ac.jp/coalition/coic/access/
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