熊本大学 新技術説明会【オンライン開催】
日時:2024年08月06日(火) 13:30~15:55
会場:オンライン開催
参加費:無料
主催:科学技術振興機構、熊本大学
発表内容一覧
発表内容詳細
- 13:30~13:55
- 創薬
1)安定で水溶性の高いクリック反応素子AOCNの開発と応用
発表資料熊本大学 大学院先端科学研究部 基礎科学部門 教授 井川 和宣
新技術の概要
本新技術は生体直交性クリック反応に関するものである。生体直交性クリック反応はBertozzi博士によって開発された手法であり、血液中や細胞中などでも選択的に進行して、2つの分子を連結することができる。本業績によりBertozzi博士は2022年ノーベル化学賞を受賞した。今回、我々は優れた生体直交性クリック反応素子「AOCN」を開発した。
従来技術・競合技術との比較
近年、生体直交性クリック反応は生化学分野で応用が進められているが、クリック反応素子として用いられるシクロオクチン誘導体の安定性が低く、生体内のグルタチオンやシステイン残基と反応してしまうことが問題とされている。また、それらの多くは親水性が低く、取り扱いに難があった。これに対して我々が開発したAOCNは安定であり、親水性が高く、アジドとの高いクリック反応性を示す。
新技術の特徴
・混ぜるだけで二つの分子を連結することができる
・反応に触媒などの添加剤が不要である
・生体環境でも分子連結反応が進行する
想定される用途
・医薬品の標識化
・タンパク質の標識化
・抗体と医薬品の化学連結
関連情報
・サンプルあり
- 14:00~14:25
- アグリ・バイオ
2)植物感染性線虫の抵抗性品種の開発
発表資料熊本大学 大学院先端科学研究部 基礎科学部門 教授 澤 進一郎
新技術の概要
植物感染性線虫の農業被害は数十兆円とも言われている。今回、イネにおけるサツマイモネコブセンチュウ抵抗性遺伝子を同定した。罹病性イネ品種日本晴に形質転換すると、イネに線虫抵抗性を付与することができる。
従来技術・競合技術との比較
線虫対策としての農薬などに比べるとSDGsなアグロ技術である。
双子葉植物ではトマトから線虫抵抗性遺伝子 (Mi-1)がとられており、様々な品種に広く利用されている。一方、単子葉植物では世界で初めての例となる。
新技術の特徴
・線虫抵抗性遺伝子
・品種改良
・単子葉植物の収量増
想定される用途
・罹病性のイネを抵抗性イネに形質転換する
・他の単子葉作物を線虫抵抗性にする
関連情報
・サンプルあり
- 14:30~14:55
- 医療・福祉
熊本大学 大学院先端科学研究部 医工学部門 教授 小林 牧子
新技術の概要
ウェアラブルデバイスには軽量で快適な装着感、高精度なセンサーが求められている。本技術はフレキシブルセンサーを利用することで、①装着の不快感を最大限低減することができ、②優れた密着性により外部雑音を排除したクリアな音を収集することができるため、心拍音や呼吸音の正確な測定が可能となる。
従来技術・競合技術との比較
類似の技術としては、咽頭マイクなどがあるが、それらはフレキシブル性がなく、外部雑音を集音してしまう。また、従来の圧電センサーでは密着性が劣るため位置ずれが起きやすく正確な測定が困難であった。
新技術の特徴
・ウェアラブル薄型センサー
・ノイズキャンセル性能が高い
・異常音検知が可能
想定される用途
・ホームセルフケア
・健康管理用デバイス機器・フィットネスデバイス
・医療用のモニタリング補助デバイス
関連情報
・サンプルあり
- 15:00~15:25
- 製造技術
4)単結晶ダイヤモンドの高能率・高精度加工方法
発表資料熊本大学 大学院先端科学研究部 産業基盤部門 准教授 久保田 章亀
新技術の概要
ダイヤモンドは、物質中で最高硬度を持ち、化学的に安定なため、高能率に加工することが難しい。本発明では、低コスト・低環境負荷で、なおかつ簡便に単結晶ダイヤモンドを高効率かつ無歪加工を実現することができる。
従来技術・競合技術との比較
単結晶ダイヤモンドを高効率かつ高精度に加工する方法として、紫外線、プラズマ、熱などの外部から高エネルギーを援用した加工方法が提案・報告されている。本発明では、外部から高エネルギーを付与することなく、高効率なダイヤモンドの加工を実現することができる。
新技術の特徴
・ドライプロセス
・低コスト・低環境負荷
・高効率加工
想定される用途
・パワー半導体デバイス用ダイヤモンド基板の超精密平坦化加工
・ダイヤモンド切削工具の刃先成形
・ダイヤモンド放熱基板
- 15:30~15:55
- 医療・福祉
熊本大学 大学院先端科学研究部 医工学部門 教授 伊賀崎 伴彦
新技術の概要
圧電センサを椅子の座面に配置することで、座るだけで簡便かつ容易に、個人間差や個人内差によらず高い品質で心弾動図を計測できる機器を開発した。また、機械学習によらないルールベースモデルにより、それから高い精度で心拍間隔情報を抽出する手法を確立した。
従来技術・競合技術との比較
本技術は心拍間隔の取得だけでなく、心弾動図の信号品質評価も可能である。先行特許は単チャンネル信号処理を前提としているが、本技術は2チャンネルで高精度化を目指している。先行特許も雑音下でも高精度な心拍間隔取得が可能としているが、本技術は2,688もの追加データでその裏付けを取っている。
新技術の特徴
・簡便かつ高品質な心弾動図計測:座るだけで、個人差に影響されず高品質な心弾動図を計測できる
・機械学習によらない高精度な心拍間隔情報抽出:ルールベースモデルを使用して心拍間隔情報を高精度で抽出できるため、自律神経活動の推定精度向上に寄与できる
・2チャンネル信号処理による高精度化:2チャンネル信号処理を採用し、信号品質評価を含めた高精度化により、信頼性の高いデータ取得が可能となる
想定される用途
・技能労務職員の業務前体調点検
・家庭での日常的な健康管理
・医療機関での心拍計測補助(心電図と併用まはた心電図の代用)
お問い合わせ
連携・ライセンスについて
熊本大学 熊本創生推進機構 イノベーション推進部門
TEL:096-342-3145
Mail:liaison jimu.kumamoto-u.ac.jp
URL:https://kico.kumamoto-u.ac.jp/contact/
新技術説明会について
〒102-0076 東京都千代田区五番町7 K’s五番町
TEL:03-5214-7519
Mail:scettjst.go.jp