東京科学大学 (Science Tokyo) 新技術説明会【対面開催】
日時:2025年06月19日(木) 10:00~15:25
会場:JST東京本部別館1Fホール(東京・市ケ谷)
参加費:無料
主催:科学技術振興機構、東京科学大学
<お申込み方法・聴講方法>
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お早めにお申し込みください。(先着150名)
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発表内容一覧
発表内容詳細
- 10:00~10:25
- デバイス・装置
1)光ビームの均一照射方式による高効率光無線給電システム
東京科学大学 総合研究院 未来産業技術研究所 教授 宮本 智之
新技術の概要
本技術は、フライアイレンズ系と結像レンズを組み合わせた受光モジュールを用い、光ビームの入射位置や多様なビームの形状やサイズに対する高い許容性を持ちつつ、太陽電池モジュールに均一照射を実現する光無線給電システムである。本構成により無効な光の損失発生を抑制し、高効率な給電が可能となる。
従来技術・競合技術との比較
従来の電磁誘導式やマイクロ波式の無線給電は、長距離や水中環境に対応できず、また、送信機と受信機の位置ずれや形状変化に低耐性であった。本技術はフライアイレンズ系を受光側に用いることで、位置ずれや形状変動に強く、また、光の特徴から長距離給電を可能にする。
新技術の特徴
・光ビームの位置ずれや形状変化に高い許容性を持つ受光システム
・太陽電池モジュールの全セルを均等に照射し、出力効率を最大化
・単純なパッシブ光学系によりシステム構成が容易
想定される用途
・工場内や家庭内の移動ロボットへの光無線給電
・電力ケーブルの敷設が困難なインフラ監視用の長時間稼働センサーへの給電
・水中ドローンやセンサーへの非接触給電
関連情報
展示品あり
- 10:30~10:55
- デバイス・装置
2)超音波で皮膚の物質浸透性を促進
東京科学大学 総合研究院 未来産業技術研究所 助教 杉田 直広
新技術の概要
皮膚表面に超音波キャビテーションと呼ばれるマイクロバブルの振動を作用させることで、皮膚のバリア機能が一時的に低下し、薬物の皮膚浸透性が促進することが知られている。本シーズは、皮膚に音波照射することに特化した超音波振動子により、経皮パッチと点滴の利点を融合した簡便かつ迅速な薬物投与システムを提供する。鎮痛薬やアレルギー薬などの低分子薬物から高分子のバイオ医薬品に応用が期待できる。
従来技術・競合技術との比較
投薬・美容分野で、微弱な電流を流すイオン導入と呼ばれる手法が実用化されているが浸透効果が小さく、適応可能な分子か限られる。市販の超音波デバイスは、超音波振動によるピーリング効果、マッサージ効果を目的としており、薬物の浸透効果は非常に小さい。本提案が利用する超音波キャビテーションを発生させる機器は、デバイスが大きいため実用化に不向きである。
新技術の特徴
・マイクロバブルの超音波振動(超音波キャビテーション)を発生
・物体表面に局所的な刺激を与える(皮膚の場合は、表面の角質層を部分的に除去)
・小型なデバイスで強い超音波を発生させる
想定される用途
・美容施術 成分=ヒアルロン酸、コラーゲン、美容有効成分
・育毛・発毛 成分=ミノキシジル
・麻酔 成分=リドカイン
関連情報
サンプルあり
デモあり
展示品あり
- 11:00~11:25
- 製造技術
3)医療用ARグラスとその周辺技術
東京科学大学 工学院 電気電子系 准教授 雨宮 智宏
新技術の概要
一般的なウェイブガイド方式のARレンズで用いられている回折格子を有する透明平板状光学素子の代わりに、回折格子領域をメタマテリアル構造に置き換えた素子を提案。十分なFOV・アイボックス・輝度/輝度均一性・色均一性を維持しつつ、医療用途に必須となる軽量化およびデザインを行っている。
従来技術・競合技術との比較
医療現場でのARモデルは医療処置を補助するものであり、処置を妨げることがあってはならない。そこで、回折格子をレンズ中心に配置した民生用ARグラスと異なり、注視範囲外にメタサーフェス構造を配置し、眼球を向けたときのみ表示情報を認識できるようにして、術者の視覚的認識を損なうことのない構造を提案した。
新技術の特徴
・軽量化に向けた、単層でフルカラー(RGB 3色)に対応するARレンズを提案
・軽量化に向けた、フラットレンズを搭載したマイクロディスプレイのレイアウトを提案
・医療用途に特化したARレンズ内の回折格子配置を提案
想定される用途
・臨床現場における情報を医療従事者にARレベルで提供する
- 11:30~11:55
- デバイス・装置
4)マルチモダル(磁場、温度、電場、圧力)対応 高信頼性ダイヤモンド量子センサデバイス
東京科学大学 工学院 電気電子系 准教授 荒井 慧悟
新技術の概要
ダイヤモンド中の窒素・空孔欠陥(NVセンター)は、次世代コンピューティングや高感度センシングへの応用が期待される量子システムである。我々は、NVセンターとその駆動に必要なマイクロ波導入路を同じダイヤモンドチップ内で実現した。これは、耐腐食性・耐温性のある次世代量子チップを構成するのに有用な新技術である。
従来技術・競合技術との比較
NVセンターの駆動には、金属で作成した電気回路が一般に用いられる。ところが、金属による回路では、腐食や加熱による精度の劣化など、技術的な課題があった。新技術はセンサ及びマイクロ波導入路を全てダイヤモンドで構成した高耐久で安定な構造のため極限環境におけるマルチモーダル計測にも対応可能である。
新技術の特徴
・高信頼性量子センサ(耐熱、耐腐食)
・極限環境(ダイヤモンドアンビルセル型、深海)で動作可能
・ダイヤモンド量子センサシステムの小型化にも寄与
想定される用途
・マルチモダル対応量子センシング
・量子コンピューティング
- 13:00~13:25
- 計測
5)凝集特性を活用して酵素活性をラマンで検出
東京科学大学 総合研究院 化学生命科学研究所 教授 神谷 真子
新技術の概要
分子の凝集制御に基づいた新たな機能性ラマンプローブを開発した。具体的には、標的酵素との反応前は水溶性が高く分散しているためラマン信号が弱いが、標的酵素との反応により水溶性が低下することで凝集体が生じ、局所濃度が高まることで強いラマン信号が得られる凝集誘導型のactivatableラマンプローブを開発した。
従来技術・競合技術との比較
我々がこれまでに開発した機能性ラマンプローブは、分子の吸収波長が励起光の波長に近づくに従い指数関数的にラマン散乱強度が上昇する「共鳴ラマン効果」を活用した分子設計に基づいていたため、色素母核や標的酵素が限定されてきたが、新技術の確立により、より広範な生体分子が標的にできる可能性がある。
新技術の特徴
・機能性ラマンプローブ
・酵素活性
・多重検出
想定される用途
・生命科学研究
・病理診断
関連情報
サンプルあり
- 13:30~13:55
- 機械
6)安価・コンタミフリーで制御不要な非接触支持型ポンプ機構
東京科学大学 工学院 機械系 准教授 土方 亘
新技術の概要
永久磁石の磁力と、推力(ポンプが流体を押し流す際に反作用として羽根車に作用する力)を利用することで、一切の制御システムを必要とせず、羽根車を回転させるだけでこれを非接触で浮上可能な、安価で高耐久、コンタミフリーなポンプ機構を開発した。高精度加工は不要で、3Dプリンタ製の羽根車でも浮上が可能である。
従来技術・競合技術との比較
血液ポンプや食品・半導体製造用ポンプでは、高耐久化、コンタミフリー化などのために、磁気軸受等を用いた羽根車の非接触支持が求められている。しかし、磁気軸受はセンサや電磁石、制御装置などが必要で、部品の高精度加工も必須であり、システム複雑化、高コスト化などの課題がある。本件はこれら一連の課題を解決する全く新規の技術である。
新技術の特徴
・制御システム不要で回転体を非接触支持、浮上可能
・高精度加工不要、3Dプリンタ製で回転体を非接触支持、浮上可能
・大ギャップで回転体を非接触支持、浮上可能
想定される用途
・血液ポンプ
・食品・半導体製造用ポンプ
・ファンなどの回転体を軸受不要で非接触支持
- 14:00~14:25
- 医療・福祉
7)がんミスセンス変異病原性予測の新手法「MARiO」
東京科学大学 総合研究院 M&Dデータ科学センター AI・ビッグデータ研究部門
AI技術開発分野 講師 鎌谷 高志
新技術の概要
本技術は、がんの遺伝子異常であるミスセンス変異の病原性をより正確に評価するために、複数の病原性予測スコアや集団頻度、腫瘍変異負荷などを機械学習で統合したモデルです。患者ごとのゲノム背景を考慮することで、高精度かつ実臨床に即した診断支援を可能にします。
従来技術・競合技術との比較
従来のがんの遺伝子異常に対する病原性予測はエキスパートの知識や特定の単一ツールに依存することが多く、さらには患者個々のゲノム背景や腫瘍特性を十分に考慮できず、高い精度を担保できませんでした。本モデルは複数ツールや変異頻度、腫瘍変異負荷などを統合することで、より高精度かつ汎用性の高い予測を実現します。
新技術の特徴
・がんに関連する遺伝子変異の病原性予測スコアと患者個人のゲノム背景を統合した高精度な解析
・実臨床から得た大規模データを活用した汎用性
・患者個別の腫瘍背景を考慮し、薬剤選択など臨床判断を支援
想定される用途
・がんゲノム医療におけるバイオマーカー探索と治療方針決定支援
・研究機関や製薬企業での創薬ターゲット候補の評価
・希少がんや未解明変異の臨床的意義推定の補助
- 14:30~14:55
- 創薬
8)光免疫療法の副作用を低減する光増感剤
東京科学大学 総合研究院 化学生命科学研究所 准教授 北口 哲也
新技術の概要
光増感剤と消光剤を抗体の N末端側 に特異的に結合させた 新規蛍光免疫プローブを開発した。このプローブは、抗原結合したときのみ、光照射により活性酸素を発生させ、光線力学療法(PDT)による選択的細胞死を誘導することができる。
従来技術・競合技術との比較
従来の光増感剤をランダムに修飾した抗体は、未結合または非特異的な結合による オフターゲット効果に悩まされており、健康な細胞の損傷や光過敏症を引き起こすことが知られている。今回開発した新規蛍光免疫プローブはこの課題を克服する。
新技術の特徴
・抗原結合依存的な活性酸素産生
・がん細胞特異的な活性酸素産生
想定される用途
・光免疫療法
・抗体医薬
関連情報
サンプルあり
- 15:00~15:25
- 創薬
9)抑制性神経シナプスの力で脳腫瘍を制す:革新的な神経膠腫治療への新戦略
東京科学大学 大学院医歯学総合研究科 認知神経生物学分野 教授 上阪 直史
新技術の概要
本技術は、抑制性神経細胞のシナプスを活性化し、神経膠腫の増殖を抑える革新的治療法です。GABA受容体作動薬やケモジェネティクス分子などを活用し、腫瘍細胞だけでなく周辺神経環境も制御することで、副作用軽減と高い治療効果を両立します。
従来技術・競合技術との比較
本技術は従来の化学療法・放射線療法と異なり、脳内にある抑制性神経細胞を活性化して神経膠腫を制御する新戦略です。GABA受容体作動薬や遺伝子ベクターを活用し、副作用軽減や治療効果向上が期待されますが、脳内デリバリーや安全性評価に課題が残ります。
新技術の特徴
・体内の細胞を利用したがん抑制
・GABA作動薬や遺伝子ベクター等の多角的アプローチ
・副作用リスク軽減と複合治療シナジー
想定される用途
・脳腫瘍(神経膠腫)の治療
・他の中枢神経疾患の制御
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東京科学大学 研究推進部産学連携課
TEL:03-5734-3817
Mail:consultcim.isct.ac.jp
URL:https://www.ori.titech.ac.jp/
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TEL:03-5214-7519
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