静岡大学 新技術説明会【対面開催】
日時:2024年11月28日(木) 13:30~15:55
会場:JST東京本部別館1Fホール(東京・市ケ谷)
参加費:無料
主催:科学技術振興機構、静岡大学
<お申込み方法・聴講方法>
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発表内容一覧
発表内容詳細
- 13:30~13:55
- デバイス・装置
1)シリコンプラズモニクスによるUV-C波長域高感度検出器の開発
静岡大学 工学部 電子物質科学科 教授 小野 篤史
新技術の概要
UV-C波長域において従来感度を上回るシリコン光検出器の開発に成功した。シリコン表面への凹凸形成という簡易な方法にて、表面プラズモン共鳴の電場増強効果により0.18A/W(波長266nm、バイアス7V)以上の感度を達成した。検出波長はUV-C帯域に対してチューニングできる。今後さらなる高感度化、低消費電力化が期待される。
従来技術・競合技術との比較
従来のシリコンフォトダイオードは、pn接合による表面不感層での紫外吸収や深紫外反射により十分な感度が得られず、UV-C波長感度は0.1A/W程度に留まっている。競合技術のワイドバンドギャップ半導体を用いた光導電型検出器では、検出感度は高いが、材料及び製造コストが高いため、民生用途には適さない。
新技術の特徴
・表面に微細な凹凸を形成するだけの簡便な作製方法
・UV-C波長域でのシリコンのプラズモニックな応答性を活用
・殺菌等に用いられるUV-C光を高感度かつ低コストで観察できる
想定される用途
・紫外線センサー
・イメージセンサー
- 14:00~14:25
- 材料
2)全固体電池に向けたLiイオン伝導性分子結晶電解質
静岡大学 理学部 化学科 准教授 守谷 誠
新技術の概要
全固体電池向け固体電解質としての展開を目的として、リチウムイオン、対アニオン、小分子の自己集積化と結晶化を用いてリチウムイオン伝導性を示す分子結晶を開発した。開発した分子結晶は、結晶構造中にイオン伝導パスを有し、室温近傍の温度域でパスを介した高いリチウムイオン伝導性を示す。
従来技術・競合技術との比較
有機物からなるため、無機系固体電解質には見られない適度な柔軟性を有する。また加熱条件下での融解を利用した、塗布による全固体電池の作製も可能である。
新技術の特徴
・Liイオン伝導
想定される用途
・全固体電池
・キャパシタ
関連情報
サンプルあり
- 14:30~14:55
- 材料
3)大気圧・非加熱環境下での窒化処理を含む表面改質処理方法
静岡大学 工学部 機械工学科 准教授 菊池 将一
新技術の概要
対象部材を設置した処理管内に窒素ガスを導入し、処理管外周に設置した電極で大気圧プラズマを発生させて、非加熱(室温を含み、従来技術よりもかなりの低温)環境下で、対象部材の表面を改質(窒化膜を形成)する。アンモニアガス、かつ高価な真空装置を使用せずに、安価で環境負荷が軽い表面改質技術を提供する。
従来技術・競合技術との比較
1)窒化処理にアンモニアガスを用いる場合には、アンモニアガスの制御が必要となる。
2)真空環境下での窒化処理には高価な真空装置が必要となる。
3)大気圧下でのプラズマジェットを使用した場合には、処理面積を広げる工夫が必要となる。
新技術の特徴
・室温・大気圧下での表面改質(窒化膜形成)が可能(真空装置不要)
・追加の材料を設置することで追加皮膜を形成することも可能
想定される用途
・従来窒化処理品への適用
・従来コーティング品への適用
・上記と関連した複雑形状かつ小型品への適用
関連情報
展示品あり
- 15:00~15:25
- 情報
4)生体情報を表出させずに秘密情報の再生を実現する筋電位EMSシステム
静岡大学 情報学部 情報科学科 教授 西垣 正勝
新技術の概要
生体情報を「データを変質させる媒体として利用する」というアプローチによる、新たな生体認証技術を提案する。具体的には、ユーザの前腕に装着した電機的筋肉刺激(EMS)デバイスから電機刺激を流し、ユーザの手指が不随意的に動くことで生じるキーボードの打鍵情報によって認証情報を生成する。
従来技術・競合技術との比較
生体認証には「生体情報は生涯不変である」ことに起因する問題点が存在する。FIDOを使用することで、ユーザ端末外に生体情報を登録する必要はなくなるが、認証時には生体情報を端末に提示する形になるため、生体情報の漏洩リスクが残る。生体情報を「乱数情報を認証情報に変換する関数」として利用する新技術は、生体情報が直接表出する機会を排除する。
新技術の特徴
・生体情報が表出しない生体認証を実現可能
・記憶負荷のない形で非常に長いパスワードを用いたユーザ認証を実現可能
・近未来の「EMSを用いた自動人体操作環境」との親和性
想定される用途
・生体認証の表出が許容されないシーンにおけるユーザ認証
・EMSを用いた自動人体操作環境における近未来型ユーザ認証
- 15:30~15:55
- 環境
5)自然材料への吸着力を低減したプラスチック吸着酵素の開発
静岡大学 農学部 応用生命科学科 准教授 中村 彰彦
新技術の概要
古細菌由来キチン吸着酵素PfCBD2の表面アミノ酸に変異を導入したライブラリから、ファージディスプレイ法を用いてPET吸着能のある変異体を選抜した。天然の基質であるキチン及びその類縁体であるセルロースに対する吸着能はほとんどなくなっていたが、PETへの吸着親和性は2.4倍に向上していた。さらに多量体化することで親和性を向上させ、目視では判別できないPET粒子を蛍光検出することができた。
従来技術・競合技術との比較
従来報告されているナイルレッドによる化学染色では、天然の脂質や疎水性有機物の染色が起こり、検出の前にプラスチックの分離が必要であった。またプラスチック吸着の報告されているタンパク質はキチン、セルロース吸着タンパク質であり、それらとの区別が難しかった。本技術では、共雑物の影響が少なくプラスチックを蛍光染色できる生分解性染料として使用できる。
新技術の特徴
・プラスチック(特にPET)に吸着し、セルロース、キチンには吸着しない。
・蛍光タンパク質を変更することで任意の波長での検出ができる。また蛍光タンパク質だけでなく任意の酵素をプラスチック表面に局在させることができる。
・水溶性及び生分解性であり、また水中で混ぜるだけでプラスチックに吸着する。有機溶媒や熱処理は必要ない。
想定される用途
・PET及びプラスチックの蛍光染色と検出
・PET表面の修飾
・PET分解の促進
関連情報
サンプルあり
お問い合わせ
連携・ライセンスについて
静岡大学 イノベーション社会連携推進機構
TEL:053-478-1702
Mail:sangakucdadb.shizuoka.ac.jp
URL:https://www.oisc.shizuoka.ac.jp/
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