再生・細胞医療・遺伝子治療 ~AMED~ 新技術説明会【オンライン開催】
日時:2024年03月12日(火) 11:00~14:55
会場:オンライン開催
参加費:無料
主催:科学技術振興機構、 日本医療研究開発機構
発表内容一覧
発表内容詳細
- 11:00~11:25
- 創薬
理化学研究所 バイオリソース研究センター 細胞材料開発室 室長 中村 幸夫
新技術の概要
iPS細胞は、通常の採血によって取得できる血液細胞からも容易に作製することができる。そして、患者由来iPS細胞は疾患特異的iPS細胞と呼ばれているが、従来は入手が不可能であった疾患細胞(罹患細胞)に関して、iPS細胞から分化誘導した細胞(疾患モデル細胞)として研究対象とすることが可能となっている。
従来技術・競合技術との比較
例えば、脳変性疾患(アルツハイマー病等)に関して、脳組織を生検で採取して研究に用いるという事は、一般的には実施されていない。また、心臓、肝臓、腎臓等の生検は必要に応じて実施されているが、大きな危険性を伴う検査である。疾患特異的iPS細胞技術は、そうした従来の問題点を克服した。
新技術の特徴
・疾患特異的iPS細胞から疾患モデル細胞を作製できる
・作製した疾患モデル細胞を使用して創薬研究等が可能である
想定される用途
・各種疾患の創薬研究
・各種疾患の新規治療法の開発(低分子化合物以外のモダリティ)
- 11:30~11:55
- 創薬
京都大学 iPS細胞研究所 増殖分化機構研究部門 長船研究室 特定拠点講師 前 伸一
https://www.cira.kyoto-u.ac.jp/j/research/osafune_summary.html
新技術の概要
iPS細胞から尿管芽先端部細胞の集合体(コロニー)を作製する手法を開発した。当該コロニーでは発生分化段階が進行し、常染色体顕性(優性)多発性嚢胞腎(ADPKD)の原因となる遺伝子変異を有するiPS細胞から、嚢胞形成病態を再現した腎集合管オルガノイドが得られる。本技術で得られる腎嚢胞を用いることで、より精度の高い治療薬探索と効果の検証が可能になる。
従来技術・競合技術との比較
本技術はADPKDの病態進行に大きく関わる腎集合管嚢胞に対するモデルであり、複数報告されているiPS細胞由来ネフロンオルガノイドを用いた尿細管嚢胞モデルとは異なる。また、ADPKDの唯一の承認薬であるトルバプタンの効果を検証でき、従来のモデルよりも新規治療薬の探索と薬効評価に一段と適している。
新技術の特徴
・腎集合管オルガノイド
・In vitro嚢胞モデル
想定される用途
・ADPKD治療薬候補の高速スクリーニング
・創薬応用に向けた新規標的分子の同定
・ADPKD治療薬候補のin vitroにおける薬効の確認
関連情報
・サンプルあり
- 13:00~13:25
- 創薬
千葉大学 大学院医学研究院 イノベーション再生医学 准教授 髙山 直也
新技術の概要
細胞療法では、ソースとなる細胞確保が困難である。我々は、通常1週間〜4週程度で増幅が止まる多種類のヒト細胞(骨髄球系細胞、リンパ球系細胞、間葉系幹細胞、血管内皮細胞、神経細胞、平滑筋細胞など)に対して、独自の遺伝子操作により、機能を保持したまま数ヶ月にわたり、10e10〜10e15倍以上安定増殖させる技術を開発した。本技術を応用して、①白血病治療用の造血幹細胞増幅システム(人工骨髄)、②骨・軟骨再生、③創傷治癒などへの再生医療に取り組んでいる。
従来技術・競合技術との比較
従来の細胞不老化では、その細胞の分化段階を変えずに不老化させる技術が主であったが、我々の技術では、元となる細胞系列の前駆細胞(より増殖能力が高い細胞)へ一過性に戻すことで、高い増殖能力を保持したまま、不老化することができる。その結果、従来の不老化法と比較して、1ヶ月間で、10,000倍以上の増幅を確認している。遺伝子改変は制御可能で、元の状態に戻すと通常の機能的な細胞に分化する。
新技術の特徴
・細胞治療用の任意の細胞種を均一に、大量に増やすことができる
・エクソソームや増殖因子リッチな、間葉系幹細胞をはじめとする多種類の細胞上清を安定供給可能
・創薬スクリーニング、医薬品の毒性検査用のヒト細胞の安定供給
想定される用途
・白血病などに対する移植用の造血幹細胞増幅システム(人工骨髄)
・椎骨不安定症、難治性骨折に対する骨・軟骨再生療法
・細胞上清を用いた創傷治癒薬開発
- 13:30~13:55
- 創薬
東京大学 定量生命科学研究所 特任講師 木戸 丈友
新技術の概要
ヒトiPS細胞技術を基盤として、肝線維化のドライバーである活性化肝星細胞を脱活性化し、正常な静止期肝星細胞へと戻す薬剤のスクリーニング系を開発し、複数の脱活性化剤候補化合物群を同定した。脱活性化候補化合物は、肝線維化マウスモデルにおいて、線維化の改善とともに、肝機能の正常化を促進した。
従来技術・競合技術との比較
線維化における筋線維芽細胞を標的とした医薬品開発は少なく、病態を増悪化させる細胞を正常な状態へと戻す医薬品は開発されていない。見出した脱活性化候補化合物は、特発性肺線維症(IPF)の治療薬であるピレスパ、オフェブと比較して、高い抗線維化効果を有している。
新技術の特徴
・ハイスループットスクリーニング系
・病態を増悪化する細胞を正常な細胞へ戻す薬剤
・線維化の改善と組織/機能の正常化
想定される用途
・脱活性化剤のスクリーニング
・脱活性化候補化合物群の共同開発
・脱活性化候補化合物群の肺、腎臓、心臓等の臓器線維症への適応拡大
関連情報
・サンプルあり
- 14:00~14:25
- アグリ・バイオ
東海大学 マイクロ・ナノ研究開発センター 教授 木村 啓志
新技術の概要
本発明では生体模倣システム(MPS)の産業化を実現するための基盤技術として、マイクロ流体デバイスで細胞培養操作を簡便化するために、灌流培養に必要な周辺装置と複数のマイクロ流体デバイスを集積化することによって、MPSを使った分析のハイスループット化を実現する。
従来技術・競合技術との比較
従来、マイクロ流体デバイスとこれらの周辺装置との接続にはチューブが利用されていることが多い。しかしながら、その取り回しは煩雑であり、マイクロ流体デバイスの汎用性や利便性のボトルネックとなっていた。また、従来品は極めて高価であることが多い。
新技術の特徴
・送液システムをコンパクトに集積化
・汎用性の高いANSI/SLAS規格サイズ
・安価
想定される用途
・マイクロ流体デバイスの汎用型送液システム
・細胞培養自動化システム
関連情報
・展示品あり
- 14:30~14:55
- 創薬
6)小腸-肝臓連結Microphysiological System(MPS)の開発
発表資料名古屋市立大学 大学院薬学研究科 臨床薬学分野 教授 松永 民秀
新技術の概要
本技術では、小腸-肝臓連結MPSを開発した。小腸部分にヒトiPS細胞由来小腸上皮細胞を、肝臓部分にヒト初代肝細胞を培養し、培地を灌流することで、小腸からの薬物等の吸収と代謝及び肝臓での代謝を経時的に評価することができる。このモデルは創薬研究において薬物の初回通過効果等の評価に利活用されることが期待できる。
従来技術・競合技術との比較
細胞播種、薬物添加、サンプリングが容易であり、低分子化合物のデバイス本体への収着が無い。また、小腸透過の門脈相当部分や肝臓通過の肝静脈相当部分のサンプリングが経時的に可能である。小腸部分に市販のセルカルチャーインサートを用いており、細胞が最適な状態でデバイスにセットできる。
新技術の特徴
・各パートからのサンプリングが経時的に可能である
・肝細胞は2次元培養と3次元培養の選択が可能である
・MPSの取り扱い操作が容易である
想定される用途
・初回通過効果の評価モデル
・薬物動態試験、安全性試験などの創薬研究のためのモデル
・腸内細菌の小腸及び肝臓に及ぼす影響(腸肝軸)の評価モデル
関連情報
・サンプルあり
お問い合わせ
連携・ライセンスについて
日本医療研究開発機構 実用化推進部 実用化推進・知的財産支援課
TEL:03-6870-2212
Mail:medicalip amed.go.jp
URL:https://www.amed.go.jp/chitekizaisan/index.html
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