広島大学 新技術説明会【対面開催】
日時:2024年02月15日(木) 13:30~15:55
会場:JST東京本部別館1Fホール(東京・市ケ谷)
参加費:無料
主催:科学技術振興機構、広島大学
発表内容一覧
発表内容詳細
- 13:30~13:55
- アグリ・バイオ
1)クローニングなしで、迅速・正確に任意配列の人工遺伝子を合成します
発表資料広島大学 大学院統合生命科学研究科 統合生命科学専攻 生物工学プログラム 教授 岡村 好子
https://seeds.office.hiroshima-u.ac.jp/profile/ja.d69a192d7da98025520e17560c007669.html
新技術の概要
所望の遺伝子配列を、オリゴDNAを出発点に長鎖化DNAを合成する方法です。本手法はPCRを使用せず、配列確認のためのクローニングが不要です。phi29 DNA ポリメラーゼを用いた増幅時に、エラーオリゴを完全に(容易に)排除出来るという大きな特徴を持ちます。結果的に、合成にかかる時間は従来法より短縮可能で、かつ多種合成にも対応可能です。
従来技術・競合技術との比較
人工遺伝子合成の従来法はPCRを基盤とした方法なので、PCR増幅できない配列は合成できないという課題があり、かつ合成オリゴDNA由来のエラーを含むと言う問題もありました。本手法はPCR増幅困難な配列でも合成可能で、オリゴDNA由来のエラーもクローニングせずに除去できます。さらに、配列の一部変更は該当するオリゴDNAの変更のみで対応できるため、変異配列の合成も迅速に行えます。
新技術の特徴
・鋳型DNAをin vitroで簡単に作製できるため、RNA合成、タンパク質発現まで一貫してin vitroで製造可能
・コドン最適化等によってPCR増幅困難配列が出現しても合成可能
・ゲノム編集のためのsgRNAライブラリー構築が容易
想定される用途
・人工遺伝子合成・遺伝子回路合成などの長鎖DNA合成
・sgRNA、 miRNA、 siRNAなど短いRNA合成用鋳型作製(配列確認も簡単)
・mRNAワクチンの鋳型DNA作製(全行程in vitroのため、LPSフリー)
関連情報
サンプルあり
- 14:00~14:25
- 環境
広島大学 大学院先進理工系科学研究科 先進理工系科学専攻 化学工学プログラム 助教 久保 優
新技術の概要
新規多孔質材料である金属有機構造体(Metal-organic frameworks、MOF)の前駆体溶液を加熱基板上に噴霧する噴霧合成により、基板上にMOF薄膜を短時間で製膜した。MOF膜の分子量カットオフは600 g/molであり、透過率が1900 Lh⁻¹m⁻²MPa⁻¹と非常に優れたナノろ過特性を示した。
従来技術・競合技術との比較
・MOF薄膜の製膜時間の短縮(従来法:24時間以上、本手法:1時間未満)
・噴霧合成法による製膜基板の選択性(従来法:表面修飾などが必要、本手法:多様な基板上に製膜可能、ナノろ過膜にはガラスろ紙を利用)
・高いナノろ過透過率(従来法:250Lh⁻¹m⁻²MPa⁻¹、本手法1,900Lh⁻¹m⁻²MPa⁻¹)
新技術の特徴
・様々なMOFの薄膜が作製可能であり、ナノろ過の分子量カットオフの制御が可能
・噴霧領域を稼働させることで、大面積の膜を連続的に作製可能
・短時間でのMOF薄膜の作製
想定される用途
・ナノろ過
・分子ふるい膜
・ガスセンサー
関連情報
サンプルあり
- 14:30~14:55
- 計測
広島大学 大学院先進理工系科学研究科 スマートイノベーションプログラム 助教 島﨑 航平
新技術の概要
遠距離・広域空間を移動する飛翔体の重心変化を高フレームレート画像から抽出し、その時間変化から羽ばたき動作に対応した周波数特性をダイナミクス特徴量として計算し、鳥類等の識別を行う。
従来技術・競合技術との比較
従来の識別手法は主にアピアランス特徴量に対応したものとなっており、カメラ倍率による空間解像度に対応した形で検出性能が変わってくる。一方で、ダイナミクス特徴量検出の手法は動きのみに着目した方法であり、見た目や形の情報を使用することなく検出可能となる。
新技術の特徴
・羽ばたき動作による鳥類や昆虫の識別
・プロペラ回転に対応したドローン等の飛翔体検出
・飛行軌跡・経路計測
想定される用途
・バードストライク
・アンチドローン計測
・スマートアグリ
関連情報
デモあり
- 15:00~15:25
- アグリ・バイオ
4)植物培養細胞由来の新規メラニン様物質の生産法とその機能
発表資料広島大学 学術・社会連携室 特任教授 田中 伸和
新技術の概要
メラニンは耐性が高く不均一で不定形の黒色の天然色素の総称で、動物、植物、菌類、細菌類など広範な生物種に存在する。本発明では、植物培養細胞を使用した新規なメラニン様黒色物質の産生・抽出技術、物理化学的性状、紫外線保護機能、抗酸化作用を明示し、当該物質の医薬、食品、化粧品等への有用性を提示した。
従来技術・競合技術との比較
メラニン含有報告のない植物(タバコ)の培養細胞でメラニン様物質を生産させた例はなく、適用範囲の拡大が望める新規な技術である。植物メラニンの抽出源は主に種子(種皮)で、栽培物との競合となるが、培地への添加物でメラニンの組成および物理化学的性状を人為的に調節できることが培養細胞である最大の利点である。
新技術の特徴
・紫外線保護機能
・抗酸化作用
・メラニン特有の特殊な電子伝達機能(可能性)
想定される用途
・化粧品、衣料、サングラス等への添加(黒褐色色素、紫外線保護機能)
・医薬、食品、飲料等への添加(抗酸化作用)
・電子材料、電極、電池等の素材(メラニン特有の特殊な電子伝達機能)
関連情報
サンプルあり
- 15:30~15:55
- 材料
広島大学 自然科学研究支援開発センター 研究開発部門・物質科学部 教授 齋藤 健一
新技術の概要
シリコン量子ドット前駆体の合成、溶液分散型シリコン量子ドットの合成、シリコン量子ドットLEDの製造、ならびにそれらに関連する新技術を紹介する。特に、前駆体を安価(1/380のコスト)で簡便な製造法を開発し、高発光性シリコン量子ドットを合成した。これを用い、湿式でLEDや量子ドットフィルムも製造した。
従来技術・競合技術との比較
高発光性シリコン量子ドットの合成には、前駆体に水素シルセスキオキサン(HSQ)を用いる手法が簡便である。しかし、前駆体(HSQ)は大変高価で、更にその前駆体が近年、製造中止となり入手困難となった。我々は前駆体を簡便かつ安価(1/380のコスト)で製造する手法を開発し、高発光性シリコン量子ドットを合成した(発光量子収率は最大80%)。
新技術の特徴
・安価な合成法
・重金属フリーの量子ドット
・高効率発光
想定される用途
・蛍光体
・LED
・バイオマーカー
関連情報
サンプルあり
デモあり
お問い合わせ
連携・ライセンスについて
広島大学 産学連携部
TEL:082-424-4308
Mail:techrdhiroshima-u.ac.jp
新技術説明会について
〒102-0076 東京都千代田区五番町7 K’s五番町
TEL:03-5214-7519
Mail:scettjst.go.jp