関西大学 新技術説明会【オンライン開催】
日時:2023年08月31日(木) 10:00~14:55
会場:オンライン開催
参加費:無料
主催:科学技術振興機構、関西大学
発表内容一覧
- 物理的な抗微生物作用を発現する「ナノスパイク」 発表資料 プレゼン動画
- 高屈折率/高アッベ数を有する新規ヨウ素含有ポリマー 発表資料 プレゼン動画
- 災害発生直後に自動検知できる緊急救命避難支援システム 発表資料 プレゼン動画
- IoTに適した疲労き裂検知システム 発表資料 プレゼン動画
- マイクロゲル微粒子にタンパク質を効率的に内包させる方法 発表資料 プレゼン動画
- コラーゲン骨格模倣オリゴペプチドを利用した新規アンチバイオファウリング表面の構築 発表資料 プレゼン動画
- 耐水性ゼラチン繊維の紡糸方法の開発 発表資料 プレゼン動画
- DNAの分子情報で制御される多色生物発光素子 発表資料 プレゼン動画
発表内容詳細
- 10:00~10:25
- 材料
関西大学 システム理工学部 機械工学科 教授 伊藤 健
新技術の概要
ナノレベルの周期的な突起物(ナノスパイク)は物理的な抗微生物作用(抗ウイルス、抗菌、殺菌、抗バイオフィルム)を発現するため、世界で問題になっている薬剤耐性(AMR)菌を生み出さないという大きなメリットを持つ。本材料は、樹脂およびシリコンを基材とし、ナノスパイクを作製することに成功し、様々な抗微生物作用を確認した。
従来技術・競合技術との比較
これまでの抗菌・殺菌剤及び抗バイオフィルム対策は、抗生剤をはじめとした化学的な効果によるものであったが、薬剤耐性菌が生じるため画期的な抗菌剤が求められていた。一方、バイオミメティクス的アプローチではサメ肌を模擬したマイクロ構造が微生物付着を抑制することを応用したシャークレットが開発されていたものの、表面への付着防止にとどまり、AMR(耐性菌)に対して効果が期待できなかった。
新技術の特徴
・抗ウイルス、抗菌・殺菌
・防汚
・低摩擦
想定される用途
・医療用部材(カテーテル、インプラント、コンタクトレンズ、絆創膏)
・食品工業用部材:食品の安全、安心担保
・一般抗菌材:接触感染の防止
関連情報
・サンプルあり
- 10:30~10:55
- 材料
関西大学 化学生命工学部 化学・物質工学科 教授 工藤 宏人
新技術の概要
ヨウ素元素の分子屈折率は高く、含ヨウ素ポリマーは超高屈折率材料として期待されるが、これまでに合成された含ヨウ素ポリマーは溶解性に乏しく、応用展開はほとんど期待されていなかった。本研究では、溶解性、成膜性、および耐熱性に優れた含ヨウ素アクリル樹脂の合成に成功し、その屈折率特性をエリプソメータで測定したところ、屈折率が1.85、アッベ数は20程度であることを明らかにした。開発した含ヨウ素アクリル樹脂材料は、熱可塑性樹脂としての特性を活かし、超高屈折率材料として、幅広い応用が期待される。
従来技術・競合技術との比較
屈折率が1.70以上で、成形加工可能な、熱可塑性高分子材料はこれまでにほとんど開発されていなかったが、本研究成果からは、1.80以上の高屈折率材料の開発を可能にさせた。
新技術の特徴
・新規高屈折率光学材料として有用
・新規光学材料として有効
・ラジカル重合を用いて、種々の共重合が可能となり、材料としてのバリエーションが多い
想定される用途
・発光ダイオード:カプセル部への利用により、光取り出し効率の改善
・イメージセンサ:光学部品として重要なマイクロレンズアレイの高屈折化
・発光ダイオード:光取り出し効率の改善
関連情報
・サンプルあり
- 11:00~11:25
- 情報
関西大学 システム理工学部 電気電子情報工学科 教授 和田 友孝
新技術の概要
複数の携帯端末のセンサ情報を共有し、人間の行動パターンを検知することにより、非通常状態かどうかを判断する。その結果、非通常状態にある端末の位置を把握して注意喚起し、複数端末の位置情報から誘導経路を推定し、非通常状態にある端末保持者を安全な位置に誘導することができる。
従来技術・競合技術との比較
災害発生後に携帯電話による避難情報を配信するシステムや火災報知器などのセンサ情報から災害情報を知らせるシステムは実用化されているが、携帯端末のみで災害検知から避難誘導まで行うシステムは存在しない。本システムは災害発生直後に携帯端末を利用して自動検知し、混雑を避けて避難誘導まで行うことができる。
新技術の特徴
・災害発生直後に自動検知
・人間の行動を検知
・屋内位置情報をもとに混雑をさけて避難誘導
想定される用途
・通常時と災害時に機能するスマートフォンアプリ
・混雑状況を可視化するシステム
・屋内位置情報や行動状態にもとづくサービス
- 11:30~11:55
- 建築・土木
関西大学 環境都市工学部 都市システム工学科 教授 石川 敏之
新技術の概要
鋼橋の疲労き裂は、溶接部から発生し進展することが多い。疲労き裂が発生すると、引張残留応力が解放されるため、非常に大きなひずみの変化が生じる。そこで、疲労き裂の発生によって解放されるひずみを計測することで、疲労き裂の発生や進展を評価するシステムを開発した。また、疲労き裂の進展を監視するモニタリングとしても利用できる。
従来技術・競合技術との比較
従来法では鋼橋の塗膜の割れが発見された場合に、疲労き裂が発生しているかどうかを明らかにするために磁気探傷試験が行われていた。一方、本システムは、1~数日に1回、数秒程度ひずみを計測し、疲労き裂によって内部のつり合いの変化をひずみとして計測し、疲労き裂の発生や進展を効率的に評価する事が可能となる。
新技術の特徴
・疲労き裂の発生によって解放されるひずみ計測
・疲労き裂の先端の塑性ひずみを検出することによる、疲労き裂の進展モニタリング
想定される用途
・鋼橋の疲労き裂発生検知モニタリング
・疲労き裂の進展の監視モニタリング
関連情報
・デモあり
- 13:00~13:25
- 材料
関西大学 化学生命工学部 化学・物質工学科 助教 奥野 陽太
新技術の概要
本技術では、水中水滴型エマルションを利用することで、数μmから数十μmのゲル微粒子に、変性を抑制しながら効率的にタンパク質を内包させる手法を提案する。ゲルへのタンパク質内包化にあたっては、生体適合性分子のみを使用し有機溶剤を一切使用しない。またローテクノロジーのみで構成されているため、スケールアップを行いやすいと考えられる。
従来技術・競合技術との比較
従来のタンパク質内包ゲル微粒子の作製手法として水中油滴型エマルションが頻用されたが、有機溶剤や撹拌による酵素失活や低い内包効率が課題であった。また近年、フローマイクロ流路、エレクトロンスプレー等の新規手法が提案されたが、高価で煩雑な装置のためスケールアップが難しい。本手法はこれらの課題を一挙に克服し得るものである。
新技術の特徴
・酵素や生理活性タンパク質など任意のタンパク質を生分解性ゲル微粒子内に内包可能
・ゲル内にタンパク質を保持したまま、ゲル内外で少分子のやりとりが可能
・水中水滴エマルション内での物質分配を利用
想定される用途
・バイオセンサー
・生体内薬物合成
・グリーンケミストリー
関連情報
・サンプルあり
- 13:30~13:55
- 材料
関西大学 化学生命工学部 化学・物質工学科 教授 柿木 佐知朗
新技術の概要
生細胞がコラーゲンの骨格構造部を認識しないという点に着目し、我々は新規なアンチバイオファウリングペプチドを開発した。このペプチドを固定化した基材表面は、タンパク質、細胞、血液、バクテリアに対して極めて優れた接着抑制効果(アンチバイオファウリング性)を有する。
従来技術・競合技術との比較
一般的に、アンチバイオファウリング表面は、親水性高分子や両性高分子の重合もしくはコーティングによって作製されている。いずれも合成高分子であり、生体や環境への影響が懸念される。本技術では、アミノ酸のみで構成される無害で無毒なペプチドを利用してアンチバイオファウリング表面の構築に成功した。
新技術の特徴
・タンパク質、細胞や血液、バクテリアが接着しない表面
・無害/無毒なアミノ酸のみで構成されるアンチバイオファウリングペプチド
・汎用法で容易に化学合成できる
想定される用途
・アンチバイオファウリング表面(血液、タンパク質、バクテリアなど)
・医療機器の血液適合化
・診断センサー等の防汚
関連情報
・サンプルあり
- 14:00~14:25
- 医療・福祉
関西大学 化学生命工学部 化学・物質工学科 教授 古池 哲也
新技術の概要
高い生体適合性、生分解性をもつゼラチンを用いて、マイクロならびにナノレベルでのファイバーの紡糸に成功した。得られた繊維はゼラチンが本来もつ高い水溶性を改善するために、特殊な架橋剤を使用することなく、耐水性に富んだ繊維に加工することにも成功した。
従来技術・競合技術との比較
ゼラチンは生体適合性、生分解性をもつにもかかわらず、その高い水溶性のため生体材料への利用が限られてきた。しかし、本開発では毒性のある架橋剤を用いることなく、容易にゼラチンの架橋反応を促進し、耐水性を有する繊維の開発に成功した。
新技術の特徴
・ゼラチンをマイクロおよびナノレベルで繊維化することができる
・ゼラチンがもつ最大の問題点であった耐水性を担保することができる
想定される用途
・生体適合性や生分解性を必要とする生体材料
- 14:30~14:55
- 材料
関西大学 化学生命工学部 化学・物質工学科 教授 葛谷 明紀
新技術の概要
発光タンパク質をDNAに結合することで、生物発光のエネルギーを様々な種類、組み合わせの蛍光色素に効率良く移動させて、多彩な発光色に変調することに成功しました。また、DNAによる分子計算の技術を活用して、発光色をリアルタイムに変更することも可能です。
従来技術・競合技術との比較
従来、発光タンパク質の色調変調は、蛍光タンパク質との融合タンパクを遺伝子組換えで合成することがほとんどでした。本手法では、マジックテープのように自在に付けたり剥がしたりできるDNA二本鎖を足場とすることで、生物発光共鳴エネルギー移動を自在に操ることができます。
新技術の特徴
・化学エネルギーだけを消費して、非常に鮮明な発光を得ることができる
・生体分子だけを利用しているので、生分解性で環境と体にやさしい表示デバイスが構築できる
・分子マーカーなど、様々な分子をトリガーとして色調変調が可能
想定される用途
・電気を使わず化学エネルギーで駆動するディスプレイデバイスの画素
・化学検査キットの表示部
・量子コンピュータの光源、回路
関連情報
・サンプルあり
お問い合わせ
連携・ライセンスについて
関西大学 産学官連携センター
TEL:06-6368-1245
Mail:sangakukan-mmml.kandai.jp
URL:https://www.kansai-u.ac.jp/renkei/industry/
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TEL:03-5214-7519
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