東京農工大学 新技術説明会【オンライン開催】
日時:2023年09月07日(木) 13:30~15:55
会場:オンライン開催
参加費:無料
主催:科学技術振興機構、東京農工大学
発表内容一覧
発表内容詳細
- 13:30~13:55
- 医療・福祉
東京農工大学 大学院工学研究院 生命機能科学部門 教授 浅野 竜太郎
新技術の概要
医薬品としても認可されている一本鎖抗体(scFv)に特異的、かつ汎用的に結合する核酸アプタマーを開発した。核酸は化学合成と化学修飾が容易であるため、抗scFv核酸アプタマーを各種修飾することで、それに応じた治療効果やシグナル応答能をscFvに簡便、かつ均一に付与することができる。
従来技術・競合技術との比較
scFv特異的、かつ汎用的な検出方法や修飾方法は存在していなかった。生体内にも通常抗体が存在するため、従来の抗体医薬品のモニタリングは困難であったが、scFvは生体内に存在していないため、本技術を用いればscFv医薬品を特異的にモニタリングすることができる。
新技術の特徴
・scFv特異的な薬物動態解析やプロセスモニタリングが可能
・scFvへの薬剤やイメージング剤の均一な修飾が可能
・scFvの精製リガンドや安定化剤としての利用が可能
想定される用途
・scFv特異的なセンシング素子
・scFv医薬品の機能向上
・抗原性を有する人工タグを含まないscFvの調製
関連情報
・サンプルあり
- 14:00~14:25
- デバイス・装置
2)メタサーフェス・メタレンズで超小型原子時計・センサを実現する
発表資料東京農工大学 大学院工学研究院 先端機械システム部門 准教授 岩見 健太郎
新技術の概要
平面的なメタマテリアルである「メタサーフェス」の技術に基づいた光制御技術が注目されている。本技術は、従来のレンズ・プリズム・波長板といった複数の光学素子を1枚の極薄メタサーフェスに統合するもので、原子時計や光学式センサに広く用いられる「ガスセル」を大幅に小型化することができる。
従来技術・競合技術との比較
従来の原子時計や光学式センサは、透過型でありデバイスが厚さ方向に大きい高背部品となっていた。本技術の適用により反射型構成をとることができ、光源・検出器を基板の片面に実装することが可能であるため大幅な小型化が図れる。
新技術の特徴
・レンズ・プリズム・波長板等の複数の光学素子を1枚の極薄メタサーフェスに統合する
・光の波面、進行方向、集束性、偏光状態を自由自在に変換することができる
・MEMS基板と組み合わせて安価かつ小型な反射型ガスセルを構成できる
想定される用途
・スマートフォンに内蔵可能な超小型原子時計
・超小型・精密な光学式ガスセンサ、バイオセンサ
・超小型・精密な光学式ジャイロセンサ・磁力計
- 14:30~14:55
- エネルギー
3)CO2でつくるポリマーしなやか電池
発表資料東京農工大学 大学院工学研究院 応用化学部門 教授 富永 洋一
新技術の概要
フレキシブルな全固体電池を可能にする新しい無機フィラー複合型高分子電解質を開発しました。CO2から合成されるポリエチレンカーボネートを基幹物質とする高分子電解質に無機フィラーを分散させた複合体が優れた電解質特性やLi電池特性を発現することを見いだしました。
従来技術・競合技術との比較
従来の高分子電解質の研究では、ポリエチレンオキシド(PEO)が主に用いられてますが、Liイオン輸率や耐酸化性、イオン伝導度の低温特性などに問題があります。様々な非PEO系電解質も開発されてきましたが、電解質特性に優れる材料系はこれまで見いだされていません。本技術は、特にLiイオン輸率や耐酸化性で他の技術よりも優れています。
新技術の特徴
・カーボンニュートラルに貢献するCO2由来ポリマー
・Li電解質特性に優れる新しいポリマー材料
・無機フィラーとの複合化によるトレードオフの改善
想定される用途
・ウェアラブルデバイス用電池
・設置スペースが限られる車内や工場の隙間に使う用途の電池
・その他、電池の柔軟性や成形加工性が求められる用途全般
- 15:00~15:25
- 創薬
4)創薬標的となるRNA/DNA立体構造の予測モデル
発表資料東京農工大学 大学院工学研究院 生命機能科学部門 准教授 寺 正行
新技術の概要
タンパク質を標的とする低分子創薬は限界に近づいています。我々はDNA/RNAを狙い、転写/翻訳を阻害するグアニン四重鎖の機械学習予測モデルを開発しました。実験的に同定したウイルス由来のグアニン四重鎖では、翻訳阻害活性を示すことを確認し、薬効化合物も取得しています。
従来技術・競合技術との比較
RNA二次構造予測は信頼性の高い予測モデルが開発されています。一方、グアニン四重鎖は一般的なWatson-Crick水素結合とは異なる駆動力で形成される安定二次構造なので、信頼性の高いモデルはこれまでほとんど報告例がありません。本技術では、85%を超える確度でグアニン四重鎖を予測することができます。
新技術の特徴
・ウイルス増殖を阻害する核酸構造の予測
・がん遺伝子を抑制する核酸構造の予測
・予測した核酸構造を用いた迅速かつ簡便なHTS
想定される用途
・抗ウイルス薬リード探索
・抗がん剤リード探索
- 15:30~15:55
- 医療・福祉
5)シルクフィブロインー高分子化合物複合体の開発
発表資料東京農工大学 大学院工学研究院 生命機能科学部門 教授 中澤 靖元
新技術の概要
カイコ由来のシルクフィブロインと部分的に相互作用するポリウレタンをブレンドすることで、シルクフィブロインとの相溶性を向上させた新規材料を作製した。得られた材料は通常のブレンド材料と比較して柔軟性や耐久性が向上した。
従来技術・競合技術との比較
シルクフィブロインを基盤とした複合化素材は多く開発されているが、異種ポリマーとの相溶性が低いことが課題であり、その物性制御範囲は限定的であった。本技術では、ブレンドするポリマーを改変することにより、相溶性やそれに伴う材料物性の改善に成功した。
新技術の特徴
・ 柔軟性を有するシルクフィブロイン複合化ナノファイバーシートの開発
・ 耐久性の高いシルクフィブロイン複合化ナノファイバーシートの開発
・ シルクフィブロインに相溶するポリマーの開発
想定される用途
・ シルクフィブロインを基盤とした再生医療材料
・ シルクフィブロインを原料とする樹脂材料
お問い合わせ
連携・ライセンスについて
東京農工大学 先端産学連携研究推進センター
TEL:042-388-7550
Mail:suishin ml.tuat.ac.jp
URL:https://www.rd.tuat.ac.jp/urac/
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