北海道 理工系大学・高専及び公設試 新技術説明会【オンライン開催】
日時:2023年10月03日(火) 10:00~14:55
会場:オンライン開催
参加費:無料
主催:科学技術振興機構、
北海道立総合研究機構、室蘭工業大学、
北見工業大学、帯広畜産大学
発表内容一覧
発表内容詳細
- 10:00~10:25
- 機械
室蘭工業大学 大学院工学研究科 もの創造系領域機械ロボット工学ユニット 教授 風間 俊治
新技術の概要
ガスケットは静止面で流体を密封する機械要素である。密封には微小な流路を封止する必要がある。しかし、表面の粗さやうねり、シール材の劣化、締結力の低下などが漏れを生じさせる。本提案は、液体の粘度温度特性に装着して、ガスケットのシール部を冷却することにより漏れを低減あるいは抑制する基盤技術である。
従来技術・競合技術との比較
毒性を有する液体、特殊な材料、高価な機材を要しないこと。接触面圧の低い条件下や非接触式の密封構造体に適用可能であること。現行のガスケットとの競合や排除ではなく、複合や包摂を見込めること。既存装置への追加や実装、従来技術との重畳や相乗を生む効果を期待できること。
新技術の特徴
・各種容器や筐体のガスケット部の漏れ抑制
・多岐に亘るシールの密封性能の向上
・医薬品や食料品などを含む様々な液体に対する漏洩制御
想定される用途
・汚染物質貯蔵用タンクのガスケットへの実装
・流体機械のシール部への適用
・プラントや液体配管系のフランジ部への追加装備
- 10:30~10:55
- 情報
北見工業大学 工学部 地域未来デザイン工学科 情報デザイン・コミュニケーション工学コース 教授 升井 洋志
新技術の概要
店舗出入り口やバス等の公共交通機関の乗降口においてその乗降数を計測する手法は、LEDやセンサー等の専用デバイスを用いるものからカメラ映像を画像処理することで行うものまで多数ある。本研究は、比較的安価でありながら精度の高い手法として、あらかじめ設置しておいた複数のARマーカの前を通過物が横切る様をカメラで撮影し、マーカの隠れ方で通過方向、大きさ等を認識する手法の開発を目的とする。
従来技術・競合技術との比較
通常はLEDまたはセンサー等、専用デバイスや高価なセンサーを用いて通過判定を行うが、我々の手法ではARマーカを設置し、それを撮影する手法を用いているため、安価かつ汎用的にシステムが構築できる点が優れている。また、マーカの隠れ方を判定するアルゴリズムを改良することで読み取り精度を向上させることも可能である。
新技術の特徴
・ARマーカとシングルボードコンピュータ(RaspberryPi)で稼働する汎用かつ安価なシステム
・進行方向を検知するアルゴリズムによって、出入口の両方の進行方向に対応可能
・ARマーカとOpenCVによる高速な処理が可能
想定される用途
・乗り物や商業施設等の出入口に設置して乗降客数・入場者数を把握する
・コンビニの入り口に設置して、来店客の身長を計測する(防犯目的)
・フェリー乗り場の入り口に設置して自動車の大きさを計測する
関連情報
・デモあり
- 11:00~11:25
- 創薬
帯広畜産大学 グローバルアグロメディシン研究センター 獣医学研究部門 助教 菅沼 啓輔
https://www.obihiro.ac.jp/facility/protozoa/global-cooperation
新技術の概要
本紹介ではトリパノソーマ、特にアフリカトリパノソーマの病原原虫であるTrypanosoma congolenseの感染によるトリパノソーマ症に対して、既知の抗生物質であるニトロフラントインが経口投与で有効なことを初めて見出しました(マウスを用いた感染モデル実験において経口投与30mg/kg以上で効果を示しております)。
従来技術・競合技術との比較
トリパノソーマ症治療既存薬は開発から50年以上経過しており、薬剤耐性株が報告され、新規治療薬が求められている状況です。経口投与で有効な既存薬は一つしかない。またニトロフラントインは既知の抗生物質であり、リポジショニングにより開発費用をかけずに製品化の可能性を有す。
新技術の特徴
・既知の抗生物質のリポジショニングであり各種安全性試験が担保されている
・既存の抗生物質薬ということで安価ですでに流通している
想定される用途
・トリパノソーマ症治療薬
・トリパノソーマ予防薬
- 11:30~11:55
- 材料
室蘭工業大学 大学院工学研究科 しくみ解明系領域化学生物工学ユニット 准教授 馬渡 康輝
https://yasu-mml-2022.notion.site/yasu-mml-2022/MAWATARI-Yasuteru-61062f3b15664702bd2398e1430f16dc
新技術の概要
水素の運搬・貯蔵手段が課題である中、液体の有機ハイドライドを媒体とする方法が注目されています。メチルシクロヘキサン(MCH)は触媒反応により水素ガスを放出してトルエン(TOL)に変換されるため、有機ハイドライド中のMCHとTOLの混合比は水素貯蔵量に換算できます。本材料は、両者の混合比に応じて色彩が瞬時に変化し可視化されます。
従来技術・競合技術との比較
現状、MCHとTOLの混合比を知るにはガスクロマトグラフィー(GC)など大型分析装置が必要です。一方、本材料は、一滴の有機ハイドライドへ接触するだけで瞬時に色彩が変化し、大まかな混合比を知ることが可能です。本材料は、設備や電源を使わず、瞬時に目視で有機ハイドライド中の水素残量を知ることを可能にします。
新技術の特徴
・特定の液体または気体に接触すると色彩が変化する物質であること
・有機ハイドライドにとどまらず、非常によく似た分子構造を持つ液体または気体の識別ができる材料開発に繋がる可能性がある物質であること
・単一組成の材料であるが複数の色彩を示す物質であること
想定される用途
・水素貯蔵メチルシクロヘキサン中の水素残量試験紙
・水素貯蔵メチルシクロヘキサン中の水素残量試験フィルム
・水素貯蔵メチルシクロヘキサン中の水素残量可視化試薬
関連情報
・サンプルあり
- 13:30~13:55
- 計測
室蘭工業大学 大学院工学研究科 もの創造系領域航空宇宙総合工学ユニット 准教授 畠中 和明
新技術の概要
BOS法は、測定対象となる流れ場の背後にパターン画像を配置することによって、簡単に流れ場の可視化を実現する技術です。しかしBOS法の測定分解能は従来の可視化技術に比べて低いという欠点があります。本研究では、撮影した背景画像を適切に処理することにより、測定分解能の向上に成功しました。
従来技術・競合技術との比較
従来の光学的可視化手法であるシュリーレン法などと比較して光学系が簡便で、場所を選ばずに流れ場を可視化することが可能です。
他のBOS法と比べて画像処理にかかる計算コストが低く、更に測定分解能が高いという利点があります。
新技術の特徴
・複雑な光学系を組まなくても流れ場を簡単に可視化可能
・BOS法の弱点であった「測定分解能が低い」という問題を改善した
・気体のみでなく、熱対流を伴うような液体の流れ場にも適用可能
想定される用途
・密度変化を伴う流れ場(超音速流れ場など)の可視化・密度値の定量測定
・気体・液体に対する熱対流場の可視化
・微少ガスリーク検出
- 14:00~14:25
- アグリ・バイオ
北見工業大学 工学部 地域未来デザイン工学科 機械知能・生体工学コース 准教授 楊 亮亮
https://me-and-eee.er.kitami-it.ac.jp/biological_mechatronics/
新技術の概要
有機農業を実施するため、除草作業が不可欠である。機械除草するため、今まで手作業で除草することが多いです。本研究開発では、AIを使用し、カラーカメラから撮影した写真から作物を認識し、トラクターの自動操舵を実現した。走行精度は2cm以内であるため、作物に傷つけず除草作業を自動化できた。
従来技術・競合技術との比較
作物行内の除草作業の自動化がなく、手作業がほとんどです。近年GPSを使用した自動操舵が使用されたが、作物行内の除草に精度足りないので、本技術はこの問題を解決した。
新技術の特徴
・低コストセンサー
・センチ単位自動運転できる
・AIを使用により安定走行できる
想定される用途
・農用ロボット
関連情報
・デモあり
- 14:30~14:55
- アグリ・バイオ
北海道立総合研究機構 森林研究本部 林産試験場 利用部 微生物グループ 研究主幹 原田 陽
新技術の概要
ヤナギ類樹木由来の水性抽出物をきのこ栽培用培地に添加することにより、菌床栽培できのこの発生が促進されたり、発生量が増加したりします。オノエヤナギやエゾノキヌヤナギ等のチップやおが粉等から製造した水性抽出物の少量添加で、きのこの発生促進や発生量増加につながり、生産効率向上に有効です。
従来技術・競合技術との比較
国内生産の主要なきのこであるシイタケ等の菌床栽培にカンバ類やナラ類等の広葉樹おが粉が使用されています。嵩高いおが粉や栄養材よりもコンパクトな水性抽出物を培地に少量添加することで、きのこの発生促進に寄与します。菌糸成長を促進する植物由来成分はあるものの、きのこの発生も促進する植物由来成分は新規性が高いです。
新技術の特徴
・ヤナギ類の原木をチップやおが粉に加工して抽出装置へ水とともに投入し、所定の時間の浸漬あるいは撹拌により抽出した後、固液分離を行うことで水性抽出物が得られます。
・慣行法で使用されるおが粉をベースとした培地に、ヤナギ由来の水性抽出物を少量添加することで、シイタケ菌床栽培における初期発生量増加(発生促進)、総発生量増加が期待できます。
想定される用途
・きのこ栽培用培地を用いた菌床培養工程、及びきのこの子実体を発生させる発生工程を含むきのこ栽培
・ヤナギの水性抽出物を含有するきのこ栽培用培地添加剤
・きのこ栽培における浸水および注水処理における添加剤
お問い合わせ
連携・ライセンスについて
北海道立総合研究機構 研究事業部知的財産G
TEL:011-747-2806
Mail:hq-ip hro.or.jp
URL:https://www.hro.or.jp/
室蘭工業大学 MONOづくりみらい共創機構
TEL:0143-46-5860
Mail:crd muroran-it.ac.jp
URL:https://muroran-it.ac.jp/academic/research/mono-mirai/
北見工業大学 知的財産センター(研究協力課)
TEL:0157-26-9152
Mail:chizai desk.kitami-it.ac.jp
URL:https://www.kitami-it.ac.jp/center-info/intellectual_property/
帯広畜産大学 産学連携センター
TEL:0155-49-5829
Mail:chizai obihiro.ac.jp
URL:https://www.obihiro.ac.jp/facility/crcenter/
新技術説明会について
〒102-0076 東京都千代田区五番町7 K’s五番町
TEL:03-5214-7519
Mail:scettjst.go.jp