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JST戦略的創造研究推進事業② 新技術説明会【オンライン開催】

日時:2023年01月20日(金) 09:55~14:25

会場:オンライン開催

参加費:無料

主催:科学技術振興機構

発表内容詳細

  • 09:55~10:00

開会挨拶

科学技術振興機構 戦略研究推進部 課長 久永 幸博

  • 10:00~10:25
  • 材料

1)エチレンを原料に用いた1,2-ビス(ジフェニルホスフィノ)エタン(DPPE)誘導体の合成法

発表資料

北海道大学 化学反応創成研究拠点 特任准教授 美多 剛

https://www.icredd.hokudai.ac.jp/ja/mita-tsuyoshi

新技術の概要

非常に温和な条件で、1,2-ビス(ジフェニルホスフィノ)エタン(DPPE)またはDPPE誘導体を合成する製造方法に関する技術である。また、従来の製造方法では、合成が困難であった新規DPPE誘導体を提供できる。新規DPPE誘導体は、錯体触媒の配位子として用いた際に、触媒の選択性等の性能を向上させることが予想される。

従来技術・競合技術との比較

従来技術のDPPE誘導体の合成では、空気中で不安定な原料物質や、200℃以上の高温反応を必要とするため汎用性に乏しかった。本技術では、基本的な工業原料であるエチレンと、大気中で安定な化合物を原料として、温和な反応条件の下、従来は製造困難だったもの(ex.非対称の置換基を有するもの)を含めた幅広いDPPE誘導体の製造が可能である。

新技術の特徴

・温和な反応条件で、DPPEおよびDPPE誘導体を合成できる
・DPPEの左右のリン原子に結合する2つの芳香族基がそれぞれ異なるようなDPPE誘導体を、自由度高く合成することができる
・本技術により合成された新規DPPE誘導体は錯体の配位子として触媒等の性能向上に有用であると期待される

想定される用途

・DPPE及びDPPE誘導体の製造方法
・新規DPPE誘導体の錯体配位子としての使用すること及び、その錯体を用いた錯体触媒への応用

関連情報

・サンプルあり

  • 10:30~10:55
  • 製造技術

2)スポンジでゴシゴシっと配線印刷、曲面ワークに線幅10µm!

発表資料 プレゼン動画

東京大学 大学院工学系研究科 物理工学専攻 長谷川・荒井研究室 特任研究員 井川 光弘

http://hsgw.t.u-tokyo.ac.jp/

新技術の概要

人間とコンピュータがより心地よく繋がった未来社会の実現に向けて、各種情報入出力端末の軽量・フレキシブル化と自由形状化が強く求められている。本発明はスポンジ(多孔質体)の柔軟性と毛管現象を利用した印刷法に関するもので、従来法では困難であった自由曲面などの3次元形状上における、電子材料の均一・高精細印刷を可能とした。

従来技術・競合技術との比較

フォトリソグラフィなどの現行プロセスにおいては、自由曲面形状など複雑な3次元形状上に配線や電子回路を形成する手段がなく、緩やかな曲面上への印刷応用が試みられているものの、その適応範囲は狭く、形状や解像度に多くの制限がある。本開発では、線幅 10 μm以下 の細線を曲率 23~112 mm の曲面上に印刷形成できる高精細化を達成している。

新技術の特徴

・三次元形状上(例えば、曲率:23~112 mm)に高精細な電子配線(例えば、線幅:10μm以下の銀配線)が印刷で形成できる
・配線材料だけでなく、インク化できる様々な電子材料にも応用できる
・プロセスが簡易(光をあてて塗るだけ)で工程数も少なく、省資源・高生産性なプロセスである

想定される用途

・複雑な立体形状を有した電子デバイスの製造が可能となる
・従来の印刷プロセスの代替法にもなり得るため、平面における既存製品の製造において、本技術を適応させることが可能である

関連情報

・デモあり

  • 11:00~11:25
  • 材料

3)ポリエチレンイミンを鋳型としたサブナノ粒子合成と触媒への展開

発表資料 プレゼン動画

東京工業大学 科学技術創成研究院 アトムハイブリッドマテリアル研究ユニット 特定教授 田辺 真

http://www.res.titech.ac.jp/~inorg/

新技術の概要

ナノ粒子は工業的に幅広く利用されているが、さらに小さいサイズのサブナノ粒子は、粒子の構成原子数の大幅な減少により非晶構造をとる。発表者らは、分岐型ポリエチレンイミンを鋳型として金属粒子サイズや分布を精密に制御する合成方法を確立した。ナノ粒子にはない量子サイズ効果や粒子表面の反応性が極めて高いことから、新たな物質を創製し触媒など次世代機能材料の実用化を目指している。

従来技術・競合技術との比較

従来のサブナノ粒子の合成方法として知られる気相合成法はナノグラムスケールの生産量であるため実用化には至っていない。一方、申請者らが開発したデンドリマー鋳型法は、様々な金属に対して原子数や組成を精密に制御したサブナノ粒子の合成が可能である。しかし大量合成には適しておらず、コストも高価であるため工業的用途としては使用しにくい。本技術である分岐型ポリエチレンイミンを鋳型としたサブナノ粒子の合成は安価で大量合成が可能となる。

新技術の特徴

・市販分岐型ポリエチレンイミンは、40円/gと非常に安価なので、合成した金属サブナノ粒子を安価に提供できる
・不飽和脂肪酸とポリエチレンイミンをミセル会合させることで、サブナノ粒子の凝集を効果的に抑えることができる   
・水溶性でもあるので、得られたサブナノ粒子は水溶液中に分散できる

想定される用途

・貴金属に頼らない車の排ガスNOx/SOx浄化触媒や燃料電池触媒、CO2やメタンなどの余剰物質から重要なバルクケミカル資源をクリーンかつ安価に製造できる高性能触媒が提供できる
・抗菌剤や抗ウイルス剤として、Ag、Cuナノ粒子の有用性が注目されている。水への分散が可能であり、タンパク質を分解的できる反応性が高いサブナノ粒子は、抗菌剤や抗ウイルス剤など医療用途にも展開できる

関連情報

・サンプルあり

  • 13:00~13:25
  • 医療・福祉

4)極微量ウイルスの高感度・高精度PCR検出技術

発表資料 プレゼン動画

産業技術総合研究所 化学プロセス研究部門 有機物質変換グループ 主任研究員 松浦 俊一

https://unit.aist.go.jp/cpt/ja/groups/002_cpt-omc.html

新技術の概要

新型コロナウイルスを対象とした現行のPCR技術では、標的のウイルスRNAが10コピー以下では検出感度が不十分である。本研究では、メソポーラスシリカの規則性細孔にDNA増幅酵素を固定化し、酵素周辺の反応環境を最適化することによって非特異的DNA増幅(副反応)を抑制し、現行法に対して約100倍の高感度化を達成した。1分子レベルでの高感度増幅を可能にするため、現行法では検出が困難であった環境中の希薄なサンプル(下水、空気・エアロゾルなど)からの新興ウイルス感染症の検査、さらには全ゲノム増幅・解析にも応用可能である。

従来技術・競合技術との比較

1分子レベルの精確なウイルスRNA検出法として、Droplet Digital PCR(ddPCR)等の開発が進展しているが、専用のPCR試薬が高コスト、高価な装置の導入、一般的なPCRより反応時間が長い等の課題がある。一方、本開発技術では、既存のPCR装置をそのまま使用でき(高汎用性)、ウイルスRNAの高感度・高精度でのPCR増幅検出が可能である。また、現在の新型コロナウイルスのゲノム解析に適用されているマルチプレックスPCR法では増幅が困難な領域に対しても1分子レベルでの増幅を可能にするため、ゲノム解析における高感度化・高精度化にも寄与できる。

新技術の特徴

・非特異的DNA増幅(副反応)を抑制することで標的の極微量ウイルスRNAからのPCR増幅検出を実現
・既存のPCR装置をそのまま利用可能(高汎用性)
・固定化酵素サンプルの冷凍・冷蔵・常温での長期安定保管・輸送も可能

想定される用途

・既存のPCR装置を利用した1分子レベルのウイルスRNAからの高感度・高精度PCR増幅検出および検査キット
・マルチプレックスPCR法では増幅が困難な領域での1分子レベルでのPCR増幅および希薄な環境サンプル等のゲノム解析への応用
・固定化酵素サンプルの常温での長期安定保管・輸送によるフィールドワークでの環境DNA等のPCR検出への活用

関連情報

・サンプルあり
・デモあり

  • 13:30~13:55
  • 医療・福祉

5)慢性肝疾患の合併症を予測できる非侵襲性バイオマーカー

発表資料 プレゼン動画

三重大学 大学院医学系研究科 生命医科学専攻 臨床医学系講座 消化器内科学 特任准教授 江口 暁子

https://www.medic.mie-u.ac.jp/organization/course/gastro/

新技術の概要

慢性肝疾患を有する被験者から採取した血中の細胞外微粒子成分(microRNA)を用いて、慢性肝疾患の合併症である「肝性サルコペニア」や「肝性脳症」を予測する方法を見出した。なお、慢性肝疾患マウスモデルを用いて、肝臓由来の微粒子が脳や骨格筋の遠隔臓器に伝播され発症に関与することは証明済みである。

従来技術・競合技術との比較

慢性肝疾患に伴う合併症(肝性サルコペニアや肝性脳症)を予測できる技術はない。サルコペニア診断は、握力の計測、CTやインピーダンス法による骨格筋量の測定により行い、サルコペニアを予測するバイオマーカーは存在しない。肝性脳症は、臨床症状や血中のアンモニア濃度の上昇を基準に診療が行われるが、現在の診断精度は十分ではない。

新技術の特徴

・末梢血の核酸(microRNA)成分により判定可能

想定される用途

・非侵襲性バイオマーカー

  • 14:00~14:25
  • 計測

6)強化学習に基づく精度保証つき迅速ラマン計測:on the fly Raman microscope

発表資料 プレゼン動画

北海道大学 電子科学研究所 データ数理研究分野 教授 小松崎 民樹

https://mlns.es.hokudai.ac.jp/

新技術の概要

ラマン分光イメージングを、おおよそ数百から数万倍、迅速に実現。計測過程にAIが介入し、逐次的に最適な実験条件を計測装置にフィードバックし、無駄を省き必要な分光情報を重点的に獲得することで、診断精度を数学的に保証した迅速化技術を実現する。

従来技術・競合技術との比較

従来のAI介入型迅速計測手法は背後の仮定が非自明で精度を保証できない。本技術は精度を保証しつつ高速化を実現する。細胞診は染色による形態異常に依拠。ラマン分光イメージングは形態と化学情報の両面を反映するものの計測に長時間掛かり実応用上困難。本技術では実現可能。

新技術の特徴

・精度を保証したAI介入型迅速計測技術
・細胞・組織の形態と化学情報の両面を反映
・品質管理(例:食物中のマイクロプラスチック検出)などの応用例

想定される用途

・細胞病理医および技師による細胞診の確実性向上 (病理医・技師の数が多くない、多忙な診断業務の補助)
・iPS細胞から分化細胞誘導の際の未熟細胞除去、iPS細胞の純化 (従来法は形態情報に依拠)
・尿細胞診・子宮頸部細胞診・喀痰細胞診 (細胞情報の数値化により、グレーゾーンの診断を減少させる)

お問い合わせ

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科学技術振興機構 戦略研究推進部(さきがけ)
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URL:http://www.jst.go.jp/kisoken/presto/

科学技術振興機構 戦略研究推進部(ACT-X)
TEL:03-6380-9130  
Mail:act-x アットマークjst.go.jp
URL:https://www.jst.go.jp/kisoken/act-x/index.html

新技術説明会について

〒102-0076 東京都千代田区五番町7 K’s五番町

TEL:03-5214-7519

Mail:scettアットマークjst.go.jp

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