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量子科学技術研究開発機構 新技術説明会【オンライン開催】

日時:2023年06月20日(火) 09:55~15:55

会場:オンライン開催

参加費:無料

主催:科学技術振興機構、量子科学技術研究開発機構

発表内容詳細

  • 09:55~10:00

開会挨拶

量子科学技術研究開発機構 イノベーションセンター センター長 上野 彰

  • 10:00~10:25
  • 医療・福祉

1)「正解があるとは限らない」診断課題のための支援AI

発表資料 プレゼン動画

量子科学技術研究開発機構 量子生命・医学部門 量子医科学研究所 分子イメージング診断治療研究部 主幹研究員 立花 泰彦

https://www.qst.go.jp/site/qms/1897.html

新技術の概要

医療などの分野では一つの診断課題に一つの答えがあるとは限らず、また診断者によって答えにバイアスが含まれる可能性がある。このような不利なデータからでも効率よく学習を行い、かつ、実践的な診断支援を行うためのAIデザインを行った。画像診断を対象とした開発例を紹介する。

従来技術・競合技術との比較

従来技術では一つの診断課題に対して一つの回答を前提とし、学習および提案を行うAIが大半であった。紹介技術では回答が複数ありえることを前提に学習を行う方法を開発し、多様な回答の分布を提示することで実践性を高める方法を提案した。

新技術の特徴

・バイアスを含んだ比較的少量のデータからの教師あり学習を効率よく行うことができる
・正解が一つとは限らない問に対して、実践的なインターフェースを提案した
・分類問題におけるラベルのノイズを、Ground truthの多様性を反映するデータとして活用する

想定される用途

・医療、診断
・データに既知のバイアス要因が存在する場合のAI開発(装置ごとに観測データの傾向が違う、など)
・言語化しにくい「人間の経験」を前提とした判断を支援するAI開発

  • 10:30~10:55
  • 計測

2)荷電粒子(電子、イオン)ビームを自在にあやつるためのモニター
~ビームのエネルギー分布・時間分布を同時に非破壊・単発で計測~

発表資料 プレゼン動画

量子科学技術研究開発機構 量子技術基盤研究部門 関西光量子科学研究所 副所長 神門 正城

新技術の概要

荷電粒子ビームのエネルギー分布、時間分布はビームの短パルス性を活かした応用実験には重要ですが、その難しさからほとんど計測されていません。今回私たちは、エネルギー分布と時間分布を同時に非破壊、単発で計測できる装置を考案しました。

従来技術・競合技術との比較

従来法は、破壊型で時間分解能が十分でなかったり、繰り返し計測が必要であったり、簡易にモニターとして使えるものがありませんでした。私たちの方法は、短パルスレーザーを活用することで、単発で高い時間分解能を持ち、非破壊で計測できる方法です。通常の粒子加速器やレーザープラズマ粒子加速器などのビーム診断・最適化に活用できます。

新技術の特徴

・30 fs程度の高い時間分解能をもつ
・単発で荷電粒子ビームの時間・エネルギー分布を同時計測できる
・複雑な解析がなくてもビーム調整のリアルタイムモニターとして利用できる

想定される用途

・極端紫外光から軟X線の自由電子レーザーの最適化とそれを用いた時間分解能材料開発など
・短パルスビームの照射位置での最適化とそれを用いた高速現象の解明(たとえば放射線化学、放射線生物学など)
・短パルスのビーム(レーザー、荷電粒子、X線、ガンマ線など)を自在にポンプ・プローブで組み合わせた分析など

  • 11:00~11:25
  • デバイス・装置

3)軟X線レーザーによる表面ナノ加工技術

発表資料 プレゼン動画

量子科学技術研究開発機構 量子技術基盤研究部門 関西光量子科学研究所 量子応用光学研究部 X線超微細加工技術研究プロジェクト 上席研究員 石野 雅彦

新技術の概要

本発明は、軟X線レーザを用いて材料表面に微細なパターンを造形する表面造形方法及び表面造形装置に関する技術である。超短パルス軟X線レーザを酸化アルミニウム(サファイア)及び酸化チタンの何れかの表面に集光照射することにより、ナノメートルサイズの幅とサブナノメートルの深さをもつパターンを造形することができる。

従来技術・競合技術との比較

機械加工においては加工工具の小型化に限度がある。レーザー加工は機械加工よりも精密な加工が可能であるが、加工サイズの精密化や加工精度の向上にはレーザーの短波長化が必須である。軟X線レーザーを用いることにより、材料表面にナノメートルスケールの構造を直接加工することが可能となる。

新技術の特徴

・ナノメートルサイズの表面加工をレーザー照射のみで実現することができる
・ナノメートルスケールの深さ加工ができる
・酸化アルミニウム(サファイア)及び酸化チタンの各表面においては、サブナノメートルオーダーの深さ加工が可能

想定される用途

・超微量流路デバイス
・精密鋳型や微細鋳型
・電子デバイスや光学素子の形成

  • 11:30~11:55
  • 分析

4)溶液の化学組成を非接触でリアルタイムイメージング

発表資料 プレゼン動画

量子科学技術研究開発機構 量子技術基盤研究部門 関西光量子科学研究所 量子応用光学研究部 上席研究員 坪内 雅明

https://www.qst.go.jp/site/kansai-dqap/uedp.html

新技術の概要

音速は液体の種類やその混合比、また溶存する物質の濃度によって大きく変化するため、迅速正確な音速の測定により溶液の定量分析が可能となる。我々は、赤外光が強く水に吸収されるため、液面への赤外光の照射により効率よく音波の発生が可能である事に着目した。当技術では水溶液中での速度が二次元的に可視化されるため、リアルタイムで化学組成分布や水溶液濃度分布の観測が可能となる。

従来技術・競合技術との比較

現在の音波発生は①振動子で水面を機械的に揺さぶる、②可視光を水溶液中の色素に集光するという手法が取られている。①は水溶液内の平均的音速しか観測できず、②は水中への異物混入や集光を要するため試料の汚染や破損の恐れがある。当技術は音波の空間伝播を直接観測する事で音速の空間分布測定を可能とするとともに、試料自身が赤外光を効率よく吸収するため汚染や破損の心配はない。

新技術の特徴

・水溶液の組成、濃度の空間分布をリアルタイムで二次元(三次元)画像化が可能
・温度や圧力等も音速に敏感なためこれらの空間分布のリアルタイムイメージングも可能
・非接触で試料を破損や汚損することなく測定が可能

想定される用途

・混合溶液の均一性(アルコール製品等)や混合状態の測定
・調整中及び調整後の水溶液サンプルに対する濃度分布測定
・血中糖度等の成分分析

  • 13:00~13:25
  • 医療・福祉

5)SPECT・PET同時イメージング装置

発表資料 プレゼン動画

量子科学技術研究開発機構 量子生命・医学部門 量子医科学研究所 先進核医学基盤研究部 イメージング物理研究グループ 主幹研究員 田島 英朗

https://www.nirs.qst.go.jp/usr/medical-imaging/imaging-physics/

新技術の概要

独自技術のコリメータ兼用PET検出器によって、1つの装置でSPECTとPETの同時イメージングが可能な新しい核医学装置を実現する。複数の検査を同時に単一の装置で実施できるようになるため、検査時間の短縮や患者負担の軽減など診断の効率化や、保有装置台数削減による施設の省スペース化及び低コスト化が期待できる。

従来技術・競合技術との比較

SPECTとPETはともに放射性薬剤を生体内に投与し、分布を画像化することで生体機能を測定する手法であるが、従来別々の装置が必要である。今回紹介する装置は、新技術であるコリメータ兼用PET検出器を用いることで、異なる薬剤分布の同時イメージングを実現する。

新技術の特徴

・異なる測定原理(コリメーション/同時計数)のイメージングを単一装置で実施
・コリメータホール付き放射線検出器
・多核種同時の3次元断層イメージングを実現

想定される用途

・SPECT検査とPET検査の一斉実施
・複数検査の同時実施による認知症鑑別の検査迅速化
・小動物用装置とすることで、薬剤開発のスループット向上

  • 13:30~13:55
  • 材料

6)ナノサイズの一粒にスポットライトを当ててみませんか?
~ナノ結晶非破壊3次元イメージング技術~

発表資料 プレゼン動画

量子科学技術研究開発機構 量子技術基盤研究部門 関西光量子科学研究所 放射光科学研究センター グループリーダー 大和田 謙二

https://www.qst.go.jp/site/kansai-sr/20490.html

新技術の概要

ナノ結晶の内部構造を3次元イメージングする技術です。ナノ結晶内部の歪や欠陥、空洞、ドメイン等をイメージングします。数十nm~数μm以下のナノ結晶のイメージングが可能で分解能は10nmです。計測は室温から1100℃の高温環境下やガス雰囲気環境下で実施可能です。

従来技術・競合技術との比較

走査型電子顕微鏡(SEM)に対し、当該手法は、粒子の裏が見え、断面が見え、その断面における歪分布等が見えます。透過型電子顕微鏡(TEM)に対して、当該手法は、試料の加工が不要です。また、当該手法が用いるX線は電子線に比べて試料にダメージを与えにくい線質です。

新技術の特徴

・ナノ結晶一粒の3次元構造(形状や内部歪、欠陥、空洞、ドメイン等)を非破壊かつ非接触で調べることが可能
・試料環境(温度、雰囲気等)を変化させての3次元構造イメージングが可能

想定される用途

・熱処理やガス吸蔵反応中のナノ結晶の3次元構造イメージング
・粉末試料の性質がナノ結晶一粒の性質に起因するかどうかを見極める計測
・ナノ結晶特有の機能が発現する際の歪等内部構造の変化を直接的に観察

  • 14:00~14:25
  • アグリ・バイオ

7)線虫実験新技術:線虫カプセルと池ぽちゃアッセイ

発表資料 プレゼン動画

量子科学技術研究開発機構 量子技術基盤研究部門 高崎量子応用研究所 量子バイオ基盤研究部 主幹研究員 鈴木 芳代

https://www.qst.go.jp/site/microbeam/2077.html

新技術の概要

培養環境がない方に生きた線虫を供給する「線虫カプセル」と、実験スキルがない方でも線虫の嗅覚応答実験を手軽に行えるようにした「池ぽちゃアッセイ」と「線虫リリース法」をご紹介する。これらの実験技術は、教育現場向けの生きた線虫実験教材、病害線虫用農薬のスクリーニング試験など、幅広い分野で活用できる。

従来技術・競合技術との比較

生きた線虫を用いる実験や観察を誰もが気軽に行えるような、線虫供給法や簡便な実験法はこれまでなかった。新技術は、すぐに実験に使える良好な状態の線虫の提供と、スキルによらず線虫の嗅覚応答試験を精度よく行えるようにした簡便な実験法である。

新技術の特徴

・人工魚卵の製造法を応用して作成した生分解性の膜の中に線虫を封入した「線虫カプセル
封入する線虫には拡散防止のための不妊化処理を施すこともできる
・線虫の嗅覚応答を従来の100倍以上の感度で再現性よく検出できる「池ぽちゃアッセイ法」
味覚応答試験も可能病害線虫の誘引物質スクリーニングや線虫を用いる各種実験、検査の精 度向上に役立つ
・線虫の池ぽちゃアッセイで、線虫をプレートに自動で放す「線虫リリース法」
プレート上の匂い勾配を乱したり別の匂いを混入させるリスクのある人によるリリース操作の代替法で実験精度向上に直結

想定される用途

・実験・観察教材、研究試料として、良好な状態の線虫を提供する線虫カプセル
・線虫の嗅覚応答又は味覚応答試験のための池ぽちゃアッセイプレート、アッセイキット
・病害線虫用農薬のスクリーニング試験

  • 14:30~14:55
  • アグリ・バイオ

8)植物体内の光合成産物の転流パターンの制御方法

発表資料

量子科学技術研究開発機構 量子技術基盤研究部門 高崎量子応用研究所 量子バイオ基盤研究部 主幹研究員 尹 永根

https://www.qst.go.jp/site/ri-imaging/

新技術の概要

葉で作られた光合成産物は茎内部の師管を通って収穫部位へ運ばれる(転流)ため、複数のパターンが存在する。本技術は、転流パターンを視覚的に理解するために茎内部の篩管ネットワークの可視化を可能にする。本技術により得られた画像データを参照とすることで、個別の篩管転流の方向と量を狙い撃ちで制御が可能となり、炭素を目的の場所(収穫部位)に効率よく蓄積させる(=制御する)斬新な生産方法が実現できる。

従来技術・競合技術との比較

従来の生産方法では、光合成を促進させ、余分な葉や新芽または果実を摘み取る整枝作業で、葉と収穫部位の光合成産物の需給バランスを調整する栽培管理が主流である。こうした整枝作業では、光合成同化産物の葉から収穫部位への輸送は植物任せであるため、生産者がこれを制御することは困難である。すなわち葉で生産された光合成同化産物が集中的に収穫部位へ供給されるように人為的に精密制御することはできない。

新技術の特徴

・炭素動態の状態と予測アプリの開発
・農作業ARグラスなどの開発

想定される用途

・篩管転流の制御技術
・農産物の生産方法の見直しと新規増産技術の開発
・農産物の収穫量の予測と品質管理の見える化

  • 15:00~15:25
  • アグリ・バイオ

9)植物の一世代内での品種改良を可能とするゲノム解析技術

発表資料 プレゼン動画

量子科学技術研究開発機構 量子技術基盤研究部門 高崎量子応用研究所 量子バイオ基盤研究部 上席研究員 北村 智

https://www.qst.go.jp/site/ion-beam-mutagenesis/

新技術の概要

植物に変異誘発処理すると、異なる変異パターンを持つ多様な細胞が混在した状態となり、突然変異の検出そのものが困難であった。今回、量子ビーム照射した植物のゲノムで生じた変異を網羅的に検出する技術を紹介する。この技術を使うことで、一世代が長い樹木・果樹類での品種改良が世代内で完了することが期待される。

従来技術・競合技術との比較

植物での突然変異の検出研究は、変異誘発処理した次の世代を用いたものに終始していたが、この解析法では、多くの遺伝子に影響を及ぼす大規模変異が検出されにくかった。今回紹介する変異誘発処理した世代の解析技術では、そのような大規模変異を効率よく検出できるため、照射世代での形質の改変が可能になる。

新技術の特徴

・基本的に、培養などの特殊技術を必要としない
・親植物の良い特性を維持できる
・世代を経ずに変異を固定させるので、品種改良が効率化できる

想定される用途

・目的遺伝子配列が変異した枝の同定
・目的遺伝子配列を含むゲノム領域が欠失した枝の同定

  • 15:30~15:55
  • デバイス・装置

10)ダイヤモンドナノ構造を用いた細胞内ナノスケールNMRイメージング技術の開発

発表資料

量子科学技術研究開発機構 量子生命・医学部門 量子生命科学研究所 次世代量子センサーチーム 主任研究員 石綿 整

https://www.qst.go.jp/site/iqls/22442.html

新技術の概要

NVセンタによる次世代量子計測はこれまで細胞内での温度やpH計測など様々な生体パラメータ計測を実現してきた。今回開発した新技術では全く新しい量子計測材料を利用することで、細胞内での量子センサの安定性を向上し、ナノスケールの微小領域において核スピンの高感度計測を世界に先駆けて実現した。細胞内ナノスケールNMRイメージングについて解説する。

従来技術・競合技術との比較

これまで細胞内量子計測はナノダイヤモンドを利用したものが主流であり、計測手法としては光検出磁気共鳴やT1計測などに限定されていた。NVセンタを量子ビットとして利用した重ね合わせ状態を用いた細胞内量子計測は限定的であった。今回発表する技術ではナノ構造を利用することにより細胞内においてNVセンタの重ね合わせ状態を利用した高感度計測を実現する。

新技術の特徴

・胞内解析・診断技術
・高感度量子計測
・ナノスケール解析技術

想定される用途

・細胞内解析・診断技術
・細胞内タンパク質・分子解析
・細胞内エネルギー代謝解析

お問い合わせ

連携・ライセンスについて

量子科学技術研究開発機構 イノベーションセンター知的財産活用課
TEL:043-206-3027  
Mail:chizai アットマークqst.go.jp
URL:https://www.qst.go.jp/site/collaboration/1099.html

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