国立環境研究所 新技術説明会【オンライン開催】
日時:2023年07月13日(木) 10:00~11:55
会場:オンライン開催
参加費:無料
主催:科学技術振興機構、国立環境研究所
発表内容一覧
発表内容詳細
- 10:00~10:25
- 環境
1)フレキシブルに導入可能!浮遊型人工湿地による浄化と緑化
発表資料国立環境研究所 資源循環領域 試験評価・適正管理研究室 主任研究員 尾形 有香
新技術の概要
浮遊型人工湿地は、浮遊構造を有し、ろ材、微生物、植物の自然機能を合理的に活用した浄化技術です。貯留池等にフレキシブルに導入でき、水位変動にも対応します。有機物、全窒素、塩類の他、フミン酸等の難分解性有機物質を高効率で除去できます。目的に合わせ植物種を変更でき、緑化にも繋がります。
従来技術・競合技術との比較
本技術は、電力、薬品を使用しないため、既存の水処理施設と比べ、環境に優しく、低コスト、維持管理が容易といった利点があります。また、従来の植物を利用した植生浄化は、ろ材を用いておらず、浄化能は植物の吸収・吸着に依存していました。本技術では、ろ材の活用により、浄化対象物質の拡大と浄化能を著しく向上しました。
新技術の特徴
・ろ材(微生物担体)と植物、微生物の相互作用を活用した浄化技術
・7つのSDGsに貢献するグリーンインフラ技術
・目的に合わせて、ろ材、植物をカスタマイズ。水量削減や資源化等にも応用可能
想定される用途
・浸出水処理
・湖沼、貯留池、河川等の直接浄化と緑化
・養殖排水の浄化と資源化
- 10:30~10:55
- 環境
国立環境研究所 資源循環領域 資源循環基盤技術研究室 研究員 田中 厚資
新技術の概要
汎用樹脂(低密度ポリエチレン、高密度ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリ塩化ビニル、ポリスチレン等)について、樹脂溶液と樹脂の非溶媒との混合による析出に基づき、直径1µm未満の球状粒子を得る手法を開発しました。
従来技術・競合技術との比較
本手法は不純物として残りうる物質の添加が不要であり、作製粒子は一般的なプラスチック製品と同等のポリマー分子量、結晶化度、融点等を持つ、という点で従来技術にない特徴を持ちます。ポリエチレン、ポリプロピレンの直径1µm未満の球状粒子の作製手法はこれまで確立されておらず、新規材料となります。
新技術の特徴
・汎用樹脂について、直径1µm未満の球状粒子の作製が可能
・不純物を含まない粒子の作製が可能
・一般的なプラスチック製品と同等のポリマー分子量、結晶化度、融点等を持つ粒子の作製が可能
想定される用途
・ナノプラスチックの毒性試験のための標準粒子
・ナノプラスチックの定量分析のための標準粒子
・プラスチックを分解する菌を探索するためのクリアゾーン法への適用
- 11:00~11:25
- エネルギー
国立環境研究所 社会システム領域 システムイノベーション研究室 主幹研究員 平野 勇二郎
新技術の概要
国立環境研究所が開発した「地域エネルギー計画・評価システム」は、自治体による地域の脱炭素化に向けた計画を支援するため、地域エネルギー事業の環境性・事業性を定量評価する。この評価システムに数値シミュレーションによる風況評価手法を組み込み、地域における風力発電利活用ポテンシャルの評価を可能にする。
従来技術・競合技術との比較
従来の地域エネルギー事業計画の経済性優先で実施されることが多かったが、この評価システムは自治体の環境政策に貢献することを目的としている。また従来から風況評価のためにタワー観測やライダー観測が行われているが、この評価システムではその前段階で数値シミュレーションにより行い、意思決定を円滑化する。
新技術の特徴
・気象条件による時間変動を踏まえた電力需給バランス評価
・数値シミュレーションにより風況4次元データベースを構築
・各種エネルギーマネジメント技術を組み合わせたシステム設計を支援
想定される用途
・自治体による地域エネルギー事業の導入に向けた計画のコンサルティング
- 11:30~11:55
- 環境
国立環境研究所 生物多様性領域 生物多様性資源保全研究推進室 室長 河地 正伸
新技術の概要
本発明による技術は、L乾燥法を応用した微細藻類の乾燥標品を試薬のように長期間安定して保存することを可能にした。さらに、乾燥標品をそのままバイオアッセイに供することを可能にした。本技術では、前培養等の工程が不要であり、迅速な環境影響評価が可能であることから、洋上を含む様々な場面での利用が想定される。
従来技術・競合技術との比較
従来の微細藻類を利用するバイオアッセイと比較して、本方法は、(1)検出までの時間が90分以内と短縮されること(従来法では少なくとも48時間必要)、(2)光化学系に影響する化学物質では特に鋭敏に検出できること(ppbオーダー)、(3)培養等の操作が不要であり再現性が高いこと、以上の点が特筆できる。
新技術の特徴
・微細藻類を試薬化し、長期間安定して保存できる技術
・迅速かつ簡便なバイオアッセイ技術
・植物の光化学系を利用した化学物質の検出技術
想定される用途
・洋上などの機材が限られる場所での環境影響評価
・重金属、ヒ素、農薬などの一次スクリーニング
・藻類系統保存で使用されているL乾燥標品の品質チェック
お問い合わせ
連携・ライセンスについて
国立環境研究所 連携推進部
TEL:029-850-2956
Mail:kikaku-ip nies.go.jp
URL:https://www.nies.go.jp/index.html
新技術説明会について
〒102-0076 東京都千代田区五番町7 K’s五番町
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