ライフイノベーション 新技術説明会【オンライン開催】
日時:2025年10月28日(火) 10:30~14:25
会場:オンライン
参加費:無料
主催:科学技術振興機構 、
静岡県立大学、名古屋市立大学、
横浜市立大学、岐阜薬科大学
発表内容一覧
発表内容詳細
- 10:30~10:55
- 創薬
1)DNAアプタマーによりバイオ医薬分析を汎用化・高性能化する
静岡県立大学 薬学部 薬学科 教授 轟木 堅一郎
新技術の概要
抗体医薬や抗体薬物複合体を高い親和性かつ特異的に認識する高親和性DNAアプタマーを開発した。これらアプタマーを用いることで大量にIgGが含まれる血中や、製造培地中から標的医薬のみを選択的に捕捉、分析することを可能とした。我々のアプタマーは、バイオ医薬の創薬、製造、臨床での様々な分析に活用可能である。
従来技術・競合技術との比較
抗抗体を用いるリガンド結合法と比べ、リガンドは化学合成により安価に大量生産でき、均質かつ化学的に安定である。また、配列さえわかれば世界中で同質のリガンドを入手でき、リガンドのロット間差や実施機関の違いによらない分析が実施可能となる。
新技術の特徴
・解離定数(KD)がnMレベルかつ他抗体医薬や血中IgGに結合親和性を示さない特異的なDNAアプタマー
・バイオ分析、プロセス分析、臨床分析など様々な分析フォーマットに適用可能
・配列の提供によりロット間差や実施機関差の少ない均質な分析を実施可能
想定される用途
・バイオ医薬製造工程における簡易生産量モニタリングと結合能評価
・新薬開発段階における抗体医薬やADCの血中薬物濃度分析、in vivo DARモニタリングによる安全性評価
・臨床現場における治療効果判定のための血中薬物濃度分析
- 創薬
2)【発表中止】完全人工配列を利用したmRNA発現効率化プラットフォームの開発
名古屋市立大学 大学院薬学研究科 遺伝情報学 教授 星野 真一
新技術の概要
従来技術・競合技術との比較
- 11:30~11:55
- 創薬
3)がん細胞の凝集機構を標的とした新規抗がん薬の開発
岐阜薬科大学 薬学部 生命薬学大講座生化学研究室 教授 五十里 彰
新技術の概要
生体内でがん細胞は凝集塊を形成し、低酸素、低栄養、低pHのストレス状態からなる微小環境を構築することにより、悪性度が増大します。我々は凝集塊の形成に細胞間接着分子のネクチン-4が関与することを見出し、ネクチン-4結合阻害薬の開発に成功しました。
従来技術・競合技術との比較
これまでの抗がん剤は、がん細胞の増殖や分裂を主な標的としていたが、本技術はがん細胞の凝集塊形成を抑制することにより、細胞死を誘導するという新しい作用機序を有している。
新技術の特徴
・がん細胞の凝集塊形成を阻害
・がんの悪性化を予防
想定される用途
・がん悪性化を予防する薬
・がん悪性化を予防する食品
・がん悪性化を予防するサプリメント
- 13:00~13:25
- アグリ・バイオ
4)妊性操作可能な魚類の作製方法
静岡県立大学 食品栄養科学部 環境生命科学科 教授 小林 亨
新技術の概要
本技術は、ゲノム編集などにより甲状腺ホルモン量を低下させ、魚類の雌雄ともに不妊化できるだけでなく、不妊化を甲状腺ホルモンの投与・曝露で回復できる世界初の方法である。妊性を自在に切替可能とし、有用系統の保護や拡散防止による養殖効率向上に加え、生命科学研究や環境問題解決へ広く応用可能な技術である。
従来技術・競合技術との比較
従来の三倍体化やゲノム編集による不妊化技術は、雌雄いずれかに限定され、かつ妊性の回復が不可能であった。また、不妊系統の保存や環境安全性の観点でも課題を残していた。本技術は甲状腺ホルモン量を制御することにより、雌雄で完全な不妊化と妊性回復を両立させることができ、養殖・環境分野でこれまでにない活用を可能とする点で革新的である。
新技術の特徴
・可逆的な妊性操作により「成長促進」と「繁殖制御」を両立
・ライフサイエンス分野(養殖・環境保全)へ横断的応用が可能
想定される用途
・養殖効率化:成長促進・高品質化で食料供給を強化
・生態系保全:外来魚やゲノム編集魚の繁殖抑制で環境を守る
・有用系統の保護:コピー防止により有用系統を守る
- 13:30~13:55
- 創薬
5)ヒト結腸がん細胞Caco-2の機能を高める改良培養法の開発
名古屋市立大学 大学院薬学研究科 臨床薬学 特任教授 松永 民秀
新技術の概要
Caco-2細胞を複数の因子を含む培地で気液界面培養することにより、生体に近い構造と機能を有する改良型Caco-2細胞の作製を可能とした。改良型Caco-2細胞においては、従来法と比較して欠点であった腸管の主要な薬物代謝酵素CYP3A4や粘液層を構成するMUC2の発現が顕著に上昇した。
従来技術・競合技術との比較
実験動物は腸管機能の種差と動物福祉の問題がある。また、生体の正常な腸管組織や上皮細胞の入手は困難である。その為、腸管のin vitro評価系としてCaco-2細胞が多用されているが、主要な薬物代謝酵素CYP3A4や粘液層を構成するMUC2発現が極めて低く、生体の腸管と大きく異なるのが問題である。
新技術の特徴
・薬物動態予測性の向上
・粘液層の影響評価が可能
・腸内細菌との共培養が可能
想定される用途
・薬物動態試験
・安全性試験
・腸内細菌叢の影響評価
関連情報
・サンプルあり
- 14:00~14:25
- 創薬
6)神経再生促進物質LOTUSの補充療法で神経変性疾患の病態を改善する
横浜市立大学 大学院医学研究科 脳神経内科学・脳卒中医学教室 特任教授 竹居 光太郎
新技術の概要
神経変性疾患の筋萎縮性側索硬化症(ALS)やアルツハイマー型認知症(AD)の遺伝子変異型病態モデルマウスに対してウイルスベクターを用いてLOTUS遺伝子を導入する遺伝子治療法を開発している。この技術は病態進行により発現低下したLOTUSの補充療法で、このLOTUS補充療法は軸索再生やシナプス形成などのLOTUSの生理機能を誘導することで、病態進行の抑制に止まらず、機能回復の誘起を可能とする画期的な治療法として期待される。
従来技術・競合技術との比較
既存薬が示す病態の進行を緩和・抑制する効果とは異なり、本技術では前記補充療法により、病態モデルマウスにおいて機能回復を示す可能性が認められた。また、既存の抗体医薬品は連続投与による治療法であるが、本技術は単回投与によって半永続的な治療効果を得る可能性があり、患者にとってメリットの多い治療法となり得る。
新技術の特徴
・LOTUSの補充療法により多面的な作用(軸索再生やシナプス形成)を誘導することで、神経変性疾患が示す機能不全を改善する
・ALSの病態進行の抑制と運動・感覚機能の改善をもたらす
・アルツハイマー病の病態(記憶・学習・認知機能などの障害)を改善できる
想定される用途
・脳神経分野(神経変性疾患ALS)の治療
・脳神経分野(アルツハイマー型認知症、 Aβ病理)の治療
お問い合わせ
連携・ライセンスについて
静岡県立大学 地域・産学連携推進室
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TEL:052-853-8309
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sec.nagoya-cu.ac.jp
URL:https://www.nagoya-cu.ac.jp/science/cooperation/ura/
横浜市立大学 研究・産学連携推進課
TEL:045-787-2061
Mail:sangaku
yokohama-cu.ac.jp
URL:https://www.yokohama-cu.ac.jp/res-portal/contact.html
岐阜薬科大学 経営企画課
TEL:058-230-8100
Mail:keieiki
gifu-pu.ac.jp
URL:https://www.gifu-pu.ac.jp/research/collaboration.html
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