東京理科大学 新技術説明会【オンライン開催】
日時:2022年11月08日(火) 10:00~13:55
会場:オンライン開催
参加費:無料
主催:科学技術振興機構、東京理科大学
発表内容一覧
発表内容詳細
- 10:00~10:25
- エネルギー
東京理科大学 研究推進機構 総合研究院 助教 保坂 知宙
新技術の概要
カリウムイオン電池はリチウムイオン電池の可動イオンであるリチウムをカリウムで置き換えた電池である。カリウムは資源制約がないことに加え、カリウムの標準電極電位がリチウムよりも低いため高電圧作動が可能、カリウムイオンの電解液中の移動が速いため、電池の抵抗低減が可能といった特徴を有している。
従来技術・競合技術との比較
リチウムイオン電池には、Li, Cu, Co, Niなどの希少な元素が用いられているが、カリウムイオン電池は資源が豊富なK, Al, Fe, Mnを用いて構成可能である。エネルギー密度は試作品に基づく推定値で約110 Wh/kgであり、LiFePO4を用いたリチウムイオン電池やナトリウムイオン電池と同程度の重量エネルギー密度を達成可能である。
新技術の特徴
・レアメタルフリーで安価
・リチウムイオン電池と同等の高電圧
・リチウムイオン電池と同等の高出力
想定される用途
・定置型蓄電池
・ハイブリッド車用電池
関連情報
・サンプルあり
- 10:30~10:55
- 計測
東京理科大学 理工学部 物理学科 助教 伊藤 博士
新技術の概要
自然界はアルファ線を放出する放射能に満ち溢れており、不純物となる放射能を極限まで低減した材料は近年注目されている。アルファ線汚染検査の感度向上のために2種類の新技術を考案し、最高感度アルファ線測定器開発を進めている。
(a)読出しデバイス面積に対して分析面積を拡張する技術。
(b)アルファ線粒子識別手法。
従来技術・競合技術との比較
(a) 読出しデバイス面積に対して分析面積を3倍から15倍に拡大することにより、大幅なコストダウンが可能である。
(b)アルファ線粒子識別手法を採用することにより、環境ガンマ線や宇宙線事象を抑制するための鉛ブロックや検出器を追加する必要なく、比較的単純な装置構成で高感度分析を実現できる。
新技術の特徴
・同心円電場TPC(Time Projection Chamber)によるアルファ線飛跡検出器の分析感度拡張
・ガスシンチレーション発光におけるアルファ線粒子識別方法
想定される用途
・半導体関連材料(はんだ、基板素材など)の放射能分析
・放射線治療におけるRI医薬品(例BNCT)のアルファ線放射量分析
関連情報
・デモあり
- 11:00~11:25
- アグリ・バイオ
3)自動逐次架橋による生分解IPNゲルを用いた細胞移植
発表資料東京理科大学 理学部第一部 応用化学科 教授 大塚 英典
新技術の概要
異種の網目が多重に絡み合った構造を有する相互侵入高分子網目 (IPN)ゲルを、架橋メカニズムの違いに由来する反応速度の差を精密に制御するという前例のない方法により開発しました。その結果、細胞毒性につながる余分な架橋刺激なしに、一段階での in situ 逐次架橋を可能とし、組織再生力の高いインジェクタブルハイドロゲルの開発に成功しました。
従来技術・競合技術との比較
従来のインジェクタブルゲルの合成には光や熱などの細胞ダメージに直結する外部刺激を多段階的に必要としたが、本ゲルでは単一の反応容器内で細胞と混ぜるだけでゲル化反応が進行するため、細胞死が皆無である。
新技術の特徴
・IPNゲル
・細胞組織化促進効果
・生分解性
想定される用途
・創傷治癒材
・DDSのキャリア
・再生医療用足場材
関連情報
・サンプルあり
・デモあり
- 11:30~11:55
- エネルギー
東京理科大学 理工学部 電気電子情報工学科 准教授 片山 昇
新技術の概要
二次電池等のデバイスにおいてインピーダンス法と機械学習を組み合わせた新たな診断方法を開発した。材料研究の分野では電極や電解質などの情報が非破壊かつ高精度で得られるインピーダンス法が利用されている。これに新しい概念の機械学習を利用した手法を導入し、電池の種類や条件に依存しないなど、柔軟性を高めることに成功した。
従来技術・競合技術との比較
これまで実用化されている電池の診断は電圧や電流による診断が主であった。インピーダンス法は微小な交流を加えることで電池の内部抵抗の分離などが可能でありより詳細な情報が得られる一方、結果が測定環境に敏感であるため、様々な動作環境が想定される実使用環境下では導入が難しかった。
新技術の特徴
・二次電池等のデバイスに対して非破壊で内部状態の推定ができる
・対象物のインピーダンスデータを収集するだけで利用可能
・環境に依存しない内部状態の推定ができる
想定される用途
・リチウムイオン電池などの化学電池および太陽電池などの状態推定・異常診断
・応用展開として生体・生物・食品などその他インピーダンス測定が可能なものの状態推定
・電源回路・材料など工業製品の異常診断
- 13:00~13:25
- 製造技術
東京理科大学 薬学部 薬学科 教授 高橋 秀依
https://www.tus.ac.jp/academics/teacher/p/inde2.php?6fea#pills-t3-tab2
新技術の概要
光反応によりアルケンのシス―トランスの異性化反応を固相上に固定した光増感剤を用いて短時間で行う反応を開発した。これをリサイクルHPLCシステムに組み込み、所望するアルケンだけを連続的に製造することができるようになった。
従来技術・競合技術との比較
従来の合成法では、熱力学的に安定なアルケンを得るため、もっぱらトランス-アルケンが多く得られ、シス-アルケンの選択的合成は大変難しい。本法は光による異性化とリサイクルHPLCによるシス/トランスの分離を繰り返すことで、合成しづらいシス-アルケンを立体特異的に製造できるため優れている。
新技術の特徴
・光反応
・つくりづらいアルケンの製造
・自動連続生産
想定される用途
・アルケンを有する医薬品製造
・立体特異的アルケンの試薬製造
・ポリマー素材
関連情報
・サンプルあり
・デモあり
・展示品あり
- 13:30~13:55
- 通信
東京理科大学 工学部 電気工学科 教授 長谷川 幹雄
新技術の概要
APCMA方式は、高密度なIoTシステムの実現を可能にする、新しいLPWA無線通信方式です。パルス符号を用いてデータを変調することにより、多数のデバイスが同時に送信しても受信側で分離、復調が可能です。高密度な無線通信環境においても、高信頼、高性能かつ低遅延な通信を実現する技術です。
従来技術・競合技術との比較
高密度なIoT環境では干渉や衝突が多発するため、従来のLPWAでは十分な性能が得られません。APCMA方式では、パルス符号を用いた変調、多重化により、周波数利用効率の改善、通信可能台数の大幅な増加を達成します。ARIB STD-T108に準拠したAPCMAデバイス500台を実装し、高密度無線通信の実証に成功しています。
新技術の特徴
・高密度/大規模なIoTセンサネットワークを実現することが可能です
・重なっても分離可能なパルス符号を用いており、複数のデータが衝突しても受信側で復調できます。
・920MHz帯でのLPWA無線通信で実証しましたが、他の周波数帯や光を用いた通信などにも適用可能です。
想定される用途
・現在のLPWA(IoT用無線システム)では対応できない高密度な無線通信が必要な場合の用途
・通信速度は遅くても、とにかく数が膨大で、従来法では干渉が厳しい無線センシングが必要な場合
・無線センサからのアップリンクのみの通信が必要で、無線センサの制御は行わずとにかく省電力にしたい場合
関連情報
・サンプルあり
・デモあり
・展示品あり
お問い合わせ
連携・ライセンスについて
東京理科大学 産学連携機構
TEL:03-5228-7433
Mail:shinsei_kenkyu admin.tus.ac.jp
URL:https://www.tus.ac.jp/ura/
新技術説明会について
〒102-0076 東京都千代田区五番町7 K’s五番町
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