神戸大学 新技術説明会【オンライン開催】
日時:2022年10月27日(木) 13:30~15:55
会場:オンライン開催
参加費:無料
主催:科学技術振興機構、神戸大学
発表内容一覧
発表内容詳細
- 13:30~13:55
- 材料
神戸大学 大学院工学研究科 応用化学専攻 准教授 市橋 祐一
新技術の概要
量子化学シミュレーションを用い、抗微生物特性を有する可視光応答型有機光触媒を設計し、その有機光触媒を合成した。実際に可視光やルームライト照射下での抗菌・抗ウィルス性能について検討したところ、従来の酸化チタン光触媒よりも効果的な可視光応答型有機光触媒の開発に成功した。
従来技術・競合技術との比較
光触媒による抗微生物特性は酸化チタンが用いられているが、白色を呈することがあり、さらに固定化させるために溶剤に混ぜ込むなどの作業が必要であった。本触媒は従来の酸化チタンに比べ2倍の抗菌活性を示すものもあり、この有機光触媒を化成品に化学結合させることで、抗微生物特性を付与することが出来る。
新技術の特徴
・抗菌・抗ウィルス性が従来の酸化チタンよりも高く、可視光下で稼働する
・分子設計が容易で、これまでの化成品に抗菌・抗ウィルス作用を付与することが可能である
・無色化でき、コーティング剤自体に抗菌・抗ウィルス性能を付与することが出来る
想定される用途
・抗菌・抗ウィルス性能を有する衣料品や住宅建材への利用
・抗菌・抗ウィルス性能を有するコーティング処理(剤)への利用
・抗菌・抗ウィルス性能を有する新規素材の開発
- 14:00~14:25
- 計測
神戸大学 未来医工学研究開発センター 治療機器開発部門 教授 菅野 公二
新技術の概要
1100nm以上の短波長赤外線をシリコンマイクロ振動子の共振周波数変化から検出する光センサであり、波長依存性を付与した振動子のアレイ化によって超小型・低コスト・高感度の近赤外分光器を実現する。本技術を用いた分光分析による食品分析や医療画像診断など幅広い応用の可能性をについて紹介する。
従来技術・競合技術との比較
従来の短波長赤外線検出には主にInGaAsを用いており、冷却器を必要とする。また分光には回折格子が必要なため、大型・高コストが課題であった。本技術は、シリコン振動子に波長依存吸収構造を集積することで、冷却器・回折格子を必要とせず所望の波長帯の光を超小型・低コスト・高感度で検出することが可能である。
新技術の特徴
・シリコン振動子の共振周波数変化を検出原理とし、短波長赤外の高感度検出が可能
・材料がシリコンで、冷却器と回折格子が不要であるため、超小型・低コストな短波長赤外分光器が実現可能
・超小型・低コストなため、スマートフォンによる食品分析や内視鏡への適用、自動車への搭載などが可能
想定される用途
・医療分野(内視鏡、カプセル内視鏡に応用し、可視光では判別できないがんの画像診断など)
・機械・自動車分野(自動車へ応用し、自動運転や安全運転支援システムの高度化のための路面状態分析など)
・その場観察(スマートフォンやタブレットに接続し、個人や小売店で実施可能なその場での食品分析など)
- 14:30~14:55
- 創薬
3)細胞膜のメカニクスを標的としたがん治療法の開発
発表資料神戸大学 バイオシグナル総合研究センター 生体膜機能研究分野 准教授 辻田 和也
新技術の概要
本発明は、がん細胞の細胞膜張力を正常細胞と同程度まで回復させることで、がん細胞の増殖、浸潤・転移を抑制する方法である。独自に開発した細胞膜の張力を高く維持する技術によってがんの進展を抑制でき、新しいがん治療への応用が期待される。
従来技術・競合技術との比較
がんの有望な標的として、細胞の物理特性が国際的に注目を集めているが、ターゲットとすべきがん細胞の物理特性は不明であり、これを標的としたがん治療法の開発は全く進んでいない。本発明は、発表者の研究成果を基にした、がん細胞膜のメカニクスを標的としたがん抑制方法であり、世界的に、新規性・独創性の高い技術である。
新技術の特徴
・副作用が少ないことが期待される
・がんの種類を問わず、効果が発揮できることが期待される
・細胞膜の張力を上げる作用をもつ化合物を抗がん剤として利用できる可能性がある
想定される用途
・がん治療
・抗がん剤の開発
関連情報
・サンプルあり
- 15:00~15:25
- 材料
神戸大学 大学院科学技術イノベーション研究科 科学技術イノベーション専攻バイオ・環境講座 准教授 石川 周
新技術の概要
現在報告されている超高分子L‐γ‐ポリグルタミン酸よりさらに分子量が大きな超高分子、かつ高い光学純度の新規L‐γ‐ポリグルタミン酸を提供する。本発明の製造方法によると、生産効率が高く低コスト化が実現される。
従来技術・競合技術との比較
高い光学純度のγ‐L‐ポリグルタミン酸の生産法として古細菌Natrialba aegyptiacaによる方法があるが、製造コストが非常に高いという問題がある。本発明は、増殖が速く安価な培地で製造できる枯草菌による、さらに分子量が大きな超高分子、かつ高い光学純度のγ‐L‐ポリグルタミン酸を生産する確立された唯一の技術である。
新技術の特徴
・超高分子、かつ高い光学純度のγ‐L‐ポリグルタミン酸の生産法
・従来法より安価に生産できる(概算で18~80分の1程度)
・遺伝子改変が容易な枯草菌を使用しているため、さらなる高生産化、他の技術との併用が可能
想定される用途
・化粧品原料
・プラスチック原料
・高分子吸収体
関連情報
・サンプルあり
- 15:30~15:55
- 環境
神戸大学 大学院科学技術イノベーション研究科 科学技術イノベーション専攻 准教授 中川 敬三
新技術の概要
異なる機能を有する二次元ナノ材料(ナノシート)を多孔質支持膜上に積層させ、優れた透水速度と光触媒活性の両方を兼ね備えたナノシート積層型光触媒膜を開発した。当該膜は、光照射により膜ファウリングを抑制することができる。
従来技術・競合技術との比較
従来の膜ろ過法は微細孔を有する膜で濁質を分離除去するため、膜の目詰まり(ファウリング)が問題となります。膜がファウリングを起こすと、ろ過水量が低下し必要な処理水量が得られなくなるため、膜を洗浄あるいは交換する必要が生じる。本技術では、ファウリングによって低下した透水性能を光触媒機能により完全に回復することができる。
新技術の特徴
・優れた透水速度と光触媒活性を兼ね備えた新規ナノシート積層型光触媒膜
・光照射により膜ファウリングを抑制することが可能
・クリーンな光エネルギーによる浄水処理膜プロセスの提案
想定される用途
・浄水処理膜
・浄水処理膜プロセス
お問い合わせ
連携・ライセンスについて
神戸大学 研究推進部 連携推進課 知財グループ
TEL:078-803-5428
Mail:ksui-keiyaku office.kobe-u.ac.jp
URL:http://www.innov.kobe-u.ac.jp/
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〒102-0076 東京都千代田区五番町7 K’s五番町
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