東京都立大学 新技術説明会【オンライン開催】
日時:2024年11月26日(火) 13:30~15:55
会場:オンライン開催
参加費:無料
主催:科学技術振興機構、東京都立大学
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発表内容一覧
発表内容詳細
- 13:30~13:55
- 製造技術
1)脱泡剤はもう使わない!泡沫の脱泡技術の提案
東京都立大学 理学部 物理学科 教授 栗田 玲
新技術の概要
製造や輸送、使用過程において、泡沫が発生し、製品性能や効率の低下が頻繁に起こります。多くの場面では脱泡剤が使われていますが、その選択は経験的に行われていることも少なくありません。発明者は、泡沫の様々な特性について、物理学的な理解を目指して研究を進めています。今回の発表では、消泡剤を用いない簡易な脱泡装置についてご紹介します。
従来技術・競合技術との比較
従来の消泡には脱泡剤が用いられますが、脱泡剤の選択はトライアンドエラーで行われています。本技術は、泡沫の付着力と毛管現象を利用した方法のため、脱泡剤は不要で、かつ元の液体の量を減らさずに脱泡することが可能です。泡でなくてもエマルションでも可能です。
新技術の特徴
・物理学的な知見を基に、泡沫を脱泡できる
・消泡剤不要で、元の液体を減らさずに脱泡できる
・簡易な装置で、様々な装置に組み込みやすい
想定される用途
・粘性高い溶液の混合過程での脱泡
・飲食品などの製造工程、特に高価な液体を製造する際の脱泡
・原油回収の際のエマルション破壊
関連情報
・サンプルあり
- 14:00~14:25
- 材料
2)新しい熱電材料!「ハイエントロピー合金型化合物」
東京都立大学 理学部 物理学科 助教 山下 愛智
新技術の概要
本発明では、NaCl型結晶のサイトに特定の元素を合計6種類以上含めることで、熱電材料の熱電変換効率を向上させることに成功しました。具体的には、金属サイトに銀、鉛、ビスマス、スズ、アンチモン、インジウム、カドミウム、タリウムから3種類以上、カルコゲンサイトに硫黄、セレン、テルルを導入しています。
従来技術・競合技術との比較
各サイトに含める元素を変更すれば、同型結晶のp型・n型素子を作製することができるので、既存の素子と比べて電極と素子との接合安定性の最適化が容易となります。また、本発明の鍵である「ハイエントロピー合金型化合物」のコンセプトは、超伝導体や電池材料、触媒などの機能性材料にも展開できます。
新技術の特徴
・高い熱電変換効率を持つ、新しい合金型化合物を発明
・同じ結晶構造でp型n型熱電変換素子の作製が可能
・熱電材料以外の機能性材料(電池材料など)への展開も期待
想定される用途
・熱電発電モジュール
・ペルチェ冷却器
・超伝導体や電池材料、触媒などの機能性材料への応用
- 14:30~14:55
- 材料
3)表面抗酸化能を有し透過分子を無毒化する透析膜の提案
東京都立大学 都市環境学部 環境応用化学科 教授 朝山 章一郎
新技術の概要
本発明では、活性酸素の一つである過酸化水素(H2O2)を、無害な水と酸素に不均化する「カタラーゼ活性」を示す表面を持った、膜を透過する分子を無毒化する機能性膜を提供します。この機能性膜は、ポリビニルイミダゾール誘導体と金属ポルフィリン化合物とを結合させた複合体を、固体支持体に結合させたもので、この複合体は抗酸化の過程で消費されません。
従来技術・競合技術との比較
本技術は、前記複合体を個体支持体に結合させることで、触媒活性が維持されるところがポイントです。前記複合体自体もH2O2の不均化を触媒することは知られていましたが、水溶液中に放置すると前記複合体の一部が分解してしまい、触媒活性を維持できませんでした。
新技術の特徴
・過酸化水素を無害な水と酸素に不均化する、膜を透過する分子を変換する機能性膜を提供します
・この機能性膜表面は触媒として作用するため、抗酸化によって分解されることなく、長期間不均化を続けることが可能です
・帯電性を持つ材料であれば、膜以外の形状の材料の表面に、過酸化水素不均化の機能を付与することも可能です
想定される用途
・膜を透過する分子を変換する透析膜
・食品漂白後の過酸化水素分解促進材
・過酸化水素含有排水の処理
関連情報
・サンプルあり
- 15:00~15:25
- 材料
4)無加湿条件下でも高い伝導性 シルセスキオキサン系新規プロトン伝導体
東京都立大学 大学院都市環境科学研究科 環境応用化学域 教授 梶原 浩一
新技術の概要
今回新たに開発したシルセスキオキサン系プロトン伝導体は、シリカコア及び架橋部位に種々の親水性官能基を有するため、水を保持しやすく、無加湿条件下でも良好な伝導性を示します。このため、燃料電池の運転条件の緩和や加湿機構の簡素化が期待できます。
従来技術・競合技術との比較
現在、主要なプロトン伝導体は有機フッ素化合物(PFAS)を含んでいますが、低湿度では伝導性が低下するため加湿機構を必要とする課題があります。また、PFASは、環境負荷が高いとして、欧州等で規制の対象になることが懸念されています。本技術に係るプロトン伝導体は、PFASを含まず、無加湿条件下でも高い伝導度を示します。
新技術の特徴
・シリカコアや架橋部位に親水性官能基を有するプロトン伝導体
・無加湿条件下で良好な伝導性を示す
・有機フッ素化合物を含まず環境負荷が低い
想定される用途
・燃料電池
・水素センサ
・エレクトロクロミック素子
関連情報
・サンプルあり
- 15:30~15:55
- 製造技術
5)μmオーダーのAl表面微細レーザー加工技術
東京都立大学 システムデザイン学部 機械システム工学科 助教 井尻 政孝
新技術の概要
本発明では、レーザー加工による表面微細加工をアルミニウム合金に適用することに成功しました。酸化被膜除去後にレーザー照射及びエッチングを行うというシンプルな工程のみで実現可能で、アルミニウム合金への機能性付与への貢献が期待されます。
従来技術・競合技術との比較
従来、表面に存在する酸化被膜が阻害要因となり、アルミニウム合金に対してレーザー加工は不向きで、機械加工が主流となっていました。本発明により、レーザー加工が得意とするより微細な加工が可能となります。
新技術の特徴
・アルミニウム合金の表面微細加工
・レーザー加工特有の特殊形状の溝を形成可能
・摺動性・耐摩耗性・シール性・接着性向上等の機能性付与が可能
想定される用途
・アルミニウム合金の表面微細加工
・アルミニウム合金部材の機能性向上又は付与
・ロボット・自動車・航空機などの機械部品
お問い合わせ
連携・ライセンスについて
東京都立大学 産学公連携センター
TEL:042-677-2202
Mail:ragroup jmj.tmu.ac.jp
URL:https://research-miyacology.tmu.ac.jp/
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