岡山大学 新技術説明会【オンライン開催】
日時:2024年07月23日(火) 09:55~13:55
会場:オンライン開催
参加費:無料
主催:科学技術振興機構、岡山大学
発表内容一覧
発表内容詳細
- 09:55~10:00
開会挨拶
岡山大学 副理事 窪木 拓男
- 10:00~10:25
- 製造技術
1)ニトロソアミン類の除去を目指して
岡山大学 学術研究院環境生命自然科学学域(工)工 応用化学専攻 助教 山崎 賢
新技術の概要
近年、国内外において医薬品から発がん性物質であるニトロソアミン類が検出され、一部の製品が自主回収されている。しかし、混入した微量のニトロソアミン類の除去は非常に困難であった。今回、室温で可視光照射という穏和な条件下で、医薬品中に混入したニトロソアミン類のみを選択的に分解する手法を開発した。
従来技術・競合技術との比較
従来法では、ニトロソアミン類の分解には強酸や高温、紫外線照射などの過激な条件が必要であり、医薬品原薬のような複雑な構造を持つ化合物も同時に分解されてしまう。我々の技術を用いると、様々な反応性の高い化合物存在下でも、選択的にニトロソアミン類のみを分解できる。
新技術の特徴
・操作が簡単
・選択性が高く、反応性の高い化合物が存在していても使用可能
・水中でも反応できる
想定される用途
・化合物製造プロセスへの応用
・医薬品の品質管理
・水質向上
- 10:30~10:55
- 環境
2)厄介な雑草等の繁茂を長期的に防ぐ新たな防草工法
岡山大学 学術研究院環境生命自然科学学域(農)
応用植物科学コース・作物生産技術学ユニット 准教授 中嶋 佳貴
新技術の概要
防草のための被覆資材として、地表面から所定の空間を空けて建築資材のリブラス(ラス網)を設置し、適度に粘性を高めたモルタルを塗る新たな防草工法である。強度が高いため亀裂が生じにくく、周囲の構造物にも容易に接着させることができる。雑草の生育に必要な光を遮断し、自体乾燥しやすいため長期的に雑草の繁茂を防ぐことができる工法である。
従来技術・競合技術との比較
地表面に接地して被覆資材で覆う防草手法は、防草シートやモルタル吹付が一般的である。しかし、防草シートは破れやすく、モルタルは温度変化によって生じる亀裂箇所から雑草が発生しやすくなる。被覆資材上には長時間が経過すると砂や有機物が堆積し、自体地表面に接しているため水分が保たれるため雑草が繁茂してしまう。
新技術の特徴
・地表面と被覆資材の間に所定の空間を設けることで、太陽光を遮って雑草等の光合成を抑制して生長を防ぐ
・変形が容易なリブラスを被覆資材の芯とすることで、凹凸のある地表面やフェンスや壁などの構造物に接する場所でもフレキシブルに施工でき、リブラス上には粘性のモルタルを塗るため被覆資材に亀裂が生じにくい
・被覆資材が所定の距離を隔てて地表面から離れていることで降雨後も速やかに乾燥するため、被覆資材の表面に飛来した雑草種子の芽生えからの繁茂を防ぐ
想定される用途
・民家、墓地の周辺や荒れ地など比較的小規模な場所での施工
・つる性の雑草等が絡まって繁茂するフェンスや電柱などに接着させて施工
・斜面などの法面でも地盤を保護しつつ施工が可能
関連情報
・サンプルあり
・デモあり
・展示品あり
- 11:00~11:25
- 製造技術
3)汎用噴霧乾燥機による食べられるナノファイバーの製造
岡山大学 学術研究院環境生命自然科学学域(工)工
工学系応用化学講座バイオプロセス工学分野 教授 今村 維克
新技術の概要
市販の一般的な噴霧乾燥装置を用いて、香料などの機能性成分を含有した可食性高分子のナノファイバーを製造する技術を開発した。噴霧乾燥条件も極一般的なものであり、ナノファイバーの収率は通常の噴霧乾燥と同等以上に高い。
従来技術・競合技術との比較
ナノファイバーは電界紡糸法や溶液ブロー紡糸法によって調製が可能であるが、特別な設備が必要になる。噴霧乾燥機を用いてナノファイバーを構築する技術も報告されているが、特定の溶媒(水)および高分子(デキストリン)に限定されている。
新技術の特徴
・汎用の噴霧乾燥機を用いて、かつ極一般的な操作条件でナノファイバーが製造できる
・原料溶液の特性(表面張力と粘度)により粒子状の乾燥物も製造できるため、粒子とナノファイバーの混合材料が製造できる
・キャリア高分子を香料などの揮発性物質とともに噴霧乾燥する場合、揮発性物質は原料溶液を粉末・粒子状に乾燥するよりも、ナノファイバーとした方が乾燥後も高度に保持される
想定される用途
・ナノファイバー状香料添加物
・薬剤や色素など水への溶解性が乏しい物質をナノファイバーに包括させ、溶解性を向上させる
- 11:30~11:55
- 機械
4)100℃以下の温度帯で大変形する積層フィルム
岡山大学 学術研究院環境生命自然科学学域(工)工 知能機械システム学講座 助教 山口 大介
新技術の概要
表面にテクスチャを付与することで、フィルム積層体(バイレイヤアクチュエータ)の熱変形を100倍以上向上する技術について発表します。微小な温度変化から大きな機械的運動に変換できることから、熱駆動アクチュエータや温度センサ、廃熱を利用するエネルギーハーベスト技術に応用可能と期待しています。
従来技術・競合技術との比較
これまでの熱機械変換技術としては、バイメタルや形状記憶合金を用いた物が知られています。それらと比較して、①単純な積層フィルムで熱膨張係数の差のみでは実現できないほど大きな変形が得られる、②初期状態に復帰するためのバネ要素が不要、③レアメタルなど特殊な材料を使用しない、といった特徴があります。
新技術の特徴
・大きな変形量と感温性を有する極薄フィルム
・高い耐極限環境性、機械的強度を持った変位拡大機構
・フィルムの溶着時に工夫を施すだけで簡易に製造可能
想定される用途
・抵抗加熱を利用した小型駆動源(マイクロメール~センチメートルオーダのアクチュエータ)
・廃熱や地表の微小な温度のゆらぎを利用した発電機
・温度変化を敏感に感知する温度センサ
関連情報
・サンプルあり
- 13:00~13:25
- エネルギー
5)垂直軸風車の性能を飛躍的に高める加速翼の提案
岡山大学 学術研究院環境生命自然科学学域(工)環 都市環境創成学コース 教授 比江島 慎二
新技術の概要
垂直軸風車の外周に沿って1枚の固定翼(加速翼)を配置するだけで、風車の回転力が増大し、発電性能が3倍~10倍になることが判明した。加速翼は配置方法によって、回転力を強めるだけでなく、逆に弱めることも可能なため、強風時には回転を抑えて過回転を防ぐのにも利用できる。
従来技術・競合技術との比較
固定翼を垂直軸風車の周囲に配置することで発電性能を高める手法は従来から多くの手法が提案されてきた。しかし、従来の固定翼は、風車全体のサイズを大きくしてしまうため、結局、風車の受風面積を大きくするのと同等であり、必ずしも効率が飛躍的に向上するわけではなかった。また、従来の固定翼は、風車の回転力の増大だけを目的としているため、強風時には過回転を助長する恐れがあった。
新技術の特徴
・垂直軸風車の外周に沿って1枚の加速翼を配置するだけで回転力を増強
・垂直軸風車の全体サイズ(受風面積)を変えることなく発電効率が向上
・回転力の増大だけではなく抑制も可能なので強風時の過回転防止にも使える
想定される用途
・風力発電
・潮流発電
・海流発電
- 13:30~13:55
- デバイス・装置
6)耐放射線FPGA(Field Programmable Gate Array)
岡山大学 学術研究院環境生命自然科学学域(工)
情報・電気・数理データサイエンス系 情報工学コース 教授 渡邊 実
新技術の概要
3重回路実装と2相クロックを用いることでトータルドーズ耐性を劇的に高めたFPGA。この結果、既存の耐放射線FPGAや耐放射線VLSIのトータルドーズ耐性の約350倍を超えるトータルドーズ耐性を実現した。
従来技術・競合技術との比較
既存の耐放射線VLSIのトータルドーズ耐性は300krad~2Mradである。一方、提案した耐放射線FPGAでは730Mradのトータルドーズ耐性が実現できる。
新技術の特徴
・高いトータルドーズ耐性
・高いソフトエラー耐性
想定される用途
・原子炉のメンテナンスロボット、廃炉ロボット
・宇宙システム
・将来の核融合炉
関連情報
・展示品あり
お問い合わせ
連携・ライセンスについて
岡山大学 研究・イノベーション共創機構 知的財産本部
TEL:086-251-8417
Mail:chizai okayama-u.ac.jp
URL:https://www.orsd.okayama-u.ac.jp/
新技術説明会について
〒102-0076 東京都千代田区五番町7 K’s五番町
TEL:03-5214-7519
Mail:scettjst.go.jp