東京農工大学 新技術説明会【オンライン開催】
日時:2024年07月25日(木) 13:30~15:55
会場:オンライン開催
参加費:無料
主催:科学技術振興機構、東京農工大学
発表内容一覧
発表内容詳細
- 13:30~13:55
- 計測
1)光のままの信号処理を活用するレーザ距離変位計測とファイバ触覚
発表資料東京農工大学 大学院工学研究院 先端電気電子部門 教授 田中 洋介
新技術の概要
信号をできるだけ光のまま処理する(i)レーザ距離変位計測と(ii)光ファイバの歪み分布や曲げがわかる『ファイバ触覚』について、関連技術と共に紹介します。この新技術により、高性能を維持しつつ、光信号受信装置側には複雑で高価な高周波電気回路が不要となり、システムがシンプルかつ安価に構築できるようになります。
従来技術・競合技術との比較
高性能な(i)レーザ距離変位計測や、(ii)光ファイバの歪み分布や曲げがわかる『光ファイバ触覚』には、高速に変化する光信号源を使うため、光信号受信・処理装置も高速信号への対応が必要です。従来技術は複雑で高価な高周波電気回路を使いましたが、新技術はシンプルな系で光信号を光のまま処理するため、高コストを占めた受信系が安価になります。
新技術の特徴
・距離計測や光ファイバ触覚が簡素な受信信号処理系で実現する
・計測に際し、複雑な調整を必要としない
・光通信用に量産されているデバイスで構築可能
想定される用途
・橋梁、トンネル、ビル、航空機のような大型構造物の状態監視
・距離変位計測は、ビームスキャンにより表面形状計測応用も可能
・光ファイバ触覚は、医療用カテーテル等へ埋め込んでの応用も可能
- 14:00~14:25
- 材料
2)蛍光色素フリーな近赤外光で光るゲル
発表資料東京農工大学 大学院工学研究院 先端物理工学部門 准教授 赤木 友紀
新技術の概要
本技術は、近赤外光で蛍光を発する生体適合性を有するゲルに関するものです。近赤外光で光る分子を作るためには、精密な分子設計と多段階の合成が必要であり、多大なコストや時間を要します。本技術は、簡便/低価格で作製可能な、ゲル自体が蛍光する新規蛍光分子としてのゲルになります。
従来技術・競合技術との比較
生体環境で使用可能な近赤外蛍光分子としては、インドシアニングリーン(ICG)が広く知られています。しかしながら、低分子化合物であるため留置する用途には不向き、もしくは、他の材料に固定して使用することが必要です。本技術は、ゲル自体が蛍光するため、低分子の蛍光色素を使用せず、また、中長期間の留置が可能となります。
新技術の特徴
・中長期間のイメージングが可能
・簡便で低コストな近赤外蛍光分子の作成
・ハイドロゲルであるため生体への安全性が高い
想定される用途
・生体イメージング材料
・蛍光マーキング材料
・物質検出媒体
関連情報
サンプルあり
- 14:30~14:55
- アグリ・バイオ
東京農工大学 大学院工学研究院 応用化学部門 教授 村岡 貴博
新技術の概要
新技術はタンパク質フォールディングを促進する化合物に関するものです。この化合物は、特にジスルフィド結合の形成を伴うタンパク質フォールディングに対して高い促進効果を有しています。そのため、大腸菌や細胞を用いてタンパク質を合成する際の収量向上につながる技術となります。
従来技術・競合技術との比較
室温保存が可能な安定性を有する点で、フォールディング酵素に比べて優位です。また、既存の化学促進剤に比べて少量で効果を示す高い活性を持っています。さらに、グルタチオンなどを用いる既存の方法に比べて、少ない添加量で、同等またはそれ以上の高い効率でタンパク質合成を可能にします。
新技術の特徴
・複数のジスルフィド結合を有するタンパク質に対するフォールディング促進
・メチオニンなど他の残基には反応せずシステインにのみ反応する選択性
・低分子化合物であるがゆえ、安定性が高く、目的タンパク質との分離が容易
想定される用途
・抗体やインスリンなどの医薬品タンパク質合成
・養殖などで使われる成長因子の合成
・過酸化水素に代わるタンパク質酸化剤
関連情報
サンプルあり
- 15:00~15:25
- 医療・福祉
東京農工大学 大学院工学研究院 先端機械システム部門 准教授 倉科 佑太
新技術の概要
本技術は、塗布では投与できない分子量の大きい高分子医薬品を、超音波照射することで経皮投与を可能とするものです。これにより、注射による薬剤投与から患者を解放いたします。具体的には、kHz帯とMHz帯の超音波を重畳することにより、キャビテーションと音響流の相乗効果を促し、従来技術と比較して大幅に薬剤投与効率を向上させることができます。
従来技術・競合技術との比較
経皮薬剤投与では低分子医薬品の投与が多い一方で、高分子医薬品投与の知見は少なく、超音波照射による高分子医薬品投与では、高出力による皮膚損傷が懸念されていました。それに対して本技術では、従来のkHz帯の超音波照射に加えて、MHz帯の超音波照射を重ねることで、真皮まで高分子医薬品を効率良く投与することが可能となります。
新技術の特徴
・ニードルレスで注射投与に用いられる薬剤が使用可能
・装置が小型でウェアラブル化に期待
・持続的に薬剤を投与可能
想定される用途
・点滴などの通院医療を在宅医療できるようにして負担を軽減
・発展途上国や野外など衛生管理の難しい場所での薬剤投与
・動物への薬剤投与の負担を軽減
- 15:30~15:55
- 環境
東京農工大学 大学院農学研究院 生物システム科学部門 助教 髙田 昌嗣
新技術の概要
本技術は、豊富な賦存量を有しながら十分に活用されていない難溶解性リグニンの機能化に向け、難溶解性リグニン(例えば硫酸リグニン)の溶媒への溶解性を改良するものです。具体的には、硫酸リグニンと添加物を所定の割合で混合し、ボールミルによるメカニカル処理することで、難溶解性リグニンを容易に有機溶媒に溶解することができる技術となります。
従来技術・競合技術との比較
触媒不要な簡易的手法であるボールミル機械処理を用いた本手法は、従来の化学処理による構造改変に比べ、安価かつ短時間での反応で、低環境負荷な手法です。本技術によって、多様な未利用リグニン資源のWet プロセスへの展開が拓かれるため、セキュリティプリント、微量物質センシング、外場(温度・圧力など)センシング、バイオイメージング、光波長変換材料といった、多岐に渡る分野への応用が期待されます。
新技術の特徴
・地球上で最も賦存量の多い天然芳香族高分子である未利用資源のリグニン溶解度が大幅に向上
・安価かつ短時間での反応で、低環境負荷な手法
・本研究法はアルカリリグニンを始めとした多種多様なリグニンにも適用が可能であり、未利用リグニン資源の有効活用のキーテクノロジーとなる
想定される用途
・リグニン利用のウェットプロセスへの展開(ロールtoロール、印刷技術、フォトリソグラフィ技術、インクジェット技術、スプレー技術など)
・セキュリティプリント、微量物質センシング、外場センシング、バイオイメージング、光波長変換材料など
・未利用木質資源の有効活用
関連情報
サンプルあり
お問い合わせ
連携・ライセンスについて
東京農工大学 先端産学連携研究推進センター
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Mail:suishinml.tuat.ac.jp
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