筑波大学 新技術説明会【オンライン開催】
日時:2022年11月17日(木) 13:25~15:55
会場:オンライン開催
参加費:無料
主催:科学技術振興機構、筑波大学
発表内容一覧
発表内容詳細
- 13:25~13:30
開会挨拶
筑波大学 国際産学連携本部 本部審議役・教授 西野 由高
- 13:30~13:55
- 情報
筑波大学 ビジネスサイエンス系 教授 倉橋 節也
新技術の概要
機器異常検出等のための、多重解像度解析と隠れマルコフモデルを組み合わせたモデルと最適モデル選択手法並びに未知状態での異常検出を行う手法を開発し、これらに基づく異常検出のプログラム開発を行ない、その有効性を検証した。
従来技術・競合技術との比較
従来は、回転機器などの振動データから異常検出を行なう場合、FFTなどで周波数分解して過去との違いを比較する手法が一般的であったが、連続的に周波数分解ができないため、リアルタイムの観測に課題があったこと、また、表面的な現象の違いに限定され、データの背後にある真の状態(正常・異常)の検出ができない課題があったことに対し、本発明が克服した。
新技術の特徴
・時間変化する現象において、未だ発生したことのない「非正常」な状態・兆候を連続的に発見することができる
・連続周波数分析と確率モデルを用いているため、時系列であれば対象を問わない
・これまでとは違う現象がデータの背後にあることを即座に示すことができるため、危険な状況などにリアルタイムに対応できるようになる
想定される用途
・回転機器・ベルトコンベヤーなどの搬送機器などの動作異常検出・予測
・橋梁振動・建造物振動など固定のインフラ設備の劣化・破損等の異常検出・予測
・株式市場、卸売市場、口コミ数、商品販売数などの変動予測
- 14:00~14:25
- 情報
2)写真被写体の光源・形状・模様への要素分解とその応用
発表資料筑波大学 システム情報系 准教授 金森 由博
新技術の概要
本技術は1枚の写真から、被写体を照らす光源情報、被写体の形状情報、陰影のついていない物体本来の模様、の3要素を抽出できる。例えば人物を被写体として、光源を差し替えればバーチャルロケ撮影、模様を変えれば仮想試着や服飾デザインに利用できる。また、陰影を考慮した高精度の形状・深度推定などにも応用できる。
従来技術・競合技術との比較
要素の抽出には、物体表面での陰影計算の逆計算を行う。従来技術は、ある方向から入射した光が物体形状によって遮られるかどうか、という遮蔽情報を無視し簡略化していたが、本技術では遮蔽情報を考慮しつつ、それを基底関数で表現することで、高速かつ高精度な処理を実現した。
新技術の特徴
・1枚の画像から被写体を照らす光源、被写体の形状、被写体の模様に分解できる
・光源、形状、模様のそれぞれを差し替えて陰影付きの画像を再構成できる
・光源および形状情報を基底関数で表現するため省データかつ高速計算が可能
想定される用途
・画像 (広告画像など) や映像 (バーチャルロケや遠隔会議) を対象とした写実的陰影付き画像生成
・衣服の仮想試着および服飾デザイン
・コンピュータビジョン関連の各種応用 (照明設計、照明を考慮した物体認識、形状推定など)
関連情報
・デモあり
- 14:30~14:55
- デバイス・装置
筑波大学 システム情報系 准教授 掛谷 英紀
新技術の概要
レンズアレイにおいて、隣り合うレンズからの光が混ざり合うように、2つのフレネルレンズに対応する要素プリズムが交互に配置された入り合いフレネルレンズを提案する。要素プリズムの幅はプリズムの高さに応じて徐々に変化させることで、要素プリズム間の段差が解消される。
従来技術・競合技術との比較
入り合いフレネルレンズを構成する要素プリズムの幅を徐々に変えていくことで、光の混ざり方がより一様に近づく。この技術は、指向性バックライトの輝度一様化や、インテグラル表示における滑らかな運動視差の実現に資する。
新技術の特徴
・入り合い構造をもつフレネルレンズ
・裸眼立体視
想定される用途
・自動車ヘッドアップディスプレイ
・医療用ディスプレイ
・広告・博物館展示
関連情報
・デモあり
- 15:00~15:25
- 医療・福祉
筑波大学 システム情報系 教授 矢野 博明
新技術の概要
脳卒中等の歩行リハビリテーションにおいて、歩行感覚提示装置を用いて左右対称なバーチャルな身体の動きを見ながら歩行練習するシステムである。ユーザの周囲の構造物を極力排することでコンパクトかつ周囲の人がアプローチしやすく、理学療法士はユーザの体に適切なタイミングで軽く触れながら動作教示が可能である。
従来技術・競合技術との比較
これまでのロボットを用いた歩行リハビリテーションシステムは、大型で高価、かつ動作中に理学療法士が患者に近づくことが難しかった。本システムはユーザと周囲の人が身体接触を含んだコミュニケーションを可能とすることで、よりフレキシブルで快適な歩行リハビリテーションを提供するものである。
新技術の特徴
・自分の足で歩いた感覚が得られる
・周囲の人とユーザが身体接触を含む近接コミュニケーションが可能
・バーチャルな身体を用いた歩行のミラーセラピー(効果検証中)
想定される用途
・リハビリテーション
・アミューズメント
・都市空間などの設計・検証
関連情報
・デモあり
・展示品あり
- 15:30~15:55
- 医療・福祉
5)関節軟骨の3次元モデル化による術前の治療方針策定補助ソフトウェア
発表資料筑波大学 附属病院 整形外科 病院講師 井汲 彰
新技術の概要
関節内骨軟骨病変の状態を把握するための画像診断方法として、CTやMRIが用いられている。CTは、X線を用いるため骨を描画できるが、軟骨や筋肉組織を明瞭に描画することはできない。一方MRIは、水分子を共鳴させる周波数帯域の電磁波を用いることで、軟骨や筋肉などの組織を描画できるが、骨を明瞭に描画することは難しい。発明者らは補完関係にあるCTとMRI描画像から、複雑な骨軟骨組織の3次元画像を構築する手法を考案した。この方法により肘関節の病変部を精緻に再現することができ、実際に野球肘の治療に利用している。さらに、母指CM関節症など他の疾患にも適用を拡大すべく、研究を行なっている。
従来技術・競合技術との比較
従来、関節内骨軟骨病変の画像評価はMRIとCTを別の画面に表示して、両者を見比べて実施していた。本技術を用いることで、軟骨病変、骨病変を同一画面で、3次元的に、任意の角度から評価が可能となった。これまで手術を行なうことでしか確認できなかった所見を、非侵襲的に術前に確認し、詳細な手術シミュレーションを実施することで、手術時間の短縮、手術精度の向上が期待できる。過去に報告のない、独創的かつ画期的な技術である。
新技術の特徴
・CTとMRIを3D合成することで、関節軟骨病変の3次元描出が可能
・複雑な骨軟骨組織の3次元描出画像からより正確で詳細な術前評価が可能
・手術の詳細なシミュレーションが可能
想定される用途
・術前に骨軟骨病変を評価するためのソフトウェアの開発
・スポーツ団体とのコラボレーションによるより高度なメディカルチェック体制の構築
お問い合わせ
連携・ライセンスについて
筑波大学 産学連携部 産学連携企画課
TEL:029-859-1467
Mail:event-sanren un.tsukuba.ac.jp
URL:https://www.sanrenhonbu.tsukuba.ac.jp/
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