JST戦略的創造研究推進事業① ~さきがけ研究領域「反応制御」~ 新技術説明会【オンライン開催】
日時:2023年10月20日(金) 09:55~14:25
会場:オンライン開催
参加費:無料
主催:科学技術振興機構
発表内容一覧
発表内容詳細
- 09:55~10:00
開会挨拶
さきがけ「反応制御」研究総括 早稲田大学 理工学術院 教授 関根 泰
- 10:00~10:25
- デバイス・装置
北海道大学 電子科学研究所 光科学研究部門 准教授 平井 健二
新技術の概要
2枚の光反射ミラーでできた光共振器の中では、存在しやすい光(定在波)のエネルギーが限定される。分子振動と光共振器の中の光のエネルギーが一致すると、量子的な混成状態が形成され、反応性が変化する。この反応性変化を利用して、部位選択的な化学反応を誘導する光共振器リアクターを紹介する。
従来技術・競合技術との比較
部位選択的な化学反応を起こすためには、官能基認識能をもつ触媒の開発や反応を阻害する保護基を用いることが一般的である。これは行程や廃棄物の増加に繋がる。本手法では光を利用するため、行程や廃棄物の増加なく、部位選択的な反応を誘導することができる。
新技術の特徴
・光共振器の構造とフローシステムを組み合わせることで連続合成が可能
・化学反応において副生成物ができるのを抑制できる
想定される用途
・狙った化合物や材料を選択的に合成
- 10:30~10:55
- 材料
金沢大学 ナノマテリアル研究所 准教授 古山 渓行
新技術の概要
NIR-II領域と呼ばれる、1000 nmを超える近赤外光と相互作用する新材料およびそれらの簡便な合成法を提案する。フタロシアニンを主骨格とし、クロスカップリング反応による修飾を行うことで系統的な材料が創成できる。本技術により、光・電気的特性の能動的制御が期待できるといえる。
従来技術・競合技術との比較
シアニン系をはじめとする従来のNIR-II色素と比べ、高い光安定性および機能性官能基の導入が簡便であるといった利点がある。また、金属元素との複合化が可能な点は他の色素にないものであり、これにより光励起状態の簡便な制御が実現できる。
新技術の特徴
・狙った波長の近赤外光と選択的に相互作用する材料設計が可能
・周期表ほとんど全ての元素との複合材料が合成可能
・可視光と相互作用せず、近赤外光と選択的に相互作用する高い透明性
想定される用途
・近赤外駆動光触媒
・光温熱療法、光増感色素としての医療材料
・透明性が高い近赤外光カットフィルター
- 11:00~11:25
- エネルギー
3)身の回りの振動エネルギーを利用した触媒反応システム
発表資料東京都立大学 理学研究科 化学専攻 教授 山添 誠司
新技術の概要
200Hz以下の身の回りで発生する振動エネルギーを駆動力とした新しい触媒反応システムを開発した。共振現象を利用して圧電材料に効率良く振動エネルギーを加えることで発生した高電位を利用し、水からの水素生成など、分子変換反応を引き起こすことが可能である。
従来技術・競合技術との比較
超音波振動やボールミルなどの機械エネルギーを利用した分子変換技術が報告されている。超音波振動では高周波の振動が、ボールミルでは衝撃エネルギーが使われているが、いずれも共振現象を利用しておらず、異なる技術である。
新技術の特徴
・共振現象を利用した高い電位を利用できる点
・同じ周波数の振動が発生する場所が適している点
・風や流水なども利用できる点
想定される用途
・有害物質の分解
・水からの水素生成
関連情報
・展示品あり
- 11:30~11:55
- 材料
神戸大学 大学院工学研究科 電気電子工学専攻 准教授 杉本 泰
新技術の概要
シリコン(ケイ素)からなるナノスケールの薄膜、もしくは粒子の電磁気学的な共鳴現象を利用して光を閉じ込めることで、三重項状態を活用した新しい光反応技術や構造発色ナノ粒子インクなど、これまでにない光学的な機能をもつ材料の開発に成功した。
従来技術・競合技術との比較
従来では、貴金属のナノ構造を用いて光を閉じ込める機能が実証されてきたが、吸収損失や材料コストの面で実用化は困難であった。本技術は資源が豊富なケイ素を用いており、損失も小さいため、様々な応用に向けて有利である。
新技術の特徴
・厚さ数10nmの薄膜で極限まで光を閉じ込め活用できる
・サイズに依存する光学共鳴により、発色を調整できる
・一重項酸素生成など、様々な光反応へ応用できる
想定される用途
・マイクロ(光)反応セルの性能向上
・構造色インク
関連情報
・サンプルあり
- 13:30~13:55
- エネルギー
九州大学 大学院農学研究院 生命機能科学部門 准教授 椿 俊太郎
新技術の概要
独自開発の30 GHzシングルモード型ミリ波加熱装置の開発に成功した。反応体発振器を搭載し、試料と鋭く共振するシングルモード型共振器や、試料に応じたアイリス、導波管型方向性結合器を介した電力モニタリング、E/Hチューナーによるインピーダンス整合機構を備えており、本装置によってミリ波加熱条件を精緻に制御することが可能となった。本装置と、ミリ波帯域の電磁波吸収性に優れた合金触媒を併用することで、従来の電気炉や2.45 GHzのマイクロ波加熱装置と比較して、急速に昇温し(100℃/min)、短時間(60 sec以内)・低温(250℃)で触媒的熱分解が進行することを明らかにした。
従来技術・競合技術との比較
30 GHzシングルモード型ミリ波加熱装置をもちいることで、数Wのわずかな電力においても、担持金属触媒上の局所に高温反応場を形成し、電気炉や従来型の2.45GHzより低温・短時間で固体触媒反応が可能である。
新技術の特徴
30GH zシングルモード型ミリ波触媒反応装置を開発
従来の2.45 GHz のマイクロ波と比較して、高速・低温でバイオマスの触媒的急速熱分解が可能
ミリ波in situ XAFS測定により、低出力でも触媒局所が高温化することを確認
想定される用途
・固体触媒反応の加速
・バイオマスの触媒変換加速
・再エネ由来電力を用いた化学プロセス
- 14:00~14:25
- 材料
東北大学 多元物質科学研究所 プロセスシステム工学研究部門 准教授 中村 崇司
http://www2.tagen.tohoku.ac.jp/lab/amezawa/html/index-j.html
新技術の概要
本技術では、アニオン伝導性固体電解質により構成される電気化学リアクターを使い、無機機能性材料のアニオン(陰イオン)組成を自由自在に制御することが可能となる。印加電圧により反応駆動力を、リアクターに流した電気量により供給アニオン量を制御することができる。
従来技術・競合技術との比較
既存のアニオン複合化技術と比べ、本技術の優位性は大きく二つある。ひとつは、外部からの電圧印加により、アニオン導入の反応駆動力を制御できるため、従来技術では実現できなかった反応条件を創り出し、新材料の開発が可能となる点である。また第二の優位点は、リアクターに流した電気量によりアニオン組成を精密に制御できることである。
新技術の特徴
・粒子、緻密膜、塊などサンプル形状に関わらず、無機機能性材料を対象のアニオン(陰イオン)組成を制御することができる
・大きな駆動力を活用して新材料を合成することも可能
想定される用途
・触媒
・蓄電池
・燃料電池/電解セル
関連情報
・サンプルあり
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連携・ライセンスについて
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