ライフサイエンス~南日本ネットワーク~ 新技術説明会【オンライン開催】
日時:2022年12月06日(火) 10:00~14:55
会場:オンライン開催
参加費:無料
主催:科学技術振興機構 、鹿児島大学、宮崎大学、佐賀大学、大分大学、琉球大学、
北九州市立大学、 山口大学、都城工業高等専門学校、鹿屋体育大学、鹿児島工業高等専門学校
発表内容一覧
発表内容詳細
- 10:00~10:25
- 医療・福祉
琉球大学 医学部 大学病院 特命講師 平良 隆行
新技術の概要
胸腔ドレーンは胸水や血胸など肺にたまった液体を輩出するために挿入するチューブである。提案する新技術は、芯にあたる内筒の先端に内視鏡カメラを固定し、そのまま挿入できるようにしたドレーンである。内視鏡カメラは内筒先端と中枢側の構造により固定されており、チューブの挿入後に容易に引き抜くことができる。本技術は胸腔ドレーン、気管カニューレ挿入など筒状構造の留置に応用できる。
従来技術・競合技術との比較
従来の胸腔ドレーン挿入は術者の感覚に頼っており、挿入後の位置は胸部レントゲンやCT検査で確認している。リアルタイムではないためチューブの先端が肺を損傷したり、皮下や筋肉中に迷入するリスクがあった。新技術は挿入時に内視鏡カメラで確認するため複雑な技術や感覚は必要なく安全に留置できる。また挿入時に胸腔内の肺野や血管、胸膜などの観察も可能で、迅速で正確な患者の診断にもつながる。
新技術の特徴
・内視鏡カメラを内筒に固定できる
・内視鏡カメラを内筒に固定したまま、チューブを挿入できる
・チューブの留置の際、複雑な技術がいらない
想定される用途
・胸腔ドレーン、気管カニューレ等の挿入
・外来での肺病変生検等の検査
・胃管や腹腔内、膿瘍へのドレナージチューブ挿入
- 10:30~10:55
- 医療・福祉
大分大学 医学部 総合外科・地域連携学講座 准教授 上田 貴威
新技術の概要
若き消化器外科医が、地域の病院で安全な内視鏡外科手術手技を効率よく習得するため、グループウエアを用いた手術手技に対する自己および指導者評価の迅速登録・分析システムを開発し、データ解析可能な教育システムを構築した。これにより、簡便・迅速に手術手技の評価・解析が可能となり、科学的な分析が行われ、効率の良い手術手技の習得が可能となる。
従来技術・競合技術との比較
従来の様々なoff the job及びon the job トレーニングシステムでは、学習者と指導者が共通の術野を観察し、口頭でのその場限りの指導が行われてきたが、教育効果に乏しいとされる。また、紙媒体を用いた評価システムの有用性が報告させれているものの、術式も1-2種類に限られ、入力や解析が煩雑であるため普及していない。
新技術の特徴
・多くの対象術式において、個々の評価入力や保存が可能であり、データ管理が迅速・簡便にできる
・多面的な(単純・クロス)集計・分析がリアルタイムにでき、これらを学習者・指導者双方にフィードバックできる
・教育者(指導医)の評価が可能であり、FD(faculty development)にも有用である
想定される用途
・外科専門医取得プログラムへの参入
・他の医療技術教育への応用(内科的治療・放射線治療、など)
・新規手術器具開発への資料(困難手技・操作の抽出とこれらを改善するための医療器具の開発への応用)
関連情報
・サンプルあり
- 11:00~11:25
- アグリ・バイオ
佐賀大学 海洋エネルギー研究所 所長 池上 康之
新技術の概要
海藻(不稔性アオサ)の光合成で発生する高濃度の溶存酸素含有海水(過飽和溶存酸素海水)を生育に溶存酸素が必要な貝類に与えることで、貝類養殖に必要なばっ気を低減でき、かつ培養生産した不稔性アオサも有効利用できる一石二鳥以上のシステムを提供するもの。
従来技術・競合技術との比較
従来の養殖システムは対象が海藻類や貝類のうちの1つに特化したもののみであり、複数種類の海産物を同時に養殖できるような養殖システムが実現すれば、効率的な養殖が実現できる可能性があるが、そのようなシステムはこれまでのところ知られていない。
新技術の特徴
・通年培養生産可能な不稔性アオサを用いること
・不稔性アオサの光合成に伴い発生する過飽和溶存酸素海水を利用できること
・牡蠣等の貝類の生産だけではなく不稔性アオサの生産もできること
想定される用途
・陸上設置型の海藻(不稔性アオサ)と貝類(牡蠣)の同時養殖システム
・海洋深層水を利用した陸上設置型の海藻(不稔性アオサ)と貝類(牡蠣)の同時養殖システム
・廃熱源を利用した陸上設置型の海藻(不稔性アオサ)と貝類(牡蠣)の同時養殖システム
- 11:30~11:55
- 材料
4)抗がん剤送達技術のための金属ペプチド構造体の体系的開発
発表資料宮崎大学 工学部 工学科応用物質化学プログラム 助教 稲田 飛鳥
新技術の概要
ペプチドを配位子とした金属ペプチド構造体(MPF:Metal Peptide Framework)を、DDSキャリアの基幹材料として用いることで、抗がん剤等の薬剤送達のための新しい製剤技術を開発する。
従来技術・競合技術との比較
MPFは金属イオンと生体材料であるペプチドで構成されるため、従来のキャリア基材よりもはるかに高い安全性が期待される。また、ペプチド配列を最適化することにより、薬剤の溶解速度を大きく向上させ、高い放出制御性を有する革新的DDSキャリアとなり得ること。
新技術の特徴
・分子レベルで物質を放出可能なため、包接された物質の溶解速度は非常に速く、放出条件下では鋭敏な応答性に期待できる
・高い構造多様性から、包接可能な物質の適用範囲が非常に広くなる
・ペプチド配列や金属イオン種を変えることで包接物質の溶解性を制御できるため,経口,舌下,経皮,静脈など,様々な投与形態に応用可能である
想定される用途
・抗がん剤送達のためのDDS製剤
・化粧品や機能性成分送達のためのDDS製剤
・電極材料・触媒材料等の新たな機能材料への応用
関連情報
・サンプルあり
- 13:00~13:25
- アグリ・バイオ
5)簡易で迅速な微生物の検査法
発表資料北九州市立大学 国際環境工学部 環境生命工学科 教授 礒田 隆聡
新技術の概要
微生物の検査は一般的に24h以上の培養工程が必要である。本技術は微生物と標識化抗体の反応工程と、それに続く検出工程を合わせて、1.5h以内に結果が得られる。検出方法は抗体由来の発色変化量を画像解析する方法と、センサ電極による電気化学測定の2種類を選択できる。そのため様々な形態の機器として製品展開が可能である。
従来技術・競合技術との比較
コロニーカウント法、PCR法、イムノクロマト法が従来技術であるが、試料中の菌数が少ない場合は前培養として24h以上の工程が必要である。一方、本技術は細菌と抗体の反応を利用するため、大幅な時間短縮を実現した。また検出方法に合わせ多様な機器への組み込みや、変形が可能である。従来法では検査の設備や場所が限定されるが、本技術では小型化が可能であるため、いつでも、どこでも検査をする機器に展開できる。
新技術の特徴
・細菌と抗体の反応を利用して前処理工程を大幅に短縮(24h培養⇒1.5hに)
・手のひらサイズのセンサ測定器で、いつでも、どこでも測定可能(測定10秒)
・測定データは専用サーバーにデータベース化⇒スマートフォンで閲覧
想定される用途
・スーパー、コンビニ、食品加工メーカー
・病院、学校、介護施設、給食施設
・食品流通、ホテル、旅館、大型商業施設
関連情報
・サンプルあり
・デモあり
・展示品あり
- 13:30~13:55
- 計測
佐賀大学 教育研究院 自然科学域理工学系 教授 冨永 昌人
新技術の概要
新規開発センサは、特異構造からなる極薄膜フィルムにより、皮膚から発生する数十ppbレベルの極微量濃度のアルコールガスを定量する。酵素反応を直接電気信号に変換するため、他のガスには応答しない。他の酵素を用いると他のガスセンサにも応用展開が可能である。
従来技術・競合技術との比較
現在、開発されている生体ガス測定原理は、概ね、半導体型、蛍光測定型、水晶振動子マイクロバランス型、表面プラズモン型に大別できる。その中でも最も実用に近いものが半導体型と蛍光測定型である。半導体型はガスの検出特異性に難がある。蛍光測定型は溶液ベースの測定であるためウエラブル性や携帯性に難があり、モバイル型センサの実現を困難にしている。
新技術の特徴
・30 ppb濃度のアルコールガスを検出
・グリーン材料からなるディスポーザブル薄膜電極
・酵素を変えることで、他のガスにも展開が可能
想定される用途
・健康モニタリング
・遠隔医療
・アグリ分野
関連情報
・展示品あり
- 14:00~14:25
- アグリ・バイオ
佐賀大学 農学部・大学院農学研究科 生物資源科学専攻 教授 鈴木 章弘
新技術の概要
甘草(マメ科)は、漢方として古くより利用され、解毒作用や胃腸の消化吸収を高めたり、肝機能向上、止血などの効果が知られている。本技術は、甘草根粒菌MSPJ8株やBEE1株をウラルカンゾウやスペインカンゾウに接種することで、甘草の成長促進と有効成分のグリチルリチン酸の増加効果の両者を提供する。
従来技術・競合技術との比較
マメ科の甘草は、根粒菌と共生することが知られている。一方、甘草根粒菌が甘草の成長や甘草に含まれる機能成分に与える影響については他に報告が無く、さらに、甘草の栽培に適した根粒菌および根粒菌を利用した甘草の生産方法については未だ知られていない。
新技術の特徴
・甘草の成長促進
・甘草の有効成分(グリチルリチン)の増加促進
想定される用途
・医薬品
・機能性食品
- 14:30~14:55
- 創薬
鹿児島大学 共同獣医学部 獣医学科 教授 小原 恭子
新技術の概要
現在流行している人類最大の感染症の1つであるデング熱に対しての有効なワクチンや治療薬の開発は成功していない。デングウイルスの感染防御抗原による免疫誘導が感染増強等を引き起こすためである。そこで我々は、デング熱ウイルスの非構造蛋白質を搭載した非複製型組換えワクチニアベクター(DIs株)を作製し、感染増強を起こさず、他の遺伝子型にも有効な組換えデングウイルスワクチンの作製を進めてきた。
従来技術・競合技術との比較
現在臨床に使用可能な治療薬は開発に成功しておらず、対処療法が行われている。一方で、デングウイルスワクチンは数社が報告されており、その中で最も進んでいるのがサノフィパスツール社の4価デング・キメラワクチン(CYD)であり、認可、使用まで進んでいる。しかし、2017年11月29日付で、非感染者にワクチンを接種すると発症リスクが高まるという報告がWHOなどからあった。
新技術の特徴
・デングウイルスに対して感染増強を起こしにくいと考えられる
・非増殖性のワクチニアウイルスベクター(DIs株)を使用しているため、安全性が高い
・非構造蛋白質に対する細胞性免疫による感染防御なので、広いウイルス血清型に効果が期待できる
想定される用途
・組換えデングウイルスワクチン
お問い合わせ
連携・ライセンスについて
鹿児島大学 研究推進部 社会連携課 知的財産係
TEL:099-285-7043
Mail:tizai kuas.kagoshima-u.ac.jp
URL:https://www.krcc.kagoshima-u.ac.jp/
宮崎大学 研究・産学地域連携推進機構 知的財産・研究リスクマネジメント部門
TEL:0985-58-7592
Mail:chizai-s of.miyazaki-u.ac.jp
URL:https://www.miyazaki-u.ac.jp/kscrs/
佐賀大学 リージョナル・イノベーションセンター
TEL:0952-28-8751
Mail:sy7889 cc.saga-u.ac.jp
URL:https://www.saga-u.ac.jp/
大分大学 研究推進部 産学連携課 外部資金・知的財産係
TEL:097-554-8517
Mail:chizai oita-u.ac.jp
URL:http://www.ico.oita-u.ac.jp/intellectual-property/
琉球大学 総合企画戦略部 研究推進課 産学連携推進係
TEL:098-895-8031
Mail:sangaku acs.u-ryukyu.ac.jp
URL:https://iicc.skr.u-ryukyu.ac.jp/ *
北九州市立大学 企画管理課 企画・研究支援係
TEL:093-695-3311
Mail:kikaku kitakyu-u.ac.jp
URL:https://www.kitakyu-u.ac.jp/
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