創薬・医療関連技術 ~AMED~ 新技術説明会【オンライン開催】
日時:2025年02月18日(火) 10:00~15:55
会場:オンライン開催
参加費:無料
主催:科学技術振興機構、日本医療研究開発機構
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発表内容一覧
発表内容詳細
- 10:00~10:25
- 医療・福祉
1)AI技術を活用した自動気管挿管装置により今まで救えなかった命を救う
聖マリアンナ医科大学 医学部 医学科 麻酔学 講師 升森 泰
新技術の概要
自動気管挿管装置は、AIが声帯と喉頭蓋を認識し、正確な気道位置を自動特定・挿管します。患者の頭部を固定する小型アームとヘルメット型台座により、非熟練者でも容易かつ安全に挿管が可能です。この技術は、緊急時の迅速な気道確保を支援し、医療現場の負担軽減を目指します。
従来技術・競合技術との比較
従来、救急現場では熟練者が限られるためラリンジアルマスクが多用されてきた。しかし、心臓マッサージや患者移動中のズレにより換気困難や患者危害のリスクが残る。本技術はAIと自動化により、初心者でも確実かつ迅速に気道確保を実現し、従来技術の課題を解決する。
新技術の特徴
・AIによる気道認識ソフトウェア:ビデオ喉頭鏡の映像をリアルタイムで解析し、声帯や喉頭蓋などの気道構造をAIが認識します。この技術により、初心者でも正確かつ迅速に気管挿管を行えるようになります。
・ヘルメット型フレームを活用した頭部固定台座:患者の頭部を固定し、気道を一直線に確保するための台座を開発。これにより、挿管時の効率性と安全性が大幅に向上します。
・ロボット技術による自動気管挿管システム:AIが認識した喉頭蓋をロボットが正確に通過し、声帯に設定されたターゲットマークに向けて気管チューブを挿入します。このシステムにより、人為的なミスを削減し、迅速かつ安全な挿管が可能となります。
想定される用途
・救急現場での気管挿管
救急医療現場において、医師や救急救命士が使用することで、気道確保の迅速性と安全性を高めることができます
・医療施設での気管挿管
病院や手術室などで全身麻酔の際に使用可能であり、医療スタッフの負担を軽減することが期待されます
・心肺蘇生時の気管挿管
AED(自動体外式除細動器)と同様に、心肺蘇生中に迅速な気管挿管をサポートするデバイスとして機能します
関連情報
・サンプルあり
- 10:30~10:55
- デバイス・装置
2)イアホン型センサを用いた非侵襲的な嚥下機能定量評価機器の開発
関西医科大学 附属病院健康科学センター 理事長特命教授 木村 譲
新技術の概要
イアホン型LED赤外線センサにより嚥下動作の中で重要な軟口蓋の動きを、鼓膜の偏位測定から嚥下機能を評価する装置である。本機器により非侵襲的で簡便かつ定量的な嚥下機能評価が可能になり、高齢者等の嚥下障害(誤嚥)の早期発見、嚥下リハビリテーション等の介入効果判定等に多大な貢献が期待される。
従来技術・競合技術との比較
嚥下機能評価は、嚥下造影検査(VF)や嚥下内視鏡検査(VE)など、医師や技師、特殊な機器が必要であり、かつ放射線被爆や内視鏡による侵襲を伴う。また非侵襲的検査法は、検者の主観や嚥下音、評価機器の喉頭部等への装着など自然な嚥下動作での検査法は少ない。
新技術の特徴
・非侵襲的嚥下機能検査機器
・定量的嚥下機能評価
・咀嚼評価が同時に可能で、総合的な食動作評価が可能
想定される用途
・高齢者等の誤飲性肺炎の予防、予測
・嚥下訓練の嚥下機能回復の定量的評価
・咀嚼・嚥下の複合評価による食事指導
関連情報
・デモあり
- 11:00~11:25
- 医療・福祉
3)自己運動錯覚を用いたリハビリテーションシステム
東京都立大学 人間健康科学研究科 理学療法科学域 教授 金子 文成
新技術の概要
本発明は、脳卒中後の片麻痺患者等のように、自らの意図による運動が困難または不能となった患者の運動機能を修復させることを目的としたリハビリテーション治療の中で活用されるものである。治療対象となる身体部位を仮想身体に認知的に置換することで、自己の身体が運動しているような自己運動錯覚を誘起する。
従来技術・競合技術との比較
従来、脳波や表面筋電図などの生体信号をトリガーとして、身体部位の反復運動をさせるリハビリテーション治療が提案されている。 本発明を用いることで、自らの意図で運動を発現できない患者に対しても自己運動錯覚を誘起させ、高いリハビリテーション効果を得ることができる。
新技術の特徴
・治療対象となる身体部位を仮想身体に認知的に置換し、仮想身体の運動を観察することで運動感覚を知覚する自己運動錯覚を誘起する
・自己運動錯覚に電気刺激などの体性感覚フィードバックを付与することで、生理学的効果を得る
・使用方法には、仮想身体を他動的に運動させて自己運動錯覚を誘起する方法と生体信号をトリガーとして仮想身体を制御する方法の2種類がある
想定される用途
・重度の脳卒中後患者など、自らの意図で運動を発現できない、あるいは困難な患者に対するリハビリテーション治療
・わずかに随意的な運動可能な患者が、仮想身体を自らの意図で制御し、随意的な運動制御機能を高める治療など、患者の身体機能修復の程度に合わせたリハビリテーション治療
・自己運動錯覚に加え、ロボティクスデバイスや脳刺激手段を併用することによる相乗効果を目指したリハビリテーション治療
- 11:30~11:55
- 医療・福祉
4)睡眠中の音刺激による心的外傷後ストレス障害(PTSD)の新規治療法の開発
筑波大学 国際統合睡眠医科学研究機構 医学医療系 准教授 坂口 昌徳
新技術の概要
PTSD患者の睡眠中の脳波から自動で徐波睡眠をリアルタイムで検知し、トラウマを想起させる刺激音を聴かせる。これによってPTSDの患者がトラウマを想起する際に生じる恐怖反応が効率良く減弱し、PTSDの根治に導く。
刺激音を、各PTSD患者にカスタマイズして生成AIソフトウエアにより自動生成するプログラム医療機器も含む。
従来技術・競合技術との比較
従来PTSD根治療法は認知行動療法(トラウマ焦点化療法)だが、精神的負荷が高く、治療期間が長く、高い専門性の治療者が必要等の理由で、治療脱落率20%以上、患者受診率3%以下と問題が多い。
類似競合技術(DREEM社とGeneve大で開発中)は、睡眠中に聴かせる音がトラウマ焦点化治療中の環境音であり、その効果は本開発のトラウマ想起音より低いと思われる。
新技術の特徴
・トラウマ記憶に直接アプローチするので、高い効果を期待できる
・家庭での睡眠中に手軽に治療できるので、ドロップアウト率の低減、受診率の向上を期待できる
・刺激音の作成を専門治療者に頼らず生成AIにて作成できるので、PTSD治療の医療者不足の問題を解決できる
想定される用途
・PTSD治療
- 13:00~13:25
- 創薬
5)がんワクチン及びCAR/TCR-T細胞療法をあらゆる患者に提供する
国立がん研究センター 先端医療開発センター 免疫療法開発分野 分野長 中面 哲也
新技術の概要
様々な固形がんに高頻度に発現し、かつ、正常組織にはほとんど発現しない10種類の共通がん抗原(うち5種類は膜蛋白抗原)を標的にしたがんワクチン及びCAR/TCR-T細胞療法は、多くの固形がんをカバーでき、患者個々のがん細胞の不均一性も克服できる。
従来技術・競合技術との比較
がんワクチンは未だに承認されたものがなく、CAR/TCR-T細胞療法は、固形がんに対しては有効性を示すことができていない上に、高額、煩雑、安全性への懸念など、多くの問題は未解決である。従来のものが標的とする抗原や患者個別のネオアンチゲンでは、多くの固形がんをカバーできないし、患者個々のがん細胞の不均一性も克服できない。
新技術の特徴
・10種類の共通がん抗原の複数を混ぜたがんmRNAワクチン
・5種類の膜蛋白共通がん抗原を複数標的としたカクテルCAR-T細胞治療
・10種類の共通がん抗原を複数標的としたカクテルTCR-T細胞治療
想定される用途
・がんの再発の予防
・がんの治療
・がんの個別化治療
- 13:30~13:55
- 医療・福祉
6)ヒト iPS 細胞由来管腔状腸管オルガノイドの開発
東京科学大学 大学院医歯学総合研究科 消化器病態学分野 講師 水谷 知裕
新技術の概要
iPS細胞から別個に誘導した内胚葉細胞、中胚葉細胞を浮遊状態で融合することで、複合型腸オルガノイド(as-HIO)を作成し、これを特殊なプレート上で融合させることで単一管腔を有する腸管オルガノイド(a-HIT)を作り出すことに成功した。
従来技術・競合技術との比較
従来の腸オルガノイドは、腸組織の細胞特性を有するものの嚢状の形態を取り、腸組織の最大の特徴である管腔構造を持たなかった。本技術では、腸オルガノイドを浮遊状態で融合させることで、今までにない管腔構造を有する腸管組織を作出することができた。
新技術の特徴
・iPS細胞由来内胚葉および中胚葉細胞の融合による複合腸オルガノイド構築の安定性
・複合腸オルガノイドの融合による管腔状構造を有する腸管オルガノイドの構築の新規性
・in vitroおよびin vivoにおけるミニチュアのヒト腸管組織としての利用可能性
想定される用途
・管腔構造を有するヒト腸管組織の特性を活かしたin vitro drug screening系として
・免疫不全マウスへの移植によるin vivoでのヒト腸管組織実験系として
・疾患特異的iPS細胞を用いた疾患表現系を持つヒト腸管組織実験系として
- 14:00~14:25
- 医療・福祉
7)エピゲノム情報を活用した脂質異常症の予防・治療方針の決定法
国立国際医療研究センター研究所 メディカルゲノムセンター センター長 加藤 規弘
新技術の概要
本発明は、血中脂質濃度の検出方法、脂質異常症の発症リスク検出方法、及び脂質異常症の予防又は治療方針の決定方法に関し、より具体的には、脂質形質に関連する遺伝的リスクスコアとメチル化リスクスコアとに基づき、脂質異常症の発症リスクを検出し、または脂質異常症についての予防又は治療の方針を決定する方法に関する。
従来技術・競合技術との比較
個人の血中脂質レベルは、環境と遺伝の影響を受けるが、これらの組み合わせを定量的に示す方法は確立されていない。すなわち、不健康な生活習慣が血中脂質レベルに与える影響を定量的に評価することは難しく、また脂質異常症の補助的診断ツールとしての遺伝情報は一部の例外を除き研究の域を出ていない。
新技術の特徴
・遺伝要因と環境要因の組み合わせによって生じる脂質異常症(などの生活習慣病)に関し、各要因の影響を数値的に視覚化する
・遺伝的リスクスコアは生涯に一度測定すればよく、生活習慣是正や薬物治療の影響を受けるメチル化リスクスコアは適宜測定する
・2つのリスクスコアとも血液を試料として用いるため、簡便に繰り返し測定できる
想定される用途
・人間ドック等を契機にフォローされることとなった脂質異常症の要治療者に関して、生活習慣改善の遵守状況を数値的に視覚化できる
・生活習慣改善のみによる目標値到達の可否の推測に役立つ
・特定の治療薬の効果判定に際し、処方の至適化に役立つ
- 14:30~14:55
- 創薬
8)B型肝炎患者への経鼻投与治療ワクチン、ならびに次世代予防ワクチン
愛媛大学 大学院医学系研究科 消化器・内分泌・代謝内科学 教授 日浅 陽一
新技術の概要
B型肝炎ウイルス(HBV)に対する治療及び予防ワクチン抗原として、HBs-Lh抗原を開発した。同抗原は同一脂質膜上にHBV genotype CとDのHBs-L抗原が存在し、HBVで主要な遺伝子型であるgenotype A, B, C, Dの全ての遺伝子型に対して中和抗体を誘導できる。さらに、免疫原性の高いHBV抗原であるHBc抗原と組み合わせて投与することで、より強力な抗ウイルス活性を得ることができる。さらに経鼻投与デバイスとcarboxy vinyl polimer (CVP)と組み合わせることで、経鼻投与が可能となり、予防ワクチンとしても期待される。
従来技術・競合技術との比較
既存の予防ワクチンはHBs抗原のS領域のみを持つHBs-S抗原を使用している。HBVの細胞内侵入に関係するpre-S1領域を持たず、抗ウイルス活性ならびに感染予防抗原としての効果がHBs-L抗原に比べて弱い。さらに、HBs-Lh抗原は経鼻投与で抗ウイルス効果が得られ、皮下注射に比べて、侵襲・苦痛が少なく投与できるとともに、粘膜免疫を介してIgA型の中和抗体を誘導できることで、感染予防に有利である。
新技術の特徴
・同一脂質膜状に多抗原を持つ多抗原搭載粒子の作製法とその有用性
・ウイルスコア抗原を用いることによる抗ウイルス活性の増強効果
・経鼻投与デバイスならびにCVPを含有する基剤を用いた粘膜免疫誘導可能な経鼻投与の方法と経鼻ワクチン製剤の開発
想定される用途
・複数のgenotypeを持つウイルスに対する治療及び予防ワクチンの開発
・経鼻投与による治療ワクチン製剤の開発
・経鼻投与による予防ワクチン製剤の開発
関連情報
・デモあり
- 15:00~15:25
- 医療・福祉
9)呼気によるNASHスクリーニング技術
京都大学 大学院医学研究科附属 がん免疫総合研究センター 特定助教 松岡 悠太
新技術の概要
非アルコール性脂肪肝炎(NASH)は、肝臓に脂肪が蓄積し炎症を起こしている状態で、放置すると20%を超える高頻度で肝硬変や肝癌に進行する重要な病態である。NASHの病態進行には、「酸化脂質依存的細胞死:フェロトーシス」が密接に関与する。我々は、フェロトーシスを起こした肝細胞が放出する「揮発性の酸化脂質」を、呼気から検出する技術を確立し、呼気からNASHを鑑別できる可能性を示した。
従来技術・競合技術との比較
我々の呼気による特定の酸化脂質は、脂肪肝の中で炎症が盛んに惹起されている状態を評価していると考えられるため、既存のliver stiffness評価よりも早期の段階を検出可能である。また、テクニカルな誤差が少なく(エコーのように充てる位置の違いでの数値の違いがでることはない)、医療者(医師や専門の修練をうけた技師など)が必要ない点も、重要な要素である。
新技術の特徴
・無侵襲に、NASHのステージの鑑別が可能
・テクニカルな誤差が少ない
・医療者(医師や専門の修練をうけた技師など)が必要ない
想定される用途
・脂肪肝患者に呼気ガス検査をし、肝生検が必要な患者をスクリーニング
・肝生検を代替し、呼気ガス検査のみでNASH診断を行う
関連情報
・サンプルあり
・デモあり
- 15:30~15:55
- 創薬
10)ダイレクトリプログラミング技術を用いた創薬開発
順天堂大学 難病の診断と治療研究センター 特任教授 松本 征仁
新技術の概要
ダイレクトリプログラミング(細胞の運命を変換する)技術は、従来不可能であった治療を可能にする新たな創薬シーズである。例えば、治療介入なしで致死に至る遺伝子・タンパク質を欠損する難治性疾患である1型糖尿病患者に機能性を付与したインスリン産生細胞を患者由来の体細胞から作出し、自家移植によって患者体内へ補充することが可能となる。
従来技術・競合技術との比較
標準治療であるインスリン注射は過剰な摂取により、低血糖による昏睡が臨床的な課題となる。一方の膵島移植は、ドナー不足、免疫拒絶、大量の免疫抑制剤による副作用などの課題があるため、成人患者に限定的である。本技術はこれらの課題を克服することが可能であるため、当該分野のブレークスルーとなる。
新技術の特徴
・分化転換
・細胞運命変換
・幹細胞作製プロセスを必要としない
想定される用途
・細胞補充
・遺伝子治療
・代謝転換
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