関西大学 新技術説明会【オンライン開催】
日時:2022年09月22日(木) 10:00~14:55
会場:オンライン開催
参加費:無料
主催:科学技術振興機構、関西大学
発表内容一覧
- 魚肉由来たんぱく質の摂取による認知機能の低下予防 発表資料 プレゼン動画
- 噴霧乾燥プロセスによる金属有機構造体の合成および構造・形態制御 発表資料 プレゼン動画
- ラジアル荷重測定用摩擦帯電センサ組込み転がり軸受の開発 発表資料 プレゼン動画
- 天然氷制御物質を用いたコンクリートの凍害抑制技術 発表資料 プレゼン動画
- 高性能な有機ケイ素材料製造のための酸化鉄ナノ粒子触媒の開発 発表資料 プレゼン動画
- 蚊の針構造と穿刺動作を模倣した「痛くない注射針」とそれを応用した自動穿刺採血/注射システム 発表資料 プレゼン動画
- ポリプを活用した効率的なサンゴ増殖技術 発表資料 プレゼン動画
- 場の熱量を瞳で伝えるコミュニケーション技術 発表資料 プレゼン動画
発表内容詳細
- 10:00~10:25
- アグリ・バイオ
関西大学 化学生命工学部 生命・生物工学科 准教授 細見 亮太
新技術の概要
我々は老化促進マウスSAMP10を用いた動物実験によって、魚肉(スケトウダラ)由来タンパク質(FP)摂取が短期記憶低下の予防作用があることを見出した。この研究成果により、魚肉タンパク質を用いた加工食品の認知機能低下を予防する機能性表示食品としての展開が期待される。
従来技術・競合技術との比較
これまでに、動物実験によりFP摂取による腸内細菌叢とその代謝産物の変化を介したインスリン感受性向上効果および非アルコール性脂肪肝抑制効果を報告している。短期記憶低下を予防する効果については、すでに認知機能改善効果が報告されているカゼインよりも優れていることを見出した。
新技術の特徴
・スケトウダラ由来タンパク質の認知機能低下予防効果の初めての報告
・これまでに脳機能改善効果が報告されているカゼインよりも効果的であった
想定される用途
・認知機能の維持を目的とした魚肉たんぱく質を含む機能性食品
- 10:30~10:55
- 材料
関西大学 環境都市工学部 エネルギー環境・化学工学科 教授 田中 俊輔
新技術の概要
吸着剤や触媒、ドラッグキャリアとして応用される金属有機構造体(MOF)を、噴霧乾燥エアロゾルプロセスを利用して合成、構造制御、階層的構造化する技術。金属イオン/配位子のガラス相をMOFに結晶転換させたり、他の機能性材料との複合化も可能である。
従来技術・競合技術との比較
MOF合成の従来法(ソルボサーマル法や水熱合成法)では、数ミリグラム〜数グラム程度のラボスケールの合成であるのに対して、原料溶液を熱風中に噴霧し、瞬間的かつ連続的に乾燥させて粉末化する。本技術は、異なる原料溶液に対しての汎用性に優れており、連続運転可能で生産性に優れる。
新技術の特徴
・MOFのアモルファス化と結晶化を利用した構造・形態制御
・生産性に優れた連続運転可能なフローシステムであること
・設備投資の経済性に優れ、管理・運用負担が低いこと
想定される用途
・吸着剤、触媒担体、分離膜
・電極材料、ドラッグデリバリーシステム
・ファイトケミカル
関連情報
・サンプルあり
- 11:00~11:25
- デバイス・装置
関西大学 システム理工学部 機械工学科 教授 谷 弘詞
新技術の概要
近年、ドローンなどのエアモビリティ市場は急激に拡大しているが、モータ軸受は小径であるため軸受を活用した運転状態のモニタは困難であった。我々が開発した摩擦帯電センサは、自己発電型でラジアル荷重モニタが可能であり、ドローンなどの小径転がり軸受に設置でき、運転状態のモニタを可能とする。
従来技術・競合技術との比較
これまで速度センサや荷重センサを組込んだ転がり軸受ユニットは、比較的大径の軸受であった。本技術は、自己発電型の小径の転がり軸受用のセンサであり、ドローンや空飛ぶ車などのエアモビリティ機器に装着でき、運転状態のモニタが可能となる。
新技術の特徴
・小径の転がり軸受用のセンサ
・小径転がり軸受のラジアル荷重のモニタリングが可能
想定される用途
・あらゆるものがインターネットと接続する IoT 社会の自己発電型センシングデバイスとして
・ラジアル荷重モニタリングが可能な転がり軸受
- 11:30~11:55
- 建築・土木
関西大学 環境都市工学部 都市システム工学科 ・コンクリート工学研究室 教授 鶴田 浩章
新技術の概要
氷結晶制御物質研究の中で、天然物質である微生物や食品廃棄物などから、独自のスクリーニング系を用い、高機能な凍害抑制剤の探索を進めている。本研究では、過冷却促進物質と氷結晶成長の抑制製剤を併用し、用途例の一つであるコンクリート構造物に混入、あるいは塗布することで凍害を抑制する技術を開発し実用化を目指している。
従来技術・競合技術との比較
コンクリート構造物の凍害抑制対策としては、十分な空気量の導入や低W/Cの使用、中空微粒子の導入など水分の凍結による膨張圧を緩和する対策が採用されている。本研究の技術は、直接、水分に働きかけ、凍結時の膨張圧力を低下させる製剤を使用することで、凍害に対して根本的な抑制対策となることが期待されている。
新技術の特徴
・氷結晶成長抑制機能や氷再結晶化抑制機能を有する不凍材料を天然物から抽出
・コンクリート構造物に混入、塗布することで凍害を抑制
・既設構造物の凍害抑制にも適用可能な簡単な施工
想定される用途
・コンクリート構造物用凍害抑制剤
・道路用凍結防止剤
関連情報
・展示品あり
- 13:00~13:25
- 製造技術
関西大学 化学生命工学部 化学・物質工学科 教授 大洞 康嗣
新技術の概要
N, N-ジメチルホルムアミドを用いた還元法により酸化鉄をナノ粒子化することにより、触媒として少量で髙い活性を示し、白金ナノ粒子との混合で種々のシランカップリング剤の効率的な合成に成功した。簡便な操作によるリサイクルや温度刺激応答型触媒としての展開も可能である。
従来技術・競合技術との比較
有機ケイ素部材の合成には白金触媒が使用されているが、高価な希少金属であること、残留した白金による材料性能の低下などの課題があった。本技術は、酸化鉄ナノ粒子を触媒とすることにより白金触媒の代替を可能とし、有機ケイ素材料の合成プロセスの大幅な省エネルギー化とコスト低減を実現するものである。
新技術の特徴
・シリコーンなどの有機ケイ素部材の高機能化および安価提供を可能とする
・簡便操作で触媒のリサイクルが可能で、温度刺激応答型触媒としても利用できる
・白金ナノ粒子との混合で、種々のシランカップリング剤合成触媒として展開可能
想定される用途
・シリコーンなどの有機ケイ素部材の高機能化
・種々のシランカップリング剤の合成
・生成物の品質を維持し、取り扱いが容易でリサイクルのしやすいシランカップリング剤合成用ナノ粒子触媒
関連情報
・サンプルあり
- 13:30~13:55
- 医療・福祉
関西大学 システム理工学部 機械工学科 教授 鈴木 昌人
新技術の概要
蚊の針の構造と穿刺動作を模倣した微細な無痛針を開発した。この針の外径は 90 µmと極めて細く、これを左右にねじりながらゆっくりと穿刺することにより、非常に小さな力で痛み無く皮膚に穿刺することが可能である。更に、カメラ画像により血管を捉え、開発した無痛針を血管位置まで移動させることにより、自動かつ無痛で採血または注射を行うシステムも開発した。
従来技術・競合技術との比較
採血や注射を目的とした中空針は長期に渡り形状や材質が変化していない。市販されている最も細い医療用中空針でも直径180µmであり、我々の針と比べて2倍も太い。自動採血/注射針については多くの競合技術開発が行われているが、無痛での採血/注射を可能にしたものは我々が開発したシステムのみである。
新技術の特徴
・世界最細である直径90µmの中空針
・蚊の動作を模倣した低侵襲性の針穿刺動作をシステム化(無痛化、針の折損防止に有効)
・無痛かつ自動的に採血/注射が行えるシステム
想定される用途
・糖尿病患者の血糖値検査
・ヘルスケアモニタリング(血液検査)における採血
・医療現場における医療補助(看護師の針刺し業務を代行)
関連情報
・デモあり
- 14:00~14:25
- アグリ・バイオ
関西大学 化学生命工学部 化学・物質工学科 教授 上田 正人
新技術の概要
サンゴの炭酸カルシウムからなる骨格に対してイソギンチャク様の軟組織であるポリプは、分裂や出芽によりクローンを増やす。本技術は、塩分濃度上昇などの環境変化により、このポリプをサンゴ断片から単離させ、チタンなどに固着・培養するもので、サンゴの効率的な増殖を可能とする。
従来技術・競合技術との比較
サンゴ礁を再生するには、サンゴの断片移植が一般的であるが、移植の数だけサンゴ片を切り出す必要がある。また、サンゴの産卵時に受精卵を回収して培養することも可能であるが、産卵時に限られている。本技術は、サンゴの小さな断片から多くのポリプを採取可能であり、必要な時期にポリプを単離して培養できる特徴を有している。
新技術の特徴
・サンゴの小断片から多くのポリプを採取可能
・シーズン性がなく、いつでもポリプを単離・培養可能
想定される用途
・サンゴ礁の再生
・観賞用サンゴの作製
- 14:30~14:55
- 情報
関西大学 総合情報学部 総合情報学科 准教授 瀬島 吉裕
新技術の概要
本技術は、対面あるいはオンラインコミュニケーションにおける場の雰囲気を、サイバー空間における対流熱としてシミュレーションすることで場の熱量を推定し、ロボットの視線や瞳孔が変化するコミュニケーション技術を開発した。
従来技術・競合技術との比較
従来技術は、利用者の表情変化や会話音量から場の雰囲気を推定していたが、本技術は利用者の音声を2値化(ON-OFF)した状態で推定できるため、キャリブレーションが不要で、カメラやマイクの位置・角度等の計測環境に依存しない。さらに、多人数での対話に対してロバストな推定が可能である。
新技術の特徴
・対面/オンラインコミュニケーションの雰囲気の可視化
・合意形成等のファシリテーション支援
・サイバーフィジカルシステムによる対話ロボット技術
想定される用途
・オンラインコミュニケーションにおける雰囲気表現
・アバタロボットによる遠隔対話の雰囲気表現
・介護ロボットやセラピーロボットによる共感支援
関連情報
・サンプルあり
・展示品あり
お問い合わせ
連携・ライセンスについて
関西大学 産学官連携センター
TEL:06-6368-1245
Mail:sangakukan-mm ml.kandai.jp
URL:https://www.kansai-u.ac.jp/renkei/industry/
新技術説明会について
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TEL:03-5214-7519
Mail:scettjst.go.jp