東京農工大学 新技術説明会【オンライン開催】
日時:2022年09月20日(火) 13:30~15:55
会場:オンライン開催
参加費:無料
主催:科学技術振興機構、東京農工大学
発表内容一覧
発表内容詳細
- 13:30~13:55
- 創薬
1)電気のエネルギーで次世代の医薬品を作る!
発表資料東京農工大学 大学院 農学研究院 応用生命化学部門 准教授 岡田 洋平
新技術の概要
DNAやRNAの基本構成単位である(デオキシ)リボヌクレオシドのフラノース酸素を窒素で置換したアザヌクレオシドは、次世代の医薬品候補化合物として注目を集めている。本技術は、電気のエネルギーを活用した化学変換によって、アザヌクレオシド合成における「鍵」中間体を効率的に製造することができる手法である。
従来技術・競合技術との比較
アザヌクレオシドは医薬品としての有用性が認識されていながら、その化学合成の難しさが障壁となってきた。具体的には多段階の合成ステップが必須となるため、最終生成物の量を確保するためにはコストと時間が必要あった。本技術は、電気のエネルギーを活用する化学変換によって合成ステップを短縮し、収量も大幅にアップさせることができた。
新技術の特徴
・電気のエネルギーを活用した化学変換によって、工数を削減できる
・一段階で連続的に反応を行うことができるため、収量の増大を図ることができる
・ピロリジン骨格における窒素原子の隣の炭素を、直接反応させることができる
想定される用途
・アザヌクレオシド骨格を有する新規医薬品
・化石燃料を削減した持続可能な生産技術
- 14:00~14:25
- 計測
2)MEMSデバイスの振動特性を簡単に計ることができる解析装置
発表資料東京農工大学 大学院 工学研究院 先端電気電子部門 准教授 張 亜
新技術の概要
MEMS(微小電子機械システム)デバイスの研究開発において、デバイスの評価に振動特性の測定が欠かせない。本技術は、安価で、測定レンジが広く、調整が容易なMEMS振動解析装置に関するものである。本技術は、MEMSデバイスだけではなく振動特性解析に広く用いることができる。
従来技術・競合技術との比較
従来のマイケルソン型干渉顕微鏡を用いた振動解析装置に比べ、測定可能な振幅範囲が10倍以上大きく、複雑な光干渉の調整が不要で、且つ解析装置自体の防振対策等も不要である。そのため、測定レンジが広いにもかかわらず短時間で簡単に解析でき、大幅な工数削減にも寄与する。
新技術の特徴
・マイケルソン型干渉顕微鏡に比べ、測定変位範囲が10倍。
・光干渉による複雑な調整が不要。
・高価で精密な機械的調整機構が不要。
想定される用途
・MEMSデバイスの振動解析
・微小サイズの振動デバイスにおける振動解析
・微小な振動を生じる試料(例えば、細胞等)の振動解析
関連情報
・デモあり
- 14:30~14:55
- デバイス・装置
3)大気圧プラズマを使って液体を簡単にナノミストに!
発表資料東京農工大学 大学院 工学研究院 先端物理工学部門 准教授 吉野 大輔
https://sites.google.com/go.tuat.ac.jp/dyoshino-research-group/home
新技術の概要
液体を、ガラス管に発生させた大気圧プラズマに通すだけでナノミストを作製する手法を開発した。本技術は、薬剤をナノサイズ化し経皮吸収を促進させることで対象部分に持続的に送達可能にする技術としての応用が期待できる。この装置を使って超純水、リン酸緩衝生理食塩水、ヒマシ油の3種類全てでナノミスト化できることを確認している。
従来技術・競合技術との比較
従来の静電噴霧法と比べて、ナノミスト生成機構の内部で電気的に閉じた回路となっているため、高い安全性能を有するナノミスト化技術として提案できる。また、消費電力も小さく、生成装置をモジュール化し複数配置することで大容量のナノミスト生成が可能となっている。
新技術の特徴
・水溶液に限らずナノミスト化が可能
・生成装置が閉回路であるため安全性は高い
・生成装置を複数配置することで大容量のナノミスト生成が可能
想定される用途
・経皮吸収型薬剤
・農薬噴霧
・薄膜塗装
- 15:00~15:25
- 創薬
4)化学的細胞接着法
発表資料東京農工大学 大学院 工学研究院 生命機能科学部門 准教授 寺 正行
新技術の概要
2分子のアジド基を生体直交的に高速架橋する方法を開発した。細胞は生きたまま表面をアジド修飾できるため、ガラスや金属といった無機材料もアジド修飾すれば、両者を生きたまま架橋することができる。 継続的に培養すると、細胞の接着応答が誘導される。
従来技術・競合技術との比較
これまで、細胞と基材との接着にはDNAハイブリダイゼーションや通常のクリック反応が行われてきたが、本技術による細胞接着はこれらと比べて高速で接着反応が完了する。さらに、単純に細胞が基材に架橋されるのみならず、自然な細胞接着状態へと誘導される。
新技術の特徴
・ガラスなど無機材料にも細胞を接着可能
・細胞-細胞接着により、細胞凝集体を生成できる
・細胞と材料との複合体の設計が容易になる
想定される用途
・ラボオンチップや電気デバイスへの生細胞固定
・難接着性細胞の迅速接着
・細胞スフェロイドの作成
関連情報
・サンプルあり
- 15:30~15:55
- 材料
5)表面電位の極性・大きさを自在に制御して有機薄膜作製が可能に!
発表資料東京農工大学 大学院 工学研究院 生命機能科学部門 助教 田中 正樹
新技術の概要
成膜するだけで表面電位を発生する有機低分子材料を開発した。この分子はフッ化アルキル骨格を基盤とし、真空蒸着した薄膜は100 nmの厚さで10 V以上の表面電位を発生できるため、エレクトレット材として有用である。また、導入する官能基の種類により、表面電位の極性や大きさを制御することも可能である。
従来技術・競合技術との比較
極性分子が配向することで薄膜の表面電位が発生することが知られていたが、ほとんどが正の表面電位であり、極性や大きさを制御することは困難であった。本技術では単純な分子設計により、表面電位の極性を正・負に作り分けることができ、かつ、表面電位の大きさを自在に制御することが可能である。
新技術の特徴
・成膜するだけで発生する薄膜の表面電位
・表面電位の極性・大きさを自在に制御可能
・フッ化アルキル骨格分子の分子配向
想定される用途
・エレクトレット
・振動発電素子
・有機発光素子
お問い合わせ
連携・ライセンスについて
東京農工大学 先端産学連携研究推進センター
TEL:042-388-7550
Mail:suishin ml.tuat.ac.jp
URL:https://www.rd.tuat.ac.jp/urac/
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