九州大学 新技術説明会【オンライン開催】
日時:2024年08月29日(木) 09:55~14:25
会場:オンライン開催
参加費:無料
主催:科学技術振興機構、九州大学、九大OIP株式会社
発表内容一覧
発表内容詳細
- 09:55~10:00
開会挨拶
九州大学 副理事/教授 大西 晋嗣
- 10:00~10:25
- 医療・福祉
1)軟骨再生用ハイドロゲル
九州大学 大学院歯学研究院 生体材料学分野 准教授 林 幸壱朗
新技術の概要
軟骨は自然には再生しない組織であり、軟骨損傷患者は極めて多い。特に、変形性膝関節症の患者は国内だけで3000万人にも上る。世界的な高齢化により、今後、患者は急増すると見込まれる。本技術は、軟骨と類似する物理化学的・機械的性質を有するハイドロゲルを開発するものであり、動物実験で軟骨再生を確認している。
従来技術・競合技術との比較
主な変形性膝関節症の治療は、人工膝関節置換術と高位脛骨骨切術である。しかし、人工膝関節置換術を行うと膝の可動域が狭くなり、生活に制限が生じる。高位脛骨骨切術は重度症状には適用できず、軟骨を再生する根本治療ではない。再生医療は軟骨を再生できるがコストが極めて高い。本技術は安価で軟骨を再生する根本治療である。
新技術の特徴
・軟骨と同じ強度
・軟骨と類似の組成
・軟骨と同じ含水率
想定される用途
・軟骨再生
・神経再生
・軟組織再生
関連情報
展示品あり
- 10:30~10:55
- 創薬
2)植物由来マイクロRNAを基盤とする医薬・食品
九州大学 大学院農学研究院 生命機能科学部門 食料化学工学専攻 主幹教授 立花 宏文
新技術の概要
植物由来マイクロRNAを基盤とするパーキンソン病治療薬並びにパーキンソン病予防食品を提供する技術。脳内においてI型インターフェロン応答を誘導することでドーパミン産生細胞保護効果を発揮し、パーキンソン病の発症を強力に抑制。本マイクロRNAを含む食品の経口摂取はパーキンソン病の発症を予防。
従来技術・競合技術との比較
現行治療法は、神経伝達物質の一時的な維持を可能とする対症療法に限定されており、進行を抑制できないことが問題となっている。一方、本発明の植物由来マイクロRNAは神経細胞内オートファジーを活性化することで神経細胞死を予防することで治療効果を示す。
新技術の特徴
・マイクロRNA
・新たなメカニズムの基づいたパーキンソン病治療薬
・植物由来成分
想定される用途
・パーキンソン病治療薬
・パーキンソン病予防食品
・脳機能改善食品
- 11:00~11:25
- 材料
3)非ベンゼン系かつ非金属系UV-A吸収剤の開発
九州大学 先導物質化学研究所 生命有機化学分野 教授 新藤 充
新技術の概要
紫外線による皮膚障害防止のために、紫外線の90%を占め真皮まで透過するUV-Aの吸収剤は、皮膚刺激が懸念されるベンゼン系化合物が数種類知られているにすぎない。我々は天然物のビナミジニウム構造に着目し、UV-Aを特異的にかつ強力に吸収する非ベンゼン系・非金属系有機UV-A吸収剤を開発した。
従来技術・競合技術との比較
UV-B吸収剤は多数上市されている。しかしUV-A吸収剤はアボベンゾンなど数種類の芳香族(ベンゼン)系化合物が知られているにすぎず、UV-Bも吸収することから皮膚刺激などの副作用も懸念されている。非ベンゼン系特異的UV-A吸収剤はMAAなど僅かしか報告されておらず、吸収特性も不十分である。
新技術の特徴
・最大吸収波長が360 nm前後でUV-Aを特異的に吸収する非芳香族系有機小分子のため皮膚刺激が少なく着色もない(無色)
・モル吸光係数が4万以上と大きく吸収効率が(従来品より)高い
・液性に左右されない安定で合成容易なビナミジニウム塩を基本骨格として、誘導体化もできる
想定される用途
・UV-Aによる肌黒・しみ・しわ・たるみ抑制を特徴とする日焼け止め
・樹脂の劣化防止剤
・UV-Aカットガラスの成分
関連情報
サンプルあり
- 11:30~11:55
- 創薬
4)安定性と組織浸透性に優れたナノゲルエマルション型薬物送達システム
九州大学 大学院工学研究院 化学工学部門 教授 井嶋 博之
新技術の概要
ナノゲルエマルション構造による安定性と組織浸透性に優れた薬物送達システムである。点眼による内包薬物の網膜への送達をはじめとして経皮や静脈内投与による送達が可能である。また、低分子からバイオ医薬品等の高分子まで内包と徐放が可能であり、薬物の極性に応じた対応も可能である。
従来技術・競合技術との比較
脂質ナノ粒子の薬物内包率、組織浸透性および生体適合性の高さを維持し、従来技術の課題であった安定性と薬物徐放性を実現した薬物送達システムである。例えば、硝子体内注射による薬物送達が従来法であるが、本技術では点眼による網膜への薬物送達が可能である。また、抗がん剤やバイオ医薬品を経皮や静脈内投与でも送達できる。
新技術の特徴
・安定性と組織浸透性に優れた薬物送達システム(薬物キャリア)
・バイオ医薬品の安定化と徐放性を実現
・低分子~高分子および非極性分子~極性分子まで内包送達可能
想定される用途
・各種薬物送達システム(点眼、経皮、経静脈、経口投与)
・新規細胞培養技術や再生医療への展開
- 13:00~13:25
- 医療・福祉
5)Keyhole Brain Surgeryロボット・システムのためのディスポーザブルロボット鉗子の開発
九州大学 大学院工学研究院 機械工学部門 教授 荒田 純平
新技術の概要
申請者らは柔軟に機構フレームを変形させる新機構により、手術ロボットツールを極めて小型化できることを過去に示した。本課題に関する特筆すべき新規性/革新性は、その手術ロボット機構にある。具体的には、高分子材料によるディスポーザブル手術ロボットへの発展により、手術ロボットを従来では不可能であった小型化を果たしながらも、低コストで実現する。
従来技術・競合技術との比較
従来の手術ロボット鉗子(Endowrist)は、ワイヤで駆動されており、複雑な構成であるために価格が高く、10回の使用で交換が必要であった。
新技術の特徴
・材質の柔軟な変形により動力を伝達する独自機構の提案
・3Dプリンタ等で安価に製作できる
・小型であるため、脳神経外科や小児外科などいままでロボットが使えなかった領域へも適用できる可能性がある
想定される用途
・手術ロボット
・そのほか、理化学実験などマイクロマニピュレーションを要する分野
- 13:30~13:55
- 材料
6)体温で発電する温度差発電シート
九州大学 大学院工学研究院 応用化学部門 教授 星野 友
新技術の概要
体温付近で体積相転移を起こすハイドロゲルナノ粒子(NPs)を用いて、化学反応を介して熱から電力に変換する温度差電池を開発した。
従来技術・競合技術との比較
体温-外気温のような小さな温度差を駆動力に発電を行う温度差電池の開発は、Internet of Things(IoT)やゼロ炭素社会の実現にとって非常に重要であるが、その変換効率および起電力の低さに大きな課題がある。我々のグループが開発した本電池は、-9.5mV/Kという世界最高レベルのゼーベック係数を達成した。この温度差電池は高フレキシブル性・低毒性・低コスト・高スケーラビリティといった特徴を併せ持っており、実用化しやすい技術シーズであるといえる。
新技術の特徴
・世界最高のゼーベック係数
・安全安価な素材
・フレキシブルな素材
想定される用途
・電源フリーなウエアラブル端末
・無給電アクティブRFタグ
・電源フリーセンサ
- 14:00~14:25
- デバイス・装置
7)印刷回路を用いたフレキシブル磁気センサー
九州大学 大学院システム情報科学研究院 情報エレクトロニクス部門 助教 黒川 雄一郎
新技術の概要
導電性パターンの印刷技術を用いてフレキシブルなシート上に作製したブリッジ回路上に、同じくフレキシブルなシート上に作製した巨大磁気抵抗素子を貼り付けることにより、高感度な磁気センシングブリッジ回路を作製する手法を提案した。
従来技術・競合技術との比較
従来手法では一つのシリコン基板上にパターニングを施し、回路と巨大磁気抵抗素子を一括で作製していたため、回路と磁気抵抗素子に自由度が少なかった。この技術では回路と素子を別々に作製し、後で組み合わせることで、より自由度の高い素子が作製可能である。
新技術の特徴
・印刷技術で自由な回路を作製可能
・磁気抵抗素子を後付けすることで、センシング可能な磁場方向が拡大
・巨大磁気抵抗素子で高感度な磁場読み取り
想定される用途
・回転角センサー
・電子コンパス
・磁性体検出センサー
関連情報
サンプルあり
お問い合わせ
連携・ライセンスについて
九州大学 学術研究・産学官連携本部 知財・ベンチャー創出グループ
TEL:092-400-0494
Mail:transferairimaq.kyushu-u.ac.jp
URL:https://airimaq.kyushu-u.ac.jp/
九大OIP株式会社 サイエンスドリブンチーム
TEL:092-400-0494
Mail:transferairimaq.kyushu-u.ac.jp
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