北海道大学 新技術説明会【オンライン開催】
日時:2022年10月04日(火) 10:00~15:25
会場:オンライン開催
参加費:無料
主催:科学技術振興機構、北海道大学
発表内容一覧
発表内容詳細
- 10:00~10:25
- 製造技術
北海道大学 大学院工学研究院 機械・宇宙航空工学部門 人間機械システム分野 助教 山田 悟史
新技術の概要
生体骨の構造と力学特性を参考に開発した力学的高機能な新しい多孔質構造体とその製造方法。ビームの長さと節点における分岐数を確率分布により任意に与えることで、ビームが互いに接続したネットワーク状の多孔質構造体を構築する。軽量かつ初期破壊後の破壊進展が抑制可能な力学的等方性を有する多孔質構造体が提供できる。
従来技術・競合技術との比較
本新技術は、設計自由度が高く、従来構造の課題であった予期しない方向からの突発的負荷による破損のリスクや破損後の更なる破壊進展のリスクを低減し、高い吸収エネルギを可能とする。このため、軽量化に加え、破壊抑制や高い吸収エネルギが要求される生体内環境や航空宇宙環境等において特に有用となる。
新技術の特徴
・初期破壊後の更なる破壊進展が抑制可能で吸収エネルギが高い多孔質構造体を提供することができる。
・一般的な中実材と同様に、負荷方向によらず力学的に等方な多孔質構造体を提供することができる。
・前記特徴を有する構造体を3Dプリンターで容易に製造することができる。
想定される用途
・整形外科や歯科用の高機能インプラントとしての活用(股関節インプラントのステム等)
・輸送用機械における軽量な構造用部材としての活用(航空機用部品の軽量化等)
・輸送用機械における衝撃吸収材としての活用(自動車のクランプルゾーン、惑星探査機の着陸脚等)
関連情報
・サンプルあり
- 10:30~10:55
- デバイス・装置
北海道大学 大学院理学研究院 化学科 准教授 角五 彰
新技術の概要
分子ロボットに群れという協働作業戦略を取り入れることで物質輸送という実効的な仕事を達成。薬剤の運搬や選択,汚染物質の回収など様々な現場で活躍するロボットとして期待。
従来技術・競合技術との比較
近年の技術進歩により,ロボットはマイクロスケールやナノスケールまで小型化されましたが,サイズの小ささゆえ,これらのロボットを実働させるには至っていませんでした。本研究では,群れの形成解離を遠隔で操作する分子機構を導入することで,分子ロボットによる物質輸送という実効的な仕事の遂行に成功しました。
新技術の特徴
・直径25ナノメートル,全長は5マイクロメートル程度のサイズのロボット
・光を感知するフォトクロミック色素を組み込むことで,光による遠隔操作が可能
・群れを利用することで分子ロボット単体と比べ輸送効最を最大5倍,積荷サイズを10倍に拡大
想定される用途
・薬剤の運搬や選択
・染物質の回収
・微小な発電素子としての利用
- 11:00~11:25
- 医療・福祉
北海道大学 大学院先端生命科学研究院 先端融合科学研究部門 助教 石原 誠一郎
新技術の概要
本技術では水位差灌流により新鮮な培養液を細胞に十分供給することで、細胞の生存率を高めた三次元培養法を実現した。さらに本培養法により肝臓モデル細胞の肝機能を高めることができる可能性を示した。本技術では灌流速度や培養材料のカスタマイズが可能であるため、細胞種に応じて適切な培養条件をチューニングすることができる。
従来技術・競合技術との比較
従来、細胞を生体内に近い環境下で培養するために、ゲル中に細胞を埋め込む三次元培養法が行われてきた。しかしこの方法には、細胞を生体内に近い高密度で培養した際にゲル内部に培養液が届かずに細胞が生きられないという問題があった。本技術は水位差灌流により培養液をゲル中心部まで供給することで、細胞の生存率を向上させることを可能とした。
新技術の特徴
・水位差灌流により細胞の生存率を向上させた三次元培養が可能
・灌流速度や培養材料のカスタマイズが可能
・スケールアップ・スケールダウンが容易
想定される用途
・三次元細胞培養を用いた創薬スクリーニング
・再生医療に向けた細胞材料の作製
関連情報
・デモあり
- 13:00~13:25
- デバイス・装置
北海道大学 大学院情報科学研究院 情報科学専攻 助教 小水内 俊介
新技術の概要
手に持った振動子が特殊な振動をすることで一方向に引っ張られる感覚が生起される疑似力覚を利用し、3個の振動子の向きを3個のアクチュエータで適切に変化させることで、空間的な運動に必要な6自由度の力覚提示を可能とします。この構成方法の利点は、嵩張る振動子の搭載数を(6個から3個へ)削減できることです。
従来技術・競合技術との比較
力覚提示装置として、従来的な設置型装置と比べると、提示力は弱いものの、ユーザの行動自由度は高いです。
新技術の特徴
・手持ち型デバイス単体での空間6自由度の力覚提示
・6自由度以下の任意の自由度での設計が可能
想定される用途
・フロアナビゲーション
・MR/VR/AR 用ハプティックス(力覚提示)
- 13:30~13:55
- 分析
北海道大学 化学反応創成研究拠点 猪熊グループ 特任助教 井手 雄紀
新技術の概要
機械学習を活用した画像診断システムの構築方法である。画像取集・データセット作成プロセスから有機物と無機物の混合割合量や固体加熱反応における反応収率、金属イオンの錯形成進行度、異なる結晶多型の存在割合などの種々の化学種を扱った例を示す。人間では取得困難な画像情報を用いた品質管理などへの展開が期待される。
従来技術・競合技術との比較
機械学習を利用した画像診断システムは医療現場でのMRI・CT画像解析や化学プラントでの溶液状態における反応追跡などへの応用が知られている。固体状態での反応の進行具合や定量的な物性評価に関して、分析方法が限定的なために実用的な手法の確立がなされていない。汎用性が高い実用例を含めた画像診断システムの構築を行った。
新技術の特徴
・迅速に誰でも画像1枚から診断可能
・定量分析が難しい固体状態のまま・非破壊での診断が可能
・様々な撮影装置に適用可能
想定される用途
・化成品工場などでの品質管理システムへの利用
・薬局などにおける調剤割合のチェックシステムへの利用
・廃棄物中に存在する目的化合物の割合診断への利用
関連情報
・デモあり
- 14:00~14:25
- 環境
6)機能性タンパク質を用いた微粒子の選択的凝集
発表資料北海道大学 大学院工学研究院 環境循環システム部門 資源生物工学研究室 准教授 中島 一紀
新技術の概要
材料への結合性と自己凝集性を併せもつ機能性タンパク質を用いて、微粒子を選択的に凝集させることができる技術です。様々な材料をターゲットにすることができ、酵素によって凝集をコントロールすることが可能です。金属資源の回収や環境汚染物質の除去などに応用できると期待されます。
従来技術・競合技術との比較
従来の微粒子凝集法では、合成高分子や化学薬品が使われているため環境負荷が大きく、またその選択性もあまり高くはありません。本技術は、タンパク質のみを用いているため低環境負荷で、生物の機能を用いて高選択的にターゲット微粒子の凝集が可能です。
新技術の特徴
・特定の微粒子を選択的に凝集させることが可能
・酵素による切断で凝集をコントロール
・化学試薬や合成高分子を使わず,タンパク質のみを利用
想定される用途
・有価鉱物の回収
・環境汚染物質の除去
・ドラッグデリバリー
- 14:30~14:55
- 計測
7)MHzスケールのリフレッシュレートを有する超高速空間光変調手法とその応用
発表資料北海道大学 電子科学研究所 生命科学研究部門 光情報生命科学研究分野 准教授 渋川 敦史
新技術の概要
従来の高速空間光変調器のフレームレート(FPS)を遥かに凌駕するMHzスケールのFPSを有する世界最速の空間光変調手法を開発した。具体的には、高速ミラースキャナーによって、シリンドリカルレンズによって生成したラインビームを2D-SLM上で横方向へ高速走査することで、1D空間分布の超高速変調を可能にしている。
従来技術・競合技術との比較
液晶型の空間光変調器は、最大1kHz程度のFPSを持つ。また、2値強度変調の高速空間光変調器として知られるデジタルマイクロミラーデバイスは、25kHzのFPSを持つ。さらに、一次元空間光変調器であるGrating light valveは、350kHzのFPSを持つ。一方、我々の開発手法は、数十MHzのFPSを実現可能にするものである。
新技術の特徴
・MHzクラスのフレームレートを有する世界最速のSLM (光空間変調装置)
・波面整形(位相変調)による散乱レンズ
・最適波面解での光干渉を利用した集光ビームスポット生成
想定される用途
・生体深部イメージング
・光速3Dイメージング・3D空間での粒子追跡
・パルス整形・デイスプレイ分野
関連情報
・デモあり
- 15:00~15:25
- エネルギー
8)比較的低温で作動するセラミックス燃料電池・水蒸気電解可逆セル
発表資料北海道大学 大学院工学研究院 応用化学部門 准教授 青木 芳尚
新技術の概要
プロトン伝送性セラミックス燃料電池(H-SOFC)および水蒸気電解セル(H-SOEC)の効率を向上させる、新しいプロトン伝導性およびヒドリドイオン伝導性セラミックス電極材料技術を提供する。
従来技術・競合技術との比較
本研究では、従来700℃以上で作動する必要があった固体酸化物燃料電池(SOFC)および水蒸気電解sセル(SOFC)を、プロトン伝送性セラミックスと、ヒドリドイオン伝導性セラミックスを活用することにより、500℃付近で高効率に作動させる技術を提供する。
新技術の特徴
・既存のプロトンセラミクス電解セルの効率を向上させる材料技術
・水素透過電極を活用した燃料電池・水蒸気電解セル
・ヒドリドイオン伝導性セラミックスカソードを用いた共電解セル
想定される用途
・余剰電力を活用したグリーン水素製造
・駆動用SOFC
・水と再生可能エネルギーを利用したアンモニア合成および二酸化炭素の再資源化
関連情報
・サンプルあり
お問い合わせ
連携・ライセンスについて
北海道大学 産学・地域協働推進機構
TEL:011-706ー9561
Mail:jigyo mcip.hokudai.ac.jp
URL:https://www.mcip.hokudai.ac.jp/
新技術説明会について
〒102-0076 東京都千代田区五番町7 K’s五番町
TEL:03-5214-7519
Mail:scettjst.go.jp